━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年3月号 No.41                       2010年3月26日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Windows7の拡大鏡 その3 ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(10) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール その2・daisy [2] サポートお役立ちサイト  まっくらやみのエンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  イーパーツ   〜リユースPCを無償で寄贈する活動やシンポジウムの開催〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  大幅に機能強化した電子本棚、「MyBookII」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  アイフェスタ2010 in おかやまを開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Windows7の拡大鏡 その3 最近、色々な種類の携帯型の拡大読書器が発売されています。特徴がそれぞれ で、利用目的に合わせて選ぶと大変に便利に使えます。 しかし、「ルーペ」を活用する人は本当に多いです。「なめるように」眼と、 ルーペと、見る者をくっつけます。これがルーペの使い方です。結構大変そう な姿勢ですが、これが基本的な使い方です。 Windows7の拡大鏡にも、このルーペで見るような「レンズモード」があり ます。レンズの一番よいのは、全体を把握しながら、見たい部分だけ拡大 できることです。パソコンの画面を見るのもそうです。ルーペでパソコンの 画面を見る人は結構いますが、そのような人には最適なモードではないで しょうか。 マウスポインターを移動すると、拡大されている画面上の領域も移動します。 また、ルーペでは倍率が高くなるとレンズは小さくなりますね。これは、 なかなか難しい問題ですが、この「レンズモード」では、倍率と画面の大きさ は自由に変えられます。「大きな画面で、高い倍率」ということができるわけ です。大きさは自由に変えられると書きましたが、縦と横の幅を変える もので、四角形のルーペです。「丸いのが良い」という方には残念です。 レンズサイズを変更するには、[Ctrl]キーと[Alt]キーを押しながら[R]キーを 押してから、ポインターを上下左右に移動させます。 このときに、必ずレンズモードにする必要があります。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(10) 今回は、リボンでタブ「ホーム」の続きです。クリップボードグループの 隣には、フォントのグループがあります。さらに、段落、スタイル、編集と 続いています。 初めにフォントを選択するリストに移動して見ましょう。[Alt]の後に[H]で ホームのタブにした後に[Tab]を何回か押すとフォントを指定する部品に移動 します。[下矢印]でリストが開きます。または[Alt][H]を押した後に[F]を 2回押してもここに移動します。ここで[Tab]キーを押すと、となりにある 「文字の大きさを指定するポイントのリスト」に移動します。ショートカット は[F][S]です。 以下[Tab]オーダーの順に部品名を紹介します。 下記の説明は原則として領域選択をしてから行うことを推奨します。領域選択 しない場合は、以後入力する文字が設定した属性になります。 ○フォント[Alt][H][F][F]。リボン中のフォントのコンボボックスに フォーカスが移動します。文字情報としてフォント名を直接入力することも できますが、[上または下矢印]を押してリストを開き[上または下矢印]で使用 したいフォントを選択することをお勧めします。 注意 [Ctrl+Shift+F]では、Word2003と同様にフォントなどを指定するダイア ログが「フォントのコンボボックス」にフォーカスを持った状態で表示されます。 ○ポイント[Alt][H][F][S]。リボン中のポイントのリストにフォーカスが移動 します。数値を入力すればポイント数を[上または下矢印]を押すとリストが 開き選択が可能になります。 注意 [Ctrl+Shift+P]では、Word2003と同様にフォントなどを指定するダイア ログが「ポイントのコンボボックス」にフォーカスを持った状態で表示され ます。 ○フォントの拡大 [Alt][H][F][G]または[Ctrl+>]。フォントリストで1項目文 字が大きくなります。 注意:1ポイントずつ大きくしたい場合は[Ctrl+]]を使用して下さい。 ○フォントの縮小 [Alt][H][F][K]または[Ctrl+<]。 注意:1ポイントずつ小さくしたい場合は、[Ctrl+[]を使用して下さい。 ○書式のクリア [Alt][H][E]。文字書式や段落の設定が解除されます。 ○ルビ[Alt][H][F][R]。適切と思われる「ルビ」つまり振り仮名を表示した ダイアログボックスが表示されます。[Tab]キーを押して、フォーカスを移動 すれば、ルビの内容の確認と修正ができます。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール その2・daisy 昨年、SPANはある企業から寄付金をいただきました。 その有効活用として視覚障害者であっても便利な道具や工夫をすれば何が できるのかを晴眼者の人達にも理解してもらえる様に視覚障害者にとって有効 な道具の購入を行いました。 これらの道具を有効に活用することにより、見えない、見えにくくても日常 生活から仕事まで、大きなハンディキャップを感じることなく活動できること を理解して頂くため、これから何回かに渡って紹介していきます。 紹介の目的は使い方ではありません。 道具を有効に活用できれば、視覚障害者であっても、その不自由さを軽減 できることを理解して頂く事を目的としています。 