━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年2月号 No.40                       2010年2月26日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  エディタで文字を入力しましょう ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(10) ● 【コラム】 パソコンよもやま話   Windows7の拡大鏡 (2) [2] サポートお役立ちサイト  JBS日本福祉放送ホームページ [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  特定非営利活動法人 NPO事業サポートセンター  〜NPO 法人の誕生、育成、サポート、その土壌づくりとネットワーク〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  より細かな金銭管理が思い通りに!、「出納の術 Ver2」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「ロービジョンサポートフェア」を神戸で開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎エディタで文字を入力しましょう 今月からは日本語の入力についての学習です。 アルファベットのキー配列を習得したところで、早速日本語を入力してみま しょう。 日本語を入力するためには、エディタもしくはワープロソフトを開くと便利 です。 エディタには、Windowsに付属しているメモ帳やワードパッドといったソフト があります。そのほか、PC-Talkerに付属している視覚障害者の利便性を考慮 したMyEditエディタというソフトもあります。 エディタはワープロソフトに比べて、文字の装飾や文書レイアウトの機能が ない分簡易なため、日本語の入力練習に使用するには適しています。 エディタで文字を入力する前に、[半角/全角]キーで日本語とアルファベット の切り替えをします。メモ帳などのWindows付属のソフトを開くと、まず始め にアルファベットを入力できる状態になっています。その状態で[半角/全角] キーを押すと、日本語を入力できる状態に切り替わります。なお[半角/全角] キーを再び押すことで、元のアルファベットを入力できる状態に戻ります。  それでは、日本語を入力してみましょう。 まず、ホームポジションの段、下から数えて3段目にあるキーを利用した単語 を例にして説明します。 朝日が昇るの「あさ」とひらがなで入力します。 ここでは、ローマ字入力を用いた入力を利用して日本語を入力します。 「あさ」と入力するには、日本語オンの状態で[ASA]と続けてタイプします。 まず、「あ」を入力します。「あ」はローマ字入力では、[A]なので、[A]と タイプすると、「あ」と読み上げられて、メモ帳の画面上には「あ」と表示 されます。 次に「あさ」の「さ」を入力します。「さ」はローマ字入力では[SA]とタイプ します。[s]と入力した時点では、[s]と読み上げられて、画面上にも[s]と 子音のみ表示されます。続けて「さ」の母音の[a]と入力すると、はじめて 「さ」と読み上げられて、画面上に「さ」と表示されます。 ひらがなで「あさ」と入力されました。文字の入力方法は以上です。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(10) 今回は実際にリボンを2007らしく使用してみましょう。 まずWord2007を起動します。[Alt]キーを押すと、リボンのタブ「ホーム」が フォーカスを持ちます。[右方向]キーを押すごとに「挿入」「ページレイ アウト」「参考資料」「差し込み文書」「校閲」「表示」「アドイン」の順に フォーカスが移動します。設定によって「表示」の次に「開発」がある場合が あります。「アドイン」で[右方向]キーを押すと、「はてなマーク」にフォー カスが移動します。ここで[Enter]キーを押せば「Wordのヘルプ」が起動 します。さらに[右方向]キーを押すと、昔のファイルメニューに近い内容の 「officeボタン」にフォーカスが移動します。もちろん[左方向]キーを 押せば逆回りになります。 ここで[Enter]キーを押せば、タブで示されたリボンのグループの中身に移動 します。[Alt]キーや[Esc]キーを押すと文書作成モードに戻ります。 では、今回はリボン中のホームを調べてみましょう。視覚的には「クリップ ボード」「フォント」「段落」「スタイル」「編集」に分かれています。 しかし、このグループごとに移動する効果的な手段はありませんので注意が 必要です。また、リボン中に表示されている内容は画面の大きさで変化 します。かなり小さくすると、リボン自体が表示されなくなります。常に 最大化の状態で利用することをお勧めします。以下は画面の幅が1280で 最大化した状態で説明します。 実際に操作してみます。 まずWord2007を起動します. ここで[Alt]キーを押すと、ホームのタブがフォーカスを持っています。 前回は[下方向]キーで説明しましたが、[Tab]キーの使用がよりでしょう。 注意したい点があります。「クリップボード」には、4個のアイコンと表示 されていない「クリップボード関連の機能を表示するボタン」があります。 4個のアイコンは「貼り付け」「切り取り」「コピー」「書式のコピー/貼り 付け」です。それでは、実際に操作してみます。 [Alt]キーを押します。「ホーム」のタブがフォーカスを持っているので[Tab] キーを押します。 いくつかの機能を持つ「貼り付け」のアイコンに移動します。さらに[Tab] キーを押すと「切り取り」「コピー」「書式のコピー/貼り付け」「クリップ ボードを開くボタン」の順にフォーカスが移動します。ここでもう1回[Tab] キーを押すと次のグループに移動しますので注意してください。 「貼り付け」のアイコンで[空白]キーを押すとリストが開きます。ここで [下方向]キーを押すと「貼り付け(P)」「形式を選択して貼り付け(S)」 「ハイパーリンクとして貼り付け(H)」を選ぶことができます。「形式を 選択して貼り付け(S)」を実行すると「形式を指定して貼り付けのダイア ログ」が開きます。 