━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2009年5月号 No.31                       2009年5月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  便利なものは取り入れる ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(2) [2] サポートお役立ちサイト  kotobank [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  事業型NPO法人 イー・エルダー [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  正確に、すばやく、簡単点訳、「EXTRA for Windows Version 5」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(帯広)開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎便利なものは取り入れる 前回このコーナーで、弱視の方のスクリーンリーダの活用について少しだけ 述べました。述べたと言うより、「うまく活用に結びつくのはなかなか簡単 ではない」というようなことを書いただけでした。 でもその点について、もう少し真剣に考えなければなりません。 私自身は、文字を大きくして、スクリーンリーダも使いながらパソコンで文章 を作成しています。「一体どっちを使っているのか?」自分でも良くわかり ませんが、「両方を使っている」ということだけは確かです。 文章を書くにあたって、パソコンにできる、私にとって便利なことは、とり あえずやらせているわけです。私にとっては、大きな文字と、音声での読み 上げが役立っているわけです。さらに、ハイコントラストにしたり、カーソル を太くしたりもしています。マウスポインタも目立つようにしています。 よく、スクリーンリーダを使うのだから、画面の状態はどうでも良いという人 がいますが、それは大きな勘違いです。ハイコントラストにすれば、小さな 文字でも何とか読めるという人もいます。 この「何とか読める」と言うことを認めることが大切です。ですから、その人 にあった見易さについて、できるだけのフォローをしていくことが大切です。 そして、「何とか見える」だけでなく、楽に読み書きができる便利さに導く ことです。 私が子供の頃は、弱視の方も点字教育を受けています。50年まえです。 拡大文字の教科書や、いろいろなルーペや拡大読書器などは、考えもできま せんでした。親や先生がマジックで大きな文字を書いてくれただけでした。 今の見え方を十分に活用すると言う、発想はありませんでしたし、それを保障 する器機とか支援体制などがありませんでした。 多様性を認め合うことなどは考えもされませんでした。でも今の時代は違い ますね。自分に便利なものはどんどん取り入れていくことが大切です。まず、 その人の見え方に合ったフォローこそ大切です。この発想をベースにして、 スクリーンリーダをうまく使うことを具体的に考えて行きたいと思います。 次回は、少し違ったスクリーンリーダの使い方について述べます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(2) 今回は旧Fileメニューに該当する機能を紹介します。 1.互換性 Windowsのソフトウエアでは、一番左のメニューはファイルメニューで、その 一番下の項目は「閉じる」または「終了」にすることが標準になっています。 キー操作では、[Alt][上方向][上方向]の3回の操作の後で[Enter]を押すと 終了します。Office2007にはメニューはありませんが、同様の操作で「終了」 を実行することができます。 2.旧ファイルメニューに対応するダイアログボックス [Alt]を押した後[F]または[Alt]+[F]を押すと、「旧ファイルメニューに対応 するダイアログボックス」(以後仮に「ファイルダイアログボックス」と 呼びます)が表示されます。 旧ファイルメニューは1列で、一番下の項目「閉じる(X)」の上に「最近 使ったファイルの一覧」が最大9個までありました。「ファイルダイアログ ボックス」は2列になっています。右側には「最近使用したドキュメント」の 一覧があります。設定を変えれば9個以上表示できますが、ショートカットは 先頭の9個にのみ数字の1から9が割り当てられています。つまり数字の[1]を 押すと、前回開いたファイルを開くことができます。 表示直後は、左列の一番上の項目がフォーカスを持っています。[方向キー]で 下げていくことができます。項目とショートカットは以下のとおりです。 (ア)新規作成(N) NewのN (イ)開く(O) OpenのO (ウ)上書き保存(S) SaveのS (エ)名前を付けて保存(A) Save As のA [A]またはここで[Enter]の場合ダイアログが開きます。 [F]またはここで[右方向キー]を押すとサブメニューが開きます。 (オ)印刷(P) PrintのP  [P]またはここで[Enter]の場合「印刷のダイアログボックス」が開きます。 [W]またはここで[右方向キー]の場合サブメニューが開きます。 (カ)配布準備(E) ドキュメント配布準備のためのサブメニューが開きます。 (キ)送信(D) SendのD 送信のためのサブメニューが開きます。 (ク)発行(U) ドキュメントを配布するためのサブメニューが開きます。 (ケ)閉じる(C ) CloseのC 保存されていない場合は、保存を問い合わせるメッセージボックスが表示され ます。 (コ)最近使ったファイル(ショートカットは数字の1から9) (サ)Wordのオプション(I) OptionのI オプションを設定するためのダイアログボックスが開きます。Office2002で あちらこちらに散らばっていた機能をまとめてあります。内容については今後 お話しします。 (シ)Wordの終了(X) ExitのX 保存していない場合は保存するダイアログボックスを表示することを問い 合わせるメッセージボックスが表示されます。 *備考 Office2002では、ダイアログが開く項目は,右側にピリオドが3個ありました が、Office2007ではこの3個のピリオドはありません。 Office2002のファイルメニューには[Ctrl]+[P]などメニューを開かなくても 有効なショートカットが表示されていましたが、省略されてしまいました。 3.サブメニューを持つ項目の説明 (ア)名前を付けて保存 この項目では、[Enter]を押すとファイルを保存するダイアログが表示され ます。 ファイルの種類の標準が「docx」になっていますが、大きな変更点はあり ません。 [右方向キー]または[F]を押すと、右側の列にサブメニューが表示されます。 *「Word文書」(ショートカットはW)Office2007で採用された新しい文書の 形式で保存されます。画像ファイルの圧縮が強化されています。 *「Wordテンプレート」(ショートカットはT) テンプレートとして保存します。 *「Word97-2003」(9) Office97から2003までの形式で保存します。この形式 のファイルを開いているときのタイトル部は「abc.doc [互換モード] Micro softWord」の様になります。 *「他のファイル形式用のアドインを探す」(F) FindのF Office2007では、PDFやXPS形式などのワード形式以外で保存するための機能 です。ネットワーク接続が必要です。利用する機能を事前にダウンロードする 必要があります。 *「その他の形式」(O) [名前をつけて保存]ダイアログボックスを開き ます。テキスト、web形式、XML形式などいろいろな形式で保存できます。 (イ)印刷 ここで[Enter]を押すと、印刷のためのダイアログボックスを開きます。 [右方向]または[W]を押すと右側に3個の項目のサブメニューが表示され ます。 *印刷(P) PrintのP  印刷のためのダイアログボックスを開きます。 *クイック印刷(Q) Quick のQ ダイアログボックスを開かずに印刷します。 *印刷プレビュー(V) ViewのV 印刷プレビューを表示します。[ESC]キー で元に戻ることができます。データの入力もできます。 その他の機能は、次回説明します。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 *今月号のコラムは都合によりお休みとさせていただきます。 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎kotobank 朝日新聞、講談社、小学館などの辞書、事典、用語解説などを検索できる 無料サービスです。 「kotobank」の特徴は、用語解説の信頼性を重要視している点です。掲載 している辞書は実績のある出版社や、その分野においての知識が豊富な企業 などから提供されたもので構成しています。 また、朝日新聞が提供元になっていることから、時事問題、ニュースなどの 最新の情報に強いことも特徴の一つと思われます。 一般的な検索エンジンによるネットからの検索でも、現在は簡単に何十万件 もの情報を得ることはできますが、逆に情報が多すぎて迷ってしまうことも しばしばです。 、この検索サイトはレベルの揃った、厳選された情報を得ることが出来る、 という意味から価値のあるサイトと言えると思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://kotobank.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎事業型NPO法人 イー・エルダー 〜ITを中心とし非営利団体の活性化や高齢者・障害者などの社会参加支援〜 非営利団体の活性化と高齢者・障害者の社会参加・就業支援などに役立つ経営 を実践、このことが評価され、経済産業省主催「ソーシャルビジネス55選」に 選ばれました。  基本的な活動は以下の通りです。 1.リユースPC寄贈プログラム 多くの企業から提供されたパソコンの再生作業を障害者施設などに委託し、 NPOやボランティア団体などに寄贈しています。 2.Webアクセシビリティ化支援事業 多くの企業・団体から協賛を受け、NPOを始め行政や企業へのWebアクセシビリ ティ化の普及・啓発と在宅障害者の就業支援を目的に活動を行っています。 3.障害者(通所、在宅)就労・就業支援事業 通所の障害者には中古パソコンの再生作業を、在宅障害者にはWebページの アクセシビリティ指針の基本診断、サイト制作・更新、適合性評価支援などの IT関連業務を発注して、働く障害者や働くことを希望する障害者に就労・就業 支援事業を推進しています。 4.研修事業 (1)高齢者向け携帯電話講座 全くの初心者から携帯電話操作を段階的に習熟する講座です。 (2)シニアの情報生活アドバイザー養成講座 中高年齢期の生活に密着した、パソコンやネットワークの楽しい活用方法を 教える人を養成する講座です。 (3)高齢者向けパソコン活用講座 インターネットの利用、ブログの作成、セキュリティー対策、デジタル画像 処理などのパソコン活用講座を開設しています。 5.ICT教育推進プログラム協議会  「小中高等学校向けICT教育推進プログラム」(リサイクルPC寄贈プログラム) の業務運営事務局と中古パソコン再生作業を担当しています。 