━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年12月号 No.14                        2007年12月28日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  どう教える?キーボード(6)   具体的なキーの位置説明の前に ● プロフェッショナルコース  ショートカットキーの紹介(2)   【一口メモ】    盲導犬、そっと見守って [2] サポートお役立ちサイト  盲導犬ユーザの詩、「犬と歩いて」 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  千葉市の地域活動支援事業を中心に地域に根ざした活動を展開   特定非営利活動法人 トライアングル西千葉 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  ノンPCでも読書する、「よみともライト」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  シンポジウム「DAISYを中心としたディスレクシアへの教育的支援」開催   ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎どう教える?キーボード(6)  具体的なキーの位置説明の前に  前回は、キーの位置を教える際の基本的な原則についてお話しました。 今回は、個々のキーごとの具体的な位置の示し方について考えてみたいと 思います。 尚、前回も申し上げましたが、説明は「109キーボード」を基準にして 行います。そして、キーの位置説明のときはパソコンの電源は入れない ようにします。  また、キーの位置を説明する方法は、ここでお話しする方法 だけではないと思います。それぞれが工夫をし、受講生が最も分かりやすい 方法を考えてください。ただ、もし「どう教えたらいいか分からない」と いう方は、とりあえず以下にお話する方法でやってみてください。 1.キーの位置を説明する前に.  ところで、キーの位置を説明する前にぜひ頭に入れておいていただきたい ことがあります。それは、受講生に「これから説明するキーの名前を しっかり覚えてください」と言わないことです。初めて接するパソコンと いうだけで緊張している受講生に対して「覚えてください」というのは プレッシャーをかけるだけです。  「そのうちイヤでも頭に入りますよ」くらいに言ってゆとりを持たせて あげることが大切です。 2.実際にキーをたたいてもらう.  キーの位置説明をしたら、必ず実際にたたいてもらってください。 たたいたときの感触、キーのリアクションを自分で体験してもらうことが とても重要です。  実は、えてして初めてキーをたたく人の多くが、キーを「押して」 しまいます。人によっては2〜3秒押し続けてしまうなんていうことも ままあります。みなさんは当たり前だと思っているかもしれませんが、 キーを「ポンとたたく」というのは案外難しいものです。  ですから、キーの説明をしながらそれぞれのキーを実際に「たたいて」 もらうことで、受講生はキーボードと少しずつ近づいていけるのです。  説明の要領としては「指の重さをかけるくらいの力でポンとたたく」 といった感じです。  次回はいよいよ実際のキーの位置説明に入ります。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎ショートカットキーの紹介(2) 1. ショートカットキーの分類. 視覚障害者向けの講習会に参加すると、「ショートカットキー一覧」の ような資料を貰うことがあります。しかし、ショートカットキーはどんな 時にも有効な訳ではありません。ショートカットキーをしっかりと覚える ためには「分類」に対しての理解を深めなければなりません。 スタートメニューの中の「ヘルプとサポート」でユーザー補助機能から Windowsショートカットキーの概要を選ぶと下記の5種類に分類されて いますが、あまりわかりやすい分類とはいえません。  (1) 全般的なショートカットキー. [Ctrl]+[A]など異なるアプリケーションでも共通なショートカットキー などがあります。  (2) ダイアログボックスのショートカットキー. ファイルを開くなどのダイアログボックスが操作対象となっている場合の 操作です。  (3) ナチュラルキーボードのショートカットキー. [Windows]キーを利用したショートカットキーのことです。今回は準ずる 操作を少し加えて説明します。  (4) ユーザー補助のショートカットキー. ユーザー補助機能を有効にしたり、無効にしたりするショートカットキーが あります。  (5) エクスプローラのショートカットキー. 注意 エクスプローラとはマイコンピュータで表示メニューの 「エクスプローラバー」サブメニュー中の「フォルダ」を有効にした状態の ことです。 視覚障害者の指導をするみなさんには、さらに下記の分類を意識することが 必要です。  (6) スクリーンリーダ特有のショートカットキー.  (7) メニュー操作のショートカットキー.  (8) アプリケーション特有のショートカットキー. これからは、この分類を意識したショートカットキーの説明をして いきます。今回はこれらの分類のうち「ナチュラルキーボードのショート カットキー」つまり[Windows]キーを併用するショートカットキーを中心に 説明します。 2. ナチュラル キーボードのショートカットキー.  (1) [Windows]キー. スタートメニューの表示と非表示を切り替えます。 注意:[Esc]キーで閉じる方法は推奨しません。  (2) [Windows]キー + [Break]. 「システムのプロパティ」のダイアログ ボックスを表示します。  (3) [Windows]キー + [D]. 現在開いているWindowをすべて最小化し、デスクトップを表示します。 「DeskTop」の先頭の「D」と覚えます。 もう一度[Windows]キー+[D]を押すと、最小化させたWindowが開き、元に 戻ります。  (4) [Windows]キー + [M]. すべてのウィンドウを最小化します。