━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2009年12月号 No.38                       2009年12月25日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  ここが山場だ!文字入力(まとめ) ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(8) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  見えない、見えにくいってどんなこと?その9 [2] サポートお役立ちサイト  点字情報 コア・ルーム [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  視覚障害者を支える地域の総合施設   「社会福祉法人 島根ライトハウス ライトハウスライブラリー」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  視覚障害者用途としては国内初!、「振動式光チェッカー」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  視覚障がい者向けIT講習会(中級講座)無料開催のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎ここが山場だ!文字入力(まとめ) 7回にわたってお届けしてきた文字キーの配列と指使いですが、いよいよ今回 で最後になりました。今回は今までお話してきた内容のまとめを簡単にしたい と思います。  文字を入力するためには、キーボードのキーの配列を指で覚えなければなり ません。それは根気のいる少々たいへんな作業に思える方もいらっしゃったか と思います。ですが、この連載を読んでいただいていた皆さんは、キーの配列 と指使いを体系的に順を追って学ぶことで、それほどたいへんに思うことなく 文字入力ができるようになっていただけたのではないかと思っています。  効率の良い入力をするためにもっとも重要な点は、皆さんご存知のように 正確な指使いで目的のキーをたたくということです。 視覚障害者はキーボードのキーを眼で見て確認することは困難、もしくは手間 のかかる作業です。 その点、タッチタイピングを正確に習得することで、入力の速度が確実に アップします。 パソコンを初めて習う方でも、毎日少しずつタッチタイピングの練習をして、 正確な入力を心がけるならば必ず上達します。そして、パソコンを普段使って いる方にいたっても同様なのです。基本に立ち返って正確な指使いを心がけて 入力してみると、普段身についている癖に気がつきます。このようにタッチ タイピングはパソコン操作において基本であり、重要なポイントです。  タッチタイピングでもっとも大切なのは、ホームポジションです。指を 伸ばして目的のキーをたたくときには必ずホームポジションに指を軽くおいた 状態にしておきます。そして、キーをたたき終わった後も必ずホームポジション に指を戻します。 この手順を繰り返すことで、全く眼が見えていない状態でも正確な入力が できるようになります。 以上で「ここが山場だ!文字入力」のシリーズを終わりにしたいと思います。 皆さん、1年とちょっとの間ではありましたが、お付き合いいただき ありがとうございました。 次号は来年の2月から新しい内容でお届けします。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(8) まずWord2007で文章を作成してみましょう。一番上の行から「日付」「題名」 「氏名」を作成します。まずWord2007を起動してください。 それでは、日付を挿入します。 [Alt]キーを押してリボンのタブを切り替えるショートカット文字を表示 します。 [N]を押して「挿入」のタブのリボンを選びます。 続いて[D]を押して「日付と時刻」を選びます。すると「日付と時刻」の ダイアログが表示されます。表示形式のリストにフォーカスがあるので [上または下方向]キーで好みの表示形式を選びます。次に[Enter]キーを押して 確定します。ここで[Ctrl+R]で右詰めにします。 [Enter]キーを押して改行します。ここで題名として「営業資料」と入力 します。 [Enter]キーで改行します。 今度は名前を入力します。 それでは、題名の文字の大きさを変更してから、配置などを変更してみま しょう。 [上方向]キーを押して題名の行に移動します。[Ctrl+E]で中央に配置します。 現在文字カーソルが行末にあるので、[Shift+Home]を押すと、行全体が選択 されます。 [Ctrl+Shift+P]を押すと「フォント」のダイアログが表示されます。文字の 大きさを変更するリストがフォーカスを持っているので、[下または上方向] キーを押して好みの文字の大きさにします。[Enter]キーを押して確定します。 さらに[Ctrl+B]を押すと太字になります。 [Ctrl+U]を押せば、下線が付きます。 最後に、[右または左方向]キーを押して範囲選択を解除してください。 このようにWord2007では、メニューがなくなりリボンと呼ばれるユーザー インターフェースが登場しています。それではリボンの使用方法ちょっと確認 してみましょう。 [Alt]キーを押します。すると、リボンのタブ上にショートカットの文字が表示 されます。 FはOfficeボタン,Hはホーム,Nは挿入,Pはページレイアウト,Sは参考資料, Mは差し込み文書,Rは校閲,Wは表示,Xはアドインです。ここで、Nを押すと 「挿入」タブのリボンが表示されます。挿入のリボンには各項目のショート カット用の文字が表示されます。テキストグループにある「日付と時刻」には 「D」が表示されます。つまり、ここで[D]を押すと、日付を選択するダイア ログボックスが表示されるわけです。 リボンのタブを切り替えるには、[方向]キーを利用する方法もあります。 