━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2014年8月号 No.94                       2014年8月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Excel基礎(22)   配置の変更 ● プロフェッショナルコース  長文作成(弱視者対応) その3 ● 【コラム】 パソコンよもやま話  パソコンの構成部品 その10 [2] サポートお役立ちサイト  共用品推進機構 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  視覚障害者就労生涯学習支援センター [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  マルチタッチスクリーンに対応した、「ZoomText 10.1 for Windows8」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  平成26年度 第2回 神戸ライトサロン」を開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Excel基礎(22)  配置の変更 前回は、セルの表示形式の変更について少し説明しました。 今回は表示形式の変更の操作はひとまずおいて、セルの書式設定の中の 「配置」について説明したいと思います。 エクセルでは、セル内での文字列や数値の配置を必要に応じて 変更することができます。 基本的にセル内での横の位置は、値によって異なります。 表示形式が「標準」の場合、文字列は「左詰め」で、 数値は「右詰め」で表示されます。 この配置を変更するとしましょう。 簡単な「売上表」を例にして説明します。 なお、「配置」の変更はセルの書式設定から行います。 セルの書式設定の表示方法は前回も記しましたが、今回は ショートカットキーを利用した操作を説明します。 表の項目は、「8月分」、「9月分」、「10月分」、「総合計」とします。 この文字列を「中央揃え」にします。 総合計のひとつ下の行の金額が入力されていない横のセルに 「単位:円」としましょう。この文字列を右詰めにします。  まず、「8月分」から「総合計」のセルの文字列の配置を中央揃えにします。 仮にセルA1からセルD1としましょう。 1.セルA1からD1までを範囲選択します。 2.[Ctrl]キー + [1]キーを押して「セルの書式設定」のウィンドウを  開きます。 3.[Ctrl]キー + [Tab]キーを押して「配置」タブを選択します。 4.[Tab]キーを押して「横位置」のコンボボックスに移動します。 5. [下方向]キーを押してコンボボックスを開き、[上下方向]キーを押して  「中央揃え」を選択します。 6.[Tab]キーを押して「OK」ボタンに移動して[Enter]キーを押します。  選択範囲内の文字列が「中央揃え」になります。 次に、「単位:円」を仮にセルE2に表示します。この文字列の配置を 「右詰め」にします。 1.セルE2を選択します。 2.[Ctrl]キー + [1]キーを押して「セルの書式設定」のウィンドウを  開きます。 3.[Ctrl]キー + [Tab]キーを押して「配置」タブを選択します。 4. [Tab]キーを押して「横位置」のコンボボックスに移動します。 5.[下方向]キーを押してコンボボックスを開き、[上下方向]キーを押して  「右詰め(インデント)」を選択します。 6.[Tab]キーを押して「OK」ボタンに移動して[Enter]キーを押します。  セルE2の文字列が「右詰め」になります。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎長文作成(弱視者対応) その3 今回は「段落番号に見出しを連携させ、スタイルとして利用できる 形式にします。前回3つに分けた本文の場所で作業をすると、今後の説明を よりよく理解できます。 1 起動 (1)前回作成した、3つのセクションに分けた文章を呼び出します。 (2)最後のセクションで本文の先頭に移動します。 2 レベルの段落番号を入力する 2-1 フォーカスをリボンのタブのホームに切り替えます。 [Alt]キーを押します。リボンにフォーカスが移動します。 2-2 アウトラインのボタンを実行し、開いたリストから「1」「1.1」 「1.1.1」のアウトラインまで移動します。 (1)[H]キーを押します。タブ「ホーム」にフォーカスが移動します。 (2)[M]キーを押してリストを開きます。