━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2014年7月号 No.93                       2014年7月25日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  拡大文字も拡大読書器も音声読み上げも ● プロフェッショナルコース  長文作成(弱視者対応) その2 ● 【コラム】 パソコンよもやま話  パソコンの構成部品 その9 [2] サポートお役立ちサイト  日本盲人会連合で「差別事例集」の作成 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  日本ロービジョン学会 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  世界最強スクリーンリーダー、「JAWS for Windows Professional  Ver.15.0」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「eye eye福祉機器展2014 視覚障害者のための生活用具展示会関連企画の  ご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎拡大文字も拡大読書器も音声読み上げも 私が本を読む場合 @ルーペや拡大読書器を使う Aサピエ図書館にアクセスして読みたい本がもしあれば、音声を聞く B自分に読みやすい大活字の本があればそれを読む というようになります。 もし、私が点字が得意であれば、点字の本を読むというのもあると思います。 また、パソコンやiPad等を使い、電子ブックを音声で聞いたり、 文字を読みやすくして読むというのもこれから多くなると思います。 つまり、補助機器も、音声も、拡大文字も、展示も、弱視にとっては 有効なものです。 なんとかこれらを駆使して、本を読んだり、その他の文字情報を 得ようとするわけです。 (大活字というのは、ただ大きな文字というのではなく、書体を変えたり、 黒い紙に白い文字というようなものも含まれます) このようないろいろな手段の中で、「何か一つを選べ」というのは 無理な話です。 そして、すべての情報が、音声にも、大活字にも、点字にもなっていること、 また、なることが一番大切なことです。 このような観点でみると、この春に重要な変更がありました。 厚生労働省が「日常生活用具給付等事業の概要」のなかで、 「日常生活用具参考例」の中の「情報・意思疎通支援用具」の項目の 内容の一部が以下のようになりました。 「視覚障害者用図書(点字図書、大活字図書、DAISY図書)」 というようになったのです。 つまり、以前は点字図書だけだったのに、後者の二つが追加されたわけです。 日常生活用具については、それぞれの自治体で決定するものですが、 基本的な方向性が示されたことは確かです。 これらがどう実際に運用されるかわかりませんが、以上のような 弱視者の読みの多様性をぜひ前提にしてもらいたいものです。 下記が厚生労働省ホームページアドレスです。 ※URLが長いため、途中で改行しています。 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/ shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎長文作成(弱視者対応) その2 今回は予定を変更してセクションについて説明します。 長文作成する場合、「表紙」「目次」「本文」の3セクションに分けると 便利です。 ページレイアウトは、すべて標準の「A4縦」とします。 「本文」の途中でセクションを切り替えれば、A4縦の中にA3横の 表を含めることもできます。 以下は手順です。 1.Wordを起動して、新規文書を開きます。 2.初めのセクションは表紙です。仮に、資料名「野菜の説明」と入力します。 3.[Ctrl]キー+[E]キーで左右の中央に配置します。(E はCenterの2文字目)  その他のデザインは各自でお願いします。 4.[Enter]キーを押して改行します。 5.[Ctrl]キー+[Shift]キー+[N]キーを押して、「中央に配置」の設定を  「標準」に戻します。(NormalのN) 6.[Alt]キーを押して、リボンにフォーカスを移動します。 7.[P]キーを押して、リボンの「ページレイアウト」を選択します。 8.次にグループ「ページ設定」中の「区切り」を選びリストを開き、新たな  セクションを生成します。  方法1  [B]キーを押すと「区切り」のリストが開きます。(注:英語ではBreakの  先頭のBです。)  [N]キーを押すと「次のページから開始」が実行されます。(Next のN)  方法2  [Tab]キーを何回か押して「区切り」まで移動します。  [Enter]キーを押して、リストを開きます。  [下方向]キーを何回か押して「次のページから開始」まで移動します。  [Enter]キーを押すと「次のページから開始」が実行されます。  操作結果:「次のページから開始」は「改ページを挿入し、次のページから  新たなセクションを開始」の意味です。  注:「次のページから開始」が実行されると、改ページされてそこは2つ目の  セクションになります。 9.本文を作成後、ここ(2つ目のセクション)に目次を設定するのですが、 現段階では対応する情報がないので、続けて3番目のセクションを作成します。  方法1  直前の操作を繰り返すショートカット[Ctrl]キー+[Y]キーを実行すると、  「次のページから開始」が実行され、「セクション3」の先頭が新たな  入力場所になります。  方法2  すでに説明した操作で、「区切り」のリストを開き「次のページから  開始」を実行します。「セクション3」の先頭が新たな入力場所になります。 これで、本文の入力が可能になりました。 