━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年7月号 No.9                        2007年7月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  「十字カーソル」が教えてくれたこと ● プロフェッショナルコース  マイコンピュータの構造と機能   【一口メモ】   黙って動かさないで! [2] サポートお役立ちサイト  滋賀県立盲学校の「視覚障害者の方とパソコンとの出会いを演出する   ITサポータ養成講座」 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  豊かな高齢社会「豊齢社会」を目指して   NPO法人 シニアのための市民ネットワーク仙台の取り組み [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  前号の記事に関するお詫び  まだまだXPは続く!それなら、「PC-Talker XP Ver.3」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「視覚障害支援連携セミナー in 宮城」のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎「十字カーソル」が教えてくれたこと  先日のSPANの勉強会で、弱視者には大変貴重な情報提供がされました。 弱視の見え方は百人百様とよく言われます。そのことは、何度も聞かされて 十分承知しているという声が聞こえそうですね。でも、50年以上も弱視を やっている私自身が、最近身をもってそのことを再確認したのでした。  自分自身の見え方に規定されて、私自身、「弱視=大きな文字」という 図式のイメージがありました。「拡大だけの機能があればよいから、その分 ソフトの価格を安くしてもらいたいものだ」と考えていた面がありました。 ところがここ数年、白内障が進んで、どうも拡大以外に大切なものが あるんだと気づきました。  職場では、何人かで1台のパソコンを使っています。なかなか自分の 使いたい画面拡大や画面読み上げソフトなどは使いにくいですし、見やすい 設定などもしにくいんです。そんな中で、困ることばかりなんですが、 小さな文字は、大変な思いをしても何とかルーペで確認ができたりします。 さて、できないのは何でしょうか。私は、マウスの位置がわからなく なります。これは、画面をなめる様にしてもなかなかわかりません。 画面背景に溶け込んで、ルーペで見たってわかりません。 十字の交差点.  道案内で、「交差点は一つしかない、まっすぐ行って、交差点が目標」 ということであれば、安心して目的地まで行けます。マウス位置を十字の 交差点で示してくれるソフトがいくつかあります。その中で、会員の方から 紹介を受けたのが「CrossHair 1.1」です。 http://www.mlin.net/ のUtility Softwareの中にあります。線の太さや、色なども変えられます。 ハイコントラストで使っている私などは、そのままではよく見えないので、 線の色を黄色にし、太さも太くします。[Ctrl]+[@]で十字カーソルを表示 したり、表示させなかったりできます。あれば便利だけど、いらない時は 消したい。これは、決してわがままではないんです。  この十字カーソルの情報提供を受けて、私は、大きな意味で弱視の文化の 豊かな発展に結びつくものの一つだと思いました。一つ一つのことで、 見やすいものを考え出していくという発想の柔軟性、パソコンを活用すれば このような可能性はどんどん広がると思います。  皆さんからもいろいろな情報をお出しいただき、豊かな弱視文化の創造を 目指したいと思います。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎マイコンピュータの構造と機能 前回は「3.」までを説明しましたので、今回は「4.」からです。 4. マイコンピュータの構造. (ア) タイトル. 現在表示されているフォルダ名などが表示されます。 (イ) メニューバー. 通常下記の内容が表示されます。 「ファイル」「編集」「表示」「お気に入り」「ツール」「ヘルプ」の6個 のメニューがあります。ファイルメニューは、選択しているアイコンにより 異なる内容になります。 (ウ) ツールボタン. 代表的な機能をメニューを開かずにマウスクリックで実行するための 「ボタン」があります。 Windowsに用意されている機能では、マウスが必要ですので説明は割愛します。 (エ) アドレス. ここは、文字入力できます。[Alt]+[D]でここに移動できます。 a) 「c:\abc」と入力するとそのフォルダに移動します。