━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年6月号 No.8                        2007年6月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  どう教える?キーボード(3)   キーボードを「グループ分け」 ● プロフェッショナルコース  マイコンピュータとはそもそもなんなのだろう?   【一口メモ】   「わがまま」に対してはきちんと「NO」を [2] サポートお役立ちサイト  パソボラ千葉(PVC)の「第1章 視覚障害者のパソコン」 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  財団法人 大和証券福祉財団のボランティア活動等助成事業 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  声の目印→耳じるし、「i-タッチトーク」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「全国ロービジョン(低視覚)セミナー2007」のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎どう教える?キーボード(3)   キーボードを「グループ分け」  さて、いよいよキーボードを教えることになるわけですが、視覚障害者に 限らず、この「キーボードをマスターすること」がパソコン習得の第一の 難関といえるでしょう。  もし、キーボードの端から順番にキーを説明していって、「これを全部 覚えなさい」なんて言ったら、きっと「キーボードアレルギー」の人を 「大量生産」してしまうでしょう。  では、どうすれば楽に、そして能率的にキーボードをマスターすることが できるかですが、一つの方法として、「キーボードをグループ分けする」 というやり方があります。これは、キーボードを以下の5つの部分に分けて 教えるというものです。  尚、以下の説明は「109キーボード」を基準にしています。 1.[Esc]から横に[Pause]までの1列. 2.文字キーを含む主要なキー.(この部分が一番大きい) 3.上下左右の矢印のキー「方向キー」. 4.「方向キー」の上の6つのキー. 5.数字キーを中心とした「テンキー」. 受講者がキーボードに向かったら、まずこの5つのグループがあることを 伝えます。そして、グループの間の「溝」を含めて必ず自分の手で確かめて もらってください。 一番上のグループは、ところどころ間隔が開いていること、文字キーを含む グループは、横長でキーボードの大部分を占めていること、「方向キー」の グループは、三角形になっていること、その上のグループは、上下に3個 ずつのキーがあること、そしてテンキーは、電卓のような形だということ。  こうしたキーのグループのイメージをつかむことで、キーボードが少し ずつ身近になっていきます。もちろん、一度では無理ですので、時間を かけて、何度でもゆっくりとやることが大切です。  次回は、個別のキーの教え方についてお話します。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎マイコンピュータとはそもそもなんなのだろう? 1. マイコンピュータとは. 普段何気なく使用している「マイコンピュータ」ですが、非常に豊富な機能 があるために、「使いにくい」とか「むつかしい」「なにができるのか 解らない」と思っている人もいると思います。また詳しい人でも「機能が 多すぎる」と感じている人もいると思います。指導者としては、マイ コンピュータの機能を羅列して教えると、機能が豊富なため、教わる側が 混乱することを忘れてはいけません。 「相手が必要な機能を教える。」が大切です。しかし、指導者としては、 マイコンピュータのすべての機能を熟知する必要はありませんが、「どんな ことができるか?」を概略しておくことが必要です。マイコンピュータは 身近な機能ですが、意外にその正体を詳しく学習することはありません。 今回はなんとなく通りすぎていた「マイコンピュータの正体」について お話しします。 【注意】 PC-Talkerのユーザーは「マイファイル」なる専用の道具を使用 しており、マイコンピュータを全く知らずにパソコンを使用している場合が あります。 その点も注意が必要です。 2. マイコンピュータの歴史 「マイコンピュータ」なる言葉が登場したのは、Windows95からです。それ 以前のWindowsOSでは「ファイルマネージャ」と呼ばれている機能を強化 して「マイコンピュータ」になりました。このことから明らかな様に、 ファイルやフォルダを取り扱う機能に、インターネットに対応した機能や、 WindowsOSの機能などを統合して使用することを目指して、マイコンピュータ が設計されたと個人的に感じています。マイコンピュータからホームページ にアクセスしたり、コントロールパネルを開いてパソコンの設定をする など、Windowsの機能を利用するためには、マイコンピュータに対する学習は 避けて通ることはできません。最低限何ができるかは一度学習する必要が あります。とくに、マイコンピュータでホームページを開くと、あとは インターネットエクスプローラが働きます。Windows95の登場により 「ファイルマネージャとコントロールパネルとインターネットのブラウザを 一体化した」アプリケーションが「マイコンピュータ」であるといえます。 3. 七変化(しちへんげ)するマイコンピュータへの対応. マイコンピュータは、選んだ対象により色々なWindowになります。