━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2011年1月号 No.51                       2011年1月28日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  見づらさを知る ● プロフェッショナルコース  パソコンワンポイントの知恵(6) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール デジタルカメラ [2] サポートお役立ちサイト  えきペディア バリアフリー案内 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協) [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  もっと自由に、もっとスマートに、「ブレイルセンスオンハンド日本語版」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  日商PC検定3級(文書作成)試験の公開実施のお知らせ ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎見づらさを知る 弱視者の見え方の複雑さについては何度も書きました。 私は、最近とみに「ハイコントラスト」の設定が不可欠になってきました。 以前は「小さいものが見えなくて困る」ということがありました。もちろん、 結構小さくて困ることは多いのですが、その対応もいろいろな補助器機を駆使 すれば結構できました。その意味では、私は小さなものを拡大して見ること には結構自信がありました。 ルーペ、単眼鏡、拡大読書器と、マニアになるほど持っているわけです。 パソコンにおいては、Windowsの拡大鏡や、拡大ソフトで拡大しています。 しかし、コントラストの問題については、自分がまったく素人であることに 気づきました。 こんなことがありました。 「夜の道は歩きにくい。」 このことはすごくわかりやすいかと思います。 それでは、夏と冬を比べると、夜の道は、どちらの季節が見にくいか? 私は、冬は早く暗くなるので夜の道も冬のほうが見にくいですね。これはその 通りですが、もう一つ回答があるかと思います。冬にあまり白いものは着て いませんよね。それに比べて、夏は白い洋服が多くなります。 暗い夜に暗い服、これはよく人とぶつかる要因となります。そんなことで、 私は冬の夜が歩きにくいと感じます。 それから、冬の昼間の良い天気の日、明るい日の当たる所と、日陰になった ところの違いはすごくあります。その日陰部分のところに暗い色のものが あると、これもすごく見にくいんですね。日陰に置かれたものや、人によく ぶつかるわけです。見えていないわけですね。 パソコンの画面が、歩く道と考えてください。 見にくさについて、少しイメージが湧きましたか? ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎パソコンワンポイントの知恵(6) 今回は、システムの復元について説明します。 この機能を使うことで、ある時点までパソコンの状態を戻すことができます。 つまり、インストールしたプログラムやシステムの設定をする前の状態に戻す 機能です。しかも、保存したドキュメントや電子メール、履歴、などの作業 ファイルは現在のままなので、基本的にデータが失われることはありません。 復元するには、復元ポイントが作成されていることが必要です。復元ポイント は利用者が作成することができます。また、きちんとしたプログラムなら、 インストールする前に、自動的に復元ポイントを作成します。 それではまず、スタートメニューを開き「アクセサリ」「システムツール」 「システムの復元」を呼び出してみましょう。 この画面は、ホームページの様な外観を持っています。詳細な説明が記載して ありますのでじっくりと読んでください。 タイトル部には、×ボタンがあります。 横長の画面の上部には、 「システムの復元の開始」と記載してあり、その右側には、中央に疑問符が表示 されている丸いボタンとリンクの「ヘルプ」があります。 この2つの部品は同じ動作をします。 ヘルプとサポートセンターの情報が別のウィンドウで表示されます。 一度落ち着いて読んでみることが良いでしょう。 初めの「丸いボタン」はマウスでクリックする操作をするためのボタンで、 リンクの「ヘルプ」はキーボードで操作するユーザーを想定していると予測 できます。また[F1]を押せば、同様の画面が表示されます。 ちなみに、最小化ボタンや、元に戻すボタン、最大化ボタンはありません。 