━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2012年11月号 No.73                       2012年11月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  同じ視力でも違う難しさ ● プロフェッショナルコース  Windows8の仕組みと基本操作(1) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  iPad 触れてみましたか? [2] サポートお役立ちサイト  氏間研究室のホームページ [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  公益財団法人 三菱財団 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  ラジオでテレビ音声を楽しむ人のために、「TRKO-01B」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  見えない・見えにくい方のロービジョン相談フェアを開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎同じ視力でも違う難しさ 以前から良く知っているはずの「旧知」の人について、実際の見え方を理解 していないことが良くあります。 今は、残存視力を活用することを大切にしていますが、以前はそれこそ 「あなたは見えない訓練が必要」ということで、目隠しをされて歩行訓練を しました。もちろん、不十分な視力だけに頼るのではないという意味では これも大切かもしれませんが、不十分な視力を活用するという視点は 弱かったのは確かです。また、不十分な視力をうまく活用する手段も 少なかったのも事実です。 文字の点で言えば、私も活用した大きな文字です。家族や周囲の支援者が 始め、、それがボランティア活動として発展して、国の教科書も拡大 しようということになってきたのもここ数年です。さらに、さまざまな 拡大読書器や、パソコンでの拡大や白黒反転も可能となりました。 これらは50年前と随分違います。そしてその当時教育を受けた方は 点字教育がメインでした。  このような方に、パソコンを操作するときの見え方の配慮はどうなのかと いうことです。 私は、いろいろな可能性の提案ができるのがパソコンだと思います。 白い画面が気になるので、文字は見えないが画面は暗い方が良い、というのも 見え方だと思います。また、画面に一文字しか入らないような大きな文字で 確認できることも、文字情報の補助手段として使えることがあります。 先日、モンゴルに旅行してそちらの視覚障害者とお話しをした人がいましたが 、ルーペが足りなくて「見ることをあきらめている」という事でした。 また、私が昨年マレーシアに行った際に、視覚障害者の前で携帯用の拡大 読書器を出して使ったら、何人もの人が「私も読める」とびっくりしていました。 数字で出る視力も、育った環境や教育、体験してきたことでかなり違うことを 改めて知りました。 そして、不十分な視力でもいろいろな手段で活用していけることを、少し広い 視点で是非考えていきたいものです。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Windows8の仕組みと基本操作(1) 今回から、Windows8について説明します。 Windows7にOffice2010などをインストールし、Windows8にアップグレードした パソコンで説明します。スクリーンリーダは付属のナレーターで行います。 Windows8は、iPADの様に、画面全体がタッチパネルになっているパソコンの 操作性を考慮しています。 そのために基本画面が変わりました。2種類の画面があると考えてください。 仮に従来の画面をデスクトップ画面と呼びます。 タッチパネルを意識した新しい画面を「ウィンドウズストア画面」または、 単に「新しい画面」と仮に呼びます。「新しい画面」で起動時の画面を 「スタート画面」といいます。 (注) 「新しい画面」ですが、Windows8の開発段階では、仮に「メトロ」と 呼ばれていましたが、正式な名称ではありません。 また、スタートメニューはなくなりましたが、スタート画面が代替えとして 利用できます。 Windows8の理解には、2種類の画面の違いとスタートメニューの操作の 置き換えを学ぶことが必要です。 まず、Windows8のパソコンを起動してみましょう。 1.電源ボタンを押す。 2.待つ。すると全画面が1枚の絵になります。 3.[Windowsロゴ]+[U]キーを押します。 4.[Alt]+[N]キーでナレーターを有効にします。 5.[Enter]キーを押します。 6.パスワードを入力します。  (注意) パスワードの読み上げはしません。 7.[Enter]キーを押して起動します。 これで起動しました。 起動した画面は、「スタート画面」です。 晴眼者の人は、この画面を見ると、スタートボタンがなくびっくりします。 「スタート画面」は、画面全体にいくつかのボタンが表示されています。 [方向]キーで選ぶことができますが、一番下で[下方向]キーを押しても、 右上にはいきませんので注意してください。 このボタン群の右側には、Office2010のアプリケーションである「Word2010」 「Excel2010」などがあり、起動すれば、ほぼ従来と同じ操作ができます。 しかも、ナレーターはリボンを日本語でほとんど読んでくれます。 「スタート画面」の左上には、「インターネットエクスプローラ」を起動する ボタンがあります。実行すると、「新しい画面」に対応した新しい形式の 「インターネットエクスプローラ」が起動します。 ×ボタンや、枠はありません。新しい形式のアプリケーションは、全画面が 基本です。 したがって、タイトルや枠線もありません。[Alt]+[Space]キーで開く コントロールメニューもありません。