広報誌 SPAN2014 創刊号 〜 視覚障害者のPC・ICT利用を進めるための掛け橋となることを目指して 〜 ICTで視覚障害者の社会参加と就労を支援 2014年7月発行 SPANは 視覚障害者のS  パソコンのP  アシストのA  ネットワークのN 発刊にあたって 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 理事長 北神(きたがみ) あきら  私たちSPANは、一人でも多くの視覚障害者がパソコンなどのICT(情報通信技術)機器を使いこなすことで人生を豊かにし、それが自立と社会参加につながり、ひいては、それが就労に発展してほしいという願いを込めて活動を続けています。  最近は、多くの視覚障害者がパソコンや携帯電話を活用し、中にはスマートフォンやタブレットPCを駆使する人もいて、私たちの思いは少しずつ実現に近づいていると感じています。  しかし、まだまだこうした機器の恩恵を受けていない人が多数を占めていると思われ、目標までの道のりは遠く、険しいものがあります。  そんなSPANの活動を、多くの方々に知っていただくため、この度、広報誌「SPAN2014」を発刊することになりました。  私たちの歩みは小さなものです。でも、それが全国の同じ目標を持つ仲間と力を合せることで大きな波となって社会を動かすことができると思います。  どうぞ、この誌面から、そんな私たちSPANの思いを感じ取っていただければ幸いです。 SPANの活動理念 SPANは、1999年11月に発足し、2001年にNPO法人の認証を受けてから、視覚障害者のパソコンやICT(情報通信技術)の利用が快適・積極的に進むよう、点在する組織や情報を繋ぎ合わせることを目指す有志によって活動を続けています。 SPANの特徴と8つの活動 特徴 ・ 視覚障害者と晴眼者が同じ立場で活動している ・ 初級講座から職業訓練まで、幅広いニーズに応えられる ・ Microsoft Officeのマニュアルなど、豊富なテキストを制作 ・ Skypeを利用した講座など、多様な講習形態に対応 ・ Windows8やスマートフォン・タブレットPCなど、最新の技術にチャレンジ 図 8つの活動 1.パソコン教室開催と普及活動 2.社会参加と就労を支援 3.サポートスタッフへの講習会の開催 4.パソコン活用促進の情報収集と提供 5.ハードウェア・ソフトウェアの評価及び提言 6.個人や団体、行政との情報交換 7.他の関係団体の設立及び運営支援 8.機関紙の発行 図 終わり 2ページ目 これまでの 活動<風景> これからの 活動<予定> 2013年度活動実績 表 1 自主事業   事業名  延べ日数  開催回数   参加者数  夜間講座・土曜講座    23    6    21 個人対象講座    12    12    12 視覚障害者職業スキルアップセミナー  2    2     60 タブレットPC体験講座   2  2 16 インストラクター養成講座   7 7 24 会員向け勉強会等   10  10 65 合計   56  39 198 表 2 受託事業  事業名   開催回数   参加者数  TEPIA パソコン指導者養成講座 2 23 TEPIA 遠隔指導者養成講座     6 24 東京しごと財団 在職者訓練 4 5 宮崎県立視覚支援学校 職員研修会 1 50 桶川市 視覚障害者パソコンサポーター入門講座 2 24 文京区 ボランティア講座・パソコン教室 4 28 豊島区 ボランティア講習会 1 3 合計 20 157  その他 みなと区民まつり    1  11 表 おわり 2014年度活動実績 (1月〜6月) 表 1 自主事業  事業名  延べ日数  開催回数  参加者数 夜間講座・土曜講座 18 4 12 個人対象講座 19 19 19 インストラクター養成講座 3 3 16 会員向け勉強会等       4  4 38 合計 44 30 85 表 2 受託事業  事業名   開催回数  参加者数 東京しごと財団 在職者訓練        3 3 清瀬市 音声パソコンボランティア講座 1 11 いわき市 パソコン教室 1 4 合計 5 18 表 終わり 各活動風景の写真 写真1 職業スキルアップセミナー  職業スキルアップセミナーでの体験発表。  