(Multi Level OutLine) (3)方向キーを使用して「1」「1.1」「1.1.1」となっている項目まで   移動します。 (4)[Enter]キーを押します。 (5)「大分類」と入力し[Enter]キーで改行します。 (6)「中分類」と入力し[Alt]キー+[Shift]キー+[右方向]キーを押します。 (7)[Enter]で改行します。 (8)「小分類」と入力し[Alt]キー+[Shift]キー+[右方向]キーを押します。 注意:拡大鏡利用中、[Alt]キー+[Shift]キー+[方向]キーは 表示窓の大きさを変える機能に割り当てられているため使用できません。 その場合、レベル2のショートカット[Ctrl]キー+[Alt]キー+[2] レベル3のショートカット[Ctrl]キー+[Alt]キー+[3]を使用してください。 3 段落番号と見出しを連携し、スタイルに登録します。 3-1 見出しとの連携 (1)文字カーソルを「大分類」に移動します。 (2)[Alt]キーを押して、リボンにフォーカスを移動します。 (3)[H]キーを押して、ホームのタブを開きます。 (4)[M]キーを押して、マルチレベルアウトラインのリストを開きます。 (5)[D]キーを押して、「新しいアウトラインの定義」を実行し、   「新しいアウトラインの定義」のダイアログボックスを開きます。   (Define New Multilevel List) 3-2 「新しいアウトラインの定義」のダイアログボックスの設定 (1)[Alt]キー+[M]キーを押して、隠れている部品を表示します。 (2)[Tab]キーを何回か押して、「レベルと対応付ける見出しスタイル」まで   移動します。(ショートカット [Alt]キー+[K]キー) (3)[下方向]キーを押して、プルダウンリストを開きます。 (4)さらに「下方向」キーを押して「見出し1」まで移動します。 (5)[Enter]キーで確定します。 (6)[Tab]キーを何回か押して「番号に続く空白の扱い」まで移動します。   (ショートカット [Alt]キー+[w]キー) (7)[下方向]キーを押して、プルダウンリストを開きます。 (8)さらに「下方向」キーを押して「スペース」まで移動します。 (9)[Enter]キーで確定します。 3-3 レベル2の設定 (1)[Tab]キーを何回か押して、「変更するレベルを   クリックしてください」まで移動します。   (ショートカット [Alt]キー+[V]キー) (2)[下方向]キーを押してレベルを2にします。 (3)[Tab]キーを何回か押して、「レベルと対応付ける見出しスタイル」まで   移動します。(ショートカット [Alt]キー+[K]キー) (4)[下方向]キーを押して、プルダウンリストを開きます。 (5)さらに[下方向]キーを押して「見出し2」まで移動します。 (6)[Enter]キーで確定します。 (7)「Tab」キーを何回か押して「番号に続く空白の扱い」まで移動します。   (ショートカット [Alt]キー+[W]キー) (8)[下方向]キーを押して、プルダウンリストを開きます。 (9)さらに[下方向]キーを押して「スペース」まで移動します。 (10)[Enter]キーで確定します。 3-4 レベル3の設定 (1)[Tab]キーを何回か押して、「変更するレベルを   クリックしてください」まで移動します。(ショートカット [Alt]キー+[V]キー) (2)[下方向]キーを押してレベルを3にします。 (3)[Tab]キーを何回か押して、「レベルと対応付ける見出しスタイル」まで   移動します。(ショートカット [Alt]キー+[K]キー) (4) [下方向]キーを押して、プルダウンリストを開きます。 (5)さらに[下方向]キーを押して「見出し3」まで移動します。 (6)[Enter]キーで確定します。 (7)[Tab]キーを何回か押して「番号に続く空白の扱い」まで移動します。   (ショートカット [Alt]キー+[w]キー) (8)[下方向]キーを押して、プルダウンリストを開きます。 (9)さらに[下方向]キーを押して「スペース」まで移動します。 (10)[Enter]キーで確定します。 3-5 ダイアログボックスを閉じる (1)[Tab]キーを何回か押して、「OK」ボタンまで移動します。 (2)[Enter]キーを押してダイアログを閉じます。 次回は、見出しとの関連について説明します。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎パソコンの構成部品 その10 ・他のパソコンや外部機器とのデータのやりとりをするための、  インターフェース パソコンにはどのようなインターフェース(I/F)があるのだろうか。 ここでは、一般的なデスクトップ機について説明します。 