ただ、閉じるための[Alt]+[F4]キーは 有効です。 「新しい画面」の左側の下には、「デスクトップ」ボタンがあります。これを 実行すると「デスクトップ画面」に切り替わります。(ほかにもいろいろな 方法があります、次回説明します。) こちらの画面にもインターネットエクスプローラがあります。 起動すると、従来のとおりタイトル行があるので「×ボタン」もあります。 要するに新旧2種類のインターネットエクスプローラが用意されているわけです。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎iPad 触れてみましたか? パソコンに比べて、手軽に使えそうと、今やタブレット端末や、 スマートフォン(スマホ)への関心が高まっています。 皆さんもお店などで触れてみましたか? その前に、タブレット端末とはどのような者のことを云うのでしょうか。 参考になるページがあるので紹介しておきます。 タブレット端末とは? | てれこむ What's up? http://www.ntt-east.co.jp/whats_up/62.html それでは、現在はどれほどの種類があるのでしょう。 基本ソフトと云われるOSで分類すると、3種類になります。 ・ios: アップル社が開発したOSで、自社の端末、iPhone 、iPad、iPodに採用して います。従ってアップル以外の機種では採用されていません。 ・android: google社が開発した、オープンソース・OSであり、公開しているので、 アップル社以外のほとんどの機種で採用されています。 ・windows 8 Microsoft社が開発したOSで、これから販売されるパソコンには採用されて いきますが、タブレット端末、スマートフォンはこれからですね。 機能で比較すると2種類でしょうか。 ・スマートフォン 携帯電話機能が付いている、小型のタブレット端末です。 ・タブレット端末 7インチから、10インチくらいの画面サイズの商品が多いです。電話機能は 付いていないですが、Wi Fiなどの無線でインターネットにアクセスできます。 skype、FaceTimeなどのソフトを使用することにより、テレビ電話などとして 利用することも可能です。 画面サイズで比較すると、何種類になるのか不明です。 ・3.5インチ程度から、11インチ程度 これは、私の判断で分類したのであって、別の分類の仕方も あることでしょう。 そして、目の不自由な者が利用する場合はどの機種が好ましいのでしょう。 そのためには目的をはっきりとさせることが大切です。 ・電話機としても使うのか ・拡大鏡や、電子ルーペのように使いたいのか ・標準サイズの文字では読めないので、電子ブックのように使いたいのか ・ゲームをしたいのか ・音楽を聞いたり、作曲や演奏などをしたいのか ・スケジュール管理をしたいのか ・写真や、ビデオを撮り、大きな画面で見たいのか ・daisyプレーヤーとして使いたいのか ・webサーフィンをしたいのか ・メールチェックをしたいのか ・ニュースなど新聞を読みたいのか ・ラジオを聞きたいのか ・出先で地図を見たいのか ・現在地を確認したいのか ・FaceBookや、TwitterなどSNSにアクセスしたいのか ・新しい物好きだから、とにかく触ってみたいのか ・その他 そして、操作方法として、視力を使うのか、音声を使うのか、両方なのか。 これらのことをある程度は決めておく方が、より目的にかなった機種を選択 できることでしょう。 参考までに、次のページを紹介しておきます。 この評価は音声使用を対象とはしていません。 iPhoneとAndroidの比較 http://iphone.f-tools.net/QandA/iPhone-Android.html つづく                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎氏間研究室のホームページ 視覚障害者がどのように工夫して生き生きと暮らしていくのか。そんなことが ベースになっている研究室があります。 具体的でわかりやすいです。とくに、ロービジョンについての解説は 具体的で、iPadなどの新しい器機の研究もすばらしいと思います。 氏間研究室は、視覚が利用できない又は十分に利用できない人々の生活上・ 学習上の困難を科学的に解明し、その解決策を提案することによって、幸せな 生活を送ることができる社会の実現を目指しています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/src/index_j.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎公益財団法人 三菱財団  〜学術研究、社会福祉等に関する事業援助を行うことで日本の学術、教育、  文化、福祉の向上に貢献しています〜 この財団は三菱創業百年を記念し、わが国社会の学術・教育・文化並びに 福祉の向上に資することを目的として昭和44年9月に設立され、その事業として 学術・研究の補助並びに社会福祉事業の助成を行っています。 *財団設立 三菱の発祥は、1870年(明治3年)に遡り、創立者岩崎弥太郎が、海運業の 経営から着手しました。 三菱企業は、近代日本の曙と共に生まれ、それ以来日本経済と運命を共にし、 幾多の苦難を経ながらも今日に至っています。 三菱グループは、創業以来の所期奉公(公益奉公)を以って基本理念とし、 創業百周年の記念日を迎えた年に、この精神を生かした最も有意義な事業を もって社会に貢献するため、関係各社と財団法人三菱財団を設立しました。 なお、2010年11月より公益財団法人となっております。 *活動目的 学術研究、社会福祉に関する事業等に対して援助を行なっています。 それにより、日本社会の学術、教育、文化並びに福祉の向上に寄与することを 目的としています。 *助成金 ・自然科学研究助成 近年の自然科学の進歩はめざましく、各学問分野の研究の深化はもとより、 分野間の相互作用によりつぎつぎに新たな研究領域が誕生しつつあります。 