今までのダイアログボックスは[Ctrl+Tab]でタブを切り替えることが出来まし たが、Word2007のリボンのタブではできません。[Alt]キーを押すと左端の リボンの「ホームのタブ」がフォーカスを持ちます。[左右の方向]キーで リボンを選択できます。使用したいリボンまで移動したら、[下方向]キーで リボンの左端の項目に移動します。あとは、[Tab]キーと[Shift+Tab]で項目を 選びます。[Shift+左または右方向]キー別のグループに切り替えることが 出来る場合があります。 (注意)次回からは、リボンについて詳細な説明をします。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎見えない、見えにくいってどんなこと?その9 今月も先月号に引き続き「弱問研」が作成した「弱視者いろはカルタ」を題材 に取り上げながら説明します。 ・ちくわから のぞいたような しやきょうさく ・ながしめは したくないのに ちゅうしんあんてん ※ちゅうしんあんてん→中心暗転 この2つ、ちょうど対称的な?関係にあります。 今までにも何度か触れてきましたが、見える範囲が狭かったり、一部だけしか 見えないんです。 この状況は普通に見えている人にとっては、理解しがたい状態であり、また 本人にとっても気がつかない人もおられます。 それだけに行動などで誤解を生む場合もあります。 例えば、視野狭窄で、視力は1.0の人は本を読むことができます。 それを見ている家族や同僚などは「普通に見えている人」と思い、その人が よく机の角にぶつかったり、蹴躓いたり、ゴミ箱を蹴飛ばすなどすると、 あわてんぼうなひと、注意力の少ない人と思ってしまいます。 特に本人が視野狭窄が進んでいることに気がついていない場合は自らの行動に 注意をすることもできず、自分は注意力が散漫なのかとも思い違いをして しまっている場合があります。 私の目は、ちくわから覗いたような状態です。 では、見えていないところは真っ暗なのですか?との質問を受けることがあり ますが、そうではありません。 普通に見えている人でも、自分の横やそれより後ろは見えないでしょうが、 そこは暗いですか? そうではないですよね。見えないだけのことですね。 私が見えづらくなり始めて、弱問研の定例会に参加したときのことです。 A子さんと対面で話し始めたとき、彼女は私の方を見ないんです。 流し目じゃないですが、斜め右上の方を見ながら話すんですね。 最初はとても違和感を感じました。なんでやろ・・・、今でも覚えているほど の印象を受けました。 ちょっと恥ずかしくてまともには見ないのかなぁ、とも思いました。 でも、いつも同じ方向を見ているのでそうでもないのだろうとも思っていま した。 そのうちにロービジョンの事を色々と勉強を始めていく中で、彼女は左下の方に 見えるところがあるので、その様な姿勢で話していたことが理解できるように なりました。 ロービジョンの状態は正に千差万別、十人十色です。 それらを全て理解することは当事者でないと分からないでしょうし、当事者で あっても自分の見えにくさ、見え方を理解している人も少ないようです。 このシリーズではそれらの内特徴的な例をいくつかあげてきました。 今後、パソコン指導や共同作業をする場合などの参考の一部にでもなれば幸甚 です。 弱問研が作成した「私の見え方 紹介カード」第2版が大活字から販売されて います。                           文責 園 順一 ※参考 ■ 弱視者いろはカルタ 2,940円(税込) 購入はこちらから 弱視者問題研究会/著 高柳泰世/監修 柴崎幸次・アトリエ・メディア・ZOO/デザイン・編 http://www.daikatsuji.co.jp/archives/attention/post000603.php#honbun ■私の見え方紹介カード 弱視者問題研究会/編・発行 http://www.daikatsuji.co.jp/books/52068.html#honbun ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎点字情報 コア・ルーム 点字データによる、何でも生活ミニ百貨、とでもいうべきサイトです。 点字データは、パソコンの中の点字とでも言うべきもので、点字ディスプレイ で点字として読むこともできますし、Winbes99のようなソフトで音声として 読むこともできます。 このサイトの特徴は、非常に広い日常生活の範囲を、要領よくまとめてアップ してある点だと言えると思います。 例えば、 料理レシピ、 病気の事典、 などから始まって、 海外旅行ガイドブック、 園芸事典、 生活雑学事典、 とか、 ヒット曲歌詞集、 掃除・収納事典、 にいたるまで、37項目について、生活の中で必要そうなものを選んであり、 各項目の中のさらに細かい分類も、かなり使いやすいものになっています。 例えば、ヒット曲歌詞集の中でのそれぞれの歌詞は、歌手名による検索が可能 ですし、besとbseの2種類の点字データとして簡単にダウンロードすることが できるようにも配慮されています。 もうひとつ、このサイトの特徴は、ネット内の点字データについての利用可能 なサイトが、かなり広い範囲でリンクされていることでしょう。 このリンクから、例えば、naiivnetにも登録されていないような点字データの 書籍にも出会うこともできます。 皆さんが支援しておられる視覚障害者の方でも、このようなサイトの存在を 知ったら利用したい方も多いはずですので、ぜひ紹介してあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.coreroom.gr.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎視覚障害者を支える地域の総合施設  「社会福祉法人 島根ライトハウス ライトハウスライブラリー」 ライトハウスライブラリーは、視覚障害者情報提供施設として、視覚障害者 への点字・音声図書の貸し出しや情報提供、リハビリを行う施設です。 *事業内容 1.点字・録音図書貸し出し 2.