━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2017年3月号 No.125                       2017年3月24日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  iPhoneにして思うこと ● プロフェッショナルコース  IF関数の使い方 その3 ● 【コラム】 パソコンよもやま話  iOSアプリ 衣服の色調べ [2] サポートお役立ちサイト  日本盲人会連合が平成28年12月に毎日新聞と共同で実施した  鉄道駅に関するアンケートの調査結果 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  神奈川県ライトセンター [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  世界の将棋ファンと対局だ、「EXTRA将棋倶楽部24アクセス for Windows」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第194回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎iPhoneにして思うこと iPadの良さは、私たち強度の弱視にとって、画面の大きさが何よりですね。 基本操作は、VoiceOverは使わず、タッチでの操作も結構可能です。 そんな私が、最近、らくらくフォンからiPhoneに替えました。 そうすると、基本操作もタッチ操作ではなかなか難しくなります。 電話などはミスタッチしてしまい、間違い電話を結構しました。 無意識にタッチしてしまうのです。わかっていたことですが、これは結構 苦労しました。 iPhoneではズーム機能で拡大すると全体が把握できないということも あります。 何を操作しているのか分からなくなります。 小さな画面だとこのことはさらに大きな問題となります。 ここで安心なのはVoiceOverを活用することです。 VoiceOverを活用すると、音声で前もって確認してそれで実行ができるのです。 間違いなく操作していくためには、確認して操作することが大切です。 操作に時間がかかりますが、間違い電話はなくなります。 それに、音声で聞くことを習慣づけると、Facebookなどを音声で聞くことが できます。 画面を見るのがなかなか困難な環境下、例えば電車の中でも聞くことなら できるのです。 私の場合には、アイコンの位置はわかります。 その内容はVoiceOverで確認しますが、アイコンの位置が分かることだけでも、 操作には便利なのです。 強度の弱視の場合このような操作は大変役立つと思います。 ただ、最初に述べましたが写真の楽しさなどは、やはりiPadには かないませんね。この良さはやはり素晴らしいことです。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎IF関数の使い方 その3 今回のPDF版は http://smuramura.web.fc2.com/201703S/if3_STR.pdf をご覧ください。 1.文字列としての比較(等しい条件) 二つの文字列が等しいかを判定する場合、 =IF(A1=B1,”同じ”,”違う”) の様にして判定します。 二つの文字列が等しい条件は文字の数が等しいことも必要です。 半角と全角は異なる文字として判定されますが、小文字と大文字は 同じ文字として判定されます。 そのほかにも注意が必要な組み合わせがあるので説明します。 2.注意が必要な比較 (1)半角小文字のabcと半角大文字のABCは同じと判定されます。 (2)半角小文字のabcと全角小文字のabcは異なると判定されます。 (3)半角の場合、数値の123と文字列の123は異なると判定されます。 [Shift]キー+[7]キーのあと123を入力すると文字列の123になります。 (4)文字列は左詰めになります。空白も処理の対象になるので abcとabcのあとに空白がある場合、見た目は同じですが、異なる文字列として 判定されます。同じ文字列として取り扱うには前後の空白を削除してくれる TRIM関数を使用します。 =IF(TRIM(A12)=TRIM(B12),"同じ","違う") がその例です。 3.空欄のセル セルに文字列や数値などがないことを判定したい場合、 =IF(A1=””,”A1は空欄”,”A1は空欄でない”)や =IF(ISBLANK(A1),”A1は空欄”,”A1は空欄でない”) を使用します。 空欄の文字列と空白文字だけがあるセルは見た目が同じに見えるので 注意が必要です。 4.空白文字だけのセル セルに空白文字だけがある場合、空欄とは判定されません。 空白文字には全角と半角があります。 空白文字だけのセルも空欄としたい場合、TRIM関数を使用します。 空白文字を削除してくれます。 =IF(TRIM(A18)="","左端は空欄または空白","左端は空欄または空白でない") がその例です。 5.数値の比較で必要な注意 セルの値が2.1でも小数点以下を表示しないと、2だけが表示されます。 純粋な2と比較すると異なる内容なので、比較すると異なると判定されます。 見た目は同じですが、異なると判定されます。 6. 文字列の大小の比較 文字コードによって比較します。AとABは短いAが小さいと判定されます。 文字列大小比較ルールは、住所の並び替えの場合に重要です。 次回は文字列の並び替えについて説明します。 参考となるエクセルシートを用意しました。 http://smuramura.web.fc2.com/201703S/if3_STR.xlsx です。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎iOSアプリ 衣服の色調べ 介護保険の申請時など、「介護が必要な状態かどうか」「どの程度介護を 必要としているか」などを判断する場合の一つに、視力、聴力、麻痺の有無、 寝返り、介助の必要性(衣服の着脱)などが調べられます。 