━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2009年7月号 No.33                       2009年7月24日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  スクリーンリーダのこんな使い方 ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(4) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  見えない、見えにくいってどんなこと?その4 [2] サポートお役立ちサイト  NPO法人 ことばの道案内 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  地域の視覚障害者団体と連携   「宮城県視覚障害者情報センター」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  「タッチでわかる」がリニューアル、「Touch Memo(タッチメモ)」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「ウォーク&ランフェスタ 難病と取り組む仲間とともに 響け!1万人の  鼓動!」開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎スクリーンリーダのこんな使い方 私の周囲の弱視の人たちが、どれだけスクリーンリーダを使っているので しょう。きっと随分少ないと思いますね。「使いやすいように自分流に使う」 ことの良さを知ってもらい、「食わず嫌い」から脱皮していただきたいと思い ます。「目に楽で、便利」なのです。  私も、スクリーンリーダを使う弱視の一人ですが、「読みたい部分を範囲 指定して読ませること」をよくします。この方法は、皆さん結構しているよう です。例えばホームページから情報を取る時、弱視者の中には、画面を見て、 得たい情報がどこに書いてあるのかがわかる人がいます。でも、、それを自分 で読んでいくのは大変です。そんな時に、マウスで範囲指定してそこだけを 読ませます。この方法は、私も自然に身につけていました。「マウスを使い ながらもスクリーンリーダを使う」。矛盾しているようで、この「両刀使い」 こそが私の夢です。 こんな例もあります。Excelで紙に書かれた数字を入力した時などに、入力 したものを読み上げさせて、それを聞きながら元のデータと照合する。この 作業を「聞いていた」弱視の人が非常に便利だと感激したことがありました。 彼は、スクリーンリーダは全盲の人が使うもの、と理解していました。読んで 欲しい時だけ読ませるという、そんな使い方があることを知らなかったわけです。 多くの弱視の方は「目が疲れる」と訴えます。「目が疲れると、体全体が 疲れる。」このことも、結構多くの弱視の方から聞きます。 「今日は疲れたので、メールは音声で聞こう」ということがされても良いの ではと思います。  スクリーンリーダの役目の一つは「完璧にどれだけ読み上げるのか」という ことですね。でも、弱視の中には、読ませたいところだけ読めばよい、という 方もいます。そして、そんな使い方によってもスクリーンリーダのユーザが 増えればと思います。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(4) 1. はじめに 前回に引き続き、[Alt]+[F]で表示される画面の左側の残り3項目の 「送信(D)」「発行(U)」「閉じる(C)」について説明します。 2. 送信(D) ショートカットは「Send」の4文字目の「D」です。この項目を選ぶと、右側 には1つの説明と2個の項目が表示されます。 一番上の説明は「ドキュメントのコピーを他のユーザーに送信」と表示され ます。その下には項目が2個あります。「電子メール(E)」と「インターネット FAX(X)」です。 「電子メール(E)」のEはE-mailの「E」です。その下の説明文は「文書の コピーを添付ファイルとして電子メールで送信します。」です。この項目を 実行した場合、WindowsOSに標準で登録されている電子メールソフトが起動し 現在のファイルを添付ファイルとして送信する画面が表示されます。 「インターネットFAX(X)」の最後の文字「X」(エックス)です。その下の 説明文は「インターネットFAXサービスを利用して文書をFAXで送信します。」 です。実際にFAXを送信する機能ではありません。文書ファイルではなく、 印刷したイメージを添付したメールを作成する機能です。このサービスを利用 するには、イメージファイルに変換するための事前登録が必要です。 3. 発行 (U) ショートカットのUは、Publish の2文字目の「U」です。一番上の説明は 「ドキュメントを他のユーザーに配布」です。その下には項目が3個あり ます。「ブログ(B)」と「ドキュメント管理サーバー(D)」と「ドキュメント ワークスペースの作成(C)」です。いずれも、単に紙に印刷して配布する、 またはCDに焼き付けて配布するなどの方法から一歩進んだネットワーク対応の 機能です。これらの機能はいずれも事前に登録が必要です。 4. 閉じる(C) ショートカットは、もちろんCloseの先頭の「C」です。保存されていない情報 があれば、保存するためのダイアログボックスが開きます。 5. まとめ 今回の機能を見ても、Office2007は印刷物を作成する道具の先をねらっている ことがわかると思います。次回からは、オプションの設定について解説します。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎見えない、見えにくいってどんなこと?