━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2009年3月号 No.29                       2009年3月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  弱視者講座で感じたこと ● 【コラム】 パソコンよもやま話  見えない、見えにくいってどんなこと?その1 [2] サポートお役立ちサイト  らくらくホンの音声ファイルでの取り扱い説明書のダウンロードサイト [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  財団法人 車両競技公益資金記念財団 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  音声ガイドで操作も省エネも万全、「nocria Zシリーズ」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  総合福祉展「バリアフリー2009」開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎弱視者講座で感じたこと 先日SPANで弱視者を対象にした講座を開催しました。 講座の中で、感じたことを整理してみます。これは、今回の講座だけでなく、 きっと基本的な課題かと思います。 1.キーボードの位置 SPANの開催する講座ではノートパソコンに109キーボードを接続して 開催します。お腹、109キーボード、パソコン本体という並びになります。 そうすると、眼から画面の位置がだいぶ遠くなるわけです。これは、画面に 鼻をくっつけるようにして、近づいて見る人たちにはつらいことです。 その人に合った環境設定は大切にしたいものです。 当日、開催にあたり、ノートパソコンの両脇に厚い本を置いて、橋を渡す 感じで、109キーボードを置きました。 少し安定性は悪いのですが、これで、画面に目を近づけることができます。 みなさん「下駄」をご存知ですね。下駄の二つの「歯」のようなものが ついた、台が必要です。キーボードに足をつけると、他の方には不便です ので、このような台が必要ですね。 2.会場の明るさ 画面そのものの見やすさは、講座で勉強する内容の一つですが、意外に 見落とされるのが、画面の周囲の明るさです。 せっかく見やすいパソコン設定をしても、周囲の照明環境で台無しになり ます。会場には真っ暗にできるほどのカーテンが必要です。それによって 外の光をさえぎり、良い照明環境を作り出すことです。 また、座る位置も、パソコンを置いて、受講者に選んでいただいた方が良い です。座る方向で、照明の位置が関係します。 3.スクリーンリーダになれること 今回も、この課題を少しやってみました。しかし短い時間で中途半端に スクリーンリーダを体験してもらうと、かえって「やっぱり使いにくい」と いう反応になってしまいます。体にしみ込んだ、拒否反応的なものがあり ます。このようなケースで、いくら「スクリーンリーダは目に楽で便利」と 100回説明してもだめですし、少し体験したくらいでもだめです。 これには、少し時間がかかります。 一日かけて、「スクリーンリーダ体験会」をやって体験してみることが必要 ではないかと思います。 4.できるから覚えない ある程度パソコンを使っている弱視者でも、機能キーなどは分からない方が 多いです。何とかマウス操作で、大変なりに、作業ができます。本来ならば、 便利なショートカットキーを使えばと思うのですが、なかなか覚えません。 こんな中で、「マウスは使ってはいけない」、という指導が行われますが、 果たしてそれでよいのか、疑問です。今の視力でできることは認めながら、 「こんな操作をすると目に楽だし便利」ということを時間をかけて体験して もらうことです。そのような意味で、「スクリーンリーダ」の体験と同じ ような課題があるかと思います。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 *今月号のプロフェッショナルコースは都合によりお休みとさせていただきます。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 見えない、見えにくいってどんなこと?その1 見えない盲の状態は見えている晴眼者にとっても想像しやすいようだが、 見えにくい弱視の状態は十人十色で想像は容易ではない。 (晴眼者が目をふさいで体験できる盲と盲人の状況は必ずしも同じではない 事は理解しておいてほしい。、) あなたは自分の見え方について把握できていますか? また、パソコン指導をする場合、生徒さんの見え方についてある程度把握 できていると、指導方法に配慮と特徴を持たせることができます。 そこで、今回は見え方の基礎的なことについて説明しましょう。 眼科医に行ったときなど、視力表から5m離れて片目でC文字(ランドル管)など を見て、どちらが離れているかなどの検査を受けますね。 一番上でも判断できない場合は、50cmづつ近づいていきます。 そして、視力表では判断できない0.01以下については次のように表されます。 