次回は、アウトライン(段落番号)と見出しの連携を説明する予定です。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎パソコンの構成部品 その9 ・マンマシンインターフェースとしての、入力/出力装置-5 前回に引き続き、マウスについてです。 マウスの感度を示す単位はミッキーです。 1ミッキーは1/100インチマウスを動かすことを意味します。 このとき画面上でカーソルが何ドット動いたかを、ミッキー/ドット比で 指定することで、プログラム上のマウスの感度は実装されます。 また、マウスを動かすと、それに比例して、画面上ではマウスカーソルも 移動します。しかし、操作性を上げるために、 オペレーティングシステムによっては、マウスの移動速度が速い場合や 加速度が大きい場合に、ポインタをマウスの移動距離よりも大きく移動させる 機能もあります。 マウスのボタンは、Macでは通常1つ、PC/AT互換機、 すなわちwindows マシンでは2つから5つのボタンがついていることが 多いです。 このボタンを押すことをクリック、ボタンを押し続けることをプレス、 またプレスしながらマウスを動かすことをドラッグといいます。 そしてドラッグしたものからボタンを離すことをドロップといいます。 ドラッグとドロップでドラッグアンドドロップ(D&Dあるいは DnD と 略される)ということがあります。 マウスにおけるホイールは、ポインタ移動とクリック・ドラッグによる 操作だけでは煩雑な処理を補助するために設けられた機構です。 標準的な2ボタンマウスの場合は、通例左ボタンと右ボタンの間に保持され、 人さし指、または中指による前後方向の回転をすることで操作します。 中には、ホイールを左右に押すことで、横スクロールの機能を 持たせている者もあります。 参考URL マウス (コンピュータ) - Wikipedia ※URLが長いため、途中で改行しています。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%B9_(%E3%82%B3%E3 %83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF) つづく                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎日本盲人会連合で「差別事例集」の作成 社会福祉法人 日本盲人会連合では、「差別事例集」の作成を行っています。 社会福祉法人 日本盲人会連合では、障害者の権利条約批准を機に、 差別事例集「視覚障害者の差別ってどんなもの(仮称)」を 編集・発行する予定です。 障害者の権利条約批准によって、関連することがたくさん出てきます。 私たちも、色々な場での差別について、考えて見てはいかがでしょうか。 皆様が日常的に視覚障害があるゆえにとても困ったことなど、 できるだけ簡潔に具体的な体験談をお寄せください。 差別事例の内容は多岐にわたりますが、概ね次の分野でまとめます。 (1)日常生活 (2)教育 (3)労働 (4)福祉(サービス) (5)医療 (6)建物・移動、交通 (7)制度、サービス提供 (8)その他。 情報のご提供はメールにて、必ず件名に「差別について」とご記入の上、 oohashi-y@jfb.jp までお願いします。個人情報の保護の観点から、いただいたメールは 要点を抜き出し消去します。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://nichimou.org/welfare/140718-jouhou/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎日本ロービジョン学会 *日本ロービジョン学会について 日本ロービジョン学会は、2000年4月に創設され、2011年12月現在、 約700名の会員が活動しています。 本学会は、我が国における視覚に障害を有する児・者へのハビリテーション・ リハビリテーションに関する学際的な研究および臨床の向上と、 会員同士および諸外国との交流を目的に設立されました。 そして、眼科医、視能訓練士、看護師などの医療関係者以外に、 教育、福祉、労働、ロービジョン関連機器に携わる企業関係者など様々な 職種の方々が参加している学際的な学会です。 視覚障害児・者へのリハビリテーション(ハビリテーション)は、いわゆる ロービジョンケアと呼ばれ、一部の地域ではすでに1970年代から 行われていました。そして、最近、全国各地域での活動が 盛んになってきています。 目を病んでいる方々は、必ず眼科を受診されますので、眼科医療が このリハビリテーションの最初の大きな窓口です。 しかし、医療だけでは視覚障害児・者のクォリティ・オブ・ライフ (生活の質)の向上は困難で、教育、福祉、行政や企業などが 密接な連携を図ることで初めて実現します。 そこで本学会は、ロービジョンリハビリテーション・ケアの啓発、それを担う 眼科スタッフの育成と同時に、医療以外の分野の専門家と互いに研鑽を積み、 理想的な連携の方法を探し求めています。 具体的に本学会員は、先天視覚障害、中途視覚障害を含め 視覚に問題を抱えるすべての人々を対象に、年齢や個人個人の 環境に応じた医療、療育、教育、職業訓練、日常生活訓練、 就労支援の方法などを学際的に研究、実践しています。 そして、我が国におけるこのような取り組みが世界に及ぶよう学術的発展を 図りたいと考えています。 *ロービジョン関連情報 ・ロービジョンについて ・ロービジョンケアとは ・ロービジョン関連用語ガイドライン ・ロービジョン対応医療機関リスト ・イベントカレンダー こうした幅広い関係者が参加する団体があることをぜひ知っていただければと 思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.jslrr.org/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎世界最強スクリーンリーダー、「JAWS for Windows Professional  Ver.15.0」  今回は、5月28日に有限会社エクストラから発売された画面読み上げソフト 「JAWS for Windows Professional Ver.15.0 日本語版」をご紹介します。  