━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2006年夏 号[創刊号]                        2006年8月25日 5月の視覚障害者PCサポートフォーラムで発行することをお約束した メールマガジンをお届けします。 とりあえずは季刊でスタートしますが、できるだけ早く月刊での発行を 目指していきたいと考えています。 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  どう選ぶ?スクリーンリーダ ● プロフェッショナルコース  スタートメニューの設定(1)   【一口メモ】   注意したい、教室での「音」 [2] サポートお役立ちサイト  SPANのPC教材DBサイト [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  ◎信楽園病院音声パソコン教室   〜病院に併設されたユニークなパソコン教室〜 [4] ソフトウェア・ハードウエア情報  新しいスクリーンリーダ「FocusTalk」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第3回「大活字カフェ イン 神戸アイライト」開催のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎どう選ぶ?スクリーンリーダ  「貴方はどのメガネをはめたいですか?」 視覚障害者がパソコンを使用する時、スクリーンリーダ(以下SCRと略します。) はどの程度の役割を負担しているのでしょうか? ここでの視覚障害者とは画面の内容が視力では把握できない程度の人を指して います。 答えは「100%」です。  云うまでもなく、SCRが導入されていればパソコンが使用できるわけでは ありません。 その他の能力も必要とされることは、このメルマガの読者であればご存じ ですね。 でも、SCRが導入されていなければ、私でもパソコンを使うことが出来ません。 何を伝えたかったのか、おわかりですよね。  視覚障害者がパソコンを使用する上で、SCRはとても大切な必須のソフト なんです。 ところが、多くのボランティア団体ではSCRを一種類しか準備できていない ところが多いのです。  ・お金がかかります。  ・私たち、時間と能力は無料で提供できるけれど///。 よくわかります。 でも、貴方、「貴方に会うメガネはこれです。」って眼鏡屋さんで、 云われたらどう感じます。 「そこに、もっとかっこいいフレームがあるじゃないですか?」 「色つきのレンズがいいな!」 そう、云いたくなりますね。  視覚障害者は情報障害者とも云われています。 見えないんです。知らないんです。*1 そこに、もっと自分好みのSCRがあることを・・・。 そして、これからパソコンを教えてくれようとしている方は先生です。 先生は教えることについては専門家であり、何でも知っているとの先入観が あります。  ・どんな種類のSCRがあるのか、  ・それなりの特徴は・・・。 伝えてほしいのです。 でも、我々のグループでは○○(丸マル)のSCRしか準備できていません。  「よく見える、かっこいいメガネをはめたいよ!」 *1:視覚障害者が何も知らないと云うことではありません。これから 始めようとしているパソコンについてはどこからも専門的な情報が入って こない、との意味です。 ★主なスクリーンリーダ ・95Reader(XPReader) http://www.ssct.co.jp/barrierfree/95reader/ ・PC-Talker(VDM300)  [体験版ダウンロード可能] http://www.aok-net.com/products/pctalker.htm ・WinVoice http://www.nbs.co.jp/winvoice.htm ・JAWS http://www.extra.co.jp/product_11.html ・MM-Talker http://www.am-corp2.com/mm-talker/index.html ・FocusTalk  [体験版ダウンロード可能] http://www.skyfish.co.jp/focustalk/index.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などがテーマです。 ◎スタートメニューの設定(1) 1.今回の目的  視覚障害者向けのパソコン設定には、2つの目的があります。 一つは不要な操作ミスを防止することです。 もう一つは、パソコンの負担の軽減です。スクリーンリーダや画面拡大ソフト ウエアは大きな負担をかけるため、システムの安定度が低下するおそれがあり ます。システムが不安定になると、音が止まり、視覚障害者が単独では何も できない状況が発生することすらあります。そのため、パソコンに負担を かけない設定をすることで安定度を増加します。今回はWindowsXPを使用して 説明しますが、Windows98はさらに安定度が低く、システムに負担をかけない 設定は特に重要です。  今回はまず、「[スタート]メニュー」の設定についてお話しします。 2.設定を実施する場合の注意点  パソコンの設定を変える場合は、必ず相手に事前説明をしてください。 知らない間にパソコンの設定が変わってしまうと、パニックになります。 3.[スタート]メニューを縦一列にする設定(クラシック[スタート] メニュー)  WindowsXPが登場した頃はWindows98までの縦一列の[スタート]メニューが 視覚障害者向けの迷わない便利な設定とされていました。現在では縦二列の WindowsXPのスタートメニューをそのまま使用することもあります。相手の方の 状況に合わせて設定してください。 (1) 「WindowsXPメニュー」と「クラシック[スタート]メニュー」の切替。  「コントロールパネル」中にある「タスクバーと[スタート]メニュー」を 実行し、「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」ダイアログを 開きます。  「[スタート]メニュー」のタブの画面を表示します。 