━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2008年5月号 No.19                        2008年5月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  拡大鏡を活用してみよう! ● プロフェッショナルコース  ダイアログボックスの部品(2) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  パソコンでよく使われる単位について その2 [2] サポートお役立ちサイト  障害のある方への接遇マニュアル 1 視覚障害者 東京都福祉保健局 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  日本経団連1%(ワンパーセント)クラブ   〜社会貢献活動に関する情報提供とコーディネート〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  新しいDAISY図書ライフを提案、「BF−Voice」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「読みやすい(Easy-To-Read)図書とマルチメディアDAISY」を開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎拡大鏡を活用してみよう!  食わず嫌いの例ではありませんが、Windowsの中の「拡大鏡」について、 「あれはダメだ」という声をたくさん聞いていたので、関心がありませんでした。 でも、音声とキーボード操作を中心とする弱視の人ほど有効に使っている ことを体験しました。 「使えそうな人は上手に使ってください」というのが今回の趣旨です。 項目ごとに、入力する時がありますね。項目移動は、Tabキーを使います。 多くの弱視は、音声で聞きながらも自分の入力している所を見て確認 したいと思います。また、入力後も見て確認したいと思います。各項目ごと に確認できればいいのです。 年賀状作りの時、順にデータを入力します。このような入力する時だけでも その項目を拡大できないかと思っていました。1項目だけが確認できれば 良いのです。それ以外は、音声とキー操作で十分にできます。  このような時に、「拡大鏡」の拡大画面を、数センチの帯のように表示 するように設定します。その幅は、自分の見易さで設定する拡大率により 調整します。  また、「マウスポインタの動きを追う」、「キーボードフォーカスを拡大 する」、「編集中のテキストを拡大する」にはチェックを入れておきます。 カーソルのある項目が「帯状」の「拡大鏡」画面上部に拡大されて表示 されます。  今までは、「拡大鏡」の拡大画面が半分しかないと思い、使い道がないと 思っていましたが、狭いことこそ意味があることに気がつきました。 (1) 拡大鏡の起動.  「拡大鏡」を開くには[スタート]ボタン→[プログラム]→[アクセサリ]→ [ユーザー補助]→[拡大鏡]でEnterキーを押します。 ・スタートメニューの[ファイル名を指定して実行]で「magnify」と 入力して、Enter キーを押します。(2回目以降はこの方法が便利です。) (2) ウィンドウのサイズを変えるには.  キーボードを使って拡大鏡のサイズを変更するには[拡大鏡の設定] ダイアログボックスが表示されるまで、Alt + Tabキーを押し、[拡大鏡の 設定]ダイアログボックスを開き、Alt + F6 キーを押します。 ・Alt + Spaceキーを押します。 ・Sキーを押します。 ・拡大鏡ウィンドウが必要なサイズになるまで、方向キーを押し続けます。 ・良いところで、Enterキーを押します。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎ダイアログボックスの部品(2)  前回に引続き、ダイアログボックスの部品について説明します。 4.リストボックス. XP-Readerの画面の、「点字ディスプレイ」のタブで「機種」を選択する 部品がリストボックスです。 画面は、四角い領域の中に、1行1件づつ色々な機種が表示されています。 すべての機種が収まりきれない場合は、右側にスクロールバーがあり ますが、フォーカスを持つことはありません。 フォーカスを持つと、現在有効な行が反転表示されていて、その声が 聞こえます。 上下矢印で項目を変える事ができます。 Homeキーを押すと、一番上の項目が選ばれます。 Endキーを押すと、一番下の項目が選ばれます。 PageUpキーを押したときですが、現在選択されている項目が見えている 部分の一番上でない場合は、一番上の項目が選ばれます。ただし、見えて いる一番上の項目がすでに選ばれている場合は、最大1画面分上に移動 して、その画面の一番上の項目に移動します。すべての項目が表示されて いる場合は、一番上の項目が選択されます。 PageDownの場合も、同じ概念です。ページごとに移動します。現在選択 されている項目が見えている部分の一番下でない場合は、最大1画面分下に 移動して、その画面の一番下の項目に移動します。現在選択されている項目 が一番下の項目の場合は、最大1画面分下に移動して、一番下の項目が選択 されます。すべての項目が表示されている場合は、一番下の項目に移動 します。 また、メニュー等と同様で、アルファベット、記号、数字などのキーを 押すと、先頭が同じ文字の項目に移動します。 5.コンボボックス. メモ帳の用紙のサイズを指定する部品として使用されています。 リストボックスは一度に複数の行が表示されていますが、コンボボックスは 1行しか表示されません。Alt+下矢印またはF4を押すとリストが開き、 すべて見える様になります。開いているリストを閉じるには、Esc、Enter、 またはF4を押して下さい。 操作方法:やはりAlt+下矢印またはF4により開くことを除けば、リスト ボックスと同じです。 複数のコンボボックスがある場合で、F4はフォーカスを持っている以外の 決められたコンボボックスが開くことがあります。