JAWSは、画面に表示された情報や入力した文字を読み上げる スクリーンリーダーです。IEやMicrosoft Officeなどの 各種主要ソフトウェアに対応しているほか、 強力なスクリプティング機能により、そのままではうまく読めない アプリケーションも適切なJAWSスクリプトを書くことで 読めるようになります。  主な新機能と改良点は以下のとおりです。 ・Windows8のタッチスクリーンの読み上げに対応 ・JAWS専用のジェスチャーによるWindowsの操作も可能 ・読み上げた音声を後から確認できる読み上げ履歴機能の追加 ・Office2013への対応 ・Skypeの読み上げの強化 ・点字ディスプレイの自動検出機能の強化 ・Web上のリンクの実行方法が選択可能に ・キーボードによるジェスチャー入力が可能なオブジェクトカーソル機能 ・音声エンジンのVocalizer Expressiveをサポート ・様々な言語に対応し、より自然な読み上げが可能 ・Google Chromeに対応  そのほか独自英語読み上げ機能、EXTRA自動点訳エンジンなどの実装。 MS-IMEとATOKの詳細読みを音声と点字で提供。JAWSを使いながら 音声で解説するDAISY形式のオーディオガイダンスCDを添付。 ●動作条件 OS:Windows8.1、 8、 7、 Vista(いずれも32bit/64bit版対応)、 XP(32bit版) ●価格(税込) Ver.15.0 新規:153360円、日常生活用具候補品 Ver.14.0(Ver.15への無償バージョンアップ付)からのバージョンアップ:無償 Ver.14.0、12.0+1からのバージョンアップ(1バージョンアップ):34560円 Ver.12.0、11.0+1からのバージョンアップ(2バージョンアップ):56160円 Ver.11.0〜6.2からのバージョンアップ(3バージョンアップ以上):77760円 ※バージョンアップ版のご購入には、ユーザー登録が必要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/jaws/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「eye eye福祉機器展2014 視覚障害者のための生活用具展示会関連企画の  ご案内 アイサポート仙台では視覚障害者のための生活用具展示会に関連した 二つの講座を開催します。 ミニ講座1 *日時:2014年8月3日(日) 11:00〜12:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *内容:目が不自由な人を対象にしたiPad・iPhoneの活用方法の指導や  支援者向けの講習会などを開催 ミニ講座2 *日時:2014年8月3日(日) 13:30〜14:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *内容:視能訓練士の方による眼科で受けることが多い検査についての解説 *参加費:無料 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www15.plala.or.jp/isupport/eyeeyekikiten.html ◎夜間講座「日商PC検定3級(データ活用)受験対策」を開講 NPO法人SPANでは6日間にわたり、日商PC検定3級(データ活用)受験対策講座を 開催します。 *開催日:2014年8月19日(火)・26日(火)、9月2日(火)・9日(火)・  16日(火)・24日(水) 計6日間 *時間:18:45〜20:45(全日程) ★なお、すでに文書作成に合格され、知識問題の講座は不要という方は、  9月2日からの4日間(実技問題)のみの受講も可能 *会場:SPAN☆三田スカイプラザ *内容:今回のSPANの夜間講座では、日商PC検定3級「データ活用  (Excel)」の知識問題と実技問題について、実際に問題を解きながら  合格するためのノウハウを学習します。  内容は、知識問題(コンピューター関連、ビジネス・法規関連1、2)  実技問題(データの集計・グラフ作成1、2)、模擬検定・解説等。  OSはWindows 7、Excelのバージョンは「2010」を使用します。  スクリーンリーダーはPC-Talker、JAWS、FocusTalkから選択できます。 *受講料:26400円(6日間)      17600円(4日間) *定員:4名 *お申し込み先: office@span.jp ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/activity/schedule.html#20140819-0924 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽にお寄せ  ください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ほとんどの地域で梅雨が明け、いよいよ夏本番です。 7月は、視覚障害リハビリテーション研究発表大会や ロービジョンセミナーなどが開催され、関係団体の活動も活発なようです。 こうしたイベントを通して、視覚障害者のICT利用が進むことを 心から願っています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は8月22日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━