━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2008年7月号 No.21                        2008年7月25日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  弱視のパソコン活用   苦手なことはパソコンに任せよう ● プロフェッショナルコース  晴眼者にも大人気、Wordのショートカット(2) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  パソコンでよく使われる単位について その4 [2] サポートお役立ちサイト  NHKネットラジオのニュースサイト [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  視覚障害者の読書環境を考える会Kサポート [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  今年は携帯DAISYプレイヤー元年!、「VRストリーム」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  NECシニアITサポーター養成講座 開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎弱視のパソコン活用  苦手なことはパソコンに任せよう  これまで、何回かにわたって、弱視のパソコン活用について、書いて きました。 4つのポイントがあります。 1.スクリーンリーダとキー操作をマスターする。 2.見易さの面で、利用できるWindows上の便利な設定を知る。 3.「ZoomText」の活用。 4.ディスプレイの選択と、目との位置や、周囲の明るさなどの配慮。 私の場合も、小さくて見えないということで困ることは確かに多いのです。 しかし、そのような場合は、手元にあれば、ルーペや拡大読書器、遠方なら 単眼鏡などの補助器機を活用して、見ることができます。ここ数年、携帯 できる拡大読書器がたくさん出てきて、大変便利になってきました。 パソコン活用においては、「ZoomText」の活用が、これらにあたると 思います。 ところで、この補助器機を使ってもなかなか大変なのが、 1.たくさんの中から一つを選び出すこと。 例えば、マイドキュメントのたくさんのファイルから一つを探し出すとき。 2.変化が認識できないこと。 たとえば、フォーカスが移っているのに、気がつかないで、操作をしていること。 これらのことこそパソコンにやってもらうのが良いのではないでしょうか。 一生懸命に眼を凝らしてみるのは大変疲れます。パソコンを使うのですから パソコンにできることは任せたほうが良いかと思います。先に4つの ポイントを掲げましたが「1.スクリーンリーダとキー操作をマスターする」 には、そのような内容も含まれているわけです。 次回は、この点を詳しく見ます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎晴眼者にも大人気、Wordのショートカット(2)  前回は、日付と題名の入力をしました。 訂正があります。 日付を入力後、Ctrl+Rで配置を右にしてEnterを押すと、改行が入力され 2行目に文字カレットが移動しますが、1行目の右詰が解除されてしまい ます。日付を入力後「Ctrl+Home」で先頭に移動してから、Ctrl+Rで右詰めに してください。  今回は、名前と本文の入力時に推奨する設定を説明します。 自分の名前を入力します。しかし、場所がセンタリングされていて、文字の 大きさが題名と同じになっている可能性があります。そこで、Enterキーを押して 改行します。ここから本文を書き始めます。まず、右詰をCtrl+Qで書式を 解除して、標準の書式にします。左詰にしたい場合はCtrl+L(Left の先頭文字のLです)。文字の大きさはCtrl+Shift+Pを押して、文字の 大きさのリストに移動します。矢印キーで文字の大きさ10.5を選びます。  それでは、文章を入力しましょう。「1.はじめに」と入力します。 ここでEnterを押すと、標準の設定では自動的に「1.」が自動連番と認識 され、次の行の先頭に「2.」が入力されてしまいます。 しかも、この状態を音声で理解することはなかなか難しいです。 ここで、もう一度Enterキーを押すか、Ctrl+Qを押すと、自動的に発生した 「2.」は解除されますが、「1.」は自動連番であることには代わりありません。  次回は自動連番の解除方法からお話します。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎パソコンでよく使われる単位について その4  先月号ではつぎの質問で終わりました。   購入したハードディスクは40MB、40GBの間違いではないです。   そして、価格は約○○万円。   さて、いくらだったと思います? あなたは考えてみましたか??? ・・・約20万円でした。 ここで、つぎのことを考えましょう。 1円でどれだけの容量が保存できるのか。 現在では40MBのハードディスク、いや、40GBも販売はされていないのでは ないでしょうか。 そこで、前回お話しした500GBで15,000円と比較してみましょう。 概算です。頭が痛くなるほどの事はありませんよ。 40MB(= 40,000,000Byte × 8 = 320,000,000Bit) ÷ 400,000円 = 800Bit/円 150GB (= 150,000,000,000Byte × 8 = 1,200,000,000,000Bit) ÷ 15,000円 = 80,000,000Bit/円 すなわち、約20年の間に  800 Bit/円 から  80,000,000 Bit/円 になりました。 