「Minimum」の先頭の「M」と 覚えます。  (5) [Windows]キー + [Shift] + [M]. 最小化したウィンドウを復元します。[Shift]キーを押すと「反対」になる ルールの適用例です。  (6) [Windows]キー + [E]. マイ コンピュータをエクスプローラ形式で開きます。 「Explorer」の 先頭の「E」と覚えます。  (7) [Windows]キー + [F]. ファイルまたはフォルダを検索するWindowが表示されます。検索の英語 「Find」の先頭の[F]と覚えます。  (8) [Ctrl] + [Windows]キー + [F]. コンピュータを検索するWindowが表示されます。  (9) [Windows]キー + [F1]. Windows ヘルプを表示します。[F1]でヘルプが表示されるルールの 適用例です。  (10) [Windows]キー + [R]. 「ファイル名を指定して実行」のダイアログ ボックスを開きます。 プログラムのファイル名を指定します。プログラムを実行することを 「Run」と呼ぶことがあります。その先頭の「R」として覚えます。  (11) [Windows]キー + [U]. ユーティリティ マネージャを開きます。 リストから、ユーザー補助プログラムの状態を確認したり、ユーザー補助 プログラムを開始または停止することができます。「U」は「Utility」の 先頭の「U」です。  (12) 備考1 スタートメニューの終了方法. 例としてメモ帳が起動している時にスタートメニューを開きます。ここで、 [Windows]キーを押すと、スタートメニューが閉じて元のメモ帳が操作対象 になります。[Esc]キーでスタートメニューを閉じると、スタートボタンが フォーカスを持ちます。ここで[Application]キーまたは[Shift]+[F10]を 押すとメニューが表示されます。スタートメニューの内容を表示した マイコンピュータを表示することができます。 さらに、ここで[Tab]キーを押せば、クイック起動にフォーカスが移動 します。 [左右の方向]キーで選択し、[Enter]キーで実行できます。クイック起動が 表示されていない場合は、タスクバーに移動します。 ここで[Tab]キーを押すと、タスクバーにフォーカスが移動します。 [左右方向]キーで選択し[Enter]キーで実行できます。 さらに[Tab]キーを押すとタスクトレイにフォーカスが移動します。 もちろん[左右方向]キーで選択し、[Enter]キーで実行できます。 さらに[Tab]キーを押すと、デスクトップにフォーカスが移動します。  (13) 備考2 関連するショートカットキー. [Windows]キーは使用しませんが、関連する操作について説明します。 [Ctrl]+[Esc]は、[Windows]キーの代替操作です。スタートメニューの 表示と取り消しをすることができます。 次回は、アプリケーションの操作から説明します。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎盲導犬、そっと見守って  みなさんの教室に盲導犬を連れた受講生が来たことはありますか? テレビの「クイール」ですっかり社会での認知度を上げた盲導犬ですが、 まだまだ問題のある接し方をしているケースもあるようです。 かわいくて、賢くて、つい頭をなでたりしていませんか?  もし、盲導犬を連れた視覚障害者がいても犬には構わないでください。 頭をなでたり、名前を呼んだり、口笛を吹いたり、とにかく犬に対して アピールするようなことはしてはいけません。ましてや、食べ物や飲み物 などを与えることは厳禁です。  盲導犬は仕事中は集中しています。盲導犬の行動一つでユーザーの 安全がかかっているのです。ここのところをよく認識していただき、 盲導犬を見かけてもそっと見守ってあげてくださいね。 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎盲導犬ユーザの詩、「犬と歩いて」  日本中を涙させたベストセラー「盲導犬クイールの一生」の著者 石黒謙吾さんが送る、盲導犬ユーザーの詩が、ついにポッドキャストに なりました。 八木亜希子さんがボランティアで朗読しています。  視覚障害者と盲導犬との心温まる物語を通じて、視覚障害者がどのように 生活しているかをご理解いただく一助にもなるかと思います。 また、盲導犬に興味をお持ちの視覚障害者の方にも紹介してあげて下さい。  下記のURLのページに入り、50番目あたりのリンク 「視覚障碍者の方はこちらからお聴きいただけます」 、から、 「第12回:清水 美保さん と ビスコの物語」 の朗読を聴くことができます。さらに先のリンクでは、 「第1回:見えない人に届けたかった気持ち」−石黒謙吾 、までの合わせて12の物語を聴くことができます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eureka-i.jp/dog/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎千葉市の地域活動支援事業を中心に地域に根ざした活動を展開  特定非営利活動法人 トライアングル西千葉  今回は通所員、指導員、ボランティアの3つのつながりで障害を持つ 人たちが、共に人間らしく豊かな生活を営むために生きがいとやりがいの ある環境を作ろうと活動している特定非営利活動法人トライアングル西千葉 の紹介です。 ホームページには、大きな四角の中に三角が書かれ、その三角の中に 丸が描かれています。 トライアングル西千葉は、千葉市の地域活動支援センターで、千葉市の 認可を受けて、市の地域活動支援事業に基づき、視覚障害者、肢体障害者、 知的障害者、精神障害者の通所作業を行っています。  また、ITサポート事業では、ITサポートセンターを千葉県内三ヶ所に 設置して、ここでは、講習会開催のほか、パソコンやソフトの購入の際の 各種助成制度などについて案内しているほか、展示品コーナーも開設して います。  このほか、千葉県障害者高等技術専門校の委託事業としてOA事務の 職業訓練を実施して、障害者の就労に取り組んでいます。