MS-DOSの時代の Dirコマンドと同様です。 b) URLを入力すればそのホームページが表示されます。 c) ファイル名を入力すると関連するプログラムが起動し、指定した ファイルを表示します。 (オ) クライアント領域. アイコンなどが、表示される場所です。 (カ) ファイルメニュー. ショートカットは[F]です。「File」の先頭の1文字の「F」です。 選択されているアイコンにより異なる内容が表示されます。 一番下の項目は通常「閉じる」です。 [Application]キーで表示される「ショートカットメニュー」とかなり 近い内容になっています。詳細な説明はこの後になります。 (キ) 編集メニュー. ショートカットは「Edit」の先頭の「E」を使用した[Alt]+[E]です。 下記の項目があります。 a) 元に戻す(U)(Ctrl+Z) b) 切り取り(T)(Ctrl+X) c) コピー(C) (Ctrl+C) d) 貼り付け(P) (Ctrl+V) e) ショートカットの貼り付け(S) f) フォルダにコピー(F)... コピー先のフォルダを選ぶダイアログが表示されます。 g) フォルダに移動(V)... 移動先のフォルダを選ぶダイアログが表示されます。 h) すべて選択(A) クライアント領域に表示されている、すべてのアイコンが選択状態に なります。 i) 選択の切り替え(I) 現在選択されているアイコンは非選択になります。また「非選択状態」 であるすべてのアイコンが選択状態になります。 (ク) 表示(V). マイコンピュータの表示方法について、指定することができます。 (ケ) お気に入り(A).  ショートカットはお気に入りの英語の「Favorites」の2文字目の「A」 です。[Alt]+[A]でお気に入りのメニューが表示されます。スタートメニュー にお気に入りがある場合、同じ内容が表示されます。 【注意】 ホームページリーダを利用している場合、お気に入りからホーム ページを開くと、ホームページリーダは起動しません。ホームページリーダ が設定してあるパソコンを晴眼者が利用する場合には、便利な機能に なります。 5. 出来ることその1. もっとも基本的な機能は下記の機能です。 (ア) ファイルやフォルダを作る. (イ) ファイルやフォルダを削除する. (ウ) ファイルやフォルダ名を変更する. (エ) ファイルやフォルダをコピーする. (オ) ファイルやフォルダを移動する. (カ) ファイルを実行する. 6. できることその2. さらに、こんな事もできます。 (ア) ショートカットを作る. (イ) プロパティを表示する. (ウ) いきなり印刷する. (エ) ショートカットメニューを表示して実行する. (オ) CDにファイルやフォルダを焼き付ける準備をする. (カ) URLを入力してホームページを開く. (キ) お気に入りメニューを開いて、登録されているホームページを開く. 次回は、選ばれているアイコンの種類により、異なるファイルメニューと その機能についてご説明します。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎黙って動かさないで!  時折こんな話を耳にします。 視覚障害者が置いたはずの荷物が見当たらないので探していると、 「何かお探しですか?荷物でしたら、邪魔になるかと思ってこちらに 片付けておきました」というのです。  視覚障害者は、自分が置いたはずの物がないととても不安になります。 ということは、置いた物の位置は結構きちんと覚えているのです。  視覚障害者が置いた物を動かすときは、必ず本人に断ってください。 「足元の荷物、右の椅子の上におきましょうか?」というように、動かす 先も具体的に伝えてあげることが大切です。  また、どうしても本人がいない間に動かす必要がある場合も、戻って きてから「左手のテープレコーダー、テーブルから落ちそうだったので、 12時方向に10cmほど動かしました」と言って、本人に位置を確認 してもらってください。  こうしたことも視覚障害者とよい関係を築くための大切なマナーです。 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎滋賀県立盲学校の「視覚障害者の方とパソコンとの出会いを演出する ITサポータ養成講座」  このサイトは、視覚障害者向けのパソコンサポートの勘所についてまとめ られています。  内容は、パソコン講座で配布されるようなソフトの使い方ガイドではなく、 視覚障害をもたれているパソコン初心者の方に‘こんなパソコンと出会って ほしい’‘こんなふうにパソコンと出会ってほしい’‘こんなふうなパソコン サポートをうけてほしい’という観点からまとめられています。  執筆を担当したのは、全盲のパソコンサポーターの方です。