━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2011年4月号 No.54                       2011年4月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Excel基礎 (2) ● プロフェッショナルコース   パソコンワンポイントの知恵 (9)   スタートアップの確認 ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール 音声情報案内装置 [2] サポートお役立ちサイト  社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  社会福祉法人 日本盲人福祉委員会   〜世界の盲人団体間との国際交流の窓口〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  リモコンからエアコンの運転状態が"わかる"、「nocria Zシリーズ」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第12回 日本ロービジョン学会学術総会を開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Excel基礎 (2) 2月に引き続いて、Excelの基本操作について説明します。 前回も少し触れましたが、今回は、セル間の移動について取り上げます。 Excelでセル間を移動する場合は[上下左右方向]キーを利用します。 仮に、セルD20が選択されている(カーソルが当たっている状態)とします。 セルA1に移動するには[Ctrl]+[Home]キーを押します。 そこから[下方向]キーを1回押すと、1列目の2行目にカーソルが移動して、 セルA2が選択されます。その位置から[上方向]キーを押すと、セルA1に再び 選択が移動します。 次に、セルA1から[右方向]キーを1回押すと、2列目の1行目にカーソルが移動 して、セルB1に選択が移動します。その位置から[左方向]キーを押すと、 セルA1に再び選択が移動します。 また、セル間の移動は[上下左右方向]キー以外のキー操作も利用できます。 選択しているセルの1つ下のセルに移動する場合は[Enter]キーを押します。 上のセルに戻る場合は[Shift ]+[Enter]キー。また、選択しているセルの右の セルに移動する場合は[Tab]キーを押します。同様に、左のセルに戻る場合は [Shift]+[Tab]キーです。この操作は、セルに数値や文字列、数式などが入力 されていても変わりません。 また、離れたセルに選択を移動するには、以下の方法が便利です。 離れたセルに移動する場合でも[上下左右方向]キーを適宜押していくことで 移動することはできますが、効率はあまりよくありません。 そのようなときは、ジャンプ機能を利用すると便利です。 以下、セルA1からセルC20に選択を移動する手順を記します。 (手元にExcelをお持ちの方は、実際に操作してみましょう) 1. セルA1を選択した状態で[F5]キーを押します。 ⇒「ジャンプ」のウィンドウが開きます。 なお、[Ctrl]+[G]キーのショートカットキー、リボンの中の「ホーム」タブ →「検索と選択」→「ジャンプ」を実行しても「ジャンプ」のウィンドウが 開きます。 2. 参照先のエディットボックスにカーソルがあり、文字が入力できる状態に なっています。 3. ここで『C20』と入力します。 4. [Enter]キーを押します。 ⇒「セルC20」と読み上げて、セルC20に選択が移動します。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。   パソコンワンポイントの知恵 (9)  スタートアップの確認 Windowsのパソコンでは、役目があったら自動的に処理を開始するプログラム が動いています。パソコンの起動時、自動的に起動してメモリーの中で出番を 待っているプログラムなどがその例です。これらは「常駐プログラム」などと 呼ばれます。 メモリーが少ない場合、これらのプログラムがあるために、動作が遅くなり、 結果として、動作が不安定になることがあります。 不要な常駐プログラムを削除すると、パソコンのメモリーを増やしたことと 同じような効果が期待できます。常駐するプログラムの指定は「レジストリ」 やメニューの「スタートアップ」などがあります。レジストリを変更すると トラブルが発生することがあるので、「スタートアップ」の説明をWindowsXP でします。 注1:このほかにmsconfigプログラムを使用しても、不要な常駐プログラムの 削除ができます。 注2:スタートメニューはクラシックでない横2列のメニューで説明します。 1.[Windowsロゴ]キーを押して、スタートメニューを開きます。 2.[下方向]キーを何回か押して「すべてのプログラム」まで移動します。 3.[Enter]キーまたは[右方向]キーで開きます。 4.[下方向]キーを何回か押して「スタートアップ」まで移動します。 5.[Enter]キーまたは[右方向]キーで開きます。 6.[下方向]キーを押してどんな項目があるか確認してみてください。 どれが不要かはなかなか難しいので、事前にシステムの復元ポイントを 作成しておくとよいでしょう。 7.不要な項目と思われる場合、ここで[アプリケーション]キーまたは [Shift]+[F10]キーを押して、コンテキストメニューを開きます。 8.[下方向]キーで削除まで移動します。 すると削除を確認するメッセージボックスが表示されます。(タイトルは ショートカットの削除の確認の場合が多い) 9.[Tab]キーでボタン「ショートカットの削除」に移動して[ENTER]キーを 押せば削除できます。 注意 この機能は、コントロールパネルの「タスクバーと[スタート]メニュー」を 実行して表示される「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」 ダイアログで、タブ「[スタート]メニュー」の画面の「カスタマイズ」の ボタンを実行して表示される、「[スタート]メニューのカスタマイズ画面」 のダイアログで「詳細設定」のタブの画面にある「チェック「スタート [メニュー]にドラッグドロップできるようにする」。