広報誌 SPAN2015 第2号 2015年5月発行 〜 視覚障害者のPC・ICT利用を進めるための掛け橋となることを目指して 〜 ICTで視覚障害者の社会参加と就労を支援 SPANは  視覚障害者のS   パソコンのP   アシストのA   ネットワークのN の略 NPO法人SPANと連携しています! 社会福祉法人 日本盲人職能開発センター  施設長 杉江勝憲(すぎえ かつのり) 当センターは、視覚障害者の方々に障害者総合支援法による就労継続支援B型事業(定員40名)と就労移行支援事業(定員18名)、また、障害者職業能力開発助成金による事務処理科事業(OA実務科コース定員5名、ビジネス・ワーク科コース定員5名)を運営しています。 残念ながら、私どものこれらの事業では、現職復帰を目指す方、学生、自宅での訓練希望者などの要望には制度的に対応することができません。 NPO法人SPANは、制度でカバーできない視覚障害者の方々へのパソコン支援が行える貴重な団体であります。 また、視覚障害者に対し長年にわたり支援を積み重ねられて、パソコン支援では我が国で屈指の支援技術を誇っています。 当センターは、視覚障害者のパソコン支援のため、今後もNPO法人SPANと連携しながら、その活動を支援して参ります。 SPANの活動理念 SPANは、1999年11月に発足し、2001年にNPO法人の認証を受け、視覚障害者のパソコンやICT(情報通信技術)の利用が快適・積極的に進むよう、点在する組織や情報を繋ぎ合わせることを目指す有志によって活動を続けています。 SPANの特徴と活動 特徴  ・視覚障害者と晴眼者が同じ立場で活動している  ・初級講座から職業訓練まで、幅広いニーズに応えられる  ・ Microsoft Officeのマニュアルなど、豊富なテキストを制作  ・ Skypeを利用した講座など、多様な講習形態に対応  ・Windows8やスマートフォン・タブレットPCなど、  最新の技術にチャレンジ 活動 図:9つの活動   PC教室開催と普及活動   社会参加と就労を支援   PC活用促進の情報収集と提供   ハード/ソフトウェアの評価及び提言   個人や団体、行政との情報交換   サポートスタッフへの講習会の開催   他の関係団体の設立及び運営支援   機関紙の発行   その他の事業 2ページ目   これまでの活動 2014年活動実績(1月〜12月) 表1:講座・セミナー等   夜間講座  日商PC検定受験対策、Outlook、Excel実務活用などをテーマに4回実施   土曜講座  XP・2003ユーザーのためのWindows7・Office 2010の操作、           Access、Word応用、企業  会計などを4回 実施    個人対象講座  受講する方のニーズに応じた内容で約60回実施   視覚障害者職業スキルアップセミナー             「通勤と職場生活」、「管理職・専門職」をテーマに開催   インストラクター養成講座  視覚障害者へのパソコン指導の基本を学ぶ講座として5回実施   東京しごと財団在職者訓練  在職中の視覚障害者への職業訓練として7回実施   企業研修  職場からの依頼により、在籍する視覚障害者への職業研修を実施   受託講座  文京区、清瀬市、桶川市、いわき市ほか、視覚障害者支援団体の依頼により実施   みなと区民まつり  港区が主宰するイベントに出展 SPANの活動紹介 表2:情報提供   Windows8.1 操作マニュアルを制作してWebサイトで公開   企業向け啓発ビデオ「ある日、職場の同僚が視覚障害になったら」を制作   広報誌「SPAN2014(創刊号)」を発行 2015年活動実績 (1月〜5月) 表1 講座・セミナー等   夜間講座  Windows8.1 の基本操作をテーマに実施   土曜講座  PowerPoint 2010をテーマに実施    個人対象講座 受講する方のニーズに応じた内容で約20回実施   インストラクター養成講座 視覚障害者へのパソコン指導の基本を学ぶ講座として3回実施   日本ユニシス茶話会  寄付をいただいた日本ユニシスグループの社員のみなさんと懇談するための茶話会を開催 表終わり 写真1: SPANサロンの土曜講座      ワード2010の活用法の講習がSPANサロンで行われました。 