━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2011年7月号 No.57                       2011年7月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  見やすさについて、二つの事実を再確認 ● プロフェッショナルコース  パソコンワンポイントの知恵 (11)   いつものソフトが開かない ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール 白黒両用まな板、その他 [2] サポートお役立ちサイト  社会福祉法人 日本ライトハウス  [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  THKA 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  文章読み上げ録音ツールの決定版、「JukeDoX2(ジュークドックスツー)」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「仙台ロービジョン勉強会」開催のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎見やすさについて、二つの事実を再確認 先日、細かい文字の資料を読まねばならないことがあったので、早速、専門の 眼鏡店に飛び込みました。 私は、今もっている12.5倍のライトつきルーペを出して、店の人が出して くるものと見比べました。 「これ見にくいからもっと倍率の高いものを出してください」とお願いしたん ですが、どうも、出してくれるルーペ全てが倍率が高いのに見えにくいんです。 何が違うかといったら、ライトの明るさの違いでした。 私にとっては、何しろ明るさがポイントのようでした。 今さらながら、自分の見え方を知ったわけです。 パソコンの文字の大きさも、ただ倍率を上げるのではなく、明るさや コントラストを十分に考えるべきだということです。  もう一つ考えさせられたことがありました。 パソコンサポートをされている人とお話する機会がありました。 サポートを受ける人が弱視で、Windows7だというので、Windows7の「拡大鏡」 を勧めました。WindowsXPまでの「拡大鏡」しか知らない方も多いので、 私は、「全画面表示」や「ルーペ」表示などを進めました。 でも、常に全体がわかりたいので、「大きなディスプレイ」を利用して、 それに鼻を画面にこするように近づけて見るのが一番良いのだと言うんです。 ちょっとがっかりですが、なんといっても使いやすさです。 このような弱視も多いんです。 ただ、食わず嫌い、「拡大鏡」は使いにくい、という先入観を持っている人も 多いのです。ぜひ「拡大鏡」の細かな機能を丁寧に説明して、試してもらう ことが大切だと思います。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎パソコンワンポイントの知恵 (11)  いつものソフトが開かない 今回は、いつものプログラムが開かないので、困ったときの対処です。 WindowsXPで説明します。 Windowsの標準では、テキストファイルを開くと自動的にメモ帳が開きます。 このように、拡張子ごとに対応するプログラムが決まっています。 ところが、新たなプログラムをインストールすると、この関係が変わって しまうことがあります。たとえば、他人のパソコンでは、テキストファイルに メモ帳以外のエディタが割り当てられている場合があります。 そのときは、その設定を変更しないで、下記の手順で希望するプログラムを 選択することができます。 1. マイコンピュータを開きます。 2. 実行したいファイルを選択状態にします。 3. [アプリケーション]キーでコンテキストメニューを開きます。 4. [下方向]キーを何回か押して、「プログラムから開く」まで移動します。 5. [Enter]キーを押して、サブメニューを開きます。 6. [下方向]キーを何回か押して、希望するプログラムを選びます。 7. [Enter]キーを押せば、選択しているファイルを希望するプログラムで開く  ことができます。 このサブメニューの中の「プログラムの選択」を選ぶと、以後の操作で、 拡張子に割り当てられているプログラムを変更することができます。 例1:ExcelのCSVファイルをメモ帳で開く。 例2:MS-DOSのバッチプログラムをメモ帳で開く。 例3:テキストファイルをWordで開く。 などに利用できます。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール 白黒両用まな板、その他 今まで多くの商品を紹介してきましたが、皆さんはどれだけご存知でしたか? 今回は「白黒両用まな板」などについて紹介します。 ●白黒両用まな板 名前の通り、料理に使用するまな板です。 