この画面にあるその他の部品は 1. リンク「システムの復元の設定」 2. 2個のラジオボタン「コンピュータを以前の状態に復元する」と「新たな  復元ポイントを作成する」 3. 次へのボタン 4. キャンセルのボタン です。 まず、復元ポイントを作成してみましょう 「システムの復元」の画面が開いた時には、2個のラジオボタンがフォーカス を持っているはずです。念のため[Tab]キーを何回か押して、ラジオボタンに 移動してください。[上または下方向]キーで「新たな復元ポイントを作成する」 を有効にします。 つぎに[Tab]キーを何回か押して、「次へ」のボタンまで移動します。 [Enter]キーを押して実行します。 画面の内容は「復元ポイントの作成」に書き換わります。 この画面は、ヘルプのリンク、×ボタンや、説明文のほかに、フォーカスが ある「復元ポイントの説明」のエディット、「戻る」ボタン「作成」のボタン 「キャンセル」のボタンがあります。 今は、「復元ポイントの説明」がフォーカスを持っているので、復元の理由 として「復元の練習」と入力してみてください。実際に利用する場合は 「XXソフトのインストール前」「YYソフトのアンインストール前」「ZZの設定 変更の前」などと記載すると便利です。 復元の利用を入力したら[Tab]キーを何回か押して、「作成」のボタンまで移動 します。 [Enter]キーを押すと作成が始まります。 作成が終了すると表示画面の内容が更新されます。 画面のクライアント領域には 新しい復元ポイント 2011年1月XX日 18:04:12 復元の練習 と表示されます。 この画面には、「ホーム」と「閉じる」のボタンがあります。 「ホーム」を押すと、新たな復元ポイントを作成する画面に戻ります。 [Tab]キーを何回か押して、「閉じる」になったら[Enter]キーを押して終了 します。 次回は、復元の実施について説明します。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール デジタルカメラ 前回は単眼鏡について紹介しましたが、その中で視野の狭い人にとっては 単眼鏡は使いづらいことがあると書きました。 そこで、今回はそれに代わるツールとしてのデジタルカメラの効用です。 デジタルカメラが世に出て30年ほど経つのでしょうか。 でも、庶民が持てるような価格になったのは1995年頃からだと思います。 丁度私が細かな文字などが読みづらくなってきた頃です。 ただ、その頃はCCDの解像度も25万画素程度で、また液晶サイズも2インチは なかったのではないかと思います。 価格も6万円程度であったと記憶しています。 その後、デジタル家電の開発が進み、解像度も1000万画素を超え、液晶サイズ も3インチ程度の商品が増えてきました。 実売価格も1〜3万円程度となっています。 更に、撮影時のズームも10倍程度が普通になってきています。 そして、撮影後の再生時にも拡大して見る機能が標準で備わっています。 これは、単眼鏡代わりに使えると確信して、各社のデジタルカメラを webサイトで調査し、これはと思われる機種については、ショップに行って 手に取り確認しました。 その中から1機種を購入して実用性について調査しました。 例えば、電車の駅の時刻表についてです。 ロービジョンの私にとって、時刻表らしき物が天井からつり下げられている ことは分かりますが、文字は読めません。 そこで、おもむろにデジタルカメラを取り出して、撮影します。 ズームを利かしながら、ほぼ液晶モニターに時刻表全体が映るようにして シャッターを切ります。 失敗すれば、やり直せばいいだけですから気軽に撮影できます。 そして、撮影した画面を液晶モニターに表示させ、画面の拡大をしていくと、 数字が読めるではないですか。 スクロールも左右上下に容易にできますので、必要なところにスクロール させれば、これでバッチリです。 電車の行き先案内についても、読みづらいのですが、この場合は、シャッター を切らなくてもその場でズームアップだけでも確認できる場合が多いですね。 単眼鏡と比較すると、価格は少し高く、少し大きいですが、単眼鏡でイライラ しながら目的物を探し出し、ピントを合わせなければならない事に対して、 イライラすることもなく、記録にも残せることを考えると、価格差以上の効果 があるのではと思われます。 今回調査に使用した機種はリコーのCX2です。 現在においてはCXシリーズの最新機種ではありません。 http://www.ricoh.co.jp/dc/cx/cx2/ この機種を選んだ理由は、撮影後の拡大が16倍までできる事と、液晶の解像度 が92万ドットで、他の機種にはない仕様だったからです。 