たとえば、メモ帳の 「ファイルを開く」のダイアログで「文字コード」のコンボボックスが フォーカスを持っている時には、F4を押すと「場所」にフォーカスが 移動しますが、Alt+下矢印を押すと、「文字コード」のリストが開きます。 6.エディット. 数値や文字情報を入力する為の部品です。たとえば、メモ帳のページ設定で 余白を入力する場所がエディットです。 数字や文字を入力できます。エディットは1行だけのメモ帳の文書エリアの 様な動作をします。 Tabキー 現在のエディットの次の部品に移動します。 Shift+Tabキー 現在のエディットの前の部品に移動します。 Homeキー 行の先頭にカレットを移動します。 Endキー 行の最後にカレットを移動します。 右矢印 カレットを右に1つ移動します。 左矢印 カレットを左に1つ移動します。 Ctrl+右矢印とCtrl+下矢印 次の単語の先頭、カレットの右方向にある 空白の次の文字に移動します。カレットの右側に空白がない場合は、行の 右端に移動します。 Shift+F10またはアプリケーションキー ショートカットメニュー (コンテキストメニュー)を表示します。 Shiftキーを押しながら、カレットが動く操作をすると、カレットが通り 過ぎた文字が選択されます。 Ctrl+A すべて選択 Ctrl+C コピー Ctrl+V 貼り付け Ctrl+X 切り取り Enter  この部品では何もしません。ダイアログ本体の機能により動作が 決定されます。多くの場合、OKボタンが実行されます。 Alt+半角全角で日本語入力のONとOFFを切り替えます。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎パソコンでよく使われる単位について その2 先月号では、位取りのためのM,G,Tについて説明しました。 それでは、具体的にハードディスクの容量と、その容量は実際にどれほどの 情報量を保存できるのか考えてみましょう。 最近はノートパソコンでも100GB程度のハードディスクドライブ(HDD)が搭載 されています。 このHDDにはどれくらいの情報量が保存できるのでしょうね。 その為には、目に見える最も分かりやすい情報として文書があります。 以前にワープロとテキストエディタについて説明しましたが、今回は テキストエディタで作成した文書について考えてみましょう。 A4サイズの用紙に漢字かな混じりの全角文字を、横40文字、縦50行で、 びっしりと詰めた場合の情報量はいくらになるでしょうか? 答えは 40 × 50 = 2000文字 全角1文字は2B(バイト)なので、4000B です。 A4用紙1枚に書かれた情報量は 4000B すなわち、4KB です。 1MB(=1000KB) ÷ 4KB = 250 となり、1MBでA4用紙250枚分の情報量を保存できることになります。 一般的な文庫本であれば200ページ程度でしょうか。 なので、文庫本1冊の情報量は約1MB程度と云うことになります。 1GB = 1000MB なので、 1GBで約1000冊分の文庫本の情報を保存できることになるんですね。 私が書籍のテキスト化をしてくれるボランティア団体さんに文庫本を何冊か テキストデータにしていただいたのですが、その値はつぎの様でした。 213KB、419KB、249KB、204KB、557KB、419KB これは、ページ数によるところもありますが、実際には文字がびっしりと 詰まっているわけでもなく、画像なども含まれているので妥当な値だと 思っています。 1GBと云う情報量がいかに巨大であるかがお分かりになられたことと思います。 ただ、これは、文字情報だけを対象にして計算しているので、実際の文庫本 の情報には画像や写真、文字においてもフォントサイズや文字属性など色々 とあるので単純に計算することは困難です。 つづきは次号で・・・。                           文責:園 順一 ★訂正 先月号で、   ※注.肩文字:10の3畳=1000 と書いていましたが、正しくは   ※注.肩文字:10の3乗=1000 の間違いでした。 スクリーンリーダではアクセントが同じで気がつきませんでした。 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎障害のある方への接遇マニュアル 1 視覚障害者 東京都福祉保健局 このページは、東京都福祉保健局が、 「この接遇マニュアルは、障害のある方が社会生活のさまざまな場面で、各種の窓口や交通機関などを利用される際に、不安や不快な思いをされずに、主体的に用件を済ませることができるように支援するためのものです。」 の立場から作成したものです。 お役所のマニュアルとしては実際に障害者の意見を聞きながら作成されていて、これから視覚障害者をサポートしようとする方々にもご参考になるかと思います。 なお、このサイトには、聴覚障害者、肢体不自由者などに対するページも用意されています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/tosho/tosho/sm_hyosi/sm_mokuji/sm_1/#CONT ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎日本経団連1%(ワンパーセント)クラブ   〜社会貢献活動に関する情報提供とコーディネート〜  「日本経団連」というと、日本のメジャーな企業が参加する団体だと いうことはご存知だと思います。  今回は、その団体が行う社会貢献活動についてご紹介します。 「直接助成金を受ける」というのとはちょっと違いますが、企業と連携して 活動するというのも一つの方法ではないでしょうか。  この組織は1990年に設立され、その会員は、 経常利益や可処分所得の1%相当額以上を自主的に社会貢献活動に支出 しようと努める企業や個人です。  1%クラブでは、会員に対しては寄付や社会貢献活動に関する情報を提供 するとともに、広く一般の方々に企業の社会貢献活動に対する理解を 深めていただくための事業を行っています。また、企業やその社員と、市民 活動団体をはじめとするNPO(民間非営利組織)を結び付け、より有効な 社会貢献活動を行うためのコーディネートも行います。 *活動内容 (1) 会員への社会貢献活動に関する情報の提供.  ・「1%クラブニュース」の発行  ・「1%クラブニュースインフォメーション」のFAX配信  ・「寄付対象団体リスト」の発行 (2) 社会貢献活動に資する団体等への寄付の奨励. (3) 年末チャリティ・フェスティバルや会員相互の情報交換の場の提供. (4) 社会貢献活動に関するコンサルティング. (5) 1%クラブ法人会員に対する社会貢献活動実績調査の実施. (6) 国内外の緊急救援活動に関する情報の収集と提供.  このほか、イベントの開催、1%クラブカレッジやシンポジウムの開講 など幅広い活動を行っています。  単に助成金を得るだけでなく、企業と連携した活動を目指す団体にとって アプローチしてみるのもおもしろいと思います。 *連絡先 (社)日本経済団体連合会 社会第二本部内 TEL:03-5204-1750 FAX:03-5255-6255 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/1p-club/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎新しいDAISY図書ライフを提案、「BF−Voice」  今回は、掌サイズの携帯型DAISYプレイヤー「BF−Voice (ビーエフボイス)」をご紹介します。  「BF−Voice」は、外出先でも手軽にDAISY図書を楽しめるほか、 MP3プレイヤー、ボイスレコーダーとしても使える1台3役の便利グッズ。 操作方法や各キーの役割を音声で知らせる音声ガイド機能があるので安心。 充電型リチウムイオンバッテリー使用で約10時間連続再生可能。充電時間は 約4時間です。  DAISY図書を聴くには、本体内蔵の1GBメモリかSDカードにあらかじめ 図書データをパソコンなどからコピーしておきます。ただし、別売の専用外部 ドライブを使えば、CDのDAISY図書を直接再生できます。  朗読の再生速度は遅聴きの0.1倍から早聴きの2.5倍まで9段階。最速でも 聴き易いピッチコントロール機能搭載。図書の章レベル、ページ、フレーズ、 ブックマークでの移動が可能。片手で操作できるキー配置となっています。  そのほか、MP3ファイルの再生や音声録音もできます。ランダム、 リピート、ブックマーク機能、巻き戻し、早送り操作も自在です。 ●製造元:TOMOTEC(韓国製) ●サイズ:幅68mm×長さ107mm×高さ15mm  重量約110g ●対応OS:WindowsXP, VISTA ●付属品:皮ポーチ、ACアダプター、取扱説明書(墨字・CD)、 SDカード(1GB)、イヤホン、USBケーブル ●本体価格:78,750円(税込) *当製品は、日常生活用具給付対象候補商品です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kgs-jpn.co.jp/b_bfv.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「読みやすい(Easy-To-Read)図書とマルチメディアDAISY」を開催  (財)日本障害者リハビリテーション協会はDAISYに関する上記の講演会を 開催します。 *日時: 2008年5月29日(木) 18:00〜20:30 *会場: 日本財団ビル大会議室(東京都港区赤坂) *内容: 「読みやすさ、わかりやすさに向けたスウェーデンの取り組み」  報告「マルチメディアDAISYによる読みやすい図書の推進の活動」  質疑および意見交換 *参加費: 無料 *定員:先着 100名(締め切り 5月26日) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/info/seminar080529.html ◎三洋電機、ICレコーダー2機種を発売  三洋電機は、新しいステレオICレコーダー2機種を発売しました。 すでに「ディプリトーク」の愛称で知られている音声ガイド付きのIC レコーダーで、「ICR-PS185RM」と「ICR-PS182RM」の2つです。 *特徴 (1)MP3形式のほか、高音質の録音も可能 (2)折りたたみ式USB端子があり、USBメモリとしても使える (3)音楽プレイヤーとしても使える *尚、2つの違いは内臓メモリの大きさや録音時間の長さなどです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sanyo-audio.com/icr/ ◎「ハーティ割引」サービス提供内容を改定 NTTドコモ  この制度はNTTドコモの携帯電話を利用している身体障害者などに対する 割引サービスです。  このサービスの内容が、2008年6月1日(日曜)から改訂になります。 *主な改訂内容:  ・基本使用料 改訂前:50%割引 改訂後:60%割引  ・付加機能使用料(iモード付加機能使用料、留守番電話サービス使用料など)   改訂前:50%割引 改訂後:60%割引  ・テレビ電話通信料   改訂前:音声通話料の1.8倍相当 改訂後:音声通話料と同額  ・電話番号案内「104」 改訂前:有料 改訂後:無料 *尚、上記サービスを受けるためには申込みが必要です。  また、サービスの詳細については直接NTTドコモにお問合せください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080418_02.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今月は直接パソコンに関するもの以外の情報がいろいろとありました。 このメルマガのテーマはパソコンサポートが中心ですが、それ以外でも 視覚障害者の情報入手や発信に有用なものがあればこれからも取り上げて いきたいと考えています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は6月27日配信を予定しています。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━