インターフェースと云うと難しそうですが、どのような目的で 付いているかです。 ●ディスプレイ用 ○アナログ用 ・D-Sub15pin(ミニ)  AT互換機でアナログディスプレイの接続で使われ、同用途限定の物に限り VGA端子と呼ばれています。 ○デジタル用 ・DVI(Digital Visual Interface)  パソコンと液晶ディスプレイ等を、デジタル接続するコネクタです。  ディスプレイにパソコンから信号を送る際に、アナログに変換せず デジタルで直接送ることができるので、D-Sub15pinよりも画質が向上します。  DVIケーブルにはシングルリンクとデュアルリンクの2種類があり、 それぞれ対応する解像度が異なります。 シングルリンクは1920dpi×1200dpiまでの解像度に対応し、 デュアルリンクは2560dpi×1600dpiまでの解像度に対応します。  ※DVI-DとDVI-I について  DVI-Dは、デジタル信号のみ伝送し、DVI-Iはデジタル/アナログ両方の信号を 伝送します。コネクタのピンの数が異なるので、見分けることができます。 ・HDMI(High-Definition Multimedia Interface)  パソコンと液晶ディスプレイ等を、デジタル接続するコネクタです。  DVIより小型なうえ、1本のケーブルで映像・音声・制御信号を合わせて 送受信できます。  主にテレビやDVDレコーダーなどのデジタル家電で使用されますが、 パソコンとディスプレイの接続にも用いられます。 2560dpi×1600dpiまで。 ・DisplayPort  パソコンと液晶ディスプレイ等をデジタル接続する、次世代の コネクタです。  DVIより小型、HDMIよりも高速なうえ、1本のケーブルで、映像・音声・ 制御信号を送受信できます。  また、複数のディスプレイを数珠つなぎにするだけで マルチディスプレイ環境を簡単に実現できます。 2560dpi×1600dpiまで。 参考URL 【解説】ディスプレイケーブルのコネクタについて - ELECOM WEB SITE! http://www2.elecom.co.jp/cable/display/guide.html つづく                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎共用品推進機構 より多くの人たちに使いやすい共用品、あらゆる人たちが心地よいと 感じられる共用サービスの普及を行っています。 共用品の定義は、身体的な特性や障害にかかわりなく、より多くの人々が 共に利用しやすい製品・施設・サービスのことです。 その特色は以下の通りです。 1.多様な人々の身体・知覚特性に対応しやすい。 2.視覚・聴覚・触覚など複数の方法により、わかりやすく  コミュニケーションできる。 3.直感的でわかりやすく、心理負担が少なく操作・利用ができる。 4.弱い力で扱える、移動・接近が楽など、身体的負担が少なく利用しやすい。 5.素材・構造・機能・手順・環境などが配慮され、安全に利用できる。 なお、HPでは興味深い報告書をダウンロードできます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kyoyohin.org/ja/index.php ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎視覚障害者就労生涯学習支援センター 〜パソコン技能と業務応用訓練を通して「共生」のシステム作りを目指します 〜 1.視覚障害者のIT技能向上 ◇全国の公的機関から委託された障害者訓練(知識・技能習得訓練コース・  e-ラーニングコース・在職者訓練コース)、企業委託講習、  個別の講習の実施 ◇アビリンピック「パソコン操作」競技への協力 2.視覚障害者の就労支援 ◇視覚障害者雇用・就労支援連続講座の実施、企業における視覚障害者の  雇用拡大のための就労事例紹介など ◇公開授業「就職支援ガイダンス」「社会・経済・ビジネス法務」の実施 ◇ジョブコーチ・雇用管理サポート専門家として協力  第1号職場適応援助者(ジョブコーチ)事業認定法人として、  雇用管理サポートの専門家として事業所に出向き協力 ◇公共機関との連携により視覚障害受講者の就職活動支援 3.