調査時季、調査範囲においては撮影後の拡大倍率を表示していない機種が 多く、表示していても10倍程度であったことと、また液晶の解像度は20〜 30万ドットでした。 また、気軽に持ち歩けることから一眼レフは対象外としました。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎えきペディア バリアフリー案内 全国の地下鉄の路線図とバリアフリー情報を中心とした駅案内図、さらには 駅周辺の案内サイトです。 エレベータ、エスカレータ、トイレの場所など地下鉄駅を利用する時の情報が 一目で分かる案内図「らくらくマップ」をメインに、トイレや出入口の写真、 さらには駅周辺地図が掲載されています。 障がいを抱えている方や高齢者、小さなお子さま連れの方など、出かける前に このサイトを見れば安心して出かけられます。さらに、書き込み情報や投稿 写真のページがあり、みんなで作る駅の情報板としてもご利用いただけます。 ■えきペディアの便利な使い方。 出かける前にチェック、バリアフリーならくらく移動を確認、プリントして 持参すれば、エレベータやエスカレータなど迷わずに利用できます。さらに 乗り換えの複雑な経路も一目瞭然。外出の不安がなくなります。 さらに周辺地図もプリントしておけば、目的地へも迷うことがないでしょう。 視覚障害者が自分で使用しようとした場合、このサイトの情報は、地図、写真 などが中心で、直接は使いにくいもののようです。 でも、事前に地図や案内図をプリントしておいて、ガイドをしてくれる人や 周囲の人に見てもらうような使い方もあるようです。 現在のところ、このサイトでは、全国の地下鉄についてだけを掲載していま すが、将来的には全ての鉄道の駅についてもバリアフリーマップを掲載する ことを目標にしているようです。 皆さんがサポートをしている視覚障害者が、お出かけの際にも、是非参考に してもらえたらと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.ekipedia.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協) 日本で障害者手帳をお持ちの視覚障害者の方々に、さまざまなサービスを行て いる施設および団体の全国組織です。 ★日盲社協の目的 社会福祉関係機関・団体と緊密な連携をとりつつ、盲人福祉施設事業を育成 強化し、福祉サービスを必要とする人びとが、社会・経済・文化などの活動に 参加できるよう援助し、もって視覚障害者の福祉の増進に寄与することを目的 としています。 ★日常活動を行う六つの部会 (1) 点字出版部会 点字出版や点字印刷の諸問題に取り組み、各種の点字表示の推進に努めて います。 (2) 情報サービス部会 視覚障害者への情報提供事業を、ネットワークを組んで実施しています。 NPO法人全国視覚障害者情報提供施設協会とも、密接に協力しています。 (3) リハビリテーション部会 視覚障害者更生施設、盲導犬施設など、30団体が加盟しています。地域での 生活訓練などを重視した施設のあり方を研究し、利用者のニーズに応えること に取り組んでいます。 (4) 就労支援部会 あんま・はり・きゅう師の養成施設、その実施指導の場である盲人ホーム、 そして、視覚障害者を中心にした授産施設の、計30施設が加盟しています。 三療業の確保や就労の支援などに取り組んでいます。 (5) 生活施設部会 救護施設や特別養護盲老人施設など、視覚障害者の生活する場を提供する 17施設が加盟しています。 利用者の自立とQOLを重視した取り組みを行って います。 (6) 用具部会 白杖・点字機器、その他の視覚障害者のための日常生活用具、そして、点字 ブロックやコンピュータ機器までの、作製またはサービスをおこなっている 施設や会社です。点字サインや点字案内板の普及活動も含めて、バリアフリー化 に取り組んでいます。 直接団体の運営に役立つという組織ではありませんが、関係する方々には ぜひ知っておいていただきたい団体です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.ncawb.org/index.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎もっと自由に、もっとスマートに、「ブレイルセンスオンハンド日本語版」  今回は、有限会社EXTRAが今月発売する音声点字PDA 「ブレイルセンスオンハンド日本語版」をご紹介します。  本製品は、18セルの点字ディスプレイがついた世界最小、最軽量の音声点字 PDAです。 