指数弁 :例えば、目の前30cmくらいで、立てている指の数がわかる 手動弁 :目の前で手のひらを動かして、動きがわかる 光覚弁 :明暗が区別できる 光覚なし:明暗がわからない また、視野検査を受けたことがありますか? 会社や家で、ゴミ箱を蹴っ飛ばす、コップを倒してしまう人などを見かけた ことがありませんか? 中にはあわてん坊や、不注意な人もおられますが、視野が狭くて足下や、少し 横が見えていない人であるかもしれませんよ。 小学校の時など、変な模様の中の文字を読んだ覚えがありますか? これは色覚特性(色覚異常)についての検査です。 一例として、赤色と黒色の判断ができにくい人がおられます。 「弱視」とは 視覚障害は盲(blindness)と弱視(partial sight)に分類されます。 世界保健機関(WHO)では次のように定義しています。  弱視:良い方の目を最大限に矯正した状態で、視力0.3未満かつ、     0.05以上、または視野喪失が20度未満に相当する。  盲人:良い方の目を最大限に矯正した状態で、視力0.05未満     または視野喪失が10度 しかし、視力以外の視野異常なども日常生活には大いに阻害となり、 一般的には「盲」とは視覚を用いて日常生活ができないもの。 「弱視」とは視覚を用いて日常生活が難しいものと定義されています。 この「弱視」は教育的弱視、社会的弱視の意味で、眼科診療で用いている 弱視(amblyopia)との混乱を避けるため、最近はロービジョン(低視覚) というようになってきています。 また、眼科医に行ったとき、網膜色素変性症などで、将来「失明」します、 などと言われます。 この場合の「失明」も、真っ暗で何も見えないことを想像してしまいがち ですが、医学的にはそうではなく、社会的失明のことを指しているようです。 ※視力とは万国式試視力表によって測ったものをいい、  屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう。                           分析:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎らくらくホンの音声ファイルでの取り扱い説明書のダウンロードサイト らくらくホンの各機種について、取り扱い説明書を、MP3の音声ファイルや、 テキストファイルでもダウンロードできるサイトです。 NTT DOCOMOの「らくらくホン」は、視覚障害者も多くの人が使っている 携帯電話です。 らくらくホン本体も、音声ガイドでかなりいろいろな機能を利用できますが、 でも、新しい機能を使ってみようとするときには、やはり視覚障害者にも 使いやすい取り扱い説明書が欲しいものです。 このサイトからは、MP3音声ファイルの他、晴眼者向けのpdfファイル、 らくらくホンVやプレミアムではテキストファイルもダウンロードできます。 MP3ファイルやテキストファイルは、一括ダウンロードすると思わぬ時間が かかり焦ったりもしますし、その後の使い勝手も悪いものになりやすい ものです。 このサイトでは、 カメラ、 とか 電話帳、 とかの項目別のダウンロードが可能で、その後の整理にも便利と思われます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.nttdocomo.co.jp/support/trouble/manual/download/easy_phone/#contenttop ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎財団法人 車両競技公益資金記念財団 車両競技公益資金記念財団は、競輪、オートレースの収益金の一部を、 日本自転車振興会や日本小型自動車振興会が行っている補助事業の支援等に よって福祉の向上に寄与する事を目的に設立されました。 事業の中に「視覚障害者に対するIT教育の手法及び指導者育成の教材に 関する研究」というのが有りますが、今回は社会福祉ボランティア活動推進 事業について紹介します。 以下は平成20年度からの抜粋です。 (1)ボランティア活動に必要な各種器材の整備事業 ア、老人、心身障害者(児)に対するボランティア活動に直接必要な器材の 整備事業に対し、購入費用を助成する。 イ、整備に対する器材は新たに購入するもので、消耗品、介護保険に係わる 器材、自動車購入、連年の器材整備は対象としない。 ウ、社会福祉施設に対する器材整備は対象としない。 (2)ボランティア活動事業 ア、社会福祉のためのボランティア団体が新たに実施するボランティア活動 事業に対し必要とする事業費を助成する。 イ、連年の事業は対象としない(3)助成事業の実施期間は決定後実施し 翌年3月31日までに事業を終了する事とする。 (3)応募条件 助成対象主体ボランティア活動に相当の実績が有り、活動基盤が整備されて おり特定非営利活動法人、ボランティア活動団体であって各都道府県協働 募金会の推薦を受けたものとする。 (4) 助成対象経費及び限度額     10万円以上90万円以内(6)申請書の受付期間は、平成20年 5月19日(月)から平成20年6月27日(金)でした。 ★お問い合わせ 〒113-0033 東京都文京区本郷3丁目22番5号(住友不動産本郷ビル8階)    電話: 03-5844-3070    FAX: 03-5844-3055 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.vecof.or.jp ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎音声ガイドで操作も省エネも万全、「nocria Zシリーズ」  今回は、株式会社富士通ゼネラルから3月1日に発売されたお知らせボイス 機能付きエアコン「nocria Zシリーズ」をご紹介します。  本機は、独自の高密度マルチパス熱交換器、高電圧ベクトルPAM インバーターや高効率送風機構の搭載により、2007年、2010年の各省エネ 基準値をクリアしたトップクラスの省エネ性と外気温が2度のときでも業界1の 8.3kW、マイナス15度においても6.1kWの高い暖房能力を実現しました。  高さ25cmの室内機にすることで、これまで据え付けることができなかった カーテンレールの上などにも据え付け可能です。  高感度の人感センサーと温湿度センサーによるインテリジェント・エコ 機能により人の活動量と部屋の温度を検出し、最適な運転を行うことで、 省エネ性と快適性を向上。また、不在の状態を人感センサーで検知し、設定 温度を控えめにしたり、万が一の切り忘れに対応した自動停止機能を搭載する ことで、電気代のムダを抑えます。加えて独自のパワーディフューザーと ビッグフラップにより、気流を的確にコントロールし、快適でムダのない 冷暖房を実現。さらに新たな気流制御機構として、左右に気流を向けた場合の 風量低下を抑えるとともに風向の制御角度を広めたワイドルーバーを搭載し、 省エネ性と快適性を一層高めています。  当社が世界で初めて開発し、今年度で7年目となる自動フィルターおそうじ 機能は、フィルターに付着したホコリをダストボックスに回収することで屋外 環境を汚さないホコリ回収方式です。また1回のクリーニング運転において、 メインブラシに付着したホコリを3回除去するため、常にクリーンなブラシで フィルターのおそうじを行います。  お知らせボイス機能のガイド音声はエアコン本体から発声し、リモコンの ボタン操作に対応。現在の温度や運転状況などを音声で確認できます。 リモコン本体は、大型液晶表示と大型操作ボタンで、見やすく使いやすい デザインです。 ●製品型番:AS-Z28V、AS-Z40V2、AS-Z50V2、AS-Z63V2、AS-Z71V2 ●価格:オープン ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.fujitsu-general.com/jp/news/2009/01/08-N06-35/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎総合福祉展「バリアフリー2009」開催 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会とテレビ大阪は「第15回 高齢者・ 障が い者の快適な生活を提案する総合福祉展 バリアフリー2009」を開催 します。 *日時:2009年4月16日(木)〜19日(土) 10:00〜17:00(3日間) * 会場:インテックス大阪 * 内容:高齢者・障害者に関する福祉用具や機器の展示・図書やサービスの  紹介など。その他、目の見えない方・見えにくい方のための展示コーナー、  基調講演・各種福祉関連セミナー、バリアフリー・ワークショップ、  高齢者の快適で安心できる住まいフェア、補助犬ふれあい教室、介護保険  相談コーナー、高齢者作品展示コーナー、認知症疑似体験コーナー等が  予定されています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.itp.gr.jp/bf/ ◎SPANが制作したテキストのご案内 SPANでは、パソコンを学ぶ視覚障害者の方、またサポートをする方の ためのテキストの制作を行っています。 *概要:このテキストの政策は、SPANがこれまでに実施してきた講座で培った  ノウハウをもとに、SPANの講師が執筆し、会員が編集しています。 *公開中のテキスト: 1. パソコン講座テキスト・初級編 2. 視覚障害者のためのパソコン入門(Windows Vista編) 3. ファイル管理講座テキスト 4. Excel講座テキスト 5. 宛名職人講座テキスト ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/text/index.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今月号でもいろいろな話題や情報をお届けしましたが、視覚障害者の パソコンサポートはとても奥が深く、恐らく一生勉強が続くのではと感じて います。これからも、目標に向かう志と謙虚さを忘れずにメールマガジンの 制作をしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は4月24日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━