会場は日本盲人職能開発センター。 写真2 SPANサロン  会員向け勉強会、テーマは新しいスクリーンリーダーのNVDA。教室は参加者の熱気で一杯! 写真3 土曜講座 晴眼者がサポートしやすいように、ディスプレイの向きを変えています。 受講した方からは、「少人数の講座で、テキストにない質問にも臨機応変に対応いただき、便利なキー操作を知ることもできた」など、感謝の声が寄せられました。 写真 終わり    表 2014年度活動予定 (7月〜12月)  活動名   内容   実施時期 土曜講座 word 2010を使いこなそう! 7月〜8月 夜間講座 日商PC検定3級(データ活用)受験対策 8月〜9月 土曜講座 企業データの読み方を予定 9月〜11月 夜間講座 Excel活用を予定 10月〜11月 視覚障害者職業スキルアップセミナー パソコン以外の職業スキルを予定   11月 インストラクター養成講座 第96回〜第98回 7月、9月、11月 SPANサロン 会員向け勉強会等 7月〜12月 みなと区民まつり 港区主催のイベント 10月 表終わり 3ページ目 受講者やサポートスタッフに 「ちょっとインタビュー」 「20代・30代の仲間とのネットワークを広げていきたい」 受講者 上田(うえた) 喬子(たかこ) さん 27歳  顔写真があります。 2013年1月入会(15歳のときに全盲) Q:SPANとの出会いは? A:盲学校などでパソコンを教えていて、更なるスキルアップをめざしてインストラクター講座を受講したのが最初です。 Q:SPANではどのような活動をされていますか? A:遠隔講座・在職者訓練・土曜講座(Word)など担当しています。SPANサロンにも遊びに行っています。 Q:活動の中で印象に残っていることは? A:日本語の音声パソコンを使いたいと言う、台湾の方への遠隔講座です。海外のスクリーンリーダーや私たちを取り巻く環境など、講座の枠を超えて話が出来ました。スカイプを使って、海外にもサポートの和が広がると楽しいだろうなと思いました。 Q:普段のお仕事や趣味などを聞かせてください。 A:声楽を学んでいたので、コンサートで歌ったり、点字の楽譜を教えています。最近、ウォーキングと囲碁を始めました。 Q:お仕事をされていて大変だと思うところはありますか? A:インターネットやメールでのマナーなども伝えていきたいです。また日々新しい技術が発展し、パソコンを買い替える度に、スクリーンリーダーやソフトなどの費用負担が厳しいと言う声があります。行政からの補助制度を勧める他、安価なソフトの情報を探して、SPANのネットワーク、メーリングリストやメールマガジンを活用しています。 Q:今後SPANの活動を通してやってみたいことは? A:多才な方々がいるので、いろいろな活動に参加させていただき、世界を広げていきたいです。SPANの展開としては、高齢の方のニーズにも対応したり、活動を発展させていくためにも多くのサポーターの力が必要です。活動拠点の近隣にはいくつか大学もあるので、学生さん方へも、知っていただく機会を設けるなど、20代、30代の人たちにも、SPANのネットワークが広がればと思います。 ありがとうございました。 「視覚障害者と晴眼者との垣根のない交流が魅力」 サポートスタッフ 加藤(かとう)実(みのる) さん 58歳  顔写真があります   2014年1月入会 Q:視覚障害者のサポートを始められたきっかけは? A:息子の結婚相手のご両親に聴覚障害があり、コミュニケーションを取るために手話サークルに通いました。そこで、視覚障害者がメールをしているということに驚き、興味を持ちました。 Q:SPANに入会されたきっかけは? A: SPANのウェブサイトで支援者向けインストラクター養成講座を見つけ参加しました。視覚障害者自身が豊富な知識を元に講師をされている姿に感銘を受けました。障害者と健常者の垣根を越えて、皆で対等に交流出来る環境に魅力を感じて入会しました。 Q:実際に講座のサポートをされて、いかがでしたか? A:最初は、何をしていいのかわかりませんでした。受講生の席にパソコンを並べる方法にも工夫がありました。基本的にスクリーンリーダーを使いますので、画面は必要ありません。サポーター(晴眼者)が、一度に各々の進捗状況を確認できるよう、画面を一つの方向に向けて講座が行われることを知り、なるほどと思いました。 