相談・援助 3.訓練 4.用具の斡旋や販売 5.情報提供 また、上記の事業をするためのボランティアの養成も行っています。 そのうち「訓練」では以下のような事業を行っています。 ・歩行訓練 ・点字訓練 ・パソコン等補助機器訓練 ・日常生活訓練  こんな相談に応えています。 ・最近目が悪くなりましたが、今からでも点字を覚えられますか? ・文字が読みにくくなりましたが、何かよい方法はありますか? ・白い杖で歩けるようになるには、どうしたらよいですか? ・白い杖を持てば、どこでも歩けるようになりますか? ・盲導犬を使って歩きたいのですが? ・目だけでなく耳にも障害があるのですが? ・目が悪くても料理はできますか? ・目が悪くてもパソコンは使えますか? ・パソコンの使いかたは教えてもらえますか? ・色々な情報を教えてほしいのですが? ・ボランティアとして活動したいのですが? 地域にこうした施設があることで、そこに住む視覚障害者にとって大きな力に なっていると思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.lighthouse-lib.jp/index.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎視覚障害者用途としては国内初!、「振動式光チェッカー」  今回は、株式会社アイフレンズから発売された光の明暗を振動の速さで 体感できる振動式光チェッカーをご紹介します。  操作方法は、本体上面のスイッチを押し続けている間だけ電源が入り、 測定を行います。本体を明るいところにかざすと振動し、暗いところにかざすと 振動を停止します。  主な使用用途は、室内の蛍光灯や照明器具、液晶ディスプレイなどの点灯、 消灯、点灯している場合は取り付け位置の確認。家電製品、パソコンの電源 表示灯(パイロットランプ)が点灯しているか、パソコンのハードディスクの 稼動表示灯(アクセスランプ)の点滅状態などの確認ができます。 ただし、明るさによっては判別できない場合があります。 ●仕様: ・大きさ:長さ92.5、幅25、高さ20mm ・感度:動き始めは200ルクス程度。最大振動は500ルクス程度。 ※月の明かりが1ルクス ・距離:光を感知するため、光との距離関係はありません。 明るい光源であっても遠く離れると感度は落ち、弱い光であっても 本体を近づけることで感度は上がります。 ・入射角(光が入ってくる角度):本体垂直から最大30度(上下左右方向) ※30度から感じ始め、垂直で最大感度 ・電源:単四型乾電池2本 ●価格:5980円(税込、送料別) ▼お問い合わせ・お申し込みは下記へお願いします。 アイフレンズ 06-6462-1594 ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎視覚障がい者向けIT講習会(中級講座)無料開催のご案内 大阪府立中央図書館が主催して、以下の通り視覚障害者向けのインターネット 検索を中心とした講習会が開催されます。 *コース:「インターネット検索コース」「大阪府立図書館蔵書検索コース」 *日時: インターネット検索コース=2010年2月20日(土)、27日(土) 全2日 大阪府立図書館蔵書検索コース=2010年3月13日(土) 全1日 時間:いずれも10:00〜16:00 *会場:大阪府立中央図書館 2階大会議室 *対象:全日程に参加できる方、視覚に障がいがあり、音声によるパソコン 操作を希望する方。大阪府に在住・在勤・在学の方、もしくは周辺府県 (京都府・兵庫県・奈良県など)に在住の方。 また、インターネット検索コースはJAWSを利用しているかJAWSに興味のある方。 *定員:各コース6名 *締切:1月15日 *申し込み:大阪府立中央図書館 対面朗読室 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www.library.pref.osaka.jp/central/taimen/it2009.html ◎エクストラよりJAWS for Windows version 10.0 日本語版販売のお知らせ さまざまな新機能の追加と既存の機能の強化により、さらにパワーアップした スクリーンリーダーです。12月15日より発売が開始されました。 *新機能と改良点(一部): Windows 7への対応(一部動作しないキーボード コマンドあり)、Real Speak音声エンジンによる多言語対応、JAWSタンデム によるリモートPC操作の実現、自動フォームモード機能によるフォーム入力の 簡略化など *新規販売価格(税込):149,100円※Ver.9.0からのバージョンアップ 19,950円など。各品名により価格が異なります。Ver.9.0+1からのバージョン アップは無償です。 *その他:Ver.11への無償バージョンアップ特典「10.0+1(プラスワン)」 がつきます。 ※JAWS 11日本語版は、来年中のリリースを予定。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www.extra.co.jp/jaws/index.html#order ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今年もさまざまな情報をお届けしてきましたが、視覚障害者へのパソコン サポートの奥の深さを実感させられることしきりでした。 また、Windows7をはじめ、新しい技術を収得するのもかなりのエネルギーが 必要です。  これからも、サポートをする方々にとって少しでもお役にたつ情報を提供 していくよう努めていきます。 今年もご愛読いただきありがとうございました。 来年もどうぞよろしくお願い致します。 みなさんにとって素晴らしい2010年でありますように。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は1月22日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━