━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年2月号 No.4                        2007年2月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  どう教える?キーボード(1) ● プロフェッショナルコース  マイコンピュータの設定その1   【一口メモ】    「過保護」は禁物 [2] サポートお役立ちサイト  「さだかね商店」の 音声パソコンについて [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  助成金情報「社会福祉法人 丸紅基金」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  思い通りのHPがあなたの手に!   「さくさくビルダー4/プロジェクター」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  ユビキタス技術を活用した障害者の移動に関する2つのイベントを開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎どう教える?キーボード(1)  パソコンの学習で最初の難関ともいえるのがキーの配置を覚えることでは ないでしょうか。晴眼者ならさほど問題にならないでしょうが、視覚障害者 の場合は、タッチタイピング(以前はよく『ブラインドタッチ』といわれて いましたが、最近はこの呼び方が多くなっています)を習得することが必須 となります。ではこのキーボード、どのようにして学び、そして教えたら いいでしょうか。今回からその一つの方法をご紹介したいと思います。 *使うキーボードは同じものを.  一般に売られているパソコンにはさまざまなキーボードが付いています。 しかしこれはパソコンを学ぶ上では問題です。違った種類のキーボードでは 学ぶほうも教えるほうもやりにくいばかりでなく、パソコン学習の効率も 悪くなってしまい、あげくに「キーボードアレルギー」を起こしてしまう 恐れさえあります。  ではどうするかというと、同じキーボードで学習するのが一番です。現在 最も講習に適しているのが「109」と呼ばれるキーボードです。これは キーの数が109個あることからこう呼ばれていますが、このキーボードは JIS規格となっており、これに統一することでお互いが持つキーボードの イメージが統一されます。また、もしノートPCを使う場合もこのキーボード を接続して使うようにします。  これだけでもキーの配置を覚える負担がかなり軽減されるはずです。 ではなぜ「109」がよいかですが、それについては次回お話しします。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などがテーマです。 ◎マイコンピュータの設定その1 1. 今回の目的.  [スタート]メニューの設定の次に必要な設定は「マイコンピュータ」の 設定です。マイコンピュータの初期設定ではアイコンが2次元的な配置と なり、目的のアイコンにたどり着くことは困難になります。そこでアイコン を「縦一列」に並べることが必要になります。今回はその方法をお教え します。 2. マイコンピュータの起動.  第3回までの設定が終了していれば、マイコンピュータはスタートメニュー にあります。選んで起動します。 3. マイコンピュータの最大化.  誤操作防止のため、まずマイコンピュータが画面全部に広がる「最大化」 にします。 手順1.タイトルバーの左端にある「システムアイコン」をクリックする操作 の代替えである[Alt]+[Space]でシステムメニューを開きます。 手順2.下矢印キーを何回か押して「最大化」まで移動します。 手順3.Enterキーを押して最大化を実行します。この操作はすでに最大化に なっていてもかまいません。 4. 表示を詳細にする.  この操作を実施してアイコンを縦一列にします。 手順1.[Alt]キーを押してメニューバーの「ファイル」にフォーカスを 移します。 手順2.[右矢印]キーを何回か押して「表示」まで移動します。 手順3.[下矢印]キーを押してメニューを開きます。 手順4.さらに[下矢印]キーを何回か押して、「詳細」まで移動します。 手順5.[Enter]キーを押して「詳細」にチェックをつけます。 5. フォルダオプションの設定.  この操作をマイコンピュータを開くたびに行うことは、面倒なので、 マイコンピュータを開いた時に、いつもこの状態にする設定をします。 フォルダオプションには、他にも重要な設定項目があるので、順番に説明 します。 (ア) 「フォルダオプションダイアログ」を開く作業. 手順1.マイコンピュータを起動し、ツールメニューを起動します。 手順2.ツールメニュー中の「フォルダオプション」を実行します。フォルダ オプションのダイアログが開きます。このダイアログには「全般」、 「表示」、「ファイルの種類」、「オフラインファイル」の4個のタブが あります。 開いたときには必ず「全般」のタブの画面が開きます。 (イ) 「全般のタブの画面」の設定. この画面には3個のラジオボタングループと4個のコマンドボタン「規定値に 戻す」、「OK」、「キャンセル」、「適用」があります。 ラジオボタングループとコマンドボタンの移動は[Tab]キーです。ラジオ ボタングループ内のラジオボタンの選択は[上下矢印]で行ってください。 (1) 「作業」グループの設定. 「フォルダに共通の作業を表示する」と「従来のWindowsフォルダを使う」の 2個のラジオボタンがあります。「従来のWindowsフォルダを使う」にして おくと誤操作がありません。中級以上の場合は使用方法を説明した上で 「フォルダに共通の作業を表示する」にすると便利です。 (2) 「フォルダの参照」の設定. 「別のフォルダを開くとき新しいウインドウを作らない」と「フォルダを開く たびに新しいウィンドウを作る」の2個のラジオボタンがあります。 