写真2: 桶川市でのボランティア講座      画面読み上げソフトを利用したWord・Excelの指導法を学ぶ桶川市のボランティアのみなさん 写真3: 日本ユニシスで茶話会      企業向け啓発ビデオを見る日本ユニシスグループ社員のみなさん 写真終わり これからの活動 2015年活動予定 (6月〜12月)  表1:講座・セミナー等   夜間講座  日商PC検定受験対策、Wordで画像入り年賀状作成、宛名職人ではがき作成などをテーマに実施    土曜講座  NVDAを利用したOffice 2010の操作、Excel VBA、総務・人事の業務をテーマに実    SPANサロン 会員向け勉強会等、月1回程度実施   視覚障害者職業スキルアップセミナー   視覚障害者資格取得をテーマに開催   視覚障害者継続就労セミナー  視覚障害者が働き続けることをテーマに11月開催   パソコン・タブレットPC無料体験会 視覚障害者対象の体験会   インストラクター養成講座    7月、9月、11月の第2日曜日実施   第24回視覚障害リハビリテーション研究発表大会(福島市)   ポスター発表で参加   日本盲人職能開発センター主催のロービジョンセミナー SPANの活動紹介で出展   みなと区民まつり      SPANの活動紹介のほか、お楽しみコーナーも開設  表:情報提供   Office 2013操作マニュアルをWebサイトで公開 表終わり 3ページ目 会員に 「ちょっとインタビュー」 会員 中澤 悠江(なかざわ やすえ) さん 30代  顔写真 あり 2014年8月入会 Q:SPANとの出会いは? A:事務職をしていますが、2年ほど前、会社のパソコンが変わってしまい操作に困っていた時に受けた講習会が、SPANの講師をされている方のものでした。その後、いくつかの講座を受講しています。 Q:講座の中で印象的だったことは? A:スクリーンリーダーを選択できることです。スクリーンリーダーは、ソフト毎に少しずつ操作の方法が変わります。講習会によっては使用するスクリーンリーダーが決まっているので、興味深いテーマがあっても、スクリーンリーダーが違うことで受講を断念したこともありました。自分で選べるのは画期的で嬉しいオプションです。 Q:入会のきっかけは? A:自分の世界を広げたいと考え、きっかけを探していました。SPANのアットホームな雰囲気の中で、楽しみながら新しいことに挑戦できるのではと期待して、入会しました Q:他にも、趣味など好きな活動はありますか。 A:香りが好きで、アロマテラピーの資格を取りました。レモンやペパーミントのさわやかさがお気に入りです。職場のマッサージルームを管理しているので、リラクゼーション効果のあるアロマを焚くなど、学んだ知識を仕事にも活かせました。 Q:今のSPANについてずばりどう思われますか? A:視覚障害者の間で、もっと認知度が上がればよいと感じます。私自身ずっと会の名前しか知りませんでしたし、視覚障害のある知人に話しても「SPANって何?」と聞き返されることがあります。パソコンサポートを必要とする当事者の方に、もっと活動を伝えて行ければと思います。 Q:今後、SPANの活動に期待すること、やってみたいことはありますか? A:iPhoneの応用講座!自己流で活用していますが、プロに教えてもらったら、実はもっと効率的な操作があるのではないかと感じます。初心者用の講座はありますが、もっと活用したい人のための応用的な内容は、SPANだからこそ提供できるのではないでしょうか、。 ありがとうございました!今後も一緒に活動を楽しんで行きましょう。 会員 堤 由起子(つつみ ゆきこ)さん 40代  顔写真あり 2008年5月入会 Q:講座の中で印象的だったことは? A:以前は富山やいわき、塩尻などに出向く出張講習が多く、泊りがけで伺いました。講座を通して地元の方とお話させていただけることがとても新鮮で楽しいものでした。震災の折りには、講座で訪れたいわき市に物資をたくさん送り、助成金で購入した線量計をプレゼントするときに再び伺いました。