Webアクセス、電子メールの送受信、DAISY図書や音楽の再生などのほか、 ファイルマネージャー、ワープロ、歩行ナビゲーションシステム「GPSナビ」、 予定帳、アドレス帳、電卓、コンパスなどの豊富なアプリケーションを搭載。  有限会社エクストラが開発した10の機能拡張プログラム、クイックブラウザー、 簡易スケジューラー、サピエ検索、DAISY変換、電子辞書、ウィキペディア検索、 点字辞書、RSSリーダー、テレビ番組表、乗り換え検索を搭載。今後追加される プログラムも別途ダウンロードして利用できます。  この製品は、日常生活用具給付対象商品です。 詳しくはお住まいの自治体の福祉課窓口へお問い合わせください。 サイズ:横17.2cm、奥行9.0cm、高さ2.7cm 重さ:425g キーボード:パーキンススタイル 内蔵メモリ:4GB ネットワーク:無線LAN、Bluetooth インターフェイス:USB OTG、SDスロット(SDHC対応) オーディオ出力:内蔵スピーカー オーディオ入力:内蔵マイク、マイク端子 ナビゲーション:内蔵GPSレシーバー、内蔵電子コンパス *別売の地図データ等が必要です。 バッテリー:着脱式リチウムイオン充電電池 スペア電池、充電器付き 新規購入価格:383500円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/sense/bsonhand.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎日商PC検定3級(文書作成)試験の公開実施のお知らせ 社会福祉法人日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター職業 訓練部では、日本商工会議所が実施する日商PC検定3級(文書作成)の公開 試験を実施します。 *実施日時:2011年2月19日(土) 10:00〜16:00 *試験会場:社会福祉法人日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーション   センター4階教室 *試験内容:(1)知識試験 30問(23分)音声はPC-Talker (2)Word2003による文書編集(60分) *受験料:税込み5000円 *主催:社会福祉法人日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター   職業訓練部 *申し込み・お問い合わせ先:件名に「PC検定申し込み」または「PC検定   問い合わせ」と記入の上、E-mail: kentei@lighthouse.or.jpまで。(2月16日までに) ▼詳しい出題範囲はこちらのページをご覧ください。 http://www.kentei.ne.jp/pc/hani/3qhani.html ◎ロービジョンサポートフェア開催のご案内 *日時:1回目(伊丹):2011年2月19日(土) 11:00〜16:00 2回目(神戸):2011年3月12日(土) 11:00〜16:00 *会場:1回目:伊丹市立労働福祉会館 スワンホール(伊丹市視覚障害者協会   との共催) 2回目:神戸ライトセンター2階 多目的室 *内容:福祉機器展示、音声パソコン体験、ロービジョンに関する相談会・   医療相談など *参加費:無料  *主催:特定非営利活動法人 神戸アイライト協会 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eyelight.eek.jp/lowvision100313.html ◎Office 2010キー操作マニュアル第2期(追加分)公開のご案内 NPO法人 SPANは、マイクロソフト社のOffice2010のテキストを「視覚障害者の ためのOffice 2010キー操作マニュアル」として1月22日にWeb上で第2期を公開しました。 視覚障害者ユーザーのみなさん、そして指導者の方々に活用していただければ と思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/office2010_manual/top.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2011年が始まり、視覚障害者のパソコンやICTをめぐる世界にもいろいろな 動きが出てきました。今年も新鮮で有益な情報を皆様にご提供できるよう 原稿執筆者・編集者一同努めてまいります。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は2月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━