この衣服の着脱について、視覚障害者であれば、少なからずの人が、 「できる」と答えているようです。 でも、本当でしょうか? 腕を通し、ボタンをはめることはできても、色のコーディネートまで できているのでしょうか。 そんな不便さを少しは援助してくれるアプリの紹介です。 もちろん、このアプリを利用できたから、衣服の着脱ができるとは 言えないかと思うのですが、手助けや、手がかりにはなるのでは ないでしょうか。 衣服の色調べより、一部引用します。 ※URLが長いため、途中で改行しています。 https://itunes.apple.com/jp/app/%E8%A1%A3%E6%9C%8D%E3%81%AE%E8%89%B2% E8%AA%BF%E3%81%B9/id1074506449?mt=8 視覚障害者が、衣服の色と模様を自ら選べるように、目の代わりをする アプリです。 衣服を撮影すると、音声でその色と模様を教えてくれます。 衣服に含まれる色を4色以内で表現し、模様は縦縞、横縞、チェック、無地、 その他の模様(単に模様と表現)の5つのカテゴリで表現します。 撮影場所は、直射日光が入らない室内とし、アプリを起動後、衣服から 40cm程度カメラを離して撮影します。 自動的にフラッシュ撮影になります。適切な色の補正が可能な機種は、 iPhone4S, 5S, 6, 6S です。 それ以外のiPhoneでも動作します。iPhoneのVoiceOver機能と アプリの音声案内により、目の見えない方でも使用が可能です。 画面の遷移が音声でわかるようになっており、シンプルな構成に なっています。 * マナーモードは解除して使用します。 このシステムは、視覚障がい者の自立生活を支援するために、 研究開発されたシステムです。照明環境によって変化する色を 正しく認識するために、特別な色の補正方法を用いています。 詳細は、 http://irosirabe.net/color/ で案内しています。                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎日本盲人会連合が平成28年12月に毎日新聞と共同で実施した  鉄道駅に関するアンケートの調査結果 ここ1から2年、視覚障害者の駅ホームからの転落事故が大きな問題に なっています。 昨年の12月300名の視覚障害者にアンケートを実施した結果が発表されました。 日盲連の団体としての特徴に規定された回答者の傾向はありますが、 一つの問題提起としてとらえることができます。 アンケート調査の実施目的 鉄道駅の利用について、全国の視覚障害者が置かれている状況を 把握するために実施しました。 内容は以下の2点です。 @駅ホームでの転落について A駅ホームの安全性の確保について この二つの問題についての回答が主な内容となっています。 PDF版とテキスト版で読むことができます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。  http://nichimou.org/notice/170313-jimu/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎神奈川県ライトセンター 〜神奈川県が設置し、日本赤十字社が指定管理者として運営している 視覚障害の皆さま、また、視覚障害者を支援する方々のための施設です。〜 *ライトセンターについて ライトセンターは、神奈川県内の視覚障害福祉の向上のために、 日本赤十字社の基本理念である「人道」「公平」を掲げ 視覚障害の皆様のために、視覚障害援助ボランティアの皆様のために、 積極的に業務を行わせていただいています。 *事業紹介 ・ボランティア育成事業 神奈川県下の視覚障害援助ボランティア育成や視覚障害援助関係グループへの 「研修会・勉強会」の実施や協力、相談等を行っています。 1. 視覚障害援助ボランティア養成講座  入門から各種専門、指導者まで様々な講座を行っています。 2.視覚障害援助関係グループへの研修会・勉強会の実施や協力、相談等  当センター主催の「各種研修会・勉強会」の実施や地域グループへの 様々な相談や講座・研修会等の協力を行っています。 ・スポーツ振興事業 神奈川県ライトセンタースポーツ振興事業は、視覚障害者の健康・維持増進 社会参加の促進を主目的に平成5年に新たに加わりました。 体育館、プール、卓球室、トレーニングルーム、クライミングボード、 ジョギングコースがあり、各種教室や、イベントなどを開催しています。 施設も視覚障害者が利用しやすいよう配慮・設計されています。 利用対象者は、神奈川県内に在住・在学・在勤の視覚障害者です。 (ご利用にあたり、利用登録が必要となりますので詳しくはお問い合わせください) ・普及啓発事業 視覚障害者に対する理解を深めていただくための視覚障害者福祉教室などを 開催しています。    また、施設見学も受け付けています。 ・機関誌「ライトセンターだより」の発行 ・クラブ活動 視覚障害者と晴眼者が自主的に組織するクラブ活動に対し 援助を行っています。 ・交歓行事 各地域の交歓行事に対し、資材の提供などの援助・協力を行っています。 ・用具展示・あっせん 日常生活用具の展示並びに白杖・点字器・点字用紙などのあっせんを 行っています。 ※用具のあっせんは、利用者の皆さまの便宜を図るために行っており、 白杖・点字用紙   など一部の品物について取り扱っています。 (販売ではありません) ここは視覚障害者向けの施設としては大変ユニークな活動を行っています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kanagawalc.org/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎世界の将棋ファンと対局だ、「EXTRA将棋倶楽部24アクセス for Windows」  今回は、1月26日に有限会社エクストラから発売された将棋ファン待望! パソコンで対局が楽しめる「EXTRA将棋倶楽部24アクセス for Windows Ver.1」をご紹介します。  