━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年4月号 No.42                       2010年4月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  文字入力と漢字変換 ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(11) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール その2・daisy*-2 [2] サポートお役立ちサイト  社会福祉法人日本盲人会連合のホームページ [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  TechSoup Japan(テックスープ ジャパン)   〜あなたの団体にソフトウェアを寄贈します〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  手ごろなICレコーダー、「ICR-801V」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  アイフェスタ 2010 in おかやま(岡山市)開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎文字入力と漢字変換 前回はローマ字入力を用いて日本語を入力する操作を説明しました。 ローマ字入力で速度は遅くとも一定のリズムで単語の入力ができるようになっ たところで次の操作に進みます。 通常、パソコンで短文を入力する場合は、文章の一文節まで入力し、その時点 で漢字に変換します。漢字変換は[Space]キーを押して行います。  それでは、「私は」と入力して漢字に変換する場合を例にして説明しま しょう。 (1)「わたしは」とローマ字で入力します。 (2)[Space]キーを押して、漢字に変換します。  変換したときに、スクリーンリーダーを使用している場合は、変換された  漢字部分の詳細説明があります。使用しているスクリーンリーダーによって  読み方が異なりますが、熟語による説明や訓読みと音読みによる説明などが  あります。 〈例〉 「私」→(しりつのしわたくし)[PC-Talker] 「私」→(わたしのし)[FocusTalk] (注)スクリーンリーダーの音声をよく聞き取って、正しい漢字の候補が表示 されているかどうかを確認します。 (3)目的の漢字に変換されていれば[Enter]キーを押して確定します。 なお、(2)で入力した文字を変換する際、最初に正しい候補が表示されない 場合は、再び[Space]キーを押して、次の漢字候補を表示します。 「猫」をカタカナで入力・確定します。 〈例〉(PC-Talkerの場合) (1)「ねこ」と入力して[Space]で変換。 「猫」(漢字)→いぬねこのねこ (2)再び[Space]を押して、次候補を表示。 「ネコ」(カタカナ)→音声の音程が低くなる。 (3)カタカナの「ネコ」の候補が見つかったので、[Enter]で確定します。 なお、(3)で確定せずに、もう一度[Space]キーを押すと、「ねこ」 (ひらがな)が選択されます。 漢字変換は[Space]キーを押していくごとに候補の選択が切り替わります。 最後の候補まで選択が移動している時に、再び[Space]キーを押すと、最初の 候補に戻ります。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(11) 今回は、リボンのタブ「ホーム」の続きでタブの「ルビ」から説明します。 フォーカスが移動する順番に説明します。修飾する範囲が選択されている 状態での説明です。 ○ルビ[Alt][H][F][R]ですが、Office2007では[Alt][H][F][R]を順に押し ます。[+]は不要です。 適切と思われる「ルビ」つまり振り仮名を表示したダイアログボックスが表示 されます。 [Tab]キーを押して、フォーカスを移動すれば、ルビの内容の確認と修正が できます。 ○囲み線[Alt][H][F][B] 選択されている文字列全体を囲む長方形の枠の表示 と非表示を切り替えます。 ○太字[Alt][H][1]または[Ctrl+B] 太字の設定と解除をします。選択された 領域内の一部分が太字の場合、まず選択領域全体を太字にします。 ○斜体[Alt][H][2]または[Ctrl+I] 上と同様の方法で文字が斜めに表示される 「斜体」の設定と取り消しをします。 ○下線のリスト[Alt][H][3] 下線のリストが表示されます。リストには代表的 な線種を選ぶ項目の下に、「その他の下線」と「下線の色」など下線の種類を 選ぶ項目があります。[上または下矢印]で選びます。選択されている項目が 下線の種類の場合、ここで[Enter]キーを押すと、その種類の下線が引かれ ます。「その他の下線」を選ぶと、下線のリストがフォーカスを持った状態で フォントのダイアログボックスが表示されます。「下線の色」を選ぶと色を 設定することができます。ここで[A]を押すと自動の色になります。 [Ctrl+U]を押すと一重下線が引かれます。 ○取り消し線[Alt][H][4] 取り消し線が引かれます。取り消し線は横書きの 場合、文字列で文字の高さの中央付近を横に引く線です。 ○下付き[Alt][H][5] 化学などで利用します。H2Oの2の場合などで使用し ます。下付きの小さな文字になります。ショートカットは[Ctrl+=]です。 ○上付き[Alt][H][6] XとXを掛ける場合 「エックスの二乗」としてX右隣に 上付きの小さな文字で2と書きます。この2の様な場合に使用します。ショート カットは[Ctrl+Shift++]です。 ○文字種の変換[Alt][H][7] 大文字、小文字、半角、全角、カタカナ、 ひらがな などに変換するリストが表示されます。 ○蛍光ペン[Alt][H][I] 蛍光ペンの色を選ぶことが出来る領域が表示され ます。蛍光ペンは文字の背景に色をつける機能です。 [N]を押すと色がなしになります。