ここにあるラジオボタンで「クラシック[スタート]メニュー」へ切り替える ことができます。 (2) 「クラシック[スタート]メニュー」から「WindowsXPメニュー」への 切替。  設定の中の「タスクバーと[スタート]メニュー」を開きます。  [スタート]メニューのタブの画面に切り替えます。 ここにあるラジオボタンで「クラシック[スタート]メニュー」へ切り替える ことができます。  次回は[スタート]メニュー関連のおすすめ設定内容についてお話しします。  今回説明した内容はほんの一部です。内容に対する質問や、次回以後の掲載 に対する要望はforum@span.jpまで御願いします。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎注意したい、教室での「音」  視覚障害者のパソコン教室を開く際には「音」に注意することが大切になり ます。まず視覚障害者の中には案外、難聴の人がいます。そうした人には、 どちらの耳が聴きやすいかを聞いた上で、スタッフが座る位置を考えるように することも必要です。  またこうした場合、スクリーンリーダーの音量を上げることも多いので、他 の受講生への配慮も大切です。「となりのPCの音がうるさくて自分のPCの 音が聞こえない」という苦情を受けることもあります。  受講生にイヤホンを使ってもらうのも一つの方法ですがその際にはスタッフ もPCの音声を聞けるようにしておくことです。そして、受講生がPCからの 音声を聞いているときには説明を控えることが大切です。PCの音と説明の 両方が聞こえてくると、受講生が混乱してしまうこともあります。これは結構 ストレスになるものです。  いずれにしても、視覚障害者の教室では「音」が大きなポイントになること を知っておきましょう。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト  見て役立つお勧めサイトを紹介。 ◎SPANのPC教材DBサイト  この種の情報源としては他に例を見ないPC教材データベースです。 視覚障害者のパソコン習得、そしてサポートスタッフのためのテキスト類の データを集めたサイトです。 みなさんぜひご覧ください。また関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www.span.jp/pc_textdb/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎信楽園病院音声パソコン教室  〜病院に併設されたユニークなパソコン教室〜  「パソコン教室」というと、NPOなどの組織をすぐに思い浮かべると 思いますが、新潟市にある「信楽園病院音声パソコン教室」は病院に併設 された教室というユニークな存在です。  この教室は、代表の山田幸男さん(内科医)が21年前、糖尿病により失明 した担当患者が自殺したことがきっかけとなり、中途視覚障害者のリハビリ テーションの必要性を痛感し、それが中途視覚障害者リハビリテーション外来 やいくつかの団体結成につながり、1995年6月、音声パソコン教室を信楽園 病院に開設してから今日まで、さまざまな活動を続けています。  また山田さんは、2005年10月、視覚障害者のパソコンサポーター向けに 「視覚障害者のはじめてのパソコン教室」を発行し、サポートを行う人の ためにそれまでの活動の中で蓄積した多くのノウハウを提供しています。  目の不自由な人に教えてくれる晴眼者やボランティアさんが増えたなら・・、  わかりやすいテキストがあったなら・・・音声パソコンの普及に繋がる。  音声パソコンの普及は、目の不自由な人の自立や就労に繋がる。そんな社会 になって欲しい、そんな願いを込めて目の不自由の人の立場になって書かれた テキストです。  この本は(株)大活字から購入できます。▼詳しくは以下をご覧ください。 http://www.daikatsuji.co.jp/books/52025.html  この教室の大きな特徴は、「パソコン教室」という場が視覚障害者に とどまらず、他の障害を持つ人や高齢者や学生など、さまざまな人が集まれる ところになっていることでしょう。  そしてサポートは、パソコンを習得した視覚障害者を中心に多くのボラン ティアさんが担当し、習うかたに合わせながら、ゆっくり丁寧に教えます。  平成12年、目の不自由な人が見える肢体不自由者や高齢者に教える教室 に変化しました。このことは、目の不自由な人の自信を取り戻し「生きがい」 や就労に繋がりました。教わった肢体不自由者や高齢者もまた、大きな刺激と なり一気に教室が活気づきました。参加した多くの方が「この教室に来ると 元気がもらえる。癒される。オアシスのようですね。」と。  またこの教室は、視覚障害リハビリテーションの一環として病院の中で活動 しているので、看護師さんや視能訓練士の学生さん、さらには全国から見学に 来る方と教室の皆さんとの意見交換や情報交換ができ、まさに「開かれた場」 という印象です。  こうした病院に併設された教室は、リハビリテーションの点からも大変 意義深く、今後このような教室がもっと増えればと願っています。  医療としての「リハビリテーション外来」と医療と福祉が混じっている 「パソコン教室」が、うまく連携するように作られています。  『パソコン教室』という名前ですが、「拡大読書器教室」「携帯電話教室」 「点字教室」「調理、日常生活教室」など、目の不自由な人が中心になって、 皆さんの要望に応えられるようにと勉強しあって頑張っています。 毎週水曜・土曜9時から16時まで、30人ぐらいの方たちが教え合い 助け合い、とてもにぎやかで楽しい教室です。 ▼尚、信楽園病院音声パソコン教室の詳細については下記をご覧ください。 http://www.niigata-pasobora.net/group_intro.cfm?GRID=010 ▼またこの教室が加盟する「パソボラネットワークにいがた」については以下 をご覧ください。 