━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年4月号 No.6                        2007年4月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  どう教える?キーボード(2)   大切な「キーボード選び」 ● プロフェッショナルコース  マイコンピュータのキー操作(1)   【一口メモ】   教室の「足元」にご注意! [2] サポートお役立ちサイト  目が見えないのになぜパソコンを使えるの?   平瀬徹さんのホームページより。 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  特定非営利活動法人 イーパーツの寄贈プログラム [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  超小型点字ディスプレイ「ブレイルメモポケット」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第1回全国視覚障害者携帯ワープロ競技大会のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎どう教える?キーボード(2)   大切な「キーボード選び」  2月号で、視覚障害者にパソコンを教えるときに使用するキーボードは 「109」キーボードを推奨しました。この理由は以下の通りです。 1.JIS規格なので、この名称のキーボードは全て配列が同じ. 2.晴眼者向けのテキスト類もこのキーボードを基準に書かれているものが  多く、障害者と晴眼者が共通の認識で講習が行える. 3.操作に必要なキーのほとんどが1つのキーを押すだけで動作する  ([FN]キーなどを押しながらの操作が不要). 4.キーがグループ毎に分けて配置してあり、それぞれの間が空いている  ため、習得を助けるだけでなく、ミスタッチの防止にもなる.  しかし、いくら教室のキーボードを「109」にしても、受講生が購入 したパソコンのキーボードがべつのものでは意味がないので、受講生の パソコン選びの際も「109」を選択するようにすることが大切です。  最近は省スペース型のキーボードが付属しているパソコンが多いため、 「109」キーボードが付いたパソコンを探すのは難しいこともあるかも しれません。また、ノートパソコンはキーボードが本体に組み込まれて います。その場合でも、別途「109」キーボードを購入するようにして、 教室と個人のキーボード環境を統一するようにしましょう。  キーボードは安いものでは1,000円以内から、高くても5,000円位までで 手に入れることができます。  ただ、キーボードは多少の価格よりも「打ちやすさ」に重点を置いて選ぶ ことが大切です。「打ちやすさ」のポイントは以下の通りです。 1.ホームポジションに指を乗せた状態で腕や手首が無理のない姿勢に  なっていること. 2.キーを打ったときにキーボード自体が安定していること. 3.キーを打ったときの指に伝わる重さが適度なこと. 4.打ったあとのキーの戻りがスムーズなこと.  打ちやすいキーボードは疲労が少なく、パソコン習得の助けになることを 知っておきましょう。  「たかがキーボード」ではありません。キーボード選びで受講生の パソコン習得度が変わることさえあるのです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎マイコンピュータのキー操作(1)  今日は、マイコンピュータの設定や説明から少々離れて使用方法について 説明します。 1.マイコンピュータでのキーの取り扱い.  マイコンピュータを使用するときは、表示されている色々な項目または アイコンについて操作をします。そのためにはキーの機能について学習する ことが必要です。 ア. 機能キー. (1) [Space].  初めてマイコンピュータを開いたときや、[Ctrl]キーで移動したときの 候補の状態を項目が選択された状態にします。2個以上選択されている項目 がある場合や対象が既に選択されている場合は、候補の状態に戻ります。 (2) [Enter].  選択している項目(アイコン)がフォルダの場合はそのフォルダを 開きます。文書ファイルの場合は関連するプログラムでその文書ファイルを 開きます。実行ファイルの場合はそのプログラムを起動します。 (3) [Ctrl]+[Enter].  選択している項目(アイコン)がフォルダの場合、別の窓を開いて マイコンピュータで表示します。フォルダ以外の場合は、[Enter]を押した 場合と同じ動作をします。 (4) [Shift]+[Enter].  選択している項目(アイコン)がフォルダの場合、別の窓を開いて エクスプローラで表示します。 (5) [Delete].  選択している項目(アイコン)をゴミ箱に移動します。 選択している対象がフォルダの場合は、確認のメッセージボックスが表示 されます。 選択された項目が読み取り専用の場合も、確認のメッセージボックスが表示 されます。 (6) [Shift]+[Delete]または[Ctrl]+[D].  削除の確認をするメッセージボックスを表示します。「Yes」で答えると、 ゴミ箱に移動せずにいきなり削除します。 (7) [BS].  一つ上の階層に戻ります。 マイコンピュータ起動直後の場合、デスクトップが開きます。 (8) [Alt]または[F10].  メニュー操作モードに切り替えます。 既に、メニュー操作をしている場合は、メニューを閉じます。 (9) [Alt]+[Space].  システムメニューを開きます。 注意:マウス操作でシステムメニューを開くには、タイトルバーの左端に  あるアイコンをクリックします。 (10) [Alt]+[←].  元に戻ります。