100,000倍になったことになります。 2000年頃は、約5000倍程度でした。 別な表現をすると、 20年前は日本語(全角)50文字を保存するのに1円必要でした。 今は1円で5,000,000文字が保存できます。 〜〜〜 ちょっとコメント  1Bitとはコンピュータで取り扱う最小の単位のことです。  電気が付いているか、消えているかを表すことが出来ます。  8Bit = 1Byte で、この容量で半角英数を表すことが出来ます。  全角漢字のためには2Byteが必要です。 〜〜〜 先日、SDHCメモリカードを購入しました。 16GBで約8,000円でした。 同様に計算すると、 1,000,000文字/円 となりました。 ハードディスクドライブに比較すると、シリコンディスクドライブ(半導体 メモリ)は約5倍高いことになりますね。 ついでにお話しすると、40MBのハードディスクを繋いでいたパソコンのOS (オペレーティングシステム)はMS-DOSでした。 そして、メインメモリの容量は640KBでしたね。 現在のwindows Vistaですと、メインメモリは1GBが必要と云われています。 約1500倍です。 パソコンで使用されている単位について説明してきました。 日頃何となく使っている単位・言葉についても調べてみると色々と面白いものですね。 日頃、あまり詳しい意味も知らずに使っている言葉ってありませんか? LAN、router、USB、http、・・・ これからは、Web Siteで検索して、調べるようにしていきましょう。 この項、おわり。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎NHKネットラジオのニュースサイト 視覚障害者は新聞を見ることもできず、ラジオやテレビからニュースを聞くことが多いと思われます。しかし、現在がニュースの時間でない場合は、ニュースの時間まで待たなくてはなりません。でも、ネットラジオからは直前のニュースをいつでも聞くことができます。 ここではNHKのホームページの中から音声でニュースを聞くことができる サイトを取り上げてみました。 下記の日本語のニュースのページでは、 朝7時、正午、午後3時、夜10時、 のリンクがありますから、そこに入れば、直前のニュースを選んで、そのままメディアプレイヤなどで聴くことができます。 また、下記の英語のニュースのページでは、 Windows MediaとMP3 のリンクがありますからどちらかを選べば、NHK WorldRadioJapanの英語ニュースを聞くことができます。 英語のニュースもFENなどでは内容も判らず、聞き取りにくいものです。しかし、このサイトは日本からのニュースで内容も判っていますし、しかも何度でも聴き返すことができますので、英語の聞き取りの練習にもなるかも知れません。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 日本語のニュース: http://www.nhk.or.jp/r-news/ 英語のニュース: http://www.nhk.or.jp/nhkworld/english/radio/ondemand.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎視覚障害者の読書環境を考える会Kサポート  今回は「視覚障害者の読書環境を考える会、Kサポート」をご紹介します。  Kサポートは、(現在は主に)視覚と身体に障害がある大学生の学習 資料を視覚に障害があっても使いやすい形にして提供しているボランティア グループです。  今までに、必要な参考書・提供された資料等を、至急に(講義・試験・ レポートに間に合うように)、出来る限り正確に、学生が利用しやすい形の テキストデータ、点字データ・DAISY図書などで提供してきました。  また、そのための勉強会を開催して、より分かりやすいテキストデータ 作り、日々バージョンアップされるソフトに対応できるようなテキスト データ作りの検証をしています。  さらに、Kサポートでは、以下の活動もやっています。 1.プライベートサービスで、依頼者から預かった原本をスキャナで読み  取り、依頼者のパソコン環境・パソコン習熟度に合った、漢字かな交じり  文のデータ作り。 2.インターネット上にPDFで公開されている資料を、テキストデータとして  取り込んで、順番をそろえたり、利用しやすい形に編集する。テキスト  データで取り込めないものは、プリントして、スキャナで読み取って、  (場合によっては専用のソフトを使ってテキストデータに変換して)同じ  作業をする。 3.(個人に)テキストデータで提供された参考書を、墨字の本と照合して、  無意味な記号文字を削除、順番を整え、図・表の処理等をして、利用者が  パソコンで読んで分かりやすいテキストデータに編集する。 4.資料の種類によっては、レーズライターという、触れる資料を作ります。  現在Kサポートでは次の4つのサポートができる方を募集しています。 1.テキストデータ作りで協力したいという方 2.点字データ作りで協力したいという方 3.DAISY規格のCD作りで協力したいという方 4.インターネット上でテーマに沿った情報を探してくれる方。(大変便利に  なっていますが、視覚障碍者にとってはまだまだ自在に情報が探せる環境  にはなっていないので)  この会は視覚障害者が生活していく中で、パソコンを使い生活をよりよい 方向に持っていくための環境づくりに取り組んでいます。  このような会が沢山できることで、多くの視覚障害者が新たな道を 踏み出していけるようになると思います。  ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://ksprt.net/index.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎今年は携帯DAISYプレイヤー元年!、「VRストリーム」  ここ最近、携帯型DAISYプレイヤーの情報が相次いで発表されています。 以前ご紹介した「BF-VOICE」に加え、今回ご紹介する「VRストリーム」、 そして年末にはもう1種新たな携帯型DAISYプレイヤーが発売の予定とか…。 一気に三つ巴の様相となったこの戦い。今後どうなっていくのでしょう。 ともあれ私たちにはよい傾向です。きっちり比較して選びましょう。  ということで、今回は有限会社エクストラが6月12日より販売している 携帯型DAISYプレイヤー「VRストリーム」をご紹介します。  VRストリームは、最大8GBまでのSDカードに記録したDAISY図書を再生 できるほか、ICレコーダー、携帯音楽プレイヤーとしても使用できます。 1GBのSDカードで約150時間の録音が可能です。  USB接続して、パソコン内の図書や音楽データを転送できたり、 USBメモリを接続して、その中のデータを直接聴くこともできます。  4時間の充電で約15時間の連続再生が可能。音声ガイド機能搭載。 標準的なDAISYプレイヤーと同じテンキー配列ボタンを採用しています。  各レベル、ページ、グループ、フレーズ、時間単位の移動、しおりジャンプ などのDAISY図書機能も充実。瞬時に起動し、ワンタッチで録音が開始 できるので、音声メモにも使えます。  当製品は、日常生活用具給付該当商品です。 ●再生可能データ:DAISY2、DAISY2.02、DAISY3、MP3、WAV、   テキストデータ(発売時は英語のみ、アップデートで日本語対応予定) *PTR1/PTR2で作成し、かつCDファイナライズされたDAISY図書は再生可です。 ●サイズと重さ:縦11.6cm×横6.6cm×厚さ2.3cm  170g ●価格:58,800円 ●付属品:ACアダプター(100/240V 海外使用可)、ベルトクリップつき ケース、イヤホン、USBケーブル2種、ユーザーガイド入りSDカード(1GB)、 ユーザーガイドCD ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/vrstream/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎NECシニアITサポーター養成講座 開催  「パソコンで社会貢献 はじめの一歩」 この講座はNEC社会貢献室のご協力をもとに、シニア世代のITサポーター を養成するために実践的カリキュラムを受講できます。 *日時:2008年8月9日(土)・10日(日) 10:00〜16:00 *会場:大阪市総合生涯学習センター メディア研修室 *内容:地域福祉とボランティア活動について、その概観を理解し、より     よい地域福祉活動を進めるうえでITサポートの必要性と、その技法     及びIT活用の方法を学びます。 *参加費:無料 ただし別途テキスト代が必要 2,000円 *主催:NPO法人 シンフォニー ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://npos.cc/ ◎パソコンサポーター情報交換会 開催  視覚障害者の中でのパソコンの普及率が今一歩進まないのは、パソコン サポーター不足が考えられます。そこで、まずサポーター同士の情報交換会 を開催し、日ごろの活動内容や課題を話し合うことでサポートの活性化を 図ることを目的としています。 *日時:平成20年8月10日(日) 10:30〜16:00 *会場:静岡県総合社会福祉会館(静岡市駿府町1−70) *内容:パソコンサポーター同士の情報交換会 *参加費:300円 *主催:視覚障害者情報機器アクセス支援グループ     NPO法人 視覚障害者サポートネット ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.e-switch.jp/cats/supporter/seminar080810.html ◎「日本ライトハウス展〜全国ロービジョンフェア2008  (目の見えない方・見えにくい方のための総合福祉展)」 開催 *日時:2008年8月30日(土)・31日(日) *場所:そごう心斎橋本店14階ギャラリー (大阪市中央区心斎橋筋1-8-3) *主な内容:デジタル録音・編集機器、点字・録音図書のインターネット  配信システム、マルチメディアデイジー、拡大写本などの紹介。   デジタル録音図書プレイヤー、パソコン機器、拡大読書器、ルーペ、   各種用具の紹介。チャリティーグッヅの展示・販売、講演会など ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.lighthouse.or.jp/fair0830.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今回の「ひろば」では8月のイベントのご紹介をしています。夏真っ盛り ですが、こうした催しに参加することでお互いのスキルアップと情報交換が できると思います。お近くの方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか?  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は8月22日配信を予定しています。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━