その4 先月号ではロービジョン者の概略について紹介しました。 今回は具体的に、どのように見えているのか、または見えていないのかなどを 具体例を交えて説明します。 その一例として、先月号でも紹介しました「弱問研」が作成した「弱視者 いろはカルタ 」を題材に取り上げながら説明します。 ・「すれちがい あいさつされても いまのだれ」 見えにくいと云っても、視力が低くて、すれ違った人の顔までは分からない ひと、視野が狭くて、自分の歩く方向だけしか見えていなく、すれ違ったこと にも気がついていない人もいる。 ロービジョンの方の場合、白杖を使っていない人も多く、普通に歩いている ので、普通に見えていると思われがちですが、本人は結構集中して歩いている 場合もあり、周りのことまで気が回らない場合もあります。 視野狭窄については、トイレットペーパーの芯を望遠鏡のように、目に当てて 見ることで、少しは様子を分かっていただけるかと思います。 ぜひ、見えている方から、声をかけてくださいね。 ・きすをして はじめてわかる きみのかお そこまで近づかないと見えない場合もあります。 以前、私が見えていたときの事ですが、電車に乗っているとき、ドア付近に 立ちながら本を読んでいる青年がいました。 ところが、読み方が一般的ではないんです。文庫本の誌面で、ほっぺをこする ようにしていました。 最初は何をしているのか分かりませんでした。でも、規則的に本を上下し、 少しずつ右にずれていたのです。 それで、読んでいることが分かりました。 次号につづく                           文責 園 順一 ※参考 ■ 弱視者いろはカルタ 2,940円(税込) 購入はこちらから 弱視者問題研究会/著 高柳泰世/監修 柴崎幸次・アトリエ・メディア・ZOO/デザイン・編 http://www.daikatsuji.co.jp/archives/attention/post000603.php#honbun ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎NPO法人 ことばの道案内  街には画像入りの地図はたくさんありますが、視覚しょうがい者にはそれら が利用できません。私たちは視覚しょうがい者に、地図などの画像でなく “ことば”によって、目的の施設まで案内する言葉の地図いわゆる「ことばの 道案内」を制作することを主な活動の目的としています。  しょうがい者の社会参加と自立のためにも外に出ることは大切なことだと 考えています。そして「ことばの道案内」によって、視覚しょうがい者、さら には、視力が低下した方や高齢者にも利用していただけるよういろいろな施設 の道案内をつくっています。  ここで紹介したNPOでは、精力的に、視覚障害者関連施設と団体、その他の 障害者関連施設と団体、公共施設、などについての「言葉の道案内」を製作 しています。 この「言葉の道案内」は、下記の検索ページ、ウォーキングナビ、から検索 して利用することができます。 サポートしている視覚障害者の方が外出する場合には一度このサイトで検索 してみられたらいかがでしょうか。 また、この活動に興味のおありの方も是非一度このサイトをお尋ね下さい。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 メインページ: http://www.kotonavi.jp/index.htm ウォーキングナビ: http://www.walkingnavi.com/fmi/xsl/walk/find1.xsl?-db=walkingnavi.fp7& -lay=fOLder1&-grammar=fmresultset&sortfield.1=id&-sortorder.1=ascend& -findall ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎地域の視覚障害者団体と連携  「宮城県視覚障害者情報センター」  この施設については、ホームページで以下のように紹介されています。 身体障害者福祉法上の「視覚障害者情報提供施設」で、点字図書及び録音図書 などを製作して利用に供したり、点訳・朗読等奉仕員を養成します。その他、 種々の福祉サービスを行うことによって、目の不自由な方々の文化・教養の 向上を図り、生活自立を助けます。 また、同センターは、2009年4月から指定管理者制に移行し、運営を宮城県 視覚障害者福祉協会が行っています。 具体的には以下のような事業を行っています。 1.点字・録音図書等の 拡充 2.視覚障害者情報センターのPRと図書の利用促進 3.情報提供サービス 4.奉仕員の養成 5.プライベートサービス 6.相談業務等 7.音声対応ソフトを搭載したパソコンを設置し、希望者に使い方を指導 事業の中心は、視覚障害者への情報提供ですが、相談業務やパソコン指導 などと、幅広い支援活動を行っています。 地域の視覚障害者団体と連携しながらの事業展開は、多くの団体の運営を 進める方法として参考になるのではないでしょうか。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://homepage3.nifty.com/miyagi-sikaku/center.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎「タッチでわかる」がリニューアル、「Touch Memo(タッチメモ)」  今回は、7月30日にユーディー・クリエイト株式会社より発売される 視覚障害者向けペン型タッチ式録音・再生ボイスレコーダー「タッチメモ」を ご紹介します。本機は、一部の自治体などで視覚障害者向けの日常生活用具に 指定されながら生産が終了してしまったアイタッチトークの後継機種です。  使用方法は、 1.