━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2009年9月号 No.35                       2009年9月25日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  キー操作の便利さを知る ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(6) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  見えない、見えにくいってどんなこと?その6 [2] サポートお役立ちサイト  ATモール・コム   -アシスティブテクノロジー製品のオンライン・ショッピング- [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  山梨スパン   〜地域に密着した地道な日常活動〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  よみともがBig change!、「よみとも Ver6.1」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第36回国際福祉機器展 東京で開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎キー操作の便利さを知る 弱視者の場合、良いにつけ、悪いにつけ、「見ること」に、こだわります。 先日、弱視の人、数人で「Windows Media Player」で、音楽を自由に聴く 練習をしていました。閉じるんだから、そ「そこのばってんのところ」に持っ てきてと。すると「小さくてばってんにあわせられない」、「マウスポインタ がどっかに行っちゃった」と、大騒ぎです。「キーでやるしかない」。 「[Ctrl]を押しながら、[F4]キーを押せばいいんじゃないか」と。「いや、 [Alt]じゃないかな」。まあ、こんな調子ですが、マウス操作ではない、キー 操作の便利さを身をもって知ったわけです。 「[Alt]+[F4]キーで、起動中のアプリケーションを終了させます。キー操作は 便利なのです」と、何度言われても、その便利さを「実感」しないと、使わ ないし、覚えません。 弱視者には、見ないことへのアレルギーがあります。どんなに便利と言われても マウスで操作しようとします。そんな時には、「マウスポインタを見やすく することもできるし、キー操作でもできるんです。」という説明が必要だと 思います。 先の勉強会で、皆さんに好評だったのが、Windowの切り替えに使う[Alt]+ [Tab]キーの操作です。この操作を弱視者がマウスで行うのはなかなか大変 ですね。 「こうあるべき」 という指導方法ではなく、大変さを解消してくれる便利な 操作を知ってもらうようにしていくことが大切だと思います。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(6) 1.はじめに 前回は、オプションで文字体裁(Typography)まで説明しました。 今回は、詳細設定を説明します。 2.詳細設定 詳細設定を選ぶと、びっくりするほど多くの項目があります。縦に長い画面 です。10個の項目に分類されていますが、各分類に飛ぶショートカットが考慮 されていません。 Word2002では、ダイアログのマウスカーソルが当たっている場所で[Shift]+ [F1]を押すとその項目の説明が表示されます。(残念ながら、フォーカスが ある項目ではありません) Word2007では、説明文の後の丸のなかに、英小文字の「i」がある項目に マウスカーソルがあたると、その項目の簡単な説明が表示されます。 しかし[Shift]+[F1]を押すとマウスカーソルがどこにあっても「Wordの オプション」(詳細設定)の画面が表示されます。機能が減退している場所 ではないでしょうか? 各項目の詳細な説明はこのヘルプを熟読されることをお勧めします。 (1)編集オプション(21項目) 子画面1個、日本語入力システムの設定 (2)切り取り、コピー、貼り付け(10項目) 子画面1個 (3)構成内容の表示(約13項目) (4)表示(11項目) (5)印刷(9項目) (6)次の文書を印刷するとき(2項目) (7)保存(4項目) (8)次の文書を共有するときに再現性を保つ(5項目) (9)全般(11項目) 3個のボタンに接続する画面3個 (10)互換性オプションの適用先 3個 すべての項目を調べてはいませんが、便利そうな項目を幾つか紹介します。 (11)構成内容の表示 「図をイメージ枠で表示する」にはチェックがありません。ここにチェックを 付けるとスクロールが速くなります。しかし、このチェックを付けたことを 忘れてしまうと、そのことを知らない晴眼者はトラブルが発生したと思います。 下書き表示及びアウトライン表示で下書きフォントを使用する は弱視者にとって便利な機能です。 ここにチェックを入れると名前(フォントの事です) とサイズ(ポイントの事です)を設定できます。 たとえば、本文が10.5ポイントで明朝の場合、ここでMSゴシック 24にします。 [Alt]でリボンに切り替えます。[W]で表示を選びます。ここで[U]を選ぶと アウトライン表示になります。すると、本文のフォントとポイントが変更 されることなく、指定したフォントと大きさで表示されます。 元に戻すには[Alt]→[W]→[P]で印刷レイアウトを選んで下さい。 (12)互換性オプションの適用先 word2003を使用している人達と文章を共有したい場合には、 「次のアプリケーションに合わせてこの文書をレイアウト」 のリストがあります。 