2回目として今回はdaisyについて紹介します。 DAISYとは、Digital Accessible Information SYstemの略で、日本では 「アクセシブルな情報システム」と訳されています。 DAISYとは、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のために カセットに代わるディジタル録音図書の国際標準規格として、約50ヵ国の会員 団体で構成するデイジーコンソーシアムにより開発と維持が行なわれている アクセシブルな情報システムです。 詳しい内容はつぎのwebサイトを読んでください。   エンジョイ・ディジー 私らしい方法で読む、わかる!   http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/ ここでは、概略について紹介します。 視覚障害者が書籍など文字情報を読みたい場合、どのようにしているので しょうか。 ・見える人に読んでもらう(家族、対面朗読サービスなど) ・展示(点字書籍、点訳ボランティアに依頼など) ・パソコン(テキスト化サービス、、webサイトなど) ・カセットテープ(音訳ボランティア、オーディオブックなど) ・その他 そして ・daisy(音訳ボランティアなど) daisyの普及が始まったのは2000年頃からだと記憶しています。 ソフトが2000タイトルほど準備され、再生用プレーヤーが1万人ほどに無償で 貸し出されました。 それまでは点字図書館などで貸し出されている書籍は音訳されたカセット テープがほとんどでした。 もちろん、点字書籍もありますが、多くの中途視覚障害者は点字をすらすらと 読むことは困難です。 また、一方で多くの若者?が外でも音楽を聞くことが一般的になってきていて、 携帯音楽プレーヤーはウォークマンに代表されるカセットテープを使用して いました。 ところが、携帯音楽プレーヤーはmp3に代表されるように、デジタル化され、 現在はiPodに代表されるように、デジタルデータで保管されるようになり、 カセットテープではなくなってきています。 その様な社会情勢もあり、カセットテープの入手が困難になってきています。 カセットテープの場合、聞きたいところを探すのは困難です。 長編小説などの場合、カセットテープが10巻〜50巻となり、整理や保管なども 大変です。 daisyの場合、インデックス機能で簡単に目的位置へジャンプすることが可能 です。 マニュアルや時点などの場合この機能はとても有効ですね。 CD一枚にカセットテープ30〜50巻分くらいの内容が保存できます。 つづく                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎まっくらやみのエンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」  突然ですが、あなたに質問です。 ・目以外のなにかで、ものを見たことがありますか? ・いくら時間がたっても、なにも見えることのない暗闇を創造できますか? ・そこはどんな世界だと思いますか?  ダイアログ・イン・ザ・ダークは、まっくらやみのエンターテイメント。  参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、 暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、 中を探検し、様々なシーンを体験します。  その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、 コミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。  世界25か国・約100都市で開催され、2009年現在で600万人以上が体験した このイベントは、1989年にドイツで生まれました。 日本では1999年から毎年開催されており、現在は都内青山にて長期開催中です。  視覚障害者を支援するに当たって、晴眼者が「見えない」ことがどういう ものかを知っておくことは、とてもよい経験になると思います。 普段見ることに苦労している弱視の方には「見ること」から開放されることで 新たな発見があると思いますし、いつもサポートされる側の視覚障害者に とってはその立場が逆転することで新鮮な驚きがあると思います。  どの立場の人も楽しめるこのイベント、一度体験されてはいかがでしょうか。 ぜひ、サポート相手の視覚障害者の方にも教えてあげてください。 ●開催案内 期間:第5期、2010年3月20日(土)〜 会場:東京都渋谷区神宮前2-8-2 レーサムビルB1F  東京メトロ銀座線 外苑前駅下車 徒歩8分  JR中央線・総武線 千駄ヶ谷駅下車 徒歩12分 参加費:完全予約制、大人5000円〜(時期により異なる)、各種割引あり。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.dialoginthedark.com/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎イーパーツ  〜リユースPCを無償で寄贈する活動やシンポジウムの開催〜 モノを寄贈するだけではない! 情報機器とその使い方が両立して、初めて市民活動の情報化が進むと考えます。 ■寄贈プログラム 協力企業から寄付されたパソコン・プリンタを再生し、必要なソフトウェアや 周辺機器とともに、全国の市民活動団体やNPOに寄贈することで、市民活動・ ボランティア活動の情報化を進めています。 リユースPC寄贈は、定期的に実施しており、PC以外に、カラーレーザプリンタ、 シュレッダーや事務用品などの寄贈も行うことにより、市民活動を総合的に 支援できるようになり、地域の中間支援団体と様々な連携が生まれつつあり ます。 ■レクチャー/プロジェクト ただ単に情報機器を寄贈するだけでは、本当の情報化につながらないと考え、 市民活動団体やNPOにとって、高度情報化社会において、どのように情報を 利用しどのようにリスク管理をするのか、また今後情報化社会はどこへ向か おうとしているのか、そこで生じる問題は何か、解決の仕方はなどを考えて いかなければなりません。 