このような状況のもとで本事業は、これらの科学・技術の基礎となる独創的 かつ先駆的研究とともに、既成の分野にとらわれず、すぐれた着想で新しい 領域を開拓する萌芽的研究に期待して助成を行います。 自然科学のすべての分野に関わる、すぐれて独創的な研究を助成の対象と 致します。 さらに複数に分野にまたがる新しい現象を模索する実験・論理や、環境問題の 基礎的研究も対象と致します。 ・人文科学研究助成 わが国の精神文化の一層の向上に貢献すべく、当財団研究助成の一貫として、 自然科学部門と並行し、人文科学関係者の基礎的かつ着実な実証研究に対し、 支援を行うものです。 人文学分野、及びそれに関連する分野からなる、人文社会系研究全般を 対象とします。 ・福祉事業の助成 ・社会福祉に関する科学的調査研究の助成 現行制度上、公の援助を受け難い、開拓的ないし実験的な社会福祉を目的と する民間の事業(原則として法人に限る)や、開拓的ないし、実験的な社会 福祉に関する科学的調査研究(個人・法人等いずれも可)に貢献するための 助成をいたします。 このうち、視覚障害者関連では「福祉事業の助成」および「社会福祉に関する 科学的調査研究の助成」が対象となると思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.mitsubishi-zaidan.jp/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎ラジオでテレビ音声を楽しむ人のために、「TRKO-01B」 今回は、9月1日に株式会社アステムから発売された「テレビが聞けるラジオ TRKO-01B」をご紹介します。 本機は、ワンセグ(地上波デジタル放送)とAM、FM放送を聞くことができます。 その他に、緊急地震速報を受信できます。受信すると自動的に電源が入り、 、設定したNHK(FM)を受信します。 ただし、緊急警報放送には対応していません。 ワンセグ放送は、ボタン1つで主音声、副音声、主副音声を 切り替えることができます。ワンセグの受信状態が悪い場合、外部アンテナを つなぐこともできます。 すべての操作を音声で読み上げます。音声は聞き取りやすいアナウンサーの 声を採用。ワンセグ放送では、チャンネル番号も読み上げます。 ボタンが8コと最小限で、わかりやすいボタン配置です。スピーカー内蔵、 イヤホン接続可能です。 操作ボタンは大きくてわかりやすく、すべてに点字表記があります。 ACアダプターにも点字表記あり。 2つのスピーカー搭載で大音量と高音質を実現しました。 ●製品仕様 サイズ:縦135mm、横170mm、奥行き45mm 重さ:約480g(電池含まず) 電源:ACアダプタ(AC100V)、単三電池4本(別売) 電池の持続時間:ワンセグ(約10時間)、AM/FM(約24時間) 付属品:ACアダプタ、イヤホン、ストラップ、ソフトケース、 アンテナケーブル(3m)、アンテナ接続用変換ケーブル、取扱説明書、 点字マニュアル、音声マニュアルCD3枚、全国NHKFM周波数一覧表 販売価格:29,000円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.iccb.jp/salon/goods/audio/trko-01b/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎見えない・見えにくい方のロービジョン相談フェアを開催 神戸アイライト協会では、神戸市北区にて見えない・見えにくい方のための 相談会を開催します。日ごろ見えない、見えにくいことでお困りのことが あれば専門相談員に相談できます。 また、ルーペ・拡大読書器・音声パソコンなど実際に触って試せます。 *日時:2012年12月6日(木) 13:00〜16:00 *会場:谷上SHビル7階第1会議室・10階第2研修室 *内容:見えない、見えにくいことでお困りのことについての相談、  拡大読書器・ルーペ・便利グッズの紹介と体験、  音声パソコン体験等 *参加費:無料 *お問い合わせ:特定非営利活動法人 神戸アイライト協会  Tel:078-221-6019  E-Mail:kela2009eyelight@ac.auone-net.jp    事務局 和田 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eyelight.eek.jp/ ◎「第23回アメディアフェア」開催のお知らせ アメディアフェアは、株式会社アメディアが毎年行っている視覚障害者の 祭典です。(展示会は10:30より開始) *日時:2012年12月23日(日) 10:30〜16:30 *会場:東商センター3F *内容:視覚障害者向け最新機器の展示会及び講演、商品抽選会、スワン  ベーカリーの焼きたてパン販売等 入場料:無料 主催:株式会社アメディア ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.amedia.co.jp/event/amediafair/index.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽にお寄せ  ください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Windows8が発売されて1ヶ月、次第にその使い勝手が明らかになってきました。 タッチディスプレイ方式は採用していますが、キーでの操作も十分可能な ようです。 しかし、また新しいスキルを習得しなくてはならず、ユーザーもサポートを する側も気が抜けません。 ある程度の期間、安心して使える環境がほしいところです。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は12月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 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