標準ではもちろん「Microsoft Office Word 2007」になっていますが、この中 から「Microsoft word2002」とか「Microsoft Office word 2003」を選ぶと 良いでしょう。 その下のレイアウトオプションで「右方向」キーを押すと50個以上のチェック があります。 いずれにしても、オプションは使用頻度が低いかもしれませんが、重要な情報 が多くあります。一度内容を確認されることをお勧めします。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎見えない、見えにくいってどんなこと?その6 先月号で説明しました、点字ブロックについての追加です。 誘導ブロックにしたがって歩くと書きましたが、必ずしもブロックの上を歩く わけではありません。 だって、歩きにくいですよね。 白杖で探ったり、ロービジョンの方は目で追ったりしているんです。 そのための道しるべなのです。 ところが、駅で職員にガイド依頼をすると、誘導ブロックの通りにガイド される方がおられます。 しかも、丁度誘導ブロックの上を歩くように・・・。 わざわざ角張って歩かなくても、斜めでもよいのですがねぇ。 まるで足裏マッサージをしているようです。 いろんな駅で何度も経験しています。 よく利用する駅であれば注意を促しもするのですが、その前に様子も分かり、 慣れるのでガイド依頼をしなくてよくなるんですね。 ついでに書くと、「右に曲がります」と云ってくれればよいのに、「3時の 方向に曲がります」なんてね・・・。 ここまでなると、誰が誘導の仕方を指導しているのかと気になります。 ついでに、凹凸絡みで、歩道のスロープについての話題です。 歩道から車道に降りるところが車いすの方達のためにスロープになっている ことにはお気づきだと思います。 ところが、歩道と車道の境界の所が面位置ではないことをご存じですか? 標準では2.5cmの段差を付けることになっています。(そうなっていないところ も多いのですが・・・) これは、視覚障害者が、横断し終わった事が分かるための段差なのです。 進行方向右側の歩道を歩いていて、四つ辻があり、横断するとき、ゼブラ ゾーン内をほぼまっすぐ歩ければ問題はないのですが、車道が4車線など 広くて、少し左に曲がって渡ってしまうと、反対側の歩道にたどり着けずに 車道を歩き続けてしまう事になりかねません。 このときに段差があれば渡り終えたことが判断できますが、段差がないとまだ 渡り終えていないのか、間違って危険な車道を歩いてしまっているのかの判断 材料が減ることになってしまい危険です。 車の量が多いと音でも判断できますが、ほとんど車の通らない道では気がつか ない場合もあります。 2.5cmの段差は、車いすの人が乗り越えることができ、視覚障害の人が白杖で 探れば気がつくところから決められたと聞いています。 点字ブロックは車いすの方には邪魔な存在でもあり、お互いの歩み寄りと妥協 が必要なところの一つですね。 つづく                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎ATモール・コム  -アシスティブテクノロジー製品のオンライン・ショッピング- さまざまな障害者がパソコンを使う上で役に立つ製品のオンラインショッピン グサイトです。 視覚障害者向けのスクリーンリーダーなどのソフトや読書機などのハードも 扱っていますが、それ以外の障害者のパソコン使用を支援する周辺機器も多数 あります。 例えば、手では操作できない人のための、足で操作するキーボードとか、 判りやすい配列のカナ入力のキーボードとか、何でも室内のものをパソコン から制御するための遠隔リモコンとか、「ホウ」と認識を新たにするものが かなりあります。 このメルマガは視覚障害を対象にはしていますが、視覚障害と共に肢体不自由 でもある人がサポートの対象となる場合もあります。 そんな人のサポートをしなければならない場合もありますし、それ以外の人も 是非一度見ておくと大いに役に立つものと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.at-mall.com/default.php#main ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎山梨スパン  〜地域に密着した地道な日常活動〜 今月は、スパンの講習会から発足した〈山梨スパン〉の代表 窪田進さんに 日ごろの活動状況と今後の活動などを伺いました。 山梨スパンの発足は、昨年の4月にスパンが山梨で講習会を開いたのが きっかけでした。 そのときに講習会に参加したHさん、Aさん、Oさん、窪田、で 「せっかくなので『山梨スパン』を作ろう。」と言うことで始まりました。 私、窪田は、弱視で視覚障害は1種1級です。 音声リーダーを使用してのパソコン操作です。 Aさん、Hさんは、晴眼者です。 活動はとりあえず「勉強会を月に一度」私の家で行うことが決まりましたが、 その後、東京に越されたHさんは、山梨スパンに席をおき、山梨スパンの ホームページを担当。 Oさんは、2回ほど参加されましたが他の用件で忙しいとの事で退会。 ということで、現在は、Aさんと窪田、二人で勉強会を続けている状況です。 山梨県内のパソコン指導状況は、山梨ライトハウス主催のパソコン講習会、 また、山梨視覚障害者協会に入会すれば参加できるパソコンクラブがあります。 その他、市町村でも時には視覚障害者向けに、パソコン講習会を開いたりして います。 山梨スパンでは、いろいろな状況を見ながら 何らかの形でボランティア的な 事からでも活動に参加出来れば良いと思っています。 人材が沢山いるわけではありませんので、出来る事は限られますが、昨年の 講習会に参加した視覚障害者の方々に情報提供などをしています。 活動内容はまだまだですが、自分たちのスキルを上げる事を当面の目標とし、 出来るだけ継続出来るように努めていきたいと思っています。                 