以前はまな板は木製の物が多かったですが、最近は樹脂製の物も多いようです。 今回紹介する「白黒両用まな板」はポリエチレン製ですが、両面がそれぞれ 黒色と、白色になっています。 以前にロービジョンの方の見え方について説明しましたが、その中で コントラストがあることで見やすくなることを伝えました。 一般的なまな板は白色系の物が多いですが、例えばこの上で大根を切ることは 似た色で、大根の形をはっきりとは認識できない人がいます。 この様な場合にまな板の色が黒色であれば、大根の形をはっきりと認識でき、 思い通りに切ることができます。 茄子を切る場合は、白色の方がコントラストがつくでしょうね。 ●ロックドット・バンボンドット これらは直径10mm程度の透明シールに半円球の突起が付いている様なもので、 指先で触れると確認ができるので、見えなくても位置を示したりするのに役立 ちます。 突起の大きさが異なるので、確認したい目的物によって使い分けるとよいで しょう。 ○ロックドット(ロケータードット) 一点突起の透明シールで、指先で触れるとプチッとした感触でわかります。 裏についている接着剤はかなり強力なので、さまざまなものに貼ることができ ます。 私はノートパソコンのキーボードに貼っています。 [Tab]、[Alt]、[下カーソル]、[F4]、[F8][F12]などがお勧めのキーでは ないかと思います。 [Del]も離れていて、よく使うのでよいかも知れませんね。 また、クレジットカードの識別にも役立つことでしょう。 ○バンボンドット ロック・ドットより大きく丸くふくらんでいるシールです。 ラジカセのスイッチ、お風呂のボタンなど、目印代わりに貼れば、手探り しなくてもワンタッチで押すことができます。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎社会福祉法人 日本ライトハウス  施設関係のホームページは直接用がない限りなかなか見ませんが、視覚障害者 をめぐるいろいろな問題について、どんな対応がされているのかを知るには なかなか役立ちます。 日本ライトハウスは、目の見えない方・見えにくい方のための総合福祉施設。 最近、新しい基本理念を打ち出しています。 それは、「自立と社会参加のためのパートナーシップ」だそうです。 「視覚などに障害のある個人が、尊厳をもってその人らしい自立した生活が でき、積極的に楽しく社会参加することを共通の目標としてパートナーシップ の心で協働作業を行う。」 (同HPより)  また、「ヘレン・ケラーと日本ライトハウス」の記事は、歴史を知る上で 興味深い内容です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.lighthouse.or.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎THKA 社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 あなたのランプの灯を もう少し高くかかげてください。 見えない人々の 行く手を照らすために。 (ヘレン・ケラー) *協会概要 社会福祉法人東京ヘレン・ケラー協会は1950年(昭和25年)に発足、同時に ヘレン・ケラー学院を開校して、あんま科から、はり師、きゅう師の養成へと 順次拡大してきました。また、視覚障害者の情報伝達に欠くことのできない 「点字」の充実をはかるため、1968年(昭和43年)に点字出版所、1974年 (昭和49年)には点字図書館を開設し、視覚障害者福祉の総合施設として 代表的な存在となっています。 ヘレン・ケラー記念音楽コンクール(第50回までは全日本盲学生音楽 コンクール)を協会発足以来、毎年開催し、視覚障害を持つ児童・生徒らの 音楽家への登竜門の役割を果たしてきました。 1982年(昭和57年)には海外盲人交流事業をスタートさせ、国際交流という 時代の要請にいちはやく応えています。 *主な事業 ヘレン・ケラー学院:厚生大臣認可の養成施設として1950年に開設 点字出版所:点字雑誌・書籍の発行と地方自治体の点字広報を印刷 点字図書館:視覚障害者のニーズに沿った図書の貸し出しと製作 盲人用具センター:視覚障害者に欠かせない生活用具の開発・普及 海外盲人交流事業:ネパールにおける視覚障害者教育の支援 ガイドヘルパー養成研修:視覚障害者ガイドヘルパーに必要な知識と技術を学ぶ その他ホームページには、ヘレンケラーの生涯や目の不自由な人に出会った とき等のコーナーもあります。 視覚障害者に関係する活動をしている方にはぜひ知っていただきたい団体です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.thka.jp/index.html#main ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎文章読み上げ録音ツールの決定版、「JukeDoX2(ジュークドックスツー)」  今回は、株式会社スカイフィッシュから5月16日に発売された 「JukeDoX2(ジュークドックスツー)」をご紹介します。  