2019年5月1日 ご支援をいただいた皆様 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク 理事長 北神 あきら ご支援へのお礼と職業講習の報告 拝啓 新緑の輝く季節となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。  昨年、神戸市で視覚障害者向けの職業講習を開催したいとの思いからご支援のお願いをさせていただいた際には、多大なご協力を賜り厚くお礼申し上げます。おかげさまで、3回の職業講習が滞りなく終了しました。  本日は、ご支援をいただいた皆様に改めてお礼を申し上げるとともに、その報告をさせていただきます。  3回の講習は、長年にわたり視覚障害者のトータルサポートを行っている特定非営利活動法人神戸アイライト協会との共催の形で行いました。神戸アイライト協会のスタッフの皆さんの献身的なご協力により、万事滞りなく終えることができました。そして、受講された皆さんも、かなりハードなカリキュラムにも関わらず、大変意欲的に学んでくださいました。  私どもは、全国どこでも視覚障害者が質の高い職業訓練が受けられるようになればとの願いを込めて、2016年度は仙台市で、2017年度は札幌市で、そして2018年度は神戸市でと、活動を続けてきました。が、目標を達成するにはまだまだ長い道のりが必要だというのが実感です。  しかしこの活動を通して、視覚障害当事者の皆さん、そしてその支援をする方々との間での連携の輪は確実に広がっており、新たな芽も芽生えているように感じています。  これからも、皆様のご理解をいただきながらこの活動を進めて参りたいと考えていますので、今後とも私どもの活動を見守りいただくとともに、ご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  この度は、誠にありがとうございました。 敬具 ■ いただいたご支援  皆様から頂いたご支援の総額は以下の通りです。 クラウドファンディングによるご支援 421千円 50口 振り込みなどでのご寄付 300千円 47口 合計 721千円 目標額 : 70万円 ■ 収支  3回の職業講習実施の収支は以下の通りです。 単位:千円 内訳 項目 金額 備考 収入 ご支援 721 97口 自己資金 6 合計 727 支出 旅費交通費 308 東京<->神戸(2名、3回) 人件費 175 講師料(2名)、テキスト制作、講習準備 等 委託費 60 神戸アイライト協会(講習準備、講師補助) その他経費 87 会場借料、運賃 等 手数料 59 Campfire リターン 38 クリアファイル印刷、発送費 合計 727 ■ 職業講習実施記録 第1回 実施日 2019年1月19日(土)・20日(日) 会場 神戸臨床研究情報センター(TRI) 参加者 受講者12名、神戸アイライト協会スタッフ6名、SPANスタッフ2名、見学者等3名 テーマ Word2016 内容 ●基本操作編 Word2016の画面構成を知ろう! 知っておくと便利な設定変更 効率的なリボンの操作 さまざまなコマンドの実行方法 単語登録で入力を効率的に カーソルの移動をスムーズに 文字書式、段落書式で見栄えの良い文書を作成 ●活用編 こんなに簡単!表の挿入と加工 利用範囲が広い「宛名ラベル」 実務に活かせる「差し込み印刷」 音声とキーボードでもできる!画像の挿入と加工 第2回 実施日 2019年3月2日(土)・3日(日) 会場 神戸臨床研究情報センター(TRI) 参加者 受講者13名、神戸アイライト協会スタッフ7名、SPANスタッフ2名、見学者等3名 テーマ Excel2016 内容 ●基本操作編  Excel2016の画面構成を知ろう!  知っておくと便利な設定変更  効率的なリボンの操作  さまざまなコマンドの選択方法  セルの移動・選択をスムーズに  データの入力をもっと効率的に  資料の見栄えを左右する「セルの書式設定」 ●活用編  A4用紙1枚に印刷するコツ  実務で活かせる「条件付き書式」  利用範囲が広い「オートフィルター」  データの分析ができる「ピボットテーブル」  音声とキーボード操作でできるグラフの作成・加工 第3回 実施日 2019年3月16日(土)・17日(日) 会場 特定非営利活動法人 神戸アイライト協会 参加者 受講者16名、神戸アイライト協会スタッフ8名、SPANスタッフ2名、見学者等4名 テーマ PowerPoint2016 内容 ●プレゼンテーションファイルを作成する前に ファイルの内容を把握する PowerPoint2016の画面構成 PowerPointの構成要素 ●プレゼンテーションファイルの作成 スライドとプレースホルダーのサイズの確認 文字の入力と編集 Excelデータの挿入とインデントレベルの変更 グラフの挿入 スライドの移動と削除 図形の挿入と加工 画像の挿入とプレースホルダーのサイズ変更 スライド番号と代替テキスト スライド自体への画像の挿入 画面切り替え効果とアニメーション ●スライドショー スライドショーの実行・スライドショー実行時のキー操作 ノート・リハーサル プレゼンテーション形式でのファイル保存 ■ 皆さんの感想  参加された皆さんからは以下のような感想が寄せられました。   ●第1回目感想 ・リボンのキー操作がしっかりわかってよかった。 ・現在、拡大機能とマウスを使って操作しているが、目が疲れる。今回受講してリボンを使えばラクになると思う。復習して頑張りたい。 ・Wordはかなり昔に使っていたが今回久しぶりに使った。昔よりできることが増えていることがわかった。 ・晴眼のころにできていていたことが、またキーボード操作でもできることがわかってよかった。これから使っていきたい。具体的に教えてくれるところが少なかったのでよかった。 ・新しく機能を知って有意義だった。地元では行われないようなレベルの高い講習だった。 ・差し込み印刷で、Excelのファイルを使うところが難しかったが、役に立つので復習したい。 ・充実した内容だった。東京でしかこういうのが受けられないと思っていた。 ・自分にかけているのはイメージングだとわかった。リボンのイメージ、A4用紙のイメージなど、イメージがあれば晴眼者とのコミュニケーションもとりやすくなる。画面のイメージなど、触ってわかるものがあればわかりやすい。今回作ってもらったリボンの構造が分かる小道具は、とてもわかりやすかった。いただいたので持って帰り知人に教えたい。 ・「仕事で必要なレベル」というのがどのようなものなのかわかっていなかったが、それを知ることができた。 ・仕事でWordはよく使っている。基礎を見直すことの大切さがわかった。普段は、ズームテキスト、PC-Talkerのマウスカーソルを読み上げる機能を使って操作しているが、効率が悪いことも多い。確実に効率的に操作したいと思っていたので、キー操作を取り入れるなど、復習して身に付けたい。この講習を受けてよかった。 ・仕事上資料を作ることが大変多いが、パソコンが苦手で、自分で作ったものを人に渡して完成させてもらっていた。今まで自分で頑張ることから逃げていたと思う。表やインデントやぶら下げインデントの機能は、プリント作成にすぐ役立つ。それらを使った資料を作って皆を驚かせたい。 ・今後もこのような講習があればよいと思う。 ・見出しの概念はプログラムと共通のところがある。感動の連続だった。ショートカットキーを知ったこともよかった。次回のExcelの講習も楽しみである。 ●第2回目感想 ・受講後、操作の仕方が変わるので、講習の翌日に会社に行くのが楽しみである。前回のWord講習では、さっそくクイックアクセスツールバーを自分用にカスタマイズしたがよかった。今回もいろいろ取り入れたい。 ・スタッフや受講者の皆さんが前向きで刺激を受けた。 ・受講してみて、色の設定やグラフ、ピボットテーブルもできる、やろうと思った。職場で視覚障害者は自分だけだが、視覚障害者もできるということを晴眼者にも知ってほしいと思った。 ・Excelは以前から頻繁に使っている。弱視だったころはマウスで操作していた。今はさらに見えなくなり音声で操作しているが、このようになってからは当時の記憶をたどって操作していた。当時もピボットテーブルは苦手だったので、見えなくなってからはなおのことできなかった。今回、音声で操作できることを知ってよかった。かつての能力を取り戻したい。日付の曜日表示なども知ることができてよかった。 ・今は仕事では使っておらず、今日はXPのとき以来の操作だったので浦島太郎状態だった。でも丁寧に教えてもらって、頑張ることができてよかった。苦手意識が減った。脳の活性化になった。 ・仕事で使っているが、クイックアクセスツールバーなどの環境づくりを行いたい。大変ためになった。 ・今回の講習でPc-Talkerでの操作について整理ができたので助かった。 ・グラフができるなどの発見をしたのがよかった。今の仕事では報告書で使えそうだと思った。 ・リボンの使い方にかなり慣れた。罫線の引き方、操作アシストについて、環境によって読み上げや操作が違うということを知ることができてよかった。 ・基礎をきっちり見直すのが大切なことを改めて感じた。仕事では、見て半分、音声半分で操作しているが、見づらくなっているので拡大だけでは効率が悪く間違えるし勘違いも多い。音声で確実に効率よく操作するというヒントをたくさんもらった。 ●第3回目感想 ・画面構成を知ることができてよかった。 ・環境によって操作方法やメニューの表示のされ方が違うことを知ってよかった。教える側の立場でもあるためそういうことを頭に置いておきたい。