1/5 見えづらい方がパソコンを使いやすくするために 2018 年11 月25 日 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク 高西 透江 見えづらい方がパソコンを使いやすくするために行う設定は、大きく分けて、設定対象 は画面とマウス、設定内容は拡大と配色になります。それに加えて、支援のアプリケーシ ョンやスクリーンリーダーを使用する場合もあります。 「見えづらさ」には人によって違うため、設定やアプリケーションをいろいろ試しなが らその方にとって適している環境を探すことになります。 拡大すると、ボタンや文字が大きくなり見やすくなる半面、画面に一度に表示される情 報量が減ったり、マウスの移動距離が長くなるなど、反対に操作しづらくなることもあり ます。また、大型ディスプレイは探す範囲が増えるから小さいディスプレイの方がよいと いう視野狭窄の方もいらっしゃいます。それぞれにメリットとデメリットがあるので総合 的に考えることが必要です。 ひとつの設定を行うにも方法は複数ありますが、今回は[コントロールパネル]と[設定] からの設定を基本とします。また[コントロールパネル]からの場合、表示方法を[カテゴリ] ではなく、[大きいアイコン]または[小さいアイコン]を選択した状態で説明します。 ●コントロールパネルの表示方法は次のとおりです。 ・Windows キー → スタートメニューが表示される → 下方向キー → [Windows シ ステムツール] → [コントロールパネル] (スタートメニューが表示され下方向キーを押した後、[W]キーを押すと頭文字Wにジ ャンプします。) ●設定の表示方法は次のとおりです。 ・Windows キーを右クリック → メニューが表示される → [設定] (キー操作では、Win + X → メニューが表示される → [設定]) 【1】画面の拡大・強調 〔1〕ディスプレイのカスタマイズ(画面全体) [設定] → [システム] → [ディスプレイ] → [テキスト、アプリ、その他の項目のサ イズを変更する] → クリックするか、Enter キーを押して候補を表示してから上下 矢印キーで移動し、Enter キーを押して変更する。 ※機種により標準(推奨)の値は異なる。 ※概ね全体的に大きくなる。 ・デスクトップアイコンが大きくなる、Office のリボンが大きくなる。 --1/5-- 2/5 ・画面がディスプレイ内に収まらなくなることがある。 (デスクトップのアイコンが隠れてしまい画面上に表示されなくなったり、アイコン が重なることがある。) (MS Word のページ設定ダイアログボックスなどが大きくなり、下部のOK ボタン が画面からはみ出し表示されなくなる。Tab キーで移動し選択することはできる が、音声がないと選択されていることがわからない。画面からはみ出すくらいの拡 大の場合、スクリーンリーダーとの併用が望ましい。) ※次の項目[表示スケールの詳細設定]では任意の大きさに変更可能だが、一度サインア ウトする必要がある。また大きくしすぎた場合、上記例のようにディスプレイからは み出した部分の操作が難しくなる。任意の設定を解除し、元の設定に戻すには[カスタ ムの拡大/縮小の設定を無効にして、サインアウトする]を選択する。 〔2〕解像度 [設定] → [システム] → [ディスプレイ] → [解像度] → クリックするか、Enter キーを押して候補を表示してから上下矢印キーで移動し、Enter キーを押す。 ※アイコンやメニュー、Office のリボンが大きくなる。ゆがむことがある。 (環境により解像度を変更しても表示が大きくならない場合がある。) 〔3〕拡大鏡の使用(画面全体・一部) Windows 標準の機能です。 [コントロールパネル] → [コンピューターの簡単操作センター] → [拡大鏡を開始 します] *ショートカットキー:Windows + + ※拡大の種類:固定・レンズ・全画面表示 (1) 拡大する(拡大鏡を起動する) [Windows]+[+]( プラス)(これは、;(セミコロン)と+(プラス)が刻印されているキ ーですが、Shift キーを押す必要はありません。テンキーの+も可能です。) (2) 縮小する [Windows]+[ -](マイナス)(これは、-(マイナス)と=(イコール)が刻印されてい るキーでもテンキーでも可能です。) (3) [全画面表示]に切り替える [Ctrl]+[Alt] + [F] (4) 全画面表示のとき、今見えている部分が、全画面のどの位置にあるかを表示する [Ctrl]+[Alt]+[Space] (5) [レンズ]に切り替える [Ctrl]+[Alt]+[L] (6) [固定]に切り替える [Ctrl]+[Alt]+[D] (7) 拡大鏡で色を反転する(拡大部分が反転する) --2/5-- 3/5 [Ctrl]+[Alt]+[I] (8) 拡大鏡を終了する [Windows]+[Esc] ※拡大鏡の設定の[マウスカーソル]にチェックがついていないと、マウスの動きに連動 して画面のスクロールが行われない。 〔4〕Office のズーム機能(Word 、Excel 、PowerPoint ) Office アプリケーションを起動後、画面右下の[ズームスライダー]を操作する。 またはリボンの[表示]タブ → [ズーム] ※文書ウィンドウ、ワークシート、スライドが大きくなる。リボンは大きくならない。 〔5〕大型ディスプレイの接続 ノートパソコンに21 インチなどの大きな外部ディスプレイを接続し、ノートパソコ ンの画面をそのディスプレイに映し出す。 ※外部ディスプレイ側の出力は、相性やノートPC のスペックなど諸条件により期待し た出力が得られない場合もある。確認の上購入。 〔6〕ZoomText の使用(画面全体・一部) Amedia 社の有償アプリケーション 拡大の種類、倍率がいろいろ用意されている。画面を拡大するだけではなく、マウス ポインタとカーソルの強調、フォーカス位置の強調、色の調整機能、拡大した画面を 2台のモニタに広げて表示するデュアルモニタサポート機能を持つ。 〔7〕PC-Talker による強調表示と拡大機能 高知システム社のスクリーンリーダー。有償。 PC-Talker 使用時に、Word を簡単に拡大する機能がある。 また、視覚的ユーザーインターフェースが用意されている。(フォーカス枠を強調する 機能、マウスの位置の強調表示機能など。) さらに、拡大機能ではないが、マウスがポイントしているメニューやボタンを読み上 げてくれる「マウスカーソルを読み上げる」という機能があり、弱視の方に有効。 【2】マウスポインターの拡大・強調 〔1〕ポインターの形状の変更 [設定] → [デバイス] → [マウス] → [その他のマウスオプション] → [マウスのプ ロパティ]ダイアログボックス → [ポインター]タブ → [デザイン]から選択。 ※[コントロールパネル] → [マウス] からも可能。 ※選択例:Windows 黒(特大のフォント) 〔2〕ポインターオプションの設定 --3/5-- 4/5 [設定] → [デバイス] → [マウス] → [その他のマウスオプション] → [マウスのプ ロパティ]ダイアログボックス → [ポインターオプション]タブ ※[コントロールパネル] → [マウス] → からも可能 1.ポインターの速度を選択する:机上のマウスの移動距離と画面上のマウスポイン ターの移動距離の関係性の設定。 ([ポインターの精度を高める]について:チェックがついていると、マウスを動か す速度によってポインタの移動速度が変化し、マウスを動かした距離とポインタ の移動距離が一致しなくなるため、オフの方がよいという方が多いと思われる。) 2.ポインターを自動的に既定のボタン上に移動する:ダイアログボックスなどを開 いたときに、マウスポインターが自動的に[OK] ボタンなどに移動する。 3.ポインターの軌跡を表示する:マウスポインターを動かすと、動いた軌跡上に残 像が表示される。 4.Ctrl キーを押すとポインターの位置を表示する:Ctrl キーを押すとマウスポイン ターを中心に波紋のような円が表示される。 〔3〕ZoomText 、PC-Talker による強調 【3】配色 〔1〕ハイコントラストに設定する [設定] → [簡単操作] → [ハイコントラスト] → [ハイコントラストを使用する] → クリックするか、Space キーを押して、オン/オフを切り替える。 ※さらに詳細な設定をする場合は[テーマの選択]以下を設定。 *ショートカットキー:左Shift + 左Alt + Print Screen (ショートカットキーが効かない場合: [コントロールパネル] → [コンピューターの簡単操作センター] → [ハイコント ラストを設定します] → [左Alt + 左Shift + PrintScreen キーでハイコントラス トを切り替えます]にチェックをつける。) ※画面をコントラストの高い色の組み合わせで表示することができ、文字と背景の区別 がつきやすくなる。通常の配色がまぶしいという方にも有効。 〔2〕明るさの調整(主に下記3つの方法があります) 1.本体のボタンで調整する。 2.ディスプレイ設定で設定する。 [設定] → [システム] → [ディスプレイ] → [明るさの変更] バーをクリックするか左 右矢印キーを押して変更する。 3.画面右下[アクションセンター]をクリック(Win+A)→ 表示されるメニューから明 るさを調整。 --4/5-- 5/5 〔3〕タイトルバーの色の設定 [設定] → [個人用設定] → [色] → 色を選択する → [タイトルバー] をクリックする か、Space キーを押し、チェックをつける。 〔4〕夜間モード設定 [設定] → [システム] → [ディスプレイ] → [夜間モードの設定] → クリックする か Enter キーを押す。→ [今すぐ有効にする] ※ブルーライトをカットする。オンにすると何時から夜間モードにするかを設定できる。 〔5〕その他 ZoomText では、画面とマウスに対して配色などの設定が可能。 PC-Talker では、フォーカス枠を強調する機能、マウスの位置の強調表示機能を使用 する際に配色の選択が可能。 【4】その他 〔1〕見やすいキーボードの使用 例えば、文字が白の太字で記されている黒いキーボード、キーボードに貼る太字のシ ールの利用 〔2〕フォーカス位置の枠線の設定 [コントロールパネル] → [コンピューターの簡単操作センター] → [コンピュータ ーを見やすくします] → [フォーカス用の四角を太くします] 〔3〕カーソルの幅 [コントロールパネル] → [コンピューターの簡単操作センター] → [コンピュータ ーを見やすくします] → [点滅カーソルの太さを設定します] 〔4〕カーソルの点滅速度 [コントロールパネル] → [キーボード] → [キーボードのプロパティ]ダイアログボ ックス → [速度]タブ → [カーソルの点滅速度] 〔5〕参考:フリーソフト「FontChanger 」などによる文字の強調 ここまで --5/5--