が有効になっている必要があります。 備考:msconfigプログラムの起動は[Windowsロゴ]+[R]キーを押してから 「msconfig」と入力後、[Tab]キーでOKボタンに移動し[Enter]キーの実行で 表示できます。 次回は、msconfigプログラムについて説明します。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール 音声情報案内装置 見えなくなって困ることの一つとして、出かけた先のトイレ内の配置が 分からないことがあります。 トイレ入り口まではガイドしてもらったとしても、異性の場合中まで入る ことには躊躇いもあります。 トイレ内配置には2つあり、男性用であれば、手洗い、小便器、それと個室 です。 女性用では手洗いと個室でしょうか。 このトイレ全体の配置が入り口から見てどうなっているのか。 また、個室であれば、便器の種類、向き、トイレットペーパー、洗浄用レバー (ボタン)などの位置がどこなのかが分からないと落ち着いて用を足すことも できません。 これらの事を配慮して開発された商品として、「音声情報案内装置」があり ます。 仕組みはICレコーダーと人感センサーとの組み合わせです。人が設定範囲内に 近づいた事を感じたら、予め録音されていた内容をスピーカーから再生する ようになっています。 例えば、トイレ内に入ると、センサーが反応して次の様なメッセージを再生 します。 「ここは男子用トイレです。右の壁に沿って進むと、個室が1つあります。 通り過ぎると、正面に小便器が2つあります。小便器の左の仕切りの横が 手洗いです。 個室に入ると、個室内の案内があります。」 また、設置する場所によっては、 「こちらでトイレ内の案内をしています。詳細を知りたい方は案内装置の ボタンを押してください。」 最初は不特定の方の利用が多い場合でしょうし、後のは学校など同じ利用者の 利用が多い場合などの案内メッセージの例になるでしょうか。 案内メッセージの内容は、いつでも、何回でも変更が可能です。 サイズは最近のテレビのリモコン程度です。 乾電池で動作するので、設置も容易です。 参考ページURL http://color-talk.com/products/pocchi/post_1.shtml                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会 今回は、視覚障害者の国際交流の情報です。 「アジア・アフリカから視覚障害を持つ留学生を日本に招聘し、日本での勉学 を支援します。 帰国後、習得技能を活かし、同じ障害を持つ仲間のリーダーとなる人材を育成 しています。」 SPANにおいても、帰国してから日本語を教えるという留学生のパソコン サポートを行ったり、「PCフォーラム」において韓国の元留学生に韓国に おけるスクリーンリーダの状況について報告をしてもらったこともあります。 パソコンを活用して、視覚障害者の色々な可能性を高めていくことは、 アジア・アフリカの諸国においても大切になっていくかと思われます。 パソコンサポートを通じての国際交流も今後の課題になってくるかもしれ ません。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www11.ocn.ne.jp/~iavi/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎社会福祉法人 日本盲人福祉委員会  〜世界の盲人団体間との国際交流の窓口〜 社会福祉法人 日本盲人福祉委員会は、盲人団体・盲人福祉施設や全国の 盲学校などへの情報や連絡調整などを行って、盲人福祉の増進を図ることを 目的として昭和31年に設立されました。 主な事業  各種盲人団体及び盲人福祉施設への連絡及び援護助成事業  海外盲人団体との相互交流及び国際協力に関する事業  盲人の福祉、文化、教育等に関する調査研究  盲人福祉等に関する国内外情報資料の収集及び提供  盲人福祉等に関する啓発広報 (ニュースレター、ASIA NOW)  その他この法人の目的達成のために必要な事業 日本盲人福祉委員会は、以下の3団体の協力、連携のもとに組織されています。 (1)社会福祉法人 日本盲人会連合 盲人の文化的、経済的向上と社会的地位の躍進を図ることを目的とした全国的 な盲人団体です。 (2)社会福祉法人 日本盲人福祉施設協議会 盲人関係各種施設、各専門分野のエキスパートの会員で構成された盲人施設 福祉事業団体です。 (3)全国盲学校長会 全国70余の盲学校の校長で組織されている団体です。 ニュースレターは、日本盲人福祉委員会が発行している情報誌です。 国内の情報はもとより、WBUの機関誌をはじめその他の外国文献から、 視覚障害者のためになる記事・情報をお伝えしています。 日本愛盲シール委員会 愛盲シールは視覚障害者の活動を支えるための募金活動のシンボルとして 作られたものです。 シールのデザインは、現在は日本画家の下口泉さんへと変わっていますが、 「愛盲シール運動」は毎年行われ、多くの皆さんのご協力で日本盲人福祉 委員会の活動を支えています。 日本盲人福祉委員会 福祉助成金  平成22年度の福祉助成金申請は受付を終了していますが、次回の助成金の 情報は要チェックだと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://homepage2.nifty.com/welblind/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎リモコンからエアコンの運転状態が"わかる"、「nocria Zシリーズ」  今回は、株式会社富士通ゼネラルから2月25日に発売された音声おしらせ 機能付きエアコン「nocria」Zシリーズをご紹介します。  