うまくいかないときも、いろいろな操作を試してみようと思う。 ・作業ウィンドウの使い方は難しいが、できそうなので使えることがわかってよかった。 ・以前の講習の分も含めて、テキストを読ませていただいたが、作るのが大変だったと思う。ありがとうございます。今後参考にします。 ・PowerPointは触ったことはあったが、ここまで奥深くやったことがなかったので、新しいことを知ってよかった。 ・わかりやすい講習だった。 ・PowerPointも音声とキーボードでここまで操作できるということを知ってよかった。仕事で自分のできる領域を増やしたい。WordやExcelも含めて、何ができるかなと、考える基礎にしたい。 ・PowerPointは、開く閉じるくらいしかやっていなかったのに、ここまでできるようになってよかった。近々講演があるので、さっそくそれ向けのプレゼン資料を作りたい。楽しみである。 ・健常者に見やすいものにしようという言葉がすとんと理解できた。 ・PowerPointはニーズがあることはわかっていながらズルズル避けてきていたので、楽しみに受講した。いくつものひきだしを持つことが大切だと学んだ。このツールを使ってまたバリアバリューを考えていきたい。 ・会社から新規事業アイデアを出すようにということがあり応募した。その際PowerPointで資料を作って欲しいと言われ、はがゆい思いをした。今後また募集があったときにぜひ使ってプレゼンしたい。視覚障害者が何ができるのかなども含めて考えたい。 ・PowerPointは、今までは文字の入力だけでなかなか不格好だったと思う。図形とか画像とかを入れられなかった。今回教えてもらったので挑戦したい。特にこれからPowerPointを使う機会は多くなると思うので、SPANのホームページも参考にして頑張りたい。 ・音声でできるという知識を得たので、PowerPointに限らずいろいろやっていきたい。 ・PowerPointは、プレースホルダーに文字をいれるくらいしかできないと思っていた。画像を入れてレイアウトをすることは知ってはいたが、自分でどこまでのことができるのかなと、限界を知りたかった。それが理解できたことがよかった。0から10まで全部を視覚障害者自身でやるのは難しいが、けっこうなことができると思った。自分でどこまでできるか知ることでうまく周りの力も借りることができる。能力を伸ばせることも感じた。昨夜SPANのホームページを見た。そこも含めて勉強していくことでかなりのパワーユーザーになれると思った。 ・PowerPointのノートに内容を書いて、リハーサル機能を使って、Pc-Talkerで読ませてプレゼンを行うという方法もあると思った。 ・Word、Excel、PowerPointとも見た目が重要と学んだ。「どういうものが見た目がよいのか」などがわかっていない。そのあたりを勉強していきたい。晴眼の方の感覚がわかれば「ここまでやったけど、私は見えにくいからあとはお願いします」と言えるようになると思った。 ・PowerPointは見える人が見るために使うというイメージで、何ができるの?と思っていた。画像や表が挿入できるなどいろんなことができることがわかって、仕事以外にも使えそうだと思った。例えば、10周年記念とかに写真をいれたり、仕事ばかりではなくプライベートやイベントなど、いろいろなシーンで使えそうだ。そういうときは思い出しながら作ってみたい。そして視覚障害者も使えることを発信していきたい。きっかけになった。 ・見えないから見た目はいいんだという考えじゃなくて、見えなくてもここまでやろうよというこの講座がよいと思った。 ■ 講習の様子(写真) 1回目の講習の様子 初回の講習。受講者・スタッフの皆さん、講師も少し緊張でスタートです。 2回目の講習の様子 講師の説明とPC-Talkerの音の両方に神経を集中する参加者の皆さん。大変ですが充実感も感じられているのではないでしょうか。 3回目の講習の様子 受講希望者が16名と多かったため、会場を神戸アイライト協会研修室に移しての開催となりました。 熱心に学ぶ受講者とサポートスタッフの様子 受講者皆さんの熱意と、神戸アイライト協会の皆さんの献身的なサポートが講習を支えくださいました。  新幹線での移動に遅れなどもなく、予定通り講習を実施することができました。  また、神戸アイライト協会のスタッフの皆さんの適切なサポートをいただき、3回の講習は終始よい雰囲気の中で行われました。  神戸市での開催でしたが、大阪や京都から参加された方もいらっしゃるなど、このような機会が少ないことを改めて実感しました。  私たちSPANは、今回の職業講習を通して受講者や協力スタッフの皆さんから学ぶことも多く、この経験を今後の活動に活かしていきたいと思います。  今回の講習に関係した皆さんすべてに心から感謝します。ありがとうございました。 1