窪田 進 wrote: ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.geocities.jp/yamanashi_span/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎よみともがBig change!、「よみとも Ver6.1」  今回は、8月に株式会社アイフレンズより発売された活字・点字文書 朗読システム「よみとも Ver6.1」をご紹介します。  「よみとも」は、パソコンに接続したスキャナに活字文書や点字文書などを のせてボタンを押すだけで、その内容を聞き取りやすい滑らかな音声で 読み上げさせることができるソフトです。 今回のバージョンアップでは、認識精度の大幅な向上に加え、両面書きされた 点字文書の読み上げや音声ファイルに保存する機能などを追加しました。  その他の主な特徴は以下の通り。  連続スキャンの際、読み上げ中は「マルチ原稿の朗読」などでは、自動的に 編集モードに移行してテキストがスクロールし、「拡大読書」では画像が表示 されるようにしました。これにより弱視者は、読み上げ途中でも視力に応じた 拡大画面でテキストや画像を確認でき、盲聾者は読み取った内容を常に点字 ディスプレイに表示してお読みいただけます。 また、OCR言語で「自動」を選択できるようにしましたので、英日混在文書の 認識率が向上するとともに、日英それぞれの言語に対応した声質で読み上げ させることができるようになりました。 さらにPCトーカーや95リーダーの他、XPナボの音声も抑止できるように しました。 ●主な仕様 パソコン:WindowsXP、WindowsVista メモリ:1GB以上を推奨 HDD:ユーザーエリアとして5GB以上を推奨 スキャナ:A4サイズのエプソン製(推奨)   キャノン製(点字文書の読み取りは機種限定) ●製品価格 よみともVer6.1: 74,800円(税込) Ver5.5をお使いの方:14,800円(税込) Ver5.0以前のバージョンをお使いの方:24,800円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://kigaruni-net.com/i03-09.html#yomitomo61 ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第36回国際福祉機器展 東京で開催 全国社会福祉協議会と保健福祉広報協会によって、第36回国際福祉機器展 H.C.R.2009 が開催されます。 *日時:2009年9月29日(火)〜10月1日(木) 10:00〜17:00の3日間 *会場:東京国際展示場「東京ビッグサイト」東展示ホール *内容:さまざまな福祉機器紹介のため、約530社が出展します。 視覚障害関連では、視覚障害者に便利なソフトウェア、拡大読書器、視覚 障害者用誘導システムなどが展示されます。 その他、さまざまな企画が行われる予定 *入場料:無料 *主催:財団法人保健福祉広報協会 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.hcr.or.jp/exhibition/exhibition2009.html ◎アイフェスタ2009in神戸開催のご案内 第7回視覚障害者のための総合福祉機器展及び総合相談会が開催されます。 *日時:2009年10月18日(日) 10:30〜16:30 *会場:神戸市立六甲道勤労市民センター  *内容:話題の福祉機器をはじめ新製品、機器の展示並びに誰にでも 使いやすいユニバーサルデザインのグッズも展示されます。 ・眼科医による無料相談コーナー ・ オーデコ(額感覚認識システム)体験コーナー ・ インテリジェント車いす「ひとみ」体験コーナー ※上記三コーナーは事前に申込が必要です。 *参加費:無料  *主催:日本網膜色素変性症協会(JRPS)兵庫県支部 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.jrps.org/hyogo/local/#211018 ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(仙台)開催 この講習会は、視覚障害者のパソコン指導者を養成するために開催します。 *日時:2009年11月28日(土) 10:00〜17:00・29日(日) 10:00〜16:00 *会場:宮城県視覚障害者情報センター *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定やキーボードの指導法などの     学習及びキーと音声によるWindows操作と文字入力など、音声に     よるパソコン操作の指導法を習得。 *参加費:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 TEPIAデジタルプラザ ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/tepia/info_091128-29sendai.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  視覚障害ユーザのみなさん、またサポートをする方々からさまざまなご質問 をいただきますが、その内容は、PCやソフトの操作にとどまらず、各種設定や トラブル対応、また職業での活用方法など多岐にわたっています。こうした ニーズに応えるため、私たちは常に研鑽が必要だと実感しています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は10月23日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━