━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年1月号 No.39                       2010年1月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Windows7の拡大鏡 (1) ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(9) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール その1 [2] サポートお役立ちサイト  東京都障害者IT地域支援センター [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  社会福祉法人 日本盲人職能開発センター [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  新OSにも強い味方、「PC-Talker7」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  国立障害者リハビリテーションセンター 創立30周年記念セニナー ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Windows7の拡大鏡 (1) 今までの「拡大鏡」も使い方によってはかなり便利な面もあります。 すべてを求めるのではなく、限られた機能の範囲で、その良さを使えばよい わけです。つまり、限られた機能に私たちの活用範囲を合わせる、とも言え ます。 ところが、Windows7の拡大鏡は、結構弱視の求める機能を充実させました。 3つの表示方法 全画面表示と、ルーペ(レンズ)で見ているような表示、そして、表示範囲を 固定させて拡大する表示、と3つの表示方法があります。 また、この変更はショートカットでできます。 当然のことですが、拡大することは、書かれている内容などを確認するため です。常に全体の把握が不可欠です。そのような意味で、拡大から普通の画面 への変更、また拡大の表示方法の変更がショートカットキーにより一瞬ででき るのは大変意味あることです。 また、全体を把握しながら、部分を拡大するということには、レンズの表示が 適しています。もちろん、レンズの倍率変更もショートカットキーでできます。 基本的なショートカットキーをあげておきます。 ・拡大鏡を起動する [Windows]キー + [プラス記号](+) ・さらに拡大するときは上記とおなじ操作。 ・縮小する [Windows]キー + [マイナス記号](-) ・拡大鏡で[全画面表示]に切り替える [Ctrl] + [Alt] + [F] ・拡大鏡で[レンズ]に切り替える [Ctrl] + [Alt] + [L] ・拡大鏡でレンズのサイズを変更する [Ctrl] + [Alt] +[R] ・拡大鏡を終了する [Windows]キー + [Esc] レンズの大きさを調整する方法などは、次回に詳しく説明します。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(9) 今回は、リボンの構造とその中身のアクセス方法について説明します。 word2002の場合、[Alt]キーを押すと文書作成からメニュー操作モードになり ます。 文書作成中に[Alt]キーを押すと、メニューバーの左端であるファイルメニュー に移動します。ここで[上下方向]キーを押せばメニューが開きます。[左右方向] キーを押せば他のメニューに移動します。 Word2007の場合も[Alt]キーを押すと、文書作成モードから従来のメニューに 対応するリボン操作モードになります。 リボンにはいくつかのタブが付いています。この場合、一番左にある「ホーム」 のタブが選ばれている状態になっています。リボンはワードのウインドウの 一番上の行である「タイトル」と本文の間にあります。Word2007の通常の状態 でのリボンの構成について説明します。 一番上の行には、リボンの表示を切り替えるタブがあります。Word2007では左 から、リボンの「ホーム」「挿入」「ページレイアウト」「参考資料」 「差し込み文書」「校閲」「表示」「アドイン」があります。「アドイン」で [右方向]キーを押すと「ヘルプ」に移動します。 もう一度[右方向]キーを押すと従来のファイルメニューに近い「Officeボタン」 に移動します。もう一度[右方向]キーを押すと、リボンの一番左端のタブで ある「ホーム」に移動します。 タブがフォーカスを持っている場合、ここで[左右方向]キーを押すと隣の リボンに移動できます。 もちろん[左方向]キーを押せば、反対周りに移動します。 Word2002と2007ではグループの分類は異なりますが、[Alt]キーを押してから 左右の方向キーで選ぶ方法は似ています。しかし、左右の方向キーで選択した 後の操作は大きく異なります。 Word2002では、[上下方向]キーで上下に並んでいる項目を移動します。項目は 「サブメニューの親」「コマンドを実行する機能」「新たなウインドウを開く 機能」「チェックをOn/Offする機能」「複数の項目から選択する機能」などが あります。 Word2007の場合の「ホーム」を調べてみます。 [Alt]キーを押すとリボンのタブ「ホーム」がフォーカスを持ちます。その 時にリボンに表示されている内容はいくつかのグループに分かれています。 「クリップボード」「フォント」「段落」「スタイル」「編集」です。 リボンは2から3行程度で横長です。一番下の行にはグループ名とボタンが あります。[下方向]キーを押すと、これらグループごとに移動し、[右方向] キーでそのグループに所属している項目があるサブメニューがあるのでは ないかと思うかもしれませんが、違います。 