備考1 [Alt]キーを押すと、ホットキーが表示されます。ホームは[H] 「貼り付け」は[V]、「切り取り」は[X]、「コピー」は[C]、「書式のコピー /貼り付け」は[FP]、「クリックボードの表示」は[FO]です。 備考2 マウスカーソルを各項目にポイントすると説明とショートカットが 表示されます。 「貼り付け」は[Ctrl+V]、「切り取り」は[Ctrl+X]、「コピー」は[Ctrl+C] です。 「書式のコピー/貼り付け」は[Ctrl+Shift+C]と表示されますが、正しくは 「書式のコピー」が[Ctrl+Shift+C]で「書式の貼り付け」は[Ctrl+Shift+V]です。 次回はフォントから説明します。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ★今回は「視覚障害者用ツール」はお休みとさせていただき、「ベーシック コース」の奇数月に掲載している内容でお届けします。 ◎ Windows7の拡大鏡 (2) 前回は、Windows7の「拡大鏡」について、拡大画面に3種類があり、起動と 終了、その3つの表示方法の切り替えが一瞬のうちにショートカットキーで できることを書きました。 今回は、3つの表示に共通な倍率のことです。 「大きいことは良いこと」です。でも、大きすぎて困ることも多いのです。 正確に言いますと、高い倍率だけでなく、倍率の低い拡大もあってほしいと いうことです。 持ち運びのできる携帯用の拡大読書器は、ここ数年色々な種類が出てきて います。でも、当初はどの機種も拡大率の低い倍率がないのです。「もっと 小さな倍率があればよいのに」。これは結構多くの弱視者から、生の声として 聞きました。  「チョッとした拡大」これが大変に助かるという弱視者は多いのです。 パソコンの画面表示の拡大もそうです。 「拡大鏡」を起動すると、拡大鏡ウインドウが表示されます。そのなかに 「拡大鏡のオプション」というのがあります。そこに「拡大/縮小によって 画面表示が変更される部分の割合(s)」というのがあります。例えば、一番 「小」にすると、25%刻みで倍率が変わります。 125%、150%、175%という25%刻みで拡大率が上がり、1575%、1600%と いう上限になります。今度は、一番「大」にすると、500%、900%、1300%、 1600%という大きな刻みになります。私などは、いきなり500%の 拡大が出てきますと、画面が何が何だか分からなくなりますので、なるべく 「小」に設定したほうがよい感じです。 25%刻みは、小さな文字が見にくいお年寄りの方など、結構使える方は多いの ではないでしょうか。 このように、かなり大きくしたい人も、少しの拡大でよい人も、両者が使える のは良いことだと思います。あとは、それぞれに合った設定をしておけばよい のです。 次回は、「レンズ」についてレポートします。これは、多くの弱視がルーペで見ているのと似ています。 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎JBS日本福祉放送ホームページ JBS日本福祉放送は日本で唯一の視覚障害者向け専用ラジオ放送です。 視覚障害者にとっても、パソコンでインターネットから情報を得られるように なると「情報を得るという意味からは、もう障害のハンデはなくなっている」 とも言われます。 しかし、パソコンも習いたてで、まだネットからの情報を得るのに慣れて いない人もいますし、例えばラジオ放送を聴きながら仕事をする人もいます。 そのような人達にとっては、やはり耳からのラジオ放送は、情報を得る上での 非常に便利なメディアと言えるでしょう。 特に、このJBS日本福祉放送は、他のラジオ放送局では見過ごされて取り上げ られないようなものまで、視覚障害者にとっての必要な情報を豊富に提供して くれています。 この放送を聴くのは有料ですが、このホームページからは、放送の番組表を 見ることができます。 また、試験的にインターネット放送も行っていて、どのような番組が放送 されているかの実例を聴くこともできます。 視覚障害者のパソコンサポートをしようとする人にとって、視覚障害者がどの ような情報を求めているかを知る上では便利なサイトと思われます。 また、このようなラジオ放送の存在を知らない視覚障害者がおられましたら、 ぜひ教えてあげて下さい。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.jbs.or.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎特定非営利活動法人 NPO事業サポートセンター 〜NPO 法人の誕生、育成、サポート、その土壌づくりとネットワーク〜 特定非営利活動法人NPO事業サポートセンターは、NPOを支援(サポート)する ための全国的な支援組織として法施行とともに発足し、これまで、福祉(全国 で600団体強)、環境、NGO、子ども、芸術文化分野などのの団体や個人を 対象に、NPO法人の設立支援やNPO法人の運営上の実務相談・サポートを 行っています。 特定非営利活動の分野 1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動 2. 社会教育の推進を図る活動 3. まちづくりの推進を図る活動 4. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 5. 環境の保全を図る活動 6. 災害救助活動 7. 地域安全活動 8. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動 9. 国際協力の活動 10. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 11. 子どもの健全育成を図る活動 12. 情報化社会の発展を図る活動 13. 科学技術の振興を図る活動 14. 経済活動の活性化を図る活動 15. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 16. 消費者の保護を図る活動 17. 