これらの 訓練を通して、これまで7人の一般就労を実現させています。  さらに、ホームページの中でトラブルシューティングコーナーを設けて パソコンを使うときに困ったときのQ&Aなどを載せていたり、メールでの サポートもしています。 この会の特徴は、情報の交換やコミュニケーションの場としてメーリング リストだけでなく、トライアングル通信、お知らせBOXを使っている というところもその1つではないでしょうか ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www9.plala.or.jp/triangle_nishi/index.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎ノンPCでも読書する、「よみともライト」  今回は、12月3日に株式会社アイフレンズから発売されたスキャナ一体型、 音声・拡大読書器「よみともライト」をご紹介します。  「よみともライト」は、視覚に障害のある方が活字文書の読書を一人で 簡単に行えるよう工夫した音声・拡大読書器です。多くの視覚障害者の要望に より、パソコンがない、あるいはパソコンを使いたくない方々のために、 パソコンのいらないスキャナ一体型の音声・拡大読書器を開発しました。  本体上面原稿台のガラス面に活字文書を乗せてボタンを押すだけで、その 内容をびっくりするほど肉声に近い滑らかな音声で読み上げます。本や雑誌、 役所などから送られてきた書類など身の回りにある活字文書の朗読にお使い いただけます。  主な特長は以下のとおり。 ・原稿を逆様にセットしても正しく読み上げます。音量や速度の変更も簡単。 ・読み上げながら次の原稿を読み取ることが可能。小説などの長い文書も  とぎれることなくすいすい読み上げ。読み上げた内容は保存できます。 ・別売の液晶モニターを接続することで、視力に応じた拡大画面で読書が  楽しめます。カラーとモノクロの切り替えのほか、画面を白黒反転したり、  黄色反転したりできます。 ・操作ガイダンスや読み上げた内容を別売の点字ディスプレイに出力できます。 ・高性能の英文OCRとネイティブな英語音声エンジンにより、英文もすいすい  読み上げ。その他、お好みの箇所からの連続読み上げやスキップ読み上げ、  1行読み、ページジャンプやしおり付けなど機能は多彩です。 ・価格:198000円(税込207900円)  ただし、初回ロット100台に限り、キャンペーン価格:税込198000円 *当製品は、日常生活用具給付対象商品です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.eyefriends.jp/lite.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎シンポジウム「DAISYを中心としたディスレクシアへの教育的支援」開催  ディスレクシアとは、学習障害の一種で、失読症、難読症、識字障害、 読字障害とも呼ばれ、特に幼少期に見られます。 このシンポジウムでは「ディスレクシアへの教育的支援」をテーマとし、 国内外の様々な事例を紹介し、地域に根ざしたよりよい支援のために どのような支援活動が必要かについて、DAISYに関わる人を含む関係者が 議論を行います。 *日時:2008年1月12日(土) 10:00〜16:30 *会場:日本青年館ホテル 3階国際ホール *参加費:500円 *主催:(財)日本障害者リハビリテーション協会 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/info/seminar080112.html ◎NEC C&C財団シンポジウム  「情報アクセシビリティ−国・地域・コミュニティの役割」開催のご案内  情報アクセシビリティを高め、多様な住民が情報社会に「全員参加」して いくために必要な施策を、国、地域、コミュニティのレベルで考えます。 参加された方には、NTT出版より12月28日に発売される書籍 「ITがつくる全員参加社会」を差し上げます。 *日時:2008年1月15日(火) 13:30〜17:00 *会場:泉ガーデンコンファレンスセンター(東京都港区六本木) *参加費:無料 *定員:100名(定員になり次第締め切り) *主催:財団法人NEC C&C財団 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.candc.or.jp/cyosa_kenkyu/2007/sympo07_j.html ◎「MyWordV Lite(マイワード ファイブ ライト)」発売  高知システム開発はこのほど、「MyWordV Lite」を発売しました。 これは、MyWordV Proから、ホームページ編集機能を省いたもので、製品の特長は、 1.Microsoft Word文書(DOC形式)が書けるようになったこと。  マイワードで作成した文字飾りやレイアウトの全てが、Word文書ファイル  として保存できます。 2.マイメールを持っている方は、マイワードで作成した文書を、そのまま  Wordの文書ファイルとしてメール送信できます。 3.ホームページに掲載されているワード文書を、直接マイワードで開いて  閲覧できます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/news/myword5lite.htm ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  2007年も間もなく終わりですね。みなさんにとってどんな年でしたか? この1年間、ご購読いただきありがとうございました。 来年もよりよい情報をお届けするよう編集部一同努めてまいります。 どうぞよろしくお願いします。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は1月25日配信の予定です。  それではみなさん、どうぞよいお年をお迎えください。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━