━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年5月号 No.43                       2010年5月28日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Windows7の拡大鏡その4 ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(12) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール 拡大読書機 [2] サポートお役立ちサイト  radiko.jp   WEBブラウザで現在のラジオが「同時に」聴ける!。 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  岩手県立視聴覚障害者情報センター   〜「知りたい」「学びたい」「楽しみたい」〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  ラジオがもっと身近に、「ポータブルラジオレコーダー ICR-XRS120MF」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「しゃべるテレビ」の実演と講話の会開催のお知らせ ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Windows7の拡大鏡その4 Windows7の拡大鏡は、 (1)全画面表示 (2)ルーペで見ているような表示 (3)画面の一部の表示場所に表示する、今までの拡大表示、 と3つの表示方法を持っています。 また、色を反転するという機能もあり、ショートカットキーはCtrl+Alt+I です。反転させたときに、画面がどのようになるのか、色々試してみながら、 使う人に見やすいものを選び出してください。 さて、最初に言わねばならないことを言い忘れていました。いまさら何だと 言われそうですが、ハイコントラストの設定をして拡大鏡を使うと、上記の (3)の拡大表示しか使えません。つまり、今までの拡大鏡になるわけです。 これは、ハイコントラストを使う私にとっても大変残念なことです。 とにかく、パソコン自体の明るさを最大にして、反転モードでの画面の色を 調節して、ハイコントラストは使わないようにしないと、この拡大鏡の良い ところを活用できません。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(12) 前回のフォントについての説明の追加です。 ○囲み文字のダイアログの表示で[Tab]キーを押すとフォントのダイアログを 表示するボタンに移動します。ここで[Enter]キーを押すと、フォントの ダイアログが開きます。 ○今回は、段落のグループを説明します。今回からどんな機能があるかを説明 することにします。 [Alt][H]を押すとリボンのホームのタブが選ばれます。 [Tab]キーを何回か押してフォーカスを移動します。フォントのグループの次は 段落のグループです。段落のダイアログを開くには、[Alt][H]でホームの リボンを開いたあと[P][G]と押すと段落のダイアログが開きます。詳細な設定 ができます。リボンにある段落関連は以下の通りです。 ○箇条書きの選択[Alt][H][U] 選択されている宜範囲について、箇条書きの設定または解除をすることが出来 ます。箇条書き行の先頭記号である「選定文字」も同時に選択することが 出来ます。 コンテキストメニューからも同様の作業が可能です。 ○[Alt][H][N] 段落番号の形式の選択または、段落番号の取り外しをすること ができます。 ○[Alt][H][M] 番号付のルール 1の下が(1)なのか それとも1−1なのなど、自動的に番号をつける ルールを選びます。 ○[Alt][H][A][O]または[Alt+Shift+左矢印] インデントを減らす。  段落番号のレベルを下げます。 ○[Alt][H][A][I]または[Alt+Shift+右矢印] インデントを増やす。  段落番号のレベルを上げます。 ○[Alt][H][A] [A]拡張書式。  表示されたリストよりいくつかの拡張書式を選ぶことができます。選択範囲 について「縦中横」「組み文字」「割注」「文字の均等割り付け」を指定 できます。「文字の拡大縮小」では、選択された文字列の大きさを変えること が出来ます。 「縦中横」「組み文字」「割注」「文字の均等割り付け」「文字の拡大縮小」 ○[Alt][H][S][O]並べ替え。 複数行が選択されている場合に有効です。並べ替えのためのダイアログが表示 されます。キーは3個まで設定できます。昇順降順のほかに、jisコード、 数値、日付、五十音など、並べ替えの方法を選ぶことが出来ます。タイトル行 の有無なども指定できます。 オプションのボタンを選ぶと、「区切り文字」や「並べ替えオプション」 「英語や日本語などの切り替え」ができるダイアログボックスが表示されます。 ○[Alt][H][8]または[Ctrl+Shift+)]編集記号の表示と非表示を切り替えます。 ○[Alt][H][A][L]または[Ctrl+L] 選択された領域を左詰めにします。 ○[Alt][H][A][C]または[Ctrl+E] 選択された領域を中央揃えにします。 ○[Alt][H][A][R]または[Ctrl+R] 選択された領域を右揃えにします。 ○[Alt][H][A][J]または[Ctrl+J] 選択された領域を両端揃えにします。 ○[Alt][H][A][D]または[Ctrl+Shift+J]均等割り付けにします。 ○[Alt][H][K] 行間の調整。 リストが登場し、選択範囲内で行間隔を指定できます。 ○[Alt][H][H] 塗りつぶし。色を選択するリストが表示されます。