就労支援の取組み 2018 年11月24日(土) 神戸アイライト協会 飯山 知子 現在神戸アイライト協会で就労支援の取り組みとしておこなっている業務は「就労継続支援B型」 と「相談」です。「就労継続支援B型」の通所では、軽作業やパソコンの自習訓練をおこなってい ます。軽作業の内容としては、「点字名刺の作成」「点字再生紙を利用した袋や一筆箋の作成」「ビ ーズ製品の作成」「学校などでの視覚障害に関する講演」などです。支払われる工賃は作業内容や 作業時間により変わってきますが、工賃だけでは単独での生活は難しいものがあります。 「就労継続支援B型」から一般就労に結びつくこともありますが、まだまだ少ないのが現状です。 通所するメリットとしては個々様々ですが、パソコン操作などのスキルアップや時間管理がおこ なえるなど、就労前の生活環境の基盤を築くことが出来ます。また一般就労を希望される方の相 談も随時おこなっております。 通所の方だけでなく、電話や来所による就労支援の相談を受けておりますが、神戸アイライト協 会としての就労支援の取り組みはまだ始まったばかりで、経験が浅く支援できる内容も限られて いるのが現状です。 ここで神戸アイライト協会のある『兵庫県』の視覚障害者の就労支援について、簡単にご説明さ せていただきます。 『兵庫県』には、10箇所の「障害者就業・生活支援センター」がありますが、そのほとんどが視 覚障害に関する情報が届いておらず 対応が難しい状況です。一般就労を目指す障害者向けの就労 支援施設「就労移行支援施設」は、兵庫県内で 96施設あります。96施設では、知的又は精神 の受け入れ施設となっており、その内身体障害者の受け入れ施設は46施設とほぼ半分です。し かも、その中で視覚障害者がどれだけ占めているかというと ご想像通り ほんの一握りとなって います。 このことからも現在の兵庫県における視覚障害者の就労支援についていえることは、相談につい ても就労に向けたスキルアップの施設についても『視覚障害者を受け入れる施設がない』という ことがいえます。 神戸アイライト協会は、それら既存の支援センターや支援施設と視覚障害者の間に入り、『橋渡し 役』となることが 必要と考えています。そして、支援施設だけでなく『雇用主や社員及び所属す る産業医』と視覚障害者本人との間に入ることも重要と考えています。 次に、実例を挙げご説明させていただきます。 ●職場環境に関する実例 「産業医」との連携 「産業医」を通じ、視覚障害当事者と会社関係者と神戸アイライト協会の相談スタッフを交えた 話し合いの場を設けていただき、必要な環境整備として「安全な通勤ルートの確立をする為の歩 行訓練」「画面拡大などのパソコン環境の設定」「会社内の移動・伝達などで必要と思われる配慮」 などのご提案をさせていただき、また訓練を実施。 視覚障害当事者をよく理解する上司と相談を受けてきた経緯を知る産業医の築いてきた人間関係 の上に、視覚障害特有の問題を直接お伝えすることができ、細かい配慮まで対処方法を話し合う ことができた。 ●就労支援に関する実例 「就労移行支援施設」との連携 視覚障害当事者と「就労移行支援施設」スタッフ、神戸アイライト協会のスタッフで本人に必要 な環境について話し合いを実施。音声ソフトを使用したパソコンの操作に関して、個別講習を実 施。メールや電話で音声ソフトやキーボード操作に関して応答。 --1/2-- 障害特性の為、受け入れが難しかった視覚障害者の受け入れが可能になることで、就労に関する 専門施設を選択する幅が格段に広がる。 また、障害者就労に前向きな企業との繋がりを持ち、就労実績を持つ就労移行支援施設であるか らこそ、就労の幅が広がる。 他の障害を持つ方とのコミュニケーションの取り方を学ぶ上でも貴重な場所となる。など、多く のメリットが期待できる。 連携により生まれる効果は多岐に渡ります。多くの方に関わっていただくことで支える層が厚く なります。また、より細部にわたって支えることが可能になります。 神戸アイライト協会では、現在こうした『橋渡し役』となるべく、「施設」や「人」と連携を図り、 互いに協力し、視覚障害当事者が働きやすい環境を作っていくよう活動しています。 --2/2--