「別のフォルダを開くとき新しいウインドウを作らない」のラジオボタンを 選びます。もし、フォルダを選ぶときに別のウィンドウとして開きたい 場合は、[Ctrl]+[Enter]で開いてください。 (3) 「クリック方法」の設定. 「ポイントで選択し、シングルクリックで開く」、「シングルクリックで選択 し、ダブルクリックで開く」の2個のラジオボタンがあります。 「ポイントで選択し、シングルクリックで開く」を選ぶとマウスカーソルの ある場所のメニュー項目などが勝手に選択されてしまうので、誤操作が 発生します。必ず「シングルクリックで選択し、ダブルクリックで開く」に してください。 (4) 設定の実施. [Tab]キーを何回か押して、「OK」のボタンまでフォーカスを移動します。 [Enter]キーを押して設定を有効にし、ダイアログを閉じます。 (ウ) 「表示のタブの画面」の設定. (1) 開き方. 「全般のタブの画面」で[Ctrl]+[Tab]を押して「表示のタブの画面」に 切り替えます。 (2) 設定の適用. この画面は、フォルダの表示グループに属する2つのコマンドボタン 「すべてのフォルダに適用」と「全フォルダをリセット」と詳細設定の グループと「OK」、「キャンセル」、「適用」のコマンドボタンが あります。 この画面が開いた時には「すべてのフォルダに適用」のコマンドボタンが フォーカスを持っています。ここで[Enter]キーを押すと、今後新たに フォルダを開く場合に、現在の設定が有効になります。 「全フォルダをリセット」のコマンドボタンを押すと、フォルダの設定が 標準状態になります。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎「過保護」は禁物  教室に限らず、視覚障害者に接するとき、「過保護」になっていることは ありませんか?例えば、USBメモリーをパソコンのポートに差し込むとき 「やってあげましょう」と手を出してしまったり、お弁当の割り箸を袋から 出して、おまけに割って渡すなんていうことをしていませんか?  視覚障害者は決して「何もできない人」ではありません。多くは日常生活 の中で必要なことはほとんど独りでやっていますし、そうしたことへの意欲 を持っている人も決して少なくありません。  もちろん、一人ではなかなかうまくいかないこともあるでしょう。でも そうした場合でも、「お手伝いしましょうか?」と必ず相手の意思を確認 することが大切です。  パソコンも最後には単独で操作できなくてはなりません。教室でもこの 「できることは自分でする」という自立心を育てるのを常に頭に置きながら サポートをしていただければと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトを紹介。 ◎「さだかね商店」の音声パソコンについて  このサイトでは視覚障害者と音声パソコンの関わりについての説明が 掲載されています。 幅の広いサポート活動を目指す為には必読の内容です。 また「便利なキーボード入力・ショートカット」についても編集されて います。  尚、さだかね商店は広島市にあり、音声パソコン活用の製品販売・サポート を行なっています。 これから視覚障害者のパソコンサポートをしたいと考えている方々、 また実際にサポートをしているみなさん、ぜひご覧ください。 そして関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www1.megaegg.ne.jp/~sadakanet/voice-pc.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎助成金情報「社会福祉法人 丸紅基金」  今回も助成金の情報です。調べていくと、視覚障害者のパソコンサポート 団体が受けられそうなところが案外あることに気づかされます。  「社会福祉法人 丸紅基金」は30年以上にわたって助成金事業を行って いる基金で、毎年約1億円がさまざまな団体に贈られています。  平成18年度の実績でも、視覚障害者のパソコンサポート関連で助成を 受けているところがありますので、可能性はあると思います。  助成対象は以下の通りで、1件あたりの金額は原則として200万円を 限度としています。  (1)申込者(実施主体)は、原則として非営利の法人であること   (ただし、法人でない場合でも、3年以上の継続的な活動実績があり、   組織的な活動を行っている団体は対象とする)  (2)明確な目的を持ち、実施主体、内容、期間が明らかであること  (3)助成決定から1年以内に実施が完了する予定のものであること  (4)一般的な経費不足の補填でないこと  (5)申込案件に、国や地方公共団体の公的補助が見込めないこと、   また他の民間機関からの助成と重複しないこと *選考基準:  (1) 先駆的・開拓的な事業案件であって、社会福祉の充実・向上に波及   効果が期待されるものを優先します。  (2) 緊急性が高いものを優先します。  (3)社会福祉事業に従事する人々の環境改善・向上に役立つものを優先。 *申込方法:  所定の申込用紙に必要事項を記入の上、指定の書類を添付して事務局宛  送付して申込み。 *申込期間・決定:  毎年4月〜6月に申込みを受付け、10月に贈呈の発表を行います。 *問合せ先:  社会福祉法人 丸紅基金   〒108-0014 東京都港区芝5-20-6 丸紅東京本社 三田別館4階   TEL: 03-5446-2474・2475 FAX: 03-5446-2476   E-Mail: mkikin@marubeni.com   URL: http://www.marubeni.co.jp/kikin/index.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎思い通りのHPがあなたの手に!  「さくさくビルダー4/プロジェクター」  視覚障害者がホームページを閲覧できることはもはや常識です。