講座を通してお役にたてたことがなにより嬉しく思っています。 Q:他にも、趣味など好きな活動はありますか? A:20年あまり、視覚障害者の友人同士で作った朗読劇のサークルで活動しています。年に2回、公演会を行っています。「つの字」吉橋通夫作で、私は少年役をやったのですが、京都弁が難しく何度も練習しました。みんなで舞台を作るのはとても楽しいです。 Q:今のSPANについてずばりどう思われますか? A:多くの人が様々な形で会の行事や運営に関われるようなシステム作りが必要だと思っています。みんなで考えていかなければならない課題だと思います。 Q:今後、SPANの活動に期待すること、やってみたいことはありますか? A:今回初めて日商PC検定合格対策講座のインストラクターを担当することになりました。これを機に、インストラクターとしての技術をみがいて、次回の講座の担当講師ができるようにがんばりたいと思います。インストラクターの技術を高めることは将来の自分のスキルにもつながると考えます。講座以外に秋に参加予定の港区民祭りの企画を担当します。このような事業を通して、会員同士の交流が図れればと思います。 Q:これからSPANの講座を受けようと思っている方へ メッセージをお願いします。 A:視覚に障害があると、文字処理や文字を見ることが不自由になります。ですが、パソコンを使いこなせるようになると、それらの多くが解消されていきます。文字を読むのはもちろん、文字を書いたり、ネットから情報を収集したり、ショッピングをしたり…。世界がかくだんに広がります。今まで受け取るだけだった情報もこちらから発信することができるようになります。私は多くの方に、ぜひ、パソコンを使いこなせるようになって、生活をより便利に楽しいものに変えていってもらいたいと思います。 ありがとうございました。 4ページ目 SPANの活動から 個人対象講座 受講する方のニーズを大切に   「まさか全盲の私にイラスト入りのカードが作れるとは思わなかった」と語るのは古瀬 瑠美子(ふるせるみこ)さん。出来上がったお孫さんへの誕生日カードを手にとても嬉しそうでした。 古瀬さんがSPANの個人対象講座で学び始めたのは昨年の3月。仕事でパソコンは使っていましたが、WordやExcelをもっと勉強したいというのがきっかけでした。 まずExcelでオリジナルの家計簿を作成することから始め、約半年をかけて入出金を入力すると日計や費目計、また年間計などが自動計算される家計簿を作りました。 さらにスキルアップを望んだ古瀬さんに「Wordで画像入りのカードを作っては?」 と提案したところ、お孫さんへの誕生日カードを作ることにチャレンジ。 数回のレッスンでイラストが入ったカラフルなカードが出来上がりました。 このように、個人対象講座では受講する方の希望を大切に、出来る限りそれに応えながら講座を進めています。 取り上げるテーマもプライベートなものから検定受験対策、職業スキルの向上などさまざまです。 写真: お孫さんへの誕生日カードを手にする古瀬さん 満足そうな表情です 写真終わり ご寄付のお願い SPANは公的な補助を受けず自主運営している団体です。皆様からのご寄付が活動を維持するための貴重な財源となっています。私たちは視覚障害者がICTを使いこなし、自立と社会参加、就労していけるよう活動しています。 この活動に共感していただける方のご支援をお願い致します。 振込先: 郵便振替口座 00110-4-183315 スパン寄付金口 写真 SPANの教室  愛称は「スカイプラザ」  コンパクトでアットホームな雰囲気です。 写真 終わり 奥付 2015年5月21日 発行 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 〒108-0014 東京都港区芝5-29-22 フェリス三田1103 電話&ファクシミリ 03-6435-1614 E-mail office@span.jp URL http://www.span.jp/ Facebook https://www.facebook.com/span.jp Twitter https://twitter.com/npo_span