晴眼者は 画面を一目で見ることができます。しかし、表示されるWindowは基本に 忠実な画面ですので、Windowsの基本ルールで操作が可能です。[Alt]キーを 押すとメニューバーに移動するので、メニュー操作ができれば、どんな機能 があるかを知ることができます。 逆説的に言えば、機能が豊富で、ファイルメニューや編集メニューの内容が 選択されているアイコンにより変わります。すべてを覚えるのは困難です。 しかし、どのような機能があるかを、実際にファイルメニューや、編集 メニューを読み上げてみてください。 次回はマイコンピュータの構造についてお話します。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎「わがまま」に対してはきちんと「NO」を  「障害者だと、ちょっと無理なことを言っているなと思っても、なかなか 言えなくて」なんていう経験をお持ちの方はいませんか。  例えば、講習時間が終わって、それを知っていながら質問をやめない人、 決められた方法以外でのサポート(個人的に電話するなど)で教えることを 無理に求めてくる人などに対しては、はっきりと言うことが大切です。  こうした場合、あいまいな態度をとっていると、相手は「わがままが 認められた」と思ってしまいます。しかし、それは将来、お互いにとって 決してよい結果にはなりません。  私たちは、たとえ障害者の教室であっても、決められたルールを、そして 人間としてのマナーを守ることについては、一般の社会と何ら変わることが ないわけですから、もし「わがまま」に遭遇したときには、それが障害者で あってもきちんと「NO」と言う勇気をぜひ持ってください。そして、 それがひいてはよい講習、また受講する人とサポートする人との信頼関係を 築いていくことにつながるのではないでしょうか。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎パソボラ千葉(PVC)の「第1章 視覚障害者のパソコン」  このサイトは、次の四つの項目で構成されています。 1.視覚障害者とは 2.視覚障害者のパソコン利用 3.視覚障害者の難点 4.視覚障害者にとっての必要な支援  特に「視覚障害者にとっての必要な支援」では、実際にパソコン使用のサポートを するにあたり、その外郭的なとらえ方を説明しています。  具体的なサポート内容はケースバイケースですが、利用者が必要としている 基本支援を判りやすく分類しています。    これから視覚障害者のパソコンサポートをしたいと考えている方々、 また実際にサポートをしているみなさん、ぜひご覧ください。  そして関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www1.odn.ne.jp/pv-chiba/member/pcsupport/chap1.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎財団法人 大和証券福祉財団のボランティア活動等助成事業  私たちが団体を運営していくためには、「資金の問題」が常に課題だと 思います。これまでも助成金の情報をお届けしてきましたが、今回は 財団法人 大和証券福祉財団の「ボランティア活動等助成事業」です。  この財団は、大和証券グループからの出資により運営されており、 以下の助成事業を行っています。 1.ボランティア活動に対する助成(1件30万円限度)  対象は国内、主に在宅老人、障がい者・児、児童問題等に対する  ボランティア活動を行っている団体です。 2.ボランティア活動等に関する調査研究助成(1件100万円限度)  対象は、「ボランディア活動・地域福祉に係る実践的モデル事業開発に  関する研究等」となっています。  また、地震・風水害等災害支援時の助成や、ボランティア精神の啓発・ 普及、その他財団の目的を達成するために必要な事業等に対しての助成も 行なっています。  募集は毎年1回で、受付期間は、2006年度の場合8月1日から9月15日 まででした。  尚、助成金の申請に際しては、社会福祉協議会・共同募金会等の推薦を 受けることが必要です。  「ボランティア活動に対する助成」のここ数年の実績を見ると、視覚障害 関係では、音訳・点訳グループが多くありましたが、パソコンボランティア 団体はあまりなく、もしかすると「狙い目」かもしれません。 また、「作業所」などの福祉施設よりも、ボランティア団体のほうが多い ようです。そして、以前受けた団体も再度受けているケースもありました。 *問合せ先: 財団法人 大和証券福祉財団 〒103-8219 東京都中央区日本橋茅場町1-1-9       大和証券兜町ビル内 TEL:03-3665-5147 FAX:03-3662-0495 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.daiwa-grp.jp/branding/kouken/dsf.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎声の目印→耳じるし、「i-タッチトーク」  目が見えない、見づらいということは、日常生活をしばしば困難にします。 そのひとつは、身の回りの物の具体的な情報が得られないことです。 洋服の色、食品名や賞味期限、CD、MD、墨字文書、などなど… 同じような形、手触りのものは、覚えていないと区別がつきません。  そんな悩みを解決してくれそうな商品が今月末に発売されます。 それが今回ご紹介する「i-タッチトーク」です。  