6.ITコンサルティング事業 ホームページの制作・設営・メンテナンス、データベースの構築・設営、LAN 構築など、IT関連の個人教授(自分たちだけの公開講座)等を有料で行って います。  シニア・障害者の社会参加・就業支援などにも対応していて、私たちNPOに とっては心強い存在だと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.e-elder.jp/public1/index.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎正確に、すばやく、簡単点訳、「EXTRA for Windows Version 5」  今回は、3月9日に有限会社EXTRAより発売された自動点訳・ 点訳支援ソフト「EXTRA for Windows Version 5」をご紹介します。  本ソフトは、テキストファイル、Microsoft Wordや一太郎などで書かれた 文章のほか、HTMLファイル、PDFファイルのテキスト部分などを自動的に 点字に変換し、効率的に点字文書を作成できる高機能点訳エディタです。  EXTRAは原文テキストを仮名と点字に変換します。点字を知らない方は 仮名ウィンドウで仮名変換の誤りを修正することで、点訳者は自動点訳された 点字データを直接校正することによって、ほぼ正しい点字データを 作成することができます。  目次の自動作成機能や2つ折りなどの点線を自動で挿入する折り線機能、 表紙、奥付を作成する機能(記載する内容は選択可能)など、Ver.5の新機能や 改良点も多数。各種プリンタへの対応を強化し、日本国内で使われている ほとんどの点字プリンタに対応しました。もちろん、JAWSやPC-Talkerでの 音声読み上げも可能です。  点訳対象言語は日本語と英語です。日本語においては、漢字かな混じり文を 解析し、99.9%の正確さで点字データに変換します。英数字をコンピュータ 点字と解釈して変換することができ、コンピュータ・プログラムなどを含む 技術的な内容の文章の点訳にも活用できます。  英語においては、初心者向けの1級英語点字(グレード1)と、アメリカや イギリスの英語点字出版物で標準的に用いられている2級英語点字 (グレード2)の両方をサポートし、どちらもほぼ100%の精度で 点訳することができます。  点字印刷では両面同時印刷、裏返し式両面印刷、墨字・点字併記の印刷など 各種点字プリンタの機能をフルに活かした印刷機能を搭載しています。 対応OS:Windows Vista, XP, 2000(SP3以上)日本語版 定価:79,800円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/extra/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(帯広)開催 この講習会は、視覚障害者のパソコン指導者を養成するために開催します。 *日時:2009年7月25日(土)10:00〜17:00・26日(日) 10:00〜16:00 *会場:社会福祉法人 ほくてん・北海点字図書館 2階 *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定やキーボードの指導法など     の学習及びキーと音声によるWindows操作と文字入力など音声に     よるパソコン操作の方法を習得。 *参加費:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/tepia/info_090725-26obihiro.html ◎点字ラベラー 「BL-1000」発売 KGS株式会社は、手軽に誰でも点字ラベルが作成できる「BL-1000」を発売 しました。 *主な機能: ●必要な時に1枚からでも作成できます。 ●入力、編集はパソコンを使用するため、各種画面読み上げソフトが活用  できます。 ●点訳機能を内蔵した専用ソフトウェアが付属しています。 ●コンパクトで丸みのあるデザイン、わずかなスペースでも使えます。 ●枚数指定をして印刷をすることができるので、大量にすばやくラベルを作成  することができます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kgs-jpn.co.jp/b_bl1000.html ◎Windows 7 製品候補版を公開 マイクロソフトはこのほど、Vistaの後継OSであるWindows 7(セブン)の製品 候補版を公開しました。 Vistaで指摘されていた問題点に対応しているとのことですが、基本的な デザインはVistaを継承しているようです。また、Office2007で採用された 「リボン」がワードパッドにも取り入れられています。 下記からダウンロードできますが、マイクロソフトではインストールを含めて サポートなどは行っていませんのでご注意ください。また、候補版の利用に あたってはサイトの記載内容をよくお読みください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.microsoft.com/japan/windows/windows-7/download.aspx ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− WindowsVistaの後継OSである「Seven」の製品候補版が公開されました。 こうして次々に代わる技術について行くのはユーザはもちろん、サポートを する側にとっても大きな負担だと感じます。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は6月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━