最近では、 本格的なホームページを簡単に作れるソフトも着実に進化してきています。 今日は、昨年、日本障害者ソフトから発売された日本初のユニバーサル デザイン、視覚障害者支援ワープロ兼HPビルダーの最新版、「さくさく ビルダー4/プロジェクター」をご紹介します。  「さくさくビルダー4/プロジェクター」は、目の不自由な方が視力に 応じた文字拡大機能やわかりやすい音声ガイドなどをたよりに使える バリアフリーワープロ兼HPビルダーです。  普通のワープロソフトとしてももちろん使えますが、このソフトの最大の 売りは、タグ知識のない視覚障害者でも音声ガイドとキー操作でより 簡単にホームページを作成でき、搭載された新FTPシステムを使って サーバーへのアップロードや更新までを簡単に独力で行えるようになって いる点です。また、見た目に美しいレイアウトの印刷物も作れます。。  これからタグを勉強したいという方にも、タグ知識のある上級者の方にも 心強いホームページ作成支援ソフトとして使っていただけます。  このソフトは、「視覚障害者スタッフが一緒になって開発した」とある ようにショートカットや各種機能が充実しており、あなたにもきっとお望み どおりのホームページが作れると思います。  ただ、機能の充実は逆に使いこなすまでに多少の慣れが必要です。 ホームページを作りながら、タグのことも覚えてしまうくらいの意気込みが 望ましいといえるでしょう。価格は例のごとくお高いですが、日常生活用具の 「情報通信支援用具」として給付申請が可能ですので、お住まいの各市区町村 の福祉事務所または福祉課までお問い合わせください。 動作環境. ○OS:WindowsXPで動作確認済み。 ○視覚障害者の方は市販スクリーンリーダーが必要。 (XPReader、PC-TalkerXP Ver2で動作確認済み。その他は試していません。 xpNavoにも仕様されているSAPI5.1については現在動作検証中) ○価格:オープン(6万円前後) ○その他詳細は下記をご覧ください。  http://homepage2.nifty.com/JHS/saku4pr.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎ユビキタス技術を活用した障害者の移動に関する2つのイベントを開催 1.障害者等ITバリアフリープロジェクト成果発表会  (1)日時: 3月1日(木) 10:00〜12:00  (2)場所: 東京大学本郷キャンパス、工学部2号館221講義室 2.歩行者向け移動支援サービスの実用化・普及に向けたシンポジウム  (1)日時: 3月1日(木) 13:00〜16:00  (2)場所: 東京大学本郷キャンパス、工学部2号館221講義室  上記2つのイベントは、いずれもGPSや携帯端末などを利用した障害者の 移動支援システムの発展と普及を目的としたものです。 「成果発表会」は事前申込み(2月26日締切り)が必要ですが、 「シンポジウム」については申込みは不要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.itbarrierfree.net/ ◎Windows Vista対応の「Focus Talk」を発売  株式会社 スカイフィッシュはWindows Vistaに対応した画面読み上げ ソフト「Focus Talk Ver2.0」を1月31日に発売しました。  このソフトは、Windows Vistaのさまざまな機能のほか、Office2007、 Windows Media Player11やWindows Live Messenger、Adobe Reader8、また Skype3.0など多くのアプリケーションに対応しているほか、テキストデータを 音声に変換し、Waveファイルに書き出すテキスト録音機能も備えています。  さらに、従来の声質に加えて感情表現などの選択も可能になっています。 *動作OS: Windows Vista、Windows XP *価格: 39,000円(3月末までの特別キャンペーン中は29,000円) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.skyfish.co.jp/focustalk/ ◎「PC-Talker Vista」を発売  株式会社 高知システム開発は2月22日にWindows Vistaに対応した 画面読み上げソフト「PC-Talker Vista」を発売しました。  このソフトは、肉声に迫る音声エンジンを採用しているほか、新たに 英語のエンジンを搭載して、自動的に切り替えながら日英混在の英文を 読むことができます。  対応ソフトは、同社のシリーズのほか、、Office 2007やAdobe Reader8、 Skype3.0など。 *動作OS: Windows Vista(32bit版) *価格: 39,900円(他にユーザー価格あり) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/news/pctkvistanews2.htm ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 forum@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? Windows Vistaが発売され、スクリーンリーダーも順次対応していますが、 まだXP以前のPCを使っている人が大半だと思いますので、今後もそうした 情報を中心にお届けしていきます。  もちろんVistaについてもよい情報があれば積極的に取り上げていこうと 考えていますので、みなさんも何か「これは」という情報を見つけたとき にはどうぞ教えてください。 みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 forum@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━