Q:SPANに入会して感じることは? A:皆さん自活力が高いと感じます。自分たちでやってみると出来ることがあるという可能性や工夫をこらす姿勢は、他の団体や障害者にもアピールしてほしいです。 Q:普段、SPANの他にされている活動などありますか? A:知的障害者の移動支援、視覚障害者の同行援護の資格を得たので、土日はそれらの活動をしています。手話サークルを通して知り合った仲間で、障害の種類による分け隔てなく、また健常者との垣根も越えて、皆で交流できる会を発足しました。 ありがとうございました。 4ページ目 詳しい内容については お気軽にお問い合わせください 視覚障害者の方へ ・個人対象講座 受講する方のニーズに合わせたプライベートレッスンです。パソコンのほか、スマートフォンやタブレットPCにも対応します。また、Skypeを利用した遠隔講座もお受けします。 ・在職者訓練 公益財団法人 東京しごと財団からSPANが委託を受けて実施する在職中の視覚障害者の方を対象とした職業訓練です。 ・夜間講座・土曜講座 テーマを決めて夜間や土曜に、複数日を1コースとして実施する講座です。 ・視覚障害者職業スキルアップセミナー 就労中の方、就職を目指す方、また、視覚障害者を雇用する立場の方々を対象としたセミナーで、職業スキルや通勤、またコミュニケーションなど、就労に関わるさまざまなテーマを取り上げます。 ・個別相談への対応 PC操作や就労など、視覚障害者の方からのご相談に応じます。 視覚障害者を雇用する企業の方へ ・在職者訓練 公益財団法人 東京しごと財団からSPANが委託を受けて実施する在職中の視覚障害者の方を対象とした職業訓練です。 ・社員研修 全国各地の企業に、SPANのスタッフが出向いて行う、視覚障害のある社員のためのパソコン操作を中心とした研修です。 ・視覚障害者職業スキルアップセミナー 就労中の方、就職を目指す方、また、視覚障害者を雇用する立場の方々を対象としたセミナーで、職業スキルや通勤、またコミュニケーションなど、就労に関わるさまざまなテーマを取り上げます。 ・個別相談への対応 視覚障害者を雇用する、あるいは雇用を考えている企業の方々からのご相談に応じます。 視覚障害者へのサポートをしてくださる方へ ・インストラクター養成講座 パソコンを中心とした、視覚障害者へのサポートの基本を学んでいただく講座で、原則として奇数月の第2日曜日に実施します。 SPANでサポートをしていただく方は、この講座を受講してください。 公的機関、団体の方へ ・出張講座 視覚障害者、あるいは指導者養成のための講座を、SPANのスタッフが全国各地に出向いて実施します。 全てのみなさんへ ・テキストの公開 Windows 8、iOS、Office 2010のマニュアルをWebサイトで公開しているほか、(冊子)視覚障害者のためのパソコン入門テキスト(Windows Vista編)、宛名職人テキスト(CD)を提供しています。 ・パソコンサポートデータベース 視覚障害者へのパソコンサポートを行っている全国の団体のデータベースをWebサイトで公開しています。 寄付のお願い SPANは公的な補助を受けず、自主運営している団体です。それだけに、皆様からのご寄付が活動を維持するための貴重な財源となっています。私たちは、視覚障害者がICT(情報通信技術)を使いこなすことで、自立と社会参加、そして就労を促進させる活動をしています。この活動に共感していただける方のご支援をお願い致します。 振込先: 郵便振替口座 00110-4-183315 スパン寄付金口 写真 SPANの教室  「スカイプラザ」の愛称で呼ばれ、コンパクトでアットホームな雰囲気です。 写真 終わり 奥付 2014年7月21日 発行 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 〒108-0014 東京都港区芝5-29-22 フェリス三田1103 電話&ファクシミリ 03-6435-1614 E-mail office@span.jp URL http://www.span.jp/ Facebook https://www.facebook.com/span.jp Twitter https://twitter.com/npo_span