実際に操作してみます。 文書作成モードで事前に文字列を選び[Ctrl+C]でコピーしてから[Alt]キーを 押すともちろんリボンのタブ「ホーム」がフォーカスを持ちます。 ここで、[下方向]キーを何回か押してみます。 まず「貼り付け」に移動します。もう一度[下方向]キーを押すと「クリップ ボード」を開くボタンに移動します。ここで[上方向]キーを押すと、不思議な ことに「貼り付け」に移動しないで「書式のコピー/貼り付け」に移動します。 さらに押すと「コピー」「切り取り」「ホーム」と移動します。ここで、 さらに[上方向]キーを押してみましょう。Word2002では、メニューの一番上と 一番下がつながっています。 ところが、Word2007では、ホームの上にあるタイトル部のアイコンに移動して しまいます。 これを正しく理解するには、グループクリップボードの中のアイコンの2次元的 な配置を理解する必要があります。しかし、これは難しいですね。 それでは、次回から各グループの説明をします。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール その1 昨年、SPANはある企業から寄付金をいただきました。 その有効活用として視覚障害者であっても便利な道具や工夫をすれば何が できるのかを晴眼者の人達にも理解してもらえる様に視覚障害者にとって有効 な道具の購入を行いました。 これらの道具を有効に活用することにより、見えない、見えにくくても日常 生活から仕事まで、大きなハンディキャップを感じることなく活動できること を理解して頂くため、これから何回かに渡って紹介していきます。 紹介の目的は使い方ではありません。 道具を有効に活用できれば、視覚障害者であっても、その不自由さを軽減 できることを理解して頂く事を目的としています。 まず、その最初にあげるべき道具はパソコンでしょう。 (パソコンは今回の寄付金では購入していません。) 視覚障害者にとってのパソコンの有効性については、このメールマガジンを 読まれている方にとっては今更の話てすよね。 有効に活用するためにはその操作方法を理解しなければなりません。 操作方法がマウスを前提とした一般的な方法ではなく、誰にでも教えられる 内容ではないがため、また誤った指導方法ではその方の可能性を減じることに もなりかねないために設立されたのがSPANです。 そして、世間一般の常識としては見えない者がパソコンを使用していることは まだまだ理解できない事なのではないでしょうか。 見えなくなることの障害の一つとして、文字処理ができなくなることです。 新聞や書籍、印刷された書類などの文字が読めなくなること、また決められた 所に文字が書けないことがあります。 でも、パソコンを有効に活用できるようになれば、そして、インターネット 環境が充実してきている現在において、文字処理や、見えないが為の情報障害 を克服していくことは可能なのではないでしょうか。 このことを多くの人達に理解して頂く事も、SPANの活動の大きな目的の一つ だと筆者は理解しています。 つづく                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎東京都障害者IT地域支援センター 東京都が開いている各種障害者に対するIT相談やIT機器の展示、体験学習や 見学などのためのセンターです。 視覚障害者向けの物知りトークなどのハードや、各種のスクリーンリーダー、 メールソフト、ズームテキストなどのソフトが常設展示されていて、体験 したり、説明を受けたりもできます。 但し、できれば事前に訪問を連絡しておくと、専門のボランティアによる、 より詳しい説明もしてもらえるとのことです。 初めての視覚障害者がパソコンを習う前に訪問して体験してもらったり、 また、これからパソコンサポートをしようとする人が事前に状況を理解する 上でもかなり便利な施設かと思います。 このセンターは東京都のものですが、他の道府県にも同様な機関があり、 それらのページへのリンクも用意されています。 他の道府県での展示や活動の内容は異なりますので、それぞれのページでの 確認が必要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.tokyo-itcenter.com/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎社会福祉法人 日本盲人職能開発センター 日本盲人職能開発センターは、視覚障害者が一般の人と共に働くことを 目指して、松井新二郎氏によって創設されました。新職業開発を目標に、 日本盲人カナタイプ協会を組織してカナタイプの普及と指導者養成事業を 開始、昭和43年度から国立東京視力障害センター(現国立障害者リハビリテー ションセンターの前身)に新職業訓練課程「カナタイプ科」を新設し、日本 盲人カナタイプ協会がその指導に当たりました。また、カナタイプ科修了生や カナタイプ講習会の修了者の働く場として、昭和48年9月に「録音カナタイプ 作業所」を設置して、同協会が運営に当たりました。昭和51年9月には社会 福祉法人認可、社会事業授産施設として発足。 次いで、東京・新宿区本塩町の現在地に建てられたビル(地下1階、地上2階) に移転して、身体障害者通所授産施設「東京ワークショップ」が誕生。録音 カナタイプ速記から録音ワープロ速記へと移行して現在に至っています。 事業内容 *身体障害者通所授産施設(東京ワークショップの設置運営)・パソコン教室    「テープ起こし」という会議等の文字化作業を中心とした訓練と仕事の    場の提供です。 *視覚障害者の総合相談    視覚障害者の社会的・職業的更生に関する相談です。 *そのほか    事務処理科(職業能力開発訓練)、視覚障害・就労支援者講習会の開催、    日本商工会議所PC検定試験、全国ロービジョンセミナーの開催などを    行っています。 日本盲人職能開発センターは、「働きたい」、「働きつづけたい」、また 「生きがいのある生活を送りたい」と願う視覚障害者を支援するために、 社会福祉事業を行っています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.os.rim.or.jp/~moushoku/index.htm ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎新OSにも強い味方、「PC-Talker7」  今回は、昨年10月22日のWindows7リリースと同時に発売された高知システム 開発が誇るスクリーンリーダー、「PC-Talker7」をご紹介します。  スクリーンリーダーは、Windowsの操作を音声でガイドするソフトウェア です。選択された項目や文字入力などを読み上げることで、視覚障害者が 単独でパソコンを使うことを可能にします。 PC-Talker7は、そのような従来の機能を継承しながらMicrosoftが推奨する Windows7の規格に沿って開発されました。新しいOSでも今までと変わらず 操作できます。  PC-Talker7では、PC-TalkerXP3やVistaに搭載されていた肉声に迫る 高音質の音声エンジンを採用。Windows7でもご利用いただけます。  PC-Talker7の発売と合わせて、従来の高知システム開発製ソフトがWindows7に 完全対応。対象製品はMyWord5Pro、MyWord5Lite、MyRead5、アドボイス5、 NetReader、MyMail3、MyBook、MyNews、MyRoute、MyDic、MyDoctorなど。 現在、WindowsXP、Vista対応の製品CDをお持ちの方は、インストール後、 MySupportの自動更新機能で無償バージョンアップが可能です。 ●対応OS Windows7(32bit版) ※64bit版は今後対応予定。 ●対応パソコン Windows7が快適に動作するマルチコアパソコンを推奨。 ●製品価格 新規:39900円(税込) PC-TalkerVistaユーザー価格:18900円(税込) PC-TalkerXP3(Ver.3)ユーザー価格:18900円(税込) その他PC-Talkerユーザー価格:26250円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/news/pctk7news.htm ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎国立障害者リハビリテーションセンター 創立30周年記念セニナー  「共生社会と国際協力を考える」 国立障害者リハビリテーションセンター創立30周年を記念して、これまで 行ってきた国際協力活動を振り返り、これからの更なる発展を考えるセミナー を開催します。 *日時:2010年2月13日(土) 10:30〜16:30 *会場:国立障害者リハビリテーションセンター 学院講堂 *内容:基調講演、発表、パネルディスカッションなど *使用言語:日本語及び英語(同時通訳付) *参加費:無料 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.rehab.go.jp/whoclbc/japanese/jiritsu/h21_jiritsu.html ◎国際シンポジウム「デイジーの活用による情報アクセスの保障と促進」開催 日本障害者リハビリテーション協会は、デイジー(DAISY: Digital Accessible Information System)に関して、海外の専門家を招いて、世界の最新動向を 学ぶためのセニナーを開催します。 *日時:2010年2月19日(金) 13:00〜17:00 *会場:日本財団ビル 大会議室 *内容:基調講演、世界の動向、パネルディスカッションなど *参加費:無料 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/info/seminar100219.html ◎Windows7対応の主要スクリーンリーダーが出そろう 昨年10月にリリースされたWindows7対応のスクリーンリーダーとしては、 今月号で取り上げたPC-Talker7のほか、FocusTalkが発売されていますが、JAWS も昨年12月に販売を開始し、これで主要なスクリーンリーダーが出そろった ことになります。 FocusTalk V3 http://www.skyfish.co.jp/focustalk/index.html PC-Talker 7 http://www.aok-net.com/news/pctk7news.htm JAWS for Windows Professional Ver.10.0 日本語版 http://www.extra.co.jp/jaws/index.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  2010年は、Windows7の登場で、視覚障害者のパソコン環境がまた変化しそう です。ただ、新しい技術はユーザーはもちろん、サポートをする人にとっても なかなかなじみにくいような気がします。 こうした負担を、みなさんのお力をいただきながら、少しでも軽減できればと 願っています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は、2月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━