http://www.niigata-pasobora.net/index.cfm −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウェア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎新しいスクリーンリーダ「FocusTalk」  画面読み上げソフト(スクリーンリーダ)の新製品の紹介です。 「FocusTalk(フォーカストーク)」というソフトで、95Reader(XP Reader)の 開発元であるSSCT出身のスタッフにより開発された製品であります。 95Readerは、どちらかというと音質が機械的で聴きずらい(慣れるとそうでも ない)、その欠点を富士通の音声エンジンにより解消しました。 インターネット関連のソフトの音声化が充実しています.「Windows Media Player (ウインドーズ メディアプレーヤ)」、「Messenger(メッセンジャー)」、 「Skype(スカイプ)」などです。特に「スカイプ」は、常時接続(ADSLや光) の環境下ならば、無料で電話のように話ができ、更に会議室という機能を 使えば、5人と同時に会話を楽しむことができます。  以下は、株式会社スカイフィッシュからの情報です。 ●対応アプリケーションの一例 ・Skype2.5/2.0通話・会議機能 ・IE6.0 ・Office2003(Word,Excel,PowerPoint) ・WindowsMediaPlayer10 ・Windows/MSNメッセンジャー(履歴読み上げ対応) ・コマンドプロンプト(WindowsXPのみ) ・Adobe Acrobat/Reader7.0 ・ウイルスバスター2006 ・NOD32 ・ベッキー ・LHめーる ・秀丸エディタ ※VB,VCで開発した標準的なコントロールは読み上げ可能です。 ●便利な機能の一例 ・スクリーンリーダ設定の保存・呼び出し ・URL/メールアドレス読み機能 ・日付/時刻の推測読み機能 ・サウンドデバイスの出力先の切り替え機能 ・起動用ショートカットキーの搭載 ・全文読み上げを中断時に、中断箇所へカーソルを移動  (Word、メモ帳で使用可能) ・PowerPointノート部分の読み上げ  上記以外の詳細・体験版については、ウェブサイト http://www.skyfish.co.jp/focustalk/index.html にてご確認下さい。 株式会社スカイフィッシュ メールアドレス:ft-sales@skyfish.co.jp ホームページ:http://www.skyfish.co.jp/focustalk/ 価格 35000円 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第3回「大活字カフェ イン 神戸アイライト」開催のご案内  視覚障害者関連グッズの販売を行っている(下部)大活字のイベントです。 パソコンに関する相談もできます。 参加費は無料です。皆様のご来場をお待ちしています。 *日時:9月2日(土曜) 10:00〜12:00、 13:00〜16:00 *会場:神戸アイライト協会 アイライト I T ファーム。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.h3.dion.ne.jp/~kobe87/Main/indexpage.htm ◎第11回 視覚障害者IT教育指導者育成講習会  視覚障害者のパソコンサポートを希望する人のための講習会です。 *開催日:平成18年9月17日(日)、18日(月・祝)2日間コース *会場:雇用・能力開発機構北海道センター(ポリテクセンター北海道) *定員:20名 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.s-challenged.net/seminar/cat6/post-9.html ◎アイフェスタin横浜2006  (視聴覚障害者総合福祉機器展&総合相談会)のご案内 *日時:2006年11月5日(日) 10:00〜16:00 *場所:かながわ県民センター    (横浜駅西口から徒歩7分) *主催:JRPS神奈川支部(福祉機器展)      かながわ難病相談支援センター(総合相談会) *内容:福祉機器展、総合相談会  (総合相談会ではパソコン相談をはじめ、さまざまな相談を実施します) ▼追ってJRPSの下記ページに詳しい案内が掲載されます。 http://www.rp-k.com/ ◎「FOMAらくらくホンIII」9月上旬発売  読み上げユーザー待望の漢字詳細読みを実現した携帯端末、 「FOMAらくらくホンIII(F882iES)」 がいよいよ9月上旬に発売されます。 ▼下記に詳細なレポートが掲載されています。 http://www.mainichi.co.jp/universalon/report/2006/0802.html  このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと 考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また 技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見 など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 forum@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? メールマガジンの制作は試行錯誤の連続でしたが、やっと創刊号をお届けする ことができました。これも多くの方々の支えによるものと感謝しています。 これからもみなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者が パソコンの楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  それではまた次号でお会いしましょう。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 forum@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━