「i-タッチトーク」は少し太目のペンサイズで、知りたい商品にペン先を タッチすると、商品の詳細が音声で出力されます。基本操作は以下の通り。 1.専用シールに本体のペン先を接触させ、録音ボタンを押す。 2.本体に向かって知りたい物の名称や内容を録音する。 3.そのシールを知りたい物に貼る。→これで完了。  各シールごとに個別に印刷されたコードと本体メモリ上の音声データが 紐付けされるため、貼り付けた専用シールにタッチして再生ボタンを 押すことで特定の音声が再生されます。 シールには微細なドットコードが無数印刷されています。1ドットのサイズは 1mm四方。そのためシールを細かく切断しても、その断片すべてが同じ情報を 再生します。同じ内容のシールをいくつも作りたいときに応用できそうです。  内蔵メモリは256MB、合計で8時間分録音できます。ただし、miniSDカード 対応なので、理論上無制限にデータを増やせます。MP3の音楽ファイルを 転送してオーディオのようにも使えます。  日常生活用具として給付申請可能。ただし、自治体の対応はまだ鈍いです。  今後、i-タッチトークを使ってさまざまな視覚情報を音声化させる新たな 試みも計画中とのこと。実現する日を楽しみにしております。 ・発売元:株式会社GLDパブリッシング ・小売希望価格: 500モデル 19950円  1500モデル 24780円 ・録音・再生シール単体:2100円 (洗濯にも耐える防水型も7月末ころ発売予定。価格未定。) ・パッケージ内容:本体、録音・再生シール400個、ステレオイヤホン、 USB充電アダプター、USBバッテリーパック(内蔵)、ネクストラップ、 取扱説明書(音声対応)、miniSDカード1GB(1500モデルのみ付属)。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.gld.jp/i_touch_talk/index.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「全国ロービジョン(低視覚)セミナー2007」のご案内  〜多角的にみる視覚障害者の雇用〜  「全国ロービジョンセミナー2007」では、「多角的に見る視覚障害者 の雇用」をテーマに開催します。午前は病院のロービジョンルームの視能 訓練士の立場から、午後は現職復帰、雇用継続、新規雇用、そして再雇用の 事例を、上司と当事者それぞれの立場から発表いただき、視覚障害者の雇用 を多角的に見ていこうと考えています。 *日時:2007年7月28日(土) 9:15〜16:30 *会場:戸山サンライズ(東京都新宿区) *主催:社会福祉法人 日本盲人職能開発センター *申込み期限:2007年7月11日(水) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.os.rim.or.jp/~moushoku/lowvision/lowvision2007.html ◎第2回高齢者・障害者のICTを活用した社会参加を考えるシンポジウム  〜障害者のテレワーク、サイトチェッカーの就労支援を考える〜  「サイトチェック」とは、ネット上の情報を人が目視し、「リンク先が 正しいか」、「誤字・脱字がないか」、「不正な利用をする者はいないか」 「ユーザビリティ・アクセシビティへの配慮は十分か」などをチェックする 仕事です。 本シンポジウムでは、障害者のテレワーク、サイトチェッカーの就労をどの ように支援していくべきなのか、又、障害者はサイトチェックに従事する 為に必要な技術や知識をいかに習得するのか、事例を踏まえながらICTを 活用した新しい在宅就労、障害者のサイトチェッカー養成を考えます。 *日時:2007年6月30日(土) 13:30〜16:30 *会場:Mウィング(長野県松本市) *定員:100名 *主催:NPO法人SOHO未来塾、老テク研究会 *参加費:無料(交流会のみ有料) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sohomiraijuku.jp/ ◎「大活字カフェ イン 神戸アイライト」のご案内  このイベントは、、株式会社大活字(本社東京)による便利グッズと日常 生活用具の紹介と販売のほか、パソコンなどについての相談も行います。 今回は音声ICタグレコーダー「ものしりトーク」と拡大読書器の最新型など を体験いただけます。 *日時:2007年7月7日(土) 10:00〜12:00、13:00〜16:00 *会場:中山記念会館内 神戸ライトセンター2階 多目的室 *問合せ先:神戸アイライト協会 アイライトITファーム       電話 078−221−6019   ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.h3.dion.ne.jp/~kobe87/Main/indexpage.htm ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 office@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 今号では、視覚障害者の就労に関するイベントを2つご紹介しました。 PCを活用したさまざまな働き方があることを改めて知りました。 それと同時に、PCのスキルを高めることの大切さも実感しています。 次号は7月27日配信の予定です。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 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