選択した 範囲の背景の色を指定できます。 ○[Alt][H][B] 罫線。 選択範囲に引く罫線の引き方のリストが表示されます。上下、左右、外側、 内側や斜めなどに加え、グリッド線の表示と「線種とページ罫線と網掛けの 設定」を実施できます。                          文責 村山慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール 拡大読書機 今回は拡大読書機について説明します。 拡大読書器(CCTV/Closed circuit TV)は液晶など画面に文字等を大きく映し出す器械です。 拡大鏡(ルーペ)などと比較して、2〜50倍程度(*1)に拡大表示することが出来、 表示色の変更などもできる補助具です。 視覚障害者の日常生活用具(*2)にも認定されており、補助金が給付されます。 ・拡大読書機のしくみ 一言で云えば、ビデオカメラで撮っている映像を、液晶などモニター画面に リアルタイムで表示できるものです。 撮る時にズームアップができるので、拡大表示ができ、表示する前に画像の 色の変更を行い、利用者にとって見えやすい表示色に変更もできます。 例えば、新聞記事を拡大読書機で読もうとする場合、1文字を画面一杯の大きさ に表示する事が可能な機種もあります。 ただ、以前にもロービジョン者の見え方について説明しましたが、大きく表示 できれば読めるとは限りません。 また、ただ単に拡大しただけでは、画面の多くの面積を占める白色を眩しく 感じてしまい読めない人もいます。 その場合は白黒反転機能と云って、画面背景を黒にして、文字を白色に表示 するように変更することで読めるようになる人も多いのです。 機種によっては、背景色と文字色との組み合わせを何種類かに変更することが 可能な機種もあります。 その他、画面の輝度や、コントラストの変更をして個別に見えやすいように 調整できる機種もあります。 据え置きタイプの場合は、表示対象物をスムースに移動させることができる ように、XYテーブルと云って、新聞などを置く大が、左右上下に移動できる ようにもなっています。 拡大読書機と云う名称ですが、据え置きタイプの場合など、文字を書くことも できます。 決められた枠内などに、住所や氏名などを書くのは、ロービジョン者にとって は困難な場合も多いのですが、拡大読書機を活用することで書くこともできる のです。 *1 拡大率は機種により異なりますし、表示するモニターサイズでも変化 します。 *2 日常生活用具給付制度 日常生活用具給付制度とは、障害者が日常生活を自立した状態で円滑に過ごす ために必要な機器の購入を、公費で助成する制度です。 障害者が利用する各種の用具や機器は、概して特殊なゆえに高額になるため、 それらの用具や機器が使えるか否かで日常生活の質が大きく左右される障害者 に対して、各市区町村の決定で支給するものです。 つづく                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎radiko.jp  WEBブラウザで現在のラジオが「同時に」聴ける!。 ネットの中には、例えばNHKの12時などの定時のニュースをいわゆるネット ラジオとしていつでも聞くことができるように供給しているサイトがあります。 これに対して、ここに紹介したサイトでは、パソコンで、現在放送されている ラジオを「同時に」聴くことができます。 これではラジオを聴いているのと同じでは、と思われるかも知れません。 まさにその通りです。でもやはり敢えてパソコンでラジオお聴きたい場合も ありますし、最近のビルの高層化の状況下では電波状態が良くなく、 ネットからのラジオのほうが雑音も無くうまく聴くことができるなどの場合も あります。 ここで紹介するサイトは、IPサイマルラジオ協議会という民間放送局などが 加盟する任意団体が、今年8月の本格運用を前に近畿圏の一部と首都圏に限って その地区の放送をネットで「同時に」聴く事ができるようにした試験的な サイトです。 具体的にラジオを聴くには、下記メインページにある、例えば 日本放送 listen now! の、listen now!のリンクを選ぶことによって自動的に日本放送が再生され、 聴く事ができます。 ただし、このようなページの特徴としてページの更新がしょっちゅう起こり、 例えば上の、 日本放送 listen now! などのリンクがメインページに表示されないこともよく起こります。しかし、 このような場合には、更新されたページを再読み込みすることによって これらのリンクが表示されるようにもなります。 視覚障害者の人は、その仕事によってはラジオを聴きながら、の人も多いか、と 思います。 そのようなラジオの愛好者にはこんなサイトも紹介してあげて下さい。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.radiko.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎岩手県立視聴覚障害者情報センター  〜「知りたい」「学びたい」「楽しみたい」〜 視覚並びに聴覚障害者一人ひとりの「知りたい」「学びたい」「楽しみたい」 というニーズに対応し、情報資料の提供・ボランティア等の養成・派遣・ あっせん等行っています。 業務概要 ●資料の検索:点字・録音図書、ビデオ等の検索ができます。 ●通訳者・ボランティアの養成:点訳・音訳・手話・要約筆記等さまざまな  ボランティアを養成しています。 ●通訳者等の派遣・あっせん:手話通訳者・要約筆記奉仕員・盲ろう者通訳・  ガイドヘルパーの派遣・ パソコンサポーターの派遣を行います。 ●各種情報提供:パソコン講習の他、ビデオライブラリー・書籍(聴覚障害  関係)字幕(手話)入りビデオや書籍の貸出・閲覧の利用と、CS放送が体験  できます。 ●関係団体の紹介:視聴覚障害者に関わるさまざまな団体を紹介しています。 ●その他:聴覚障害者への情報提供、身体障害者ITサポートなど。 背景色や文字サイズの変更、また音声読み上げサイトなど、障がいのある方に 優しいホームページになっています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aiina.jp/facility/sityoukaku/sityoukaku.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎ラジオがもっと身近に、「ポータブルラジオレコーダー ICR-XRS120MF」  今回は、三洋電機から4月21日に発売されたラジオ付きICレコーダー 「ICR-XRS120MF(愛称:ザクティ サウンドレコーダー)」をご紹介します。  ラジオの受信・録音・再生が可能です。MP3形式なので録音した番組を パソコンに転送して保存することもできます。 予約録音は最大20件まで。曜日指定では「毎週月・水・金」「毎週月〜金」 などの細かな設定も可能。日付指定で、翌月放送の特番も予約可能。同じ日の 連続する番組も間隔を空けずに設定が可能。 この予約録音操作には直接音声ガイドはありませんが、ビープ音を頼りに 自力で行うことが可能です。その他の操作にもほぼ音声ガイドがあります。 詳しくは下記サイトが参考になります。 http://www.watakatsu.com/kaden/icrxrs120mf.html  そのほか、おめざめタイマー、スリープタイマー、時刻自動補正機能、 21段階の再生スピード調節機能、A-Bリピート再生・センテンス再生・タイム スキップ再生など豊富な再生機能、ファイル分割機能、FM放送から楽曲のみを 抽出する楽曲セレクト機能(付属のクレードル接続時)など便利な機能が満載。  拡張性に優れたmicroSDカードスロットを搭載しているので、メモリ 容量がいっぱいになっても、別のmicroSDカードに差し換えればOK! MP3、WMAファイル再生に対応しているので、カード型ミュージックプレーヤー としてもお楽しみいただけます。 ●本体仕様 記録媒体:内蔵メモリなし。microSD/microSDHCカード(2GB付属) サイズ(ICレコーダー本体):幅約42.6×高さ約112.3×奥行約11mm 質量(ICレコーダー本体):約66g(バッテリー含む) ●動作環境 対応OS:Windows XP、Windows Vista、Windows 7 付属品:ステレオイヤホン×1、microUSB接続ケーブル×1、 ステレオオーディオケーブル×1、microSDカード(2GB)×1、 専用リチウムイオンバッテリー×1、専用クレードル×1、 クレードル用ACアダプター×1、AMループアンテナ×1、取扱説明書×1 メーカー希望小売価格:オープン ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://jp.sanyo.com/icr/lineup/xrs120mf/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「しゃべるテレビ」の実演と講話の会開催のお知らせ 静岡にて「しゃべるテレビ」の実演と講話の会が開催されます。 *日時:2010年6月6日(日) 11:00〜16:00 *会場:葵生涯学習センター「アイセル21」4階大ホール *参加費:無料 *内容:「しゃべるテレビ」三菱電機製のテレビ「REAL(リアル)シリーズの 実演と講話、今後の改良点などをメーカー担当者から説明があります。 この「しゃべるテレビ」は番組名や放送時間の確認、予約録画などを音声 ガイドする機能が搭載されています。 *主催:視覚障害者情報機器アクセス支援グループ(CATS) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.e-switch.jp/cats/> ◎視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」サービス開始のお知らせ 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」が、4月1日にオープンしました。 *主な内容:この「サピエ」は、これまで点字図書や録音図書のサービスを 提供していた「ないーぶネット」と「びぶりおネット」を統合して新たに スタートしたシステムです。 点字図書や録音図書の検索、点字図書データのダウンロード、デイジー形式 録音図書データのダウンロード、点字図書・録音図書の貸し出し依頼などが できるほか、地域・生活情報なども提供しています。 *料金:無料(個人下院に限り) なお、登録はホームページで受け付けています。 *お問い合わせ:サピエ事務局(電話・Fax:06-6441-1078)まで。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.sapie.or.jp ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 6月17日にOffice2010の個人向け版が発売されます。各スクリーンリーダーも 順次対応していくと思いますが、視覚障害者とそのサポートを行う方々に とってはまた学ばなければならないハードルができたともいえます。 本当に、いつになったらユーザーが安心して長く使い続けられるソフトウエア ができるのでしょうか? その意味で、情報を提供する私たちの責任は大きいと改めて実感しています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は6月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━