このソフトは、お手持ちの文書ファイル(Word、DAISY、PDF、txt、一太郎 など)をオーディオプレイヤーを操作する感覚で再生できたり、さらに録音、 編集も手軽に行える文書版オーディオプレイヤーソフトです。ここでいう 録音とは、オーディオファイル形式で保存することを意味します。 新たに電子書籍の標準ファイル形式であるEPUBにも対応しました。  再生時は、英語、中国語、韓国語など外国語音声での読み上げも可能で、 日本語、外国語の混在文章もそれぞれの言語で読み上げます。  WAV、WMA、MP3形式の音楽ファイルも再生できます。  各種文書ファイルのテキスト部分を編集して、Word、EPUB、txt形式で 保存できます。 Word、EPUB形式ファイルでは見出し、PDF形式ファイルではしおり単位での 読み上げ・録音ができます。見出しは複数階層に対応しており、任意の見出し レベルでの録音もできます。 IE9やWordでは、範囲選択した文章をマウスの右クリックで読み上げ・録音が できます。  高機能のEXPERT版では、音声品質の評価方法であるCMOS評価において、 プロのナレーション品質80%スコアを達成した超高品質音声を搭載。また、 細かな発声調整のための専用画面を用意、文字単位での細かな調整ができます。 ●対応OS:Windows 7(64bit/32bit)、Windows Vista(32bit) ●製品価格 FREE(フリー):0円(無償ダウンロード) STANDARD(スタンダード):18,900円(税込) EXPERT(エキスパート):39,800円(税込) ●JukeDoX V1からのバージョンアップ価格 STANDARD(スタンダード):12,600円(税込) EXPERT(エキスパート):23,400円(税込) *バージョンアップ価格は、JukeDoX V1を購入され、かつユーザー登録が 完了しているお客様が対象です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.skyfish.co.jp/jukedox/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「仙台ロービジョン勉強会」開催のご案内 アイサポート仙台では 「学習障害者と弱視者に対応した音声付日本語提示 方式の紹介」というテーマで講演を開催します。 *日時:2011念8月10日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *内容:弱視者や学習障害の傾向がある生徒や成人を対象とし、個々の見え方  に合わせて、配色、文字の大きさ、注目部分の長さ、未学習漢字の  ひらがな化をその場で調整できる多段階強調表示音声付テキストビューアを  紹介します。 *参加費:200円 *申し込み方法:8月5日までに、お名前、所属、連絡先電話番号を アイサポート仙台(Tel:022−212−1131)までお知らせください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www15.plala.or.jp/isupport/lowvision_benkyoukai.html ◎中山視覚障害者パソコン初級講習会開催のご案内 中山視覚障害者福祉財団では、音声によるパソコンの基本操作などを練習する 視覚に障害のある方対象の初級コース講習会を下記の日程で開催します。 *日時:2011年8月20日(土)、27日(土)、9月3日(土)、10日(土)、  17日(土)、24日(土) 計6回 13:30〜16:00 *会場:中山記念会館内神戸ライトセンター2階多目的室 *内容:ウインドウズパソコンの基礎理解とキーボードの操作方法など *受講資格:視覚に障害のある方で、兵庫県在住の方 *受講料:4,000円  *定員:5名 *申し込み方法:神戸アイライト協会(Tel:078-221-6019)へ電話で申し込み  (先着順) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eyelight.eek.jp/paso-s2302.html#readstart ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 例年より早い梅雨開け、そして節電と、暑い夏がやってきました。 夏を迎えた被災地のみなさんのことを忘れず、私たちでできる形で支えていき ましょう。 また、パソコンや携帯電話など、情報入手のツールを失った視覚障害者も多い と思います。そうした方々への支援も大切ではないでしょうか。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は8月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━