これまでの ご自分のパソコンライフを振り返りつつもサポートにあたるようになって 積み重なってきたもの、‘視覚障害があるがゆえにどうしても初心者が とまどってしまう’といった同じ障害をもつ当事者でないとなかなか気づか ないような指導上のポイントについて触れております。  これから視覚障害者のパソコンサポートをしたいと考えている方々、 また実際にサポートをしているみなさん、ぜひご覧ください。  そして関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www.vi-sh.shiga-ec.ed.jp/pasobora/pasobora.htm ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎豊かな高齢社会「豊齢社会」を目指して  NPO法人 シニアのための市民ネットワーク仙台の取り組み  パソコンサポート団体にはさまざまな形があると思います。そんな中で、 「NPO法人 シニアのための市民ネットワーク仙台」の活動は、 自主的なグループ運営とカルチャー教室あわせて20ほどの幅広い活動を 行っています。  この団体は、1995年8月に結成され、その後1999年10月、NPO法人化 して、宮城県を中心に「豊かな高齢社会」すなわち「豊齢社会」を実現する ための活動を続けています。 具体的には、市民活動団体として社会福祉、まちづくり、国際交流などの 分野でのボランティア活動のほか、さまざまな趣味のグループでの活動も 行っています。主な活動は以下の通りです。 観光ボランティア、ITに関する情報交換と学習のグループ、 豊齢社会研究会、杜の都の麻雀会議、俳句を楽しむ飛行船俳句会、 あしかび短歌会、シニアランチクラブ、朗読教室、英会話教室・・・etc  その中で、パソコン教室はシニア向けの他に「視覚障害者のための パソコン教室」をも運営しており、視覚障害者がパソコンでメールや インターネットを楽しむためのサポートを全くの初心者から中級者に対して シニアスタッフが中心になって行っています。  また、この団体ではWebアクセシビリティにも積極的に取り組んでおり、 同会のホームページは、2005年にNPO法人 イー・エルダーの主催で 実施された「第1回NPOアクセシビリティ支援プログラム」の対象団体に 選ばれ、その後協力団体としてお手伝いを続けております。  団塊世代の大量退職が始まった現在、シニアのパワーを活かす場として 「NPO法人 シニアのための市民ネットワーク仙台」の活動が、私たちに 多くの示唆を与えてくれることが出来れば幸いと考えます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sendai-senior.org/rev1/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎前号の記事に関するお詫び  前回お送りしました「ソフトウエア・ハードウエア情報」の記事の中で一部 事実と異なる内容が含まれていました。たいへん申し訳ございませんでした。 以下に該当分とその訂正内容を示します。 引用ここから。 >  内蔵メモリは256MB、合計で8時間分録音できます。ただし、miniSDカード > 対応なので、理論上無制限にデータを増やせます。 引用ここまで。  上記の文面では、miniSDカードにもI-タッチトーク本体から録音でき、 さらにminiSDカードを交換することでいくらでも録音できるかのように 読み取れますが、正しくは、録音に使用できるのは内蔵メモリだけで miniSDカードには録音できません。 i-タッチトークからは再生専用として使用します。  ここにお詫びして、訂正いたします。 読者の皆様、ご意見ありがとうございました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ◎まだまだXPは続く!それなら、「PC-Talker XP Ver.3」  Windows Vistaが発売されても、まだまだXPが主流です。 買い替えの必要性を感じていない人も多いことでしょう。  今回は、そんなXPユーザーに送るPC-Talker XPの最新版のご紹介です。  PC-Talker XP Ver.3で採用された新しい音声エンジンは、 従来のエンジンを圧倒するスピードと肉声に迫る音質が特徴。さらに、 英語エンジンを新たに採用。ネイティブに近い発音で英文を読上げます。 また、Windows XP専用の機能を保ちながら、PC-Talker Vistaと同じ操作性を 実現。いつOSをVistaに乗り換えても操作に迷うことはありません。  話題のスカイプ、最新のマイクロソフトオフィス2007 (ワード、エクセル)にも正式対応しました。そして、今回新たにログイン 画面も読めるようになりました。パソコンを共有する場合に便利です。 ・対応OS:Microsoft Windows XP Home Edition, Professional Edition ・対応パソコン:Windows XPが快適に動作する環境 ※インストールの際にDVDドライブが必要です。 ※お使いのパソコンの環境によって新エンジンの性能が十分に発揮されない 場合があります。その際は、聞き慣れた従来の音声エンジンでご利用下さい。 ・発売日:2007年7月 ・製品価格 PC-Talker XP Ver.3 新規ユーザー  :税込39,900円 VT+ユーザー価格          :税込 8,400円 PC-Talker XP Ver.1&2 ユーザー価格:税込18,900円 その他PC-Talker ユーザー価格   :税込26,250円 ※ユーザー価格にはマニュアルが付属しておりません。 (別売マニュアル:税込2,100円) ※2007年4月以降にVT+をご購入のお客様につきましては、 無償でバージョンアップさせていただきます。 ※乗り換え価格:PC-Talker XP Ver.3からPC-Talker Vistaへの バージョンアップは、税込8,400円となります。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/news/pctkxp3news.htm ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に お寄せください。 ◎「視覚障害支援連携セミナー in 宮城」のご案内  このセミナーは、2000年8月から続けている、仙台およびその周辺 地域で視覚障害児・者の支援にかかわっている人たちが、視覚障害支援 およびその関連分野に関する勉強と情報交換のための「仙台ロービジョン 勉強会」の一環として開催されます。 *日時:2007年8月18日(土) 10:00〜16:00 *会場:仙台市青年文化センター 2階 交流ホール *内容:講演 視覚に障害をもつ人の暮らしと情報・コミュニケーション     講師  筑波技術大学 教授  長岡 英司 氏    ほか、シンポジウム、視覚障害者向け福祉機器・生活用具の展示など *定員:150名 *参加費:一般 2,000円、学生 1,000円 *申込締切:8月3日(金)(但し、定員になり次第締切) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www15.plala.or.jp/isupport/kensyu.html ◎第8回日本ロービジョン学会学術総会  第16回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 合同会議を開催  ロービジョンや視覚障害に様々な形で関わっている方々の学術的な 情報交換の場として、またこうした取り組みに関心を持っている方々の 情報収集の場として開催されます。 日程2007年9月22日(土)〜24日(月・祝) *会場:大阪国際交流センター *内容:特別講演、シンポジウム、指定講義、     一般講演(口頭発表・ポスター展示)、     全国ロービジョンフェア・展示会2007、市民公開講座 など *参加費:有料(詳細はホームページを参照してください) *事前申込締切:7月31日 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.streamlines.jp/8lv-16rvi/ ◎FocusTalkの貸出しのお知らせ  全国の視覚障害者向けのパソコンサポートを行っている団体等に対して、 スクリーンリーダー「FocusTalk」の無料貸出し制度がスタートしました。 これは、開発元である株式会社 スカイフィッシュ様のご協力によるものです。  スクリーンリーダーは製品によってその特徴や役割が違います。 サポートを受ける方のニーズに広く応えていくためにも、ぜひこの制度を 活用されるようご案内します。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/focustalk/index.html ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  台風や地震災害を受けた地域のみなさんに心からお見舞い申し上げます。 どうか一日も早い復興を願うばかりです。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? 前号の訂正記事などもあり、だいぶボリュームが多くなってしまいました。 どうぞ時間のある折に少しずつお読みください。 みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は8月24日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━