例えばマイコンピュータを開いてCドライブを選びます。 そこで、[Alt]+[←]を押すと、マイコンピュータを開いた状態に戻ります。 (11) [Alt]+[→].  [Alt]+[←]で元に戻っている場合に有効です。元に戻った経緯を逆に 進みます。 例えば、マイコンピュータを開いてCドライブを開く。 [Alt]+[←]でマイコンピュータに戻る。 ここで、[Alt]+[→]を押すと、Cドライブに進みます。 (12) [Alt]+[Enter].  選択した項目(アイコン)のプロパティを表示します。 (13) [F1].  Helpが開きます。 (14) [F2].  選択している項目(アイコン)の名前を編集するモードになります。 (15) [F3].  検索コンパニオンが開きます。[Ctrl]+[E]または[Ctrl]+[F]でも同様に 検索コンパニオンが開きます。 (16) [F4].  ツールバーのアドレスにフォーカスが移動し、リストが開きます。 (17) [F5].  最新の内容でマイコンピュータを再表示します。 (18) [F6]または[Tab].  子Window間を移動します。 (19) [Application]または[Shift]+[F10].  ショートカットメニューを表示します。マイコンピュータの場合、 ファイルメニューとショートカットメニューは非常に似通った内容です。 ショートカットメニューは、コンテキストメニューとも呼ばれます。 コンテキストとは、「文脈」といった意味です。つまり、選択されている アイコンの種類により「異なるメニュー」が表示されます。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎教室の「足元」にご注意!  パソコン教室に限らず、視覚障害者がいる場所では、「足元」への注意が とても大切です。  例えば、床をコードがはっていたり、ゴミ箱が置いてあったりすると、 つまずく危険がありますし、椅子が出ていると、ぶつかってしまいます。  視覚障害者が通りそうなところには物を置かないこと、そして椅子は必ず 出したままにせず、テーブルなどに収めておきましょう。また、どうしても コードが床を通る場合は、テープなどで止めておき、足が引っかからない ようにしておきます。  まあ、そうした障害物をうまく回避できる人もいますが、そうでない人も たくさんいますので、室内での事故を防ぐためにも、足元への配慮をお願い できればと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎目が見えないのになぜパソコンを使えるの?   平瀬徹さんのホームページより。  このサイトの中にある「視覚障害者と文字処理」には点字の漢字符号の 説明が、また「視覚障害者とパソコン」では漢点字などの対応ソフトや 視覚障害者に利用可能と思われるソフト一覧がリンクされています。  それ以外にも「パソコンの選び方」や「各種ドライバーの組み込み」など サポートを受ける立場でのお願いが掲載されています。  さらにパソコンサポートに有効な内容が沢山あります。  これから視覚障害者のパソコンサポートをしたいと考えている方々、 また実際にサポートをしているみなさん、ぜひご覧下さい。  そして関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www.yoihari.com/pc.htm  尚、視覚障害者と接するとき知っておいてほしいことをまとめた 「街で視覚障害者と出会ったら」 http://www.yoihari.com/guidehelp/ 点字資料を作るためのノウハウや点字エディタの情報を紹介した 「分かりやすい点字教室」 http://www.yoihari.com/tenji/ もぜひご覧下さい。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎特定非営利活動法人 イーパーツの寄贈プログラム パソコン教室を開くためにはパソコンなどのハードウエアやソフトウエアが 欠かせませんが、これにはコストがかかり、団体にとっては大きな負担です。 こうした問題に応えてくれるのがイーパーツの寄贈プログラムです。 イーパーツは、リユースPCの寄贈やシンポジウムの開催などを通して、 非営利組織やボランティア団体、また高齢者グループの支援を行っています。  「寄贈プログラム」とは、企業からのリユースPCや周辺機器、 ソフトウエアを非営利組織・ボランティア団体などの市民活動団体や NPOへと無償で寄贈し、その情報化を支援するプログラムです。 選考は各プログラム毎に行われ、選考基準はプログラムによって異なり ますが、寄贈の必要度や実績、社会貢献度、将来性などを考慮し、一定の 基準を満たす団体に寄贈されます。  寄贈プログラムとしては以下のものがあります。 *リユースパソコン寄贈プログラム:  企業からのリユースPCを市民活動団体やNPOへと無償で寄贈し、その  情報化を支援するプログラムです。 *地域版リユースパソコン寄贈プログラム:  各地域の提携団体が核となりその土地でのリユースPCの寄贈や活用を  進めると同時に、提携団体同士のネットワーキングもめざします。 *リリーフパソコン寄贈プログラム:  台風や地震などの被害を受け、災害救助法が適用された地域の復興のため 現地の市民団体や 企業と連携してリユースPC、周辺機器などの寄贈を 行っています。 *カラーレーザープリンタ寄贈プログラム:  支援企業の株式会社 リコーの協力により、カラーレーザープリンタを  寄贈するプログラムです。 *周辺機器寄贈プログラム:  外付けハードディスクや通信機器(ルーターやLANカードなど)、  DVDレコーダー、USBメモリ等を、支援企業の協力により、寄贈  するプログラムです。主な寄贈品は新品です。 *スペシャル寄贈プログラム:  高性能パソコンと様々なデジタル編集ツールとして使用される  ソフトウエアをセットで寄贈するプログラムです。 *お問合せ先: 特定非営利活動法人イーパーツ  〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋1-17-4  メゾンクロニア307  TEL: 03-5481-7369 E-mail: info@eparts-jp.org URL: http://www.eparts-jp.org/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎超小型点字ディスプレイ「ブレイルメモポケット」  パソコンやネット環境の発達によって利便性が向上した一方で、点字の 存在感は薄れつつあるように思います。しかし、点字の欠点を 克服することで、その新たな可能性が日々研究されています。  今回は、点字の使いやすさと省スペース化を兼ね備えた点字ディスプレイの 新モデル、「ブレイルメモポケット」をご紹介します。  ブレイルメモポケットの大きさは、縦168×横80×高さ20mm、重さ 300グラムと超スリム。付属の携帯ケースやネックストラップで製品の 落下を防げる他、ワイシャツの胸ポケットなどにも入ってしまうほどの 小ささです。 USBかブルートゥース(無線)で接続すれば、寝転がったままでも点字で メールやネット、データの送受信が可能。ディスプレイ部は16マス。また 本体には4MBの内蔵メモリを搭載するため、点字データも結構保存できます。 電源は、着脱式のリチウムイオンバッテリーを使用。約3時間の充電で 約8時間の連続使用が可能。またUSB接続時は、パソコンから電源が 供給されます。  基本の編集機能に加え電卓、時計、スケジュール帳などのアクセサリー 機能も充実。優れた検索機能とタイムラグのない点字表示はストレスを 感じさせません。 バッテリーや点字ピンなどの消耗品を除けば、業界初の5年保証を実現!! これは他業界にもぜひ見習ってほしい…。  点字ユーザーにとっては、待望の一品。しかし、お値段も相当なもの…。 一応日常生活用具として給付申請が可能ですので、お住まいの市区町村の 福祉課までお問い合わせください。 発売元:ケージーエス株式会社 発売日:2007年4月2日 価格:249000円(非課税) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kgs-jpn.co.jp/b_bmpk.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第1回全国視覚障害者携帯ワープロ競技大会のご案内  NPO法人アイティーフリーでは、同団体が主催する「バリアフリー祭」 の一環として、第1回全国視覚障害者携帯ワープロ競技大会を開催します。 これは、ラクラクホンIIIを使って漢字かな混じり文を入力し、その速さと 正確さを競うものです。  成績優秀者には賞状のほか、ノートパソコンなどの副賞も贈られます。 *日時:6月17日(日) 13:00〜17:00 *場所:三井アーバンホテル大阪 *申し込み:郵便またはメールでお申込みください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.geocities.jp/itfreeosaka/event.html ◎音声パソコン初級講習会のご案内  神戸アイライト協会では、音声による文字入力などを練習し、Eメールや インターネットの基本操作を体験する視覚障害者対象の初級コース講習会を 開催します。対象は兵庫県在住の視覚障害者です。 *講習予定内容:全6回  Windowsパソコンの基礎理解とキーボードの操作法など *日程:5月12日(土)より毎週土曜日 *参加費:5,000円 *申込み:下記までお電話でお申込みください。先着順、初受講の方優先  神戸アイライト協会 078-252-1912 (9:30〜16:30 火曜〜土曜) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.h3.dion.ne.jp/~kobe87/Main/pscn0701.htm ◎「500円でわかるシリーズ」のテープ版のご案内  東京YWCAの朗読ボランティアグループでは、「500円でわかるシリーズ」 のテープ版を発行しています。  この「500円シリーズ」は、いわゆる月刊誌ではなく、各号ごとにそれぞれ 独立したテーマを取り上げて解説しているものですが、ペースとしては概ね 月に1回発行されており、テープ版も月1回の発行となります。  これまで取り上げられたテーマは次のとおりです。  LAN、グーグル、パソコン音楽生活、ブログ、メール&ネット  ワード、エクセル、DVD  利用者の負担は原則として郵袋とテープ代になります。  また東京YWCA朗読ボランティアグループでは、パソコン関連のテープ雑誌 として、「YOMIURI-PC」(C90・2本)、「アスキー・ドット・ピーシー」 (C90・3本)なども発行しています。  詳細については下記までお問合せください。 藤村 幸子 メールアドレス: fujimuras@hotmail.com ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 forum@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? 毎回コンパクトにしようと思いながら、どうしてもボリュームが多くなって しまいます。どうぞお時間のある折に少しずつ読んでください。 そして、ご要望や情報、また感想などをぜひお寄せください。 みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 forum@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━