[S]は終了です。 ○文字の色[Alt][H][F][C] 文字の色を選ぶ領域が開きます。方向キーで色を 選びます。[Enter]キーで確定します。[A]を押すと自動の色が設定されます。 [M]を押すとさらに細かな色を指定できるダイアログが表示されます。 ○文字の網掛け [Alt][H][F][H] 選択された領域について網掛けと取り消しを 行います。 ○囲み文字のダイアログの表示[Alt][H][F][E] 囲い文字のダイアログボックス が表示されます。囲い文字は範囲指定している先頭から全角で1文字、または 半角で2文字または用意された文字について、囲み文字のスタイルを選択し 表示することが出来ます。 スタイルは「なし」「文字の○の中に内接する文字を入れる」「文字を囲む ○をつける」から選ぶことが出来ます。囲い文字は、選択範囲の先頭から全角 1文字または半角2文字と「印」「秘」「適」「特」「禁」「注」「在」から 選ぶことが出来ます。 表示されたダイアログでは、スタイルと囲い文字を選ぶことが出来ます。 囲い文字は、丸、四角、三角、ひし形、から選びます。 次回は「段落」です。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール その2・daisy*-2 先月号に引き続き、daisyについて説明します。 daisy図書の提供メディアは当初はCD-Rでした。 そして、再生用プレーヤーも当然ながらCD専用でした。 ところが現在はCDはもちろんのこと、メモリカード(主にSDやCF)対応のものも 発売されています。 特にSDメモリカードに対応している商品はポケットサイズで、電車などで移動 の場合も見えている人達と同様に、本を読む(聞く)ことができるようになり ました。 しかも、テキストファイルを合成音声で読み上げる機能が付いている機種も あり、例えば青空文庫などで提供されている書籍や、最近幅広く提供が始まっ ているpdfファイルもテキスト化ができれば移動中などでも読めるようになって きました。 著作権の改正により、点字図書館などから、テキストファイルでの提供も始ま ろうかと思います。 更に、提供メディアとして、ネットワークを活用した手段も数年前から始まっ ています。 これだと、インターネットに常時接続しているパソコンがあれば、本屋さんで 立ち読みしているような感覚で、著者名や、タイトルなどで検索して、ぱら ぱらと読んでから気に入ったものを読み始めることも可能になってきました。 それまでは点字図書館などに依頼して、郵送されてくるCD-Rを待っていて、 読み始めることになるので、立ち読み的なことができなかったのです。 更に更に、著作権法の改正でダウンロードして、パソコンに保存しておくこと もできるようになりました。 (それまでは、インターネットを通じて聞くことはできても保存はできなかっ たのです。) これだと、気に入った読みたい書籍などを予めパソコンに保存しておき、 出かける時に何冊分ものdaisyデータをポケットdaisyプレーヤーにコピーして 持ち出すことができるってことになったのです。 また、daisyは視覚障害者のためだけではなく、学習障害者にも適していると 云われています。 テキストdaisyに対応したパソコンソフトで再生すると、スピーカーからは 音声が、画面には文書が表示され、音声で読み上げているところの文字列を 反転するなど、耳と眼で確認しながら読むことができるのです。 ついでに、daisyプレーヤーはmp3ファイルの再生ができます。 CDタイプ、メモリータイプ、共にできます。 従って、本を読み疲れた時に音楽を聞いて気分転換も容易にできます。 それぞれの機器の特徴や機能を知っておくことで、単一的な使い方だけで なく、より有効な使い方を見いだすこともできることでしょう。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎社会福祉法人日本盲人会連合のホームページ 日本盲人会連合は視覚障害者自身の手で、“自立と社会参加”を実現しようと 組織された視覚障害者の全国組織です。1948年(昭和23年)に結成され、 都道府県・政令指定都市における59の視覚障害者団体の連合体で、会員数は 約50,000人、国や地方自治体の視覚障害者政策−人権、福祉、教育、職業、 環境問題等−の立案・決定に際し、視覚障害者のニーズを反映させるため、 陳情や要求運動を行っています。 視覚障害者に対する総合的なサービスとして、以下のような事業を行って います。 1.全国の視覚障害者団体に対する連絡及び助成事業 2.点字図書館、点字出版所、更生相談所、録音製作所の設置経営 3.点字情報ネットワーク、福祉用具の販売・斡旋事業 4.福祉一般に関する調査研究、情報宣伝及び文化活動 5.あん摩・指圧・はり、きゅう等の生業の安定及び職域拡大のための調査研究  並びに医療保険取り扱い等の経営指導 以上の情報宣伝活動として、傘下団体との連絡のほか、月刊の点字情報誌 「点字日本」、録音テープ版情報誌「日盲連アワー」、年4回発行の墨字版 機関紙「愛盲時報」を発行しています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/~nichimo/shokai/index.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎TechSoup Japan(テックスープ ジャパン)  〜あなたの団体にソフトウェアを寄贈します〜 *TechSoup Japan とは さまざまな問題の解決のために活動する民間の非営利団体。ITを活用する ことで活動をより効果的・効率的に展開できるとわかっていても、財源不足で なかなか環境を整備できないことが多いのではないでしょうか。 TechSoup(テックスープ)は、社会問題の解決のために活動する世界中の 民間の非営利団体が最大限の力を発揮できるよう、ソフトウェアなどのIT製品 を提供するほか、ITのサポートを行っています。 このプログラムはアメリカ・サンフランシスコに拠点を置くTechSoup Global を中心に、世界23ヵ国で実施されており、各国でNPOとのパートナーシップの もとに事業展開されています。