新nocria Zシリーズは、室内機の横幅を79.8cmにコンパクト化しながら 省エネ性を高めた6畳〜14畳向けとリビングなど広い部屋に適した18畳〜23畳 向けの2タイプを用意。  業界初の電波式リモコンにより、従来の赤外線通信では困難だった隣の 部屋から操作したり、エアコンが受信したことがわかる操作を可能にし、 切忘れなどの誤操作を防ぎます。さらに、1日1回運転データをリモコンが 自動的に受信。そのリモコンをパソコンにつなげることで毎日のエアコンの 電気代や運転時間などを確認できる電気代管理機能は、従来気づかなかった 運転のムダを発見したり、現在までの電気代を管理するなど楽しみながら ムダな電気代を抑える新しいエアコンライフを提案します。  高感度の人感センサーと温湿度センサーにより人の活動量と部屋の温度を 検出し、最適な運転を行うことで省エネ性と快適性を向上。また、不在の 状態を人感センサーで検知し、設定温度を控えめにしたり、万が一の 切忘れに対応した自動停止機能を搭載することで、電気代のムダを抑えます。 加えて独自のパワーディフューザーとビッグフラップにより、気流を的確に コントロールし、快適でムダのない冷暖房を実現。さらに新たな気流制御 機構として、左右に気流を向けた場合の風量低下を抑えるとともに風向の制御 角度を広めたワイドルーバーを搭載し、省エネ性と快適性を一層高めています。  当社が世界で初めて開発し、今年度で9年目となる自動フィルターおそうじ 機能は、フィルターに付着したホコリをダストボックスに回収することで屋外 環境を汚さないホコリ回収方式です。また1回のクリーニング運転において、 メインブラシに付着したホコリを3回除去するため、常にクリーンなブラシで フィルターの掃除を行います。  音声おしらせ機能のガイド音声はエアコン本体から発声し、リモコンの ボタン操作に対応。現在の温度や運転状況などを音声で確認できます。 また、エアコンのタイマー設定が1日4回設定可能。例えば、起床時/外出時の ON/OFFや帰宅時/就寝時でのON/OFFがそれぞれ設定できます。1回のみか毎日 繰り返しの選択もでき、生活スタイルにあった使い方ができます。 価格はオープン。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.fujitsu-general.com/jp/news/2011/01/10-N06-29/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第12回 日本ロービジョン学会学術総会を開催 日本ロービジョン学会は「今、生きる 今、学ぶ」をテーマに学術総会と 機器展示会を北九州市で開催します。 *会期:2010年6月3日(金)〜5日(日) *会場:北九州国際会議場 *参加費:(当日登録) 会員8,000円 非会員9,000円 学生4,000円 *参加申し込み:事前登録は終了しましたが、当日参加もできます。 *内容:口頭発表、レクチャー、特別講演、セミナー、招待講演、  シンポジウム、ポスター発表、教育講演 など  市民公開講座、(九州ロービジョンフォーラムとの共同企画)(参加費無料)、  機器・書籍展示(参加費無料) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://12th-jslrr.jp ◎音声起稿師養成講座の受講者を募集 大阪府ITステーションは、テープ起こしの専門知識と実践を身につけるための 「視覚障がい者 音声起稿師養成講座」の受講者を募集しています。 *日程:6月11日・18日・25日・7月9日・23日・8月6日・20日・9月3日・17日  (全て土曜に開催します。) *時間:13:30〜16:30 *対象:大阪府在住の視覚障害者で、パソコンを活用したテープ起こしの  就労を目指したい方などのほか、いくつか条件があります。 *募集定員:10名程度 *会場:大阪府ITステーション *受講料:無料(講座期間中の通所に要する交通費は1日1,000円を限度に  実費支給) *募集期間:4月18日(月)〜5月26日(木) *内容:実際に録音した音声データを使用して文書作成演習を実施します。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.itsapoot.jp/new/works/201104_onsei.html ◎TEPIAボランティア指導者(視覚障害者へのパソコン指導)  養成講座(金沢)を開催 視覚障害者へのパソコン指導の基本を学んでいただく講座が金沢市で開催 されます。 *開催日:2011年6月25日(土)・26日(日) (2日間コース) *時間:25日=10:00〜17:00 26日=10:00〜16:00 *会場:ITビジネスプラザ武蔵 研修室2(金沢市) *定員:10名 *受講料:無料 *内容:視覚障害者の基礎知識、視覚障害者用ソフトウエアについて、  キーボードの指導法、視覚障害者が使いやすいパソコンの設定、  Skypeを利用した遠隔教育、キーと音声によるWindows操作と文字入力、  音声によるメールの送受信、音声によるWebの閲覧、アイマスクをつけての  操作と指導体験 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/tepia/info_110625-26kanazawa.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 東日本大震災から1ヶ月余り、復興に向けての歩みも始まっていますが、まだ かつての生活が取り戻せていない被災者も多く、本当に心が痛みます。 また、パソコンなどのツールを失った視覚障害者もいることと思いますので、 今後はそうした方々への支援も大切になってくるでしょう。 いずれにしても、私たちそれぞれができることを考えていきましょう。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は5月27日配信を予定しています。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━