前各号の掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は  援助の活動 活動概要 多くの市民団体やNPOは、誕生して間もなく人・物・金・情報といった活動 基盤が弱いことから、限られた資源を適切に活用して活動を推進できる高度 マネジメント人材の養成には、特に力を注いでいます。  また、東京都港区内の廃校施設(みなとNPOハウス)を再活用しての市民 活動拠点の運営実績を背景としての行政への政策提言やノウハウ情報や事例 情報の発信などにも力を注いでいます。 ▼詳しくは下記をご覧ください http://www.npo-support.jp ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎より細かな金銭管理が思い通りに!、「出納の術 Ver2」  今回は、3月15日に日本障害者ソフトから発売予定のユニバーサルデザイン 金銭管理ソフト「出納の術 Ver2」をご紹介します。  このソフトは本格的な会計管理から家計簿やお小遣い帳など身近なお金の 管理まで幅広く利用できます。  同社のカルテ管理ソフト「三療カルテ Ver2」から各種数値データを自動 転記してくれるので、一から登録する手間を省けます。ただし、この機能を 使うには「三療カルテ Ver2」を2.1以上に無料アップグレードしてください。 さらに、毎月決まった支払い日を事前に登録しておくと、該当日以降その 支払いが未払いであることをソフト起動時に音声で知らせてくれる未払い自動 アナウンス機能で滞納を防止。支払い確認リストからもいつでも確認でき ます。  表示画面では、勘定科目が3階層となり、さらに使いやすくなりました。 項目を細かく分類でき、各階層ごとの周径や表示も可能です。科目は自由に 登録・変更・削除できるほか、統合・移動も可能です。科目単位だけでなく、 相手先項目内文字列、備考項目内文字列も含めて検索できます。 情報漏洩を防ぐためパスワードが設定できます。  本日や年月日指定ジャンプだけでなく、本日を軸に前や後ろの年・月・日への ジャンプ、前の入力月日・次の入力月日へのジャンプ機能を搭載。 設定内容は、ガイド音声や背景色、文字色、文字サイズなどの変更や画面拡大 機能など多彩。 消費税計算も一発で表示できる出納電卓標準装備。  操作キーを忘れても大丈夫。ファンクションキーを押すと、操作名を ガイドしてくれます。これだと思うキーで、再度同じキーを押せば実行される 親切設計です。 *日本障害者ソフトのホームページにあるダウンロードのページより、 お試し版をダウンロードして事前にお使いの環境で動作確認されることを お勧め致します。 http://homepage2.nifty.com/JHS/try.html 価格:オープン ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://homepage2.nifty.com/JHS/suitou2.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「ロービジョンサポートフェア」を神戸で開催 ロービジョンケアの講演会の開催や、目が不自由になっても生活を便利に したり楽しんだりするための福祉機器や用具を紹介するイベントです。 2つの会場での同時開催となります。 *日時:2010年3月13日(土) 11:00〜16:00 *会場(A):神戸ライトセンター(中山記念会館内)  機器展、白杖入門講座、音声パソコン体験、ロービジョン(視覚障害)に  関するよろず相談会、医療相談 など *会場(B):神戸市立葺合文化センター 大ホール  講演会「網膜再生医療でできること できないこと」、「地デジ説明会」 *主催:特定非営利活動法人 神戸アイライト協会 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eyelight.eek.jp/index.shtml ◎大阪障害者職業能力開発校が重度視覚障害者の訓練生を募集 大阪障害者職業能力開発校 オフィス実践科では、訓練生を募集していますが これには重度視覚障害者も対象となっています。 *定員:10名 *訓練期間:1年 *内容:事務補助としての就職をめざす科目  ワープロ・表計算ソフトによる各種文書の作成や、インターネットを使った  情報活用方法など *願書受付期間:2月12日(金)〜3月11日(木) *選考試験:3月23日(火) *応募条件などについては、居住地を管轄するハローワークに問い合わせて ください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www12.ocn.ne.jp/~tc-handi/ ◎マイクロソフトの無料マルウェア対策ソフト マルウェア(Malware)は、不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意の あるソフトウェアや悪質なコードの総称で、ウイルスソフトやPCなどの情報を 盗むスパイウェアなどもその一種です。 このマルウェア対策のソフトがマイクロソフトから無料で公開されています。 「Microsoft Security Essentials」というこのソフトは、同社のサイトから ダウンロードして使うもので、インストールや操作も簡単です。 ただ、この製品は個人利用のみ可能で、企業や団体などでは使えません。 企業向けには、同社から「Microsoft Forefront Client Security」が有料で 提供されています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.microsoft.com/security_essentials/?mkt=ja-jp ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  Windows7がリリースされて4ヶ月が経ちましたが、Vistaのときと比べると、 ユーザーへの浸透度が高いような気がしています。 それだけに、サポートをする側も最新技術の習得とスキルアップが不可欠だと 思いますので、これからもみなさんに役立つ情報を提供していくよう努めて いきます。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  次号は、3月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━