視覚障害者に対する指導者の育成・拡大 ◇視覚障害者職業訓練指導員研修への協力 ◇視覚障害者に対するIT支援者研修、障害者就労支援センターの  セミナーなどへの協力 民間の視覚障害者就労支援施設として忘れてはならないところです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www6.ocn.ne.jp/~shurou/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎マルチタッチスクリーンに対応した、「ZoomText 10.1 for Windows8」  今回は、6月10日に株式会社アメディアから発売された Windows画面拡大表示ソフト「ZoomText 10.1 for Windows8 日本語版」を ご紹介します。  ZoomTextは、世界中で弱視の方々に愛用されているWindowsの表示画面を 拡大し、見やすくするためのソフトウェアです。  Windows8.1の表示画面を1〜60倍まで拡大可能。拡大した画面は 全画面または任意の大きさで部分表示し、標準画面と同時に 表示することができます。 拡大してもギザギザのない滑らかな文字を表示するxFont機能や 画面色を反転したり、マウスのポインタの色や大きさを 変更することができます。 そのほか、拡大画面内を任意のスピードで自動的にスクロール、 マウスホイールを使用したズームイン・ズームアウト、ホットキーを使用した キーボードによる拡大・縮小・スクロール等操作、Windowsログオン画面の 拡大などが可能。 メニューやダイアログのフォーカス部分を強調表示する フォーカス強調機能などを搭載。 また、強化されたズームテキストウェブファインダーで アプリケーションや文書、Webのリンク、全画面内のテキストなどを すばやく検索。直観的な抽出および検索ツールで目的の項目を 簡単に見つけることができます。  新たにOffice2013、Internet Explorer 10、 マルチタッチスクリーンデバイス(タブレット含む)での動作に対応。 Windows7、Vistaに対応したバージョン10.0同梱。 ●動作環境 対応OS:Windows8、8.1(同梱のZoomText10.0はWindows7、Vista) ●価格(税込) 標準価格:64,584円 アップグレード価格:32,184円 ※アップグレード版は「ZoomText8.1」「ZoomText9.0」「ZoomText9.1」 「ZoomText10.0」をお持ちの方が対象となります。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.amedia.co.jp/product/zoomtext/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎平成26年度 第2回 神戸ライトサロン」を開催 特定非営利活動法人 神戸アイライト協会は、見えない、見えにくいかたや、 ご家族、医療・福祉関係者、関心のあるかたがたが集まって、 自由な雰囲気の中で交流をするイベント「神戸ライトサロン」を開催します。 *日時:2014年9月6日(土) 13:30〜16:30 *会場:中山記念会館内 神戸ライトセンター 2階 *内容:ミニ講座、小グループに分かれての交流会、 *参加費:無料 *定員:30名(事前予約制) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eyelight.eek.jp/lsalon2602.html#readstart ◎事務処理科公開授業を実施 社会福祉法人 日本盲人職能開発センターでは、仕事に必要な 法律知識を得るために下記の授業を行います。 *日程:9月4日(木)〜12月11日(木) 全11回 *場所:日本盲人職能開発センター *参加費:無料 *申込:日本盲人職能開発センター 事務処理科担当 廣川 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.os.rim.or.jp/~moushoku/OA_jimu/2014business.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽にお寄せ  ください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スタートメニューが復活するのではと期待されていたWindows8.1の アップデートが見送られ、しばらくは今の環境で使っていくことになりそうです。 一方で、スクリーンリーダーが進化し、スマートフォンの入力支援アプリが 開発されるなど、技術の進歩も活発です。 サポートする側には、今後も新しい時代への対応が 求められていると思います。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は9月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━