本ソフトは、日本最大のネット将棋道場「将棋倶楽部24」に 視覚に障害のある人々が参加して全国さらには世界の将棋ファンと交流して 将棋を楽しむためのWindowsソフトウェアです。  「将棋倶楽部24」は無料のネット将棋道場です。インターネットを通じて 24時間いつでも将棋の対局を楽しめます。対戦相手は全国・世界の 将棋ファンです。対人対局ですので、お互いマナーを守って 将棋を楽しみましょう。 将棋倶楽部24Webページには操作方法に加えて注意事項や役立つ情報が 紹介されています。初めて将棋倶楽部24をお使いになる方は「守ってね」の 内容を確認してからお楽しみください。  本ソフトで将棋倶楽部24にログインするには将棋倶楽部24の アカウントが必要です。 アカウントの取得にはあらかじめIEなどを用いて登録作業を行っていただく 必要があります。視覚障害者が独力でアカウントを取得することは 現時点では困難ですのでどなたかの支援を受けてください。 将棋倶楽部24Webページ http://www.shogidojo.com/ ●動作環境 ハードウェア:メモリ2GB以上、LANカードもしくはWi-Fi必須 対応OS:Windows10, 8.1, 8, 7の32bit版および64bit版 ※WindowsRTやWindows10 Mobilには対応しておりません。 スクリーンリーダー:JAWSシリーズ、PC-Talkerシリーズ、NVDAシリーズ 価格:16,200円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/ex_shogi24/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第194回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 アイサポート仙台(仙台市中途視覚障害者支援センター)では、 第194回仙台ロービジョン勉強会を開催します。 *日時:2017年4月12日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *内容:教員養成,東北大学から宮城教育大学へ *参加費:300円 *お申し込み・お問い合わせ先:アイサポート仙台 仙台市中途視覚障害者  支援センター  Tel:022−212−1131  E-Mail:sisien@sky.plala.or.jp 詳しくは上記お電話かメールにてお問い合わせください。 ◎ワンポイント講座「excel 2013のグラフ、キーボードと音声ではこう使う」 Excel 2010と操作法が変わったExcel 2013のグラフ、 キーボードと音声での使い方をご紹介します。 もちろん、excelのグラフ操作が初めてという方の受講も大丈夫です。 *日時:2017年4月29日(土) 13:00〜17:00 *場所:SPAN三田スカイプラザ *定員:4名(お申し込みが2名以上の場合に開催します。) *受講料:8,000円(4時間、テキストを含む) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/activity/index.html#future20170429 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   無料のネット通話Skypeなどを利用して行う講座で、教室に来なくても   学べます。内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   就労中の視覚障害者を対象とした職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、平成28年度下半期の訓練の受付を行っています。  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、夜間講座、ワンポイント講座   土曜日やウイークデーの夜間にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って半日で学ぶ講座です。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、4月29日(土)のワンポイント講座の募集をしています。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、5月7日(日)の募集をしています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/offering/index.html *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が大切な活動資金になっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。  また、以下のサイトの中の「応援する」ボタンを毎日押していただくことで SPANを寄付でご支援いただけます。ぜひご協力ください。 http://gooddo.jp/gd/group/span/?from=fbn0 ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 各地から桜の便りも聞かれるようになりましたね。 そして、3月は門出の季節、就職や進学で新たな生活を始める方もいると 思います。それに伴い、新しいICT環境に接することもあるでしょう。 私たちは、そうした方々への情報提供も続けていきたいと考えています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は4月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら http://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━