知りたい物に専用シールを貼ります。衣類や冷凍食品にも貼ってOK。 2.録音ボタンを押してシールにタッチしたら、物の名前を登録します。 3.シールにタッチすると、登録した声が再生されます。  たとえば、ビンや缶の形が似ていてジュースとアルコールの区別がつかない とき、薬の形が似ていて何の薬なのかわからないときも、タッチペンがあれば 中身の確認が容易になります。CDの曲目を整理したり、工夫して声の絵本を 作ったりなど、クリエートな使い方もできます。さらに、衣類の確認に便利な 耐水性ボタンタグ・シール台紙タグが付属しています。  本体には4GBの内蔵メモリを搭載。1件あたりの録音時間が平均10秒なら 6万件以上、合計60時間登録できます。携帯電話と同様の充電式で、 コンセントやパソコンのUSBから1回の充電で約5時間連続使用できます。 また録音タグ・シールは、登録した音声の消去や上書きも簡単で、何度でも 繰り返し使えます。   なお、本製品は日常生活用具対象製品です。 ●仕様 ・サイズ:約16.3×2.3×2.5cm(ペン型タイプ) ・重量:約50グラム(電池含む) ・電源:充電式リチウムイオン電池3.7ボルト ・動作環境:Windows XP、Vista、Mac OSX等 ・外部端子:USB2.0(充電用、パソコン接続兼用) ・価格:26,800円(税込) ・付属品:突起付マル型シール20枚(600片)、衣類縫い付けタグ1枚(60片)、 専用充電器、ステレオイヤホン、USBケーブル、ソフトケース、 墨字取り扱い説明書、音声簡単操作ガイド(CD)ほか ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.nerima-sound.com/shopdetail/023000000007/order/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「ウォーク&ランフェスタ 難病と取り組む仲間とともに 響け!1万人の  鼓動!」開催 病気や障がいを持つ人も持たない人も、アートや音楽を楽しんだり、からだ や難病、障がいを知ったり、からだを動かしたりするイベントです。 *日時:2009年9月27日(日)10:00〜15:30(9:00受付開始) *会場:味の素スタジアム *内容:ウォーク&ラン(メインフィールドでのウォーキング・ランニング・  伴走教室など)  体感運動会(サウンドピンポン・タンデム・ハンドサイクルなど) *入場料:300円(中学生以下無料) ※なお、ラン競技には別途参加費・事前申込みが必要です。 *主催:ウォーク&ランフェスタ実行委員会 ▼詳しくは下記をご覧ください。  http://nanfes.com/ ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(高岡)開催 この講習会は、視覚障害者のパソコン指導者を養成するために開催します。 *日時:2009年9月26日(土) 10:00〜17:00・27日(日) 10:00〜16:00 *会場:ウイング・ウイング高岡(高岡市生涯学習センター) 研修室502 *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定やキーボードの指導法など     の学習及びキーと音声によるWindows操作と文字入力など音声に     よるパソコン操作の方法を習得。 *受講料:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 TEPIAデジタルプラザ ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/tepia/info_090926-27takaoka.html ◎福祉機器学生アイデアコンテスト2009アイディア募集のお知らせ 誰もが安心して暮らせる社会を実現するため、障がい者の自立と社会参加に 役立つ具体的なアイデアを募集します。 *募集内容: (1)コミュニケーション支援部門:携帯電話の受発信を簡単にする補助器具や  インターネット・メールの利用をより簡単にするソフトなど、障がい者の  円滑なコミュニケーションに役立つアイデア。 (2)移動支援部門:車椅子の乗降や駆動を楽にする補助器具や、屋外での安全  な歩行を確保する方法など、障がい者のスムーズな移動に役立つアイデア。 (3)日常生活支援部門:食事・入浴・就寝・外出時など、障がい者の日常生活  に役立つ様々な用具や便利グッズなどのアイデア。 *応募資格:高校・高専・大学・大学院・専門学校等に在籍する学生。  学生によるグループでの参加も可能です。 *応募方法:下記のホームページから所定の応募用紙をダウンロードし、必要  事項を記入の上、郵送、FAXまたは電子メールにて事務局に送付。 *締切日:9月30日(水)日 *主催:社会福祉法人 大阪障害者自立支援協会 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.big-i.jp/info/news/news_detail.php?id=200906007 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  Windows7リリースの予告もあり、パソコン環境はどんどん変化していく 中で、ユーザや指導者にタイムリーで的確な情報を提供していくことの大切さ を改めて実感しています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は8月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  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