協力企業は全世界で35社を数え、事業開始から これまでにおおよそ470万本、小売価格で約14億ドル(約1400億円)相当の IT製品を寄贈しています。 日本では、TechSoup Japanとして、特定非営利活動法人日本NPOセンターが プログラムを提供し、アドビ システムズ 株式会社、株式会社シマンテック、 マイクロソフト株式会社、レッドアース社がソフトウェアを提供しています。 ・ラーニングセンター ソフトウェアの導入や事務所環境の構築など、IT化にあたって参考になる 記事を配信します。 ・コミュニティ 事務局からのお知らせや、NPOのITに関する最新情報などを紹介します。 ▼詳しくは下記をご覧ください http://www.techsoupjapan.org ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎手ごろなICレコーダー、「ICR-801V」  今回は、今年1月にアジアコープ・インターナショナル・リミテッドから 発売された音声案内機能搭載ICレコーダー「ICR-801V」をご紹介します。  ICレコーダーとは、音声などを手軽に録音・再生できる機器のことです。 操作が簡単、録音できる時間がカセットテープの数十倍、聞きたいところを すぐに探せる機能がある、何度録り直しても音が劣化しないなどの特徴が あり、カセットテープに代わって急速に普及しました。  本機はこれらの特徴に加え、押したボタンの操作を音声で確認できます。 音声案内はオン/オフの切り替えができます。慣れてきたら音声案内 スイッチをオフに設定すればピッという電子音に変わります。  通常のICレコーダーよりもボタンを若干高くしていますので確認しやすく 押しやすさも抜群です。 イヤホンジャックと外部マイク端子がついていますが、ジャック部分の形状が 違いますので間違えにくい設計になっています。  AM/FMラジオが搭載されているので、音楽やニュースを聞くこともできます。 AMラジオは大型のバーアンテナが内蔵されているので感度も良いです。 選局は微妙なダイヤル調節で受信させるこだわりの方式です。  ちょっと再生機能搭載。録音した音声の始めの5秒間を自動で連続再生 しますので、聞きたい音声を簡単に探せます。 内蔵メモリは1GB。最大68時間の録音が可能です。 サイズは45×120×18.5mm。重量は85g。 電源は単4電池2本。  本機は最近の高機能化の流れに比して最低限の機能だけを備えたシンプルな 製品です。 ラジオは受信のみで録音はできない、パソコン接続にも対応していないなどの 制限はありますが、価格は1万円以下と手ごろです。 余計な機能はいらないので安いものがいいという方にはよいかもしれません。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.acorp.co.jp/index/icr801v/801vtop.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎アイフェスタ 2010 in おかやま(岡山市)開催 見えにくい、見えない あなたの「困った」が 解決するかもしれません。 *日時:2010年4月25日(日) 11:00〜16:00 *会場:岡山国際交流センター *参加費:無料 *内容:視覚障害者向け  福祉機器・便利グッズの展示、医療講演、  講演と実習、講演とディスカッション、  音声パソコン体験会、プレクストークPTR2の使い方講座 ほか *主催:日本網膜色素変性症協会(JRPS)岡山県支部 ほか ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.jrps.org/okayama/local/kaiho/kaiho27a.htm#1a ◎視覚障がい者音声起稿師養成講座受講生募集 大阪府ITステーションでは、テープ起こしの専門家を養成するための口座 を開催します。講座では、実際に録音したテープを音声化ソフトを使用して 文書作成演習を実施します。また、在宅就労に必要なスキルを習得したと 認める場合に、大阪府ITステーションからテープ起こし業務の受注仲介を 受け、在宅で就労することができます。 *受講要件:、大阪府内に在住する視覚障害者で、身体障害者手帳を所持  する方 など  ・詳しくはお問い合わせください。 *受講料:無料 *会場:大阪府ITステーション *定員:10名程度 *締め切り:2010年5月28日(金)必着 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.itsapoot.jp/new/works/201006_onsei.html ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(鹿児島)を開催 視覚障害者のパソコンサポートを行う指導者の養成を目的とした講座が 鹿児島市で開催されます。対応OSはWindowsVistaです。 *開催日:2010年6月26日(土)・27日(日) (2日間コース) *会場: ハートピアかごしま 研修室 *定員:10名 *受講料:無料 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/tepia/info_100626-27kagoshima.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 最近の動向を見ていると、新しいソフトやハードが次々と登場し、それを マスターするのが一苦労だと思います。 でも、逆の見方をすれば、それだけ視覚障害者のパソコン環境がよくなって きていることの表れであり、選択の幅も広がっていると思います。 ユーザーに合ったソフト・ハード選びがますます重要になるのではないでしょうか。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は5月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━