イーパーツは、これらの課題に対して専門性とネットワークでソリューション を提示したいと活動しています。 これまでの活動 寄贈プログラム:パソコンや周辺機器による市民活動団体の情報化支援 プロジェクト:情報化社会の抱える問題やニーズに即したテーマを、プロ ジェクトを形成し専門性を持って実施。 各種レクチャー:市民活動団体・NPOを対象に、行政などと協働しながら、 それぞれ現場のニーズに合った先駆的各種レクチャーを提案開催。 *寄贈活動はもとより、セキュリティゲームコンペティションやパワー ポイントプレゼン講座など講演会を開催することは、日進月歩するPCを安心 して活用できそうです。 ▼詳しくは下記をご覧ください http://www.eparts-jp.org ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎大幅に機能強化した電子本棚、「MyBookII」  今回は、高知システム開発より4月2日に発売予定の電子書籍リーダー 「MyBookII(マイブックツー)」をご紹介します。  MyBookIIは、視覚障害者にも安心して使えるバリアフリー読書システムです。 新たな機能として、オンライン書店・ビーケーワンやオトバンクにアクセスして 発売中の書籍の概要を検索したり、理想書店からドットブック形式の電子書籍を 購入して音声で閲覧できるようになりました。 録音図書リクエストやオーディオブック購入の参考情報として活用できます。 また、テンキー操作に対応。外付けテンキーやキーボードをテンキーに見立てて 携帯デイジープレーヤーを扱うように操作できます。ブルートゥース対応 テンキーなら、パソコンから離れた場所でも読書を楽しめます。  4月から「ないーぶネット」と「びぶりおネット」が統合して新しく始まる 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」にも対応しています。 ※旧バージョンのMyBookも無償アップデートでサピエに対応予定。 ただし、機能制限あり。 さらに、同社のMyNewsから最新のニュースを自動録音して移動中に聞く、 NetReaderからwebページ、MyMailIIIからメールの内容を保存して聞く、 保存内容をわかりやすい見出し付き文書としてMyWordで編集する、 といった同社製品との連携機能も簡単便利。 ただし、各ソフトの無料バージョンアップが必要です。 なお、来月タイムズコーポレーションが発売するデイジー形式の携帯デジタル ブックプレーヤー「BookSense(ブックセンス)」にも対応します。 ●動作環境 PC-TalkerまたはVDMWシリーズとそれらが動作する環境 ●製品価格 MyBookII:税込39,900円 MyBookユーザー:税込18,900円 ※2010年1月1日以降にMyBookを購入された方は無償バージョンアップ。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/news/myb2news.htm ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎アイフェスタ2010 in おかやまを開催 岡山市で、視覚障害について幅広いテーマでのイベントが開催されます。 講演会や相談会、また機器展示など盛りだくさんです。 *日時:4月25日(日) 11:00〜16:00 *会場:岡山国際交流センター *内容:福祉機器・便利グッズの展示、医療講演、講演と実習、  講演とディスカッション、音声パソコン体験会 ほか *主催:日本網膜色素変性症協会(JRPS)岡山県支部  岡山県視覚障害を考える会 ▼問合せは下記ページからどうぞ。 http://jrps.org/okayama/local/ ◎点字対応のFocusTalkの予約受付を開始 株式会社スカイフィッシュは、点字に対応したFocusTalk 「FocusTalk V3 for Braille(フォーカストーク ブイスリー フォー ブレイル)」の予約受付を開始しました。 6点入力に標準対応しているほか、ニュー・ブレイル・システム株式会社製 ピンディスプレイ点字出力エンジン「ピンブレイル」に対応。 さまざまな点字出力ができるようになっています。 *新規販売価格:52,000円(税込) バージョンアップ価格あり。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.skyfish.co.jp/focustalk/news/100301.html ◎音声対応の地デジハイビジョンテレビを発売 パナソニック株式会社は、番組表や選局などで、放送局名や番組名を音声で 読み上げる地デジハイビジョンテレビ「新・ビエラ」シリーズを発売しました。 三菱電機でもこうした機種が発売されているようで、視覚障害者の地デジ 環境も少しずつよくなってきています。 対象商品は4シリーズ10機種。品番は以下の通りです。 「TH-L32X2(32型)」「TH-L26X2(26型)」 「TH-L32C2(32型)」「TH-L22C2(22型)」 「TH-L19C2(19型)」 「TH-P50G2(50型)」「TH-P46G2(46型)」 「TH-P42G2(42型)」 「TH-P46S2(46型)」「TH-P42S2(42型)」 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.viera.jp ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 各地で桜の開花の便りが聞かれる頃となりました。3月は旅立ちの季節。 私たちSPANも来月、新しい活動場所に移転します。 そして、このメルマガも新たな気持ちで新鮮で有益な情報を送り続けるよう 原稿執筆者・編集部員一同が努力していきたいと思います。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は4月23日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━