━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年7月号 No.45                       2010年7月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Windows7の拡大鏡その5 ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(14) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール カラートーク [2] サポートお役立ちサイト  視覚障害者も携帯電話の割引があること、ご存知ですか?  先月号のお役立ちサイトについての訂正とお詫び [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  日本NPOセンター [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  みんなに使いやすいICレコーダー、「ボイストレックDM-4」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  日商PC検定3級(文書作成)を実施 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Windows7の拡大鏡その5 今まで、何回かWindows7の拡大鏡について見てきました。私たちは、評論家 ではありませんから、全体評価をするのではなく、個々の弱視者一人ひとりに 「何か便利な機能はないのか?」という視点で、個々の弱視者と拡大鏡との 「橋渡し」をすることが大切だと思います。特別なソフトを導入しなくても 安心して使えるものがあれば、これが一番良いわけです。一人ひとりの見え方 に有効な機能はないのか、ご紹介したいくつかの機能を試してみてください。 Windows7の拡大鏡で、一つおまけです。 Skypeで使っているカメラで映し出されたものをWindows7の拡大鏡で見て みました。そうすると「簡易拡大読書器」の機能が得られます。たまたま家 にあったのが、アームがかなり長く、自由に曲がるものでした。キーボードの 横に置いた、文庫本の文字が大きく映し出されるわけです。もちろん、「拡大 読書器」は色々な面で、使いやすく工夫されていますので、比較はできま せんが、とにかく、お金かけないで、少しでも、「拡大読書器もどき」が体験 できます。カメラに詳しい方、やってみてください。 さて、今後のこのコーナーですが、どうも、情報の宝庫は、私の中にあるの ではなく、たくさんの弱視者の中にあることに気がつきました。 次回からは、この一人ひとりに秘められている「お宝」をご紹介します。 どうか、みなさんからもお宝をお教えください。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(14) 6月にoffice2010が発売されました。Office2007の説明は今回でいったん 区切りにします。 晴眼者としてできる限りマウスを使用しないでOffice95から2002まで長年使用 しました。Office2007はリボンの登場により大きく変更され困惑しながら使用 していましたが、今はやっとなれました。 現在正式版のoffice2010を使っていますが快適です。リボンのグループ移動が できることがその大きな要因です。  もちろん、コンテキストメニューとショートカットを多用しているので、 今でもリボンすべての機能は理解できていません。しかし、日常の業務で困る ことはなくなりました。  結果として、office2007も一つの機能について複数の操作方法があるので 何とか利用できています。しかし、逆に言えば、複数の操作方法があることは 教わる側が混乱しやすい理由の一つです。 私が感じた変更点は、下記の4点ですが快適です。 1. officeボタンがファイルに戻った 2. ファイルメニュー(旧officeボタン)の構成が変更され使いやすくなった 最近使用したファイルで表示される数が増えたことは、とても便利です 3. リボンのグループ移動が可能になった [Ctrl]+[左右方向キー]が使えます。 4. リボンのユーザー設定が自由にできる機能が追加された Office2003までは自分でメニューの項目を追加削除できたのですが、 Office2007ではクイックアクセスツールバーのみ追加削除が可能でした。 このほかにも多くの改良点があるかと思います。 Office2007の説明は途中ですが次回から、トラブル回避などのワンポイント 講座を予定しています。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール カラートーク 携帯型色認識装置・カラートークについて紹介します。 眼が見えにくく、見えなくなって困ることは多くありますが、その中の一つに 物の色が判断できなくなる事があります。 また、文字などは普通に読めても、色の判断が困難な色弱の方もおられます。 一方、白杖は使わなくても歩ける程度のロービジョンの方の中にも、例えば 白色、オレンジ色、黒色の判断はできても、紺色と黒色の区別がつかない人も います。 白色とベージュ色と黄色の区別も重ね合わせれば判断できても、別々では 分からない場合もあります。 (この組み合わせは一例で、個人差があります。) この様な状態であると、靴下を履く時や、スーツを着る時に、左右や上下を 間違えてしまうことがあります。 #左右や、上下の色が異なることですよ。 #見えなくても、スーツの上下を間違えて着ることはないですよね (ワッハッハ!)。 光覚程度であれば、そもそも判断できないので、家族に手伝ってもらう、靴下 を洗濯する時にクリップで止めておく、スーツを脱ぐ時には組み合わせを注意 しておく等をしておきますが、少しでも見えているが故に、間違うことがある ものなのです。 読者の中にも苦い経験をしている方もおられることでしょうね。 筆者にも失敗談はありますよ。 この様な失敗、または色が分からない時に活躍するのが「カラートーク」です。 センサー箇所には直径5mm程度の穴が空いていて、そこから光を発し、反射光 で色の識別をしています。 従って、色を確認する時は、対象物にしっかりと押しつけてから、センサー ボタンをゆっくりと押すようにします。 そして、その識別結果を音声で案内してくれます。 カラートークの使用目的ですが、色を確認することは当然なのですが、上記の 例のように、微妙に異なる色の違いを視力では判断できない場合などに使う ことも便利です。 (以下はカラートークのホームページより引用) ■色の表現方法 色の表現方法は詳細モードと簡易モードがあり、色の微妙な  違いを判断したい時は詳細モード、大体の色を知りたいときは簡易モードを  選択します。 ● [詳細モード。] 詳細モードの色表現は、JIS規格「物体の色名」Z8102に沿った表現を用いて います。 これは、基本となる色13色に明度、彩度に関する修飾語と、色相に関する 修飾語をつけて、あらゆる色を約220通りに表現します。 例えば、「あざやかな、赤みの、黄色」といったふうに喋ります。 ○明度・彩度に関する修飾語 あざやかな、明るい、こい、うすい、くすんだ、暗い、ごくうすい、明るい灰、 灰、暗い灰、ごく暗い ○色相に関する修飾語 赤みの、黄みの、緑みの、青みの、紫みの、 ○基本色名 赤、黄赤、黄色、黄緑、緑、青緑、青、青紫、紫、赤紫、白、 灰色、黒、 ● [簡易モード。] 簡易モードの色表現は、よく使う色名である、橙、ピンク、茶色なども含めた 13色に「濃い」「薄い」という修飾語をつけて、31通りに表現します。 例えば、「薄いピンク」というように喋ります。 ○明度・彩度に関する修飾語 うすい、こい ○基本色名 青、赤、紫、橙、ピンク、黄色、茶色、黄緑、白、緑、灰色、青緑、黒 ※カラートークはカラートーク プラスへとバージョンアップされました。  縞模様など単一色でない服などの場合、色を読み上げた後で滑らして移動 させると、色により決められた音程の音が順に聞こえて、模様がなんとなく 分かるようになりました。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎視覚障害者も携帯電話の割引があること、ご存知ですか? 大体の視覚障害者の方はすでにご存知かとは思いますが、サポートしている 方がもしご存知なければ是非教えてあげて下さい。 NTTドコモではハーティ割引、 KDDIのAUではスマイルハート割引、 ソフトバンクではハートフレンド割引、 ウィルコムではハートフルサポート、 などの名前で、障害者手帳をお持ちの方に対しての各種割引を行っています。 各社によって、サービスの内容はかなり異なりますが、 ・基本使用料が無料になる場合や50,60パーセントの割引になる場合もある。 ・メールについては無料 になる場合もある。 ・テレビ電話通信料が音声通話料と同額になる。 ・電話番号案内「104」の通話料・案内料が無料となる。 などがありますが、各社のホームページでご確認下さい。 なお、最近は各社のサービス競争が激しく、場合によってはこの障害者 サービスを利用するとむしろ割高になる場合もあるようですので、ご注意下さい。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 NTT どこものハーティ割引 http://www.nttdocomo.co.jp/charge/discount/hearty/?ref=sitemap KDDIのスマイルハート割引 http://www.au.kddi.com/ryokin_waribiki/waribiki/smile_heart/index.html ソフトバンクのハートフレンド割引 http://mb.softbank.jp/mb/price_plan/heart-fd/ ウィルコムのハートフルサポート http://www.willcom-inc.com/ja/plan/discount/heartful_support/index.html ◎先月号のお役立ちサイトについての訂正とお詫び 先月号でサピエ図書館について紹介した記事の中で、 Daisy図書については、現在移行手続き中で、大部分のDaisy図書はまだ従来の びぶりおネットのサイトから、ストリーミング的にしか聴くことができない。 との趣旨での記事がありました。 しかし、これは誤りで、著作権改定に合わせてネットプレクストークの バージョンアップがされていて、それらを使えばびぶりおネットのサイトから ストリーミング的に聴く以外に、ファイルとしてのダウンロードも可能に なっているはずです、とのご指摘がありました。 まさにご指摘の通りですので、謹んでそのように訂正させていただくとともに 、お詫び申し上げます。 なお、移行手続きが終了する10月からは、ネットプレクストークのバージョン アップ版などを使用しなくても、会員であればサピエのサイトから自由に点字 データと同様に全てのDaisy図書もダウンロードできるようになるようです。 ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎日本NPOセンター 民間非営利セクターの分野や地域を越えた基盤強化を図るとともに、企業や 行政との対等のパートナーシップの確立を目的としています。 *主な活動 NPOに関する情報収集・発信、基礎的・実践的な講座や全国的なフォーラム などの研修・交流事業。 各種の相談や企画のコンサルテーション、調査研究や政策提言など。 *サイトの趣旨と概要 NPO法人の増加と活動の活発化にともない、「福祉とまちづくりの両方に関係 した各地のNPO法人を知りたい」。 「○○地方で芸術活動をしているNPO法人に連絡を取りたい」。「 寄附の依頼が来ているが類似の自然保護団体と比較したい」など、分野や地域 を越えてNPO法人等の情報を求める声が増えてきています。 本サイトは、NPO法人をはじめとする市民活動団体等の現状を誰もが理解できる ようにすることで、多くの市民や企業が活動に参加することを促すことと、 その状況を明らかにすることで民間非営利セクター全体の発展に寄与すること を目的として2001年に開設しました。 日本経団連1%クラブから企業の社会貢献活動関連の情報を提供いただき、 NTTコミュニケーションズ株式会社からは資金的協力を得て2001年4月より運営 しています。 本サイトがNPO界全体の財産として、さまざまな人や組織によって活用される とともに、NPOが独自に情報公開するシステムを確立し、継続した運営と発展 を図るには、多くの方からのご賛同が欠かせません。 みなさんの積極的なご活用・ご協力を。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.npo-hiroba.or.jp ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎みんなに使いやすいICレコーダー、「ボイストレックDM-4」  今回は、7月8日に発売されたDAISY図書の再生が可能なオリンパス イメージング社製の音声ガイド付きICレコーダー「ボイストレックDM-4」を ご紹介します。  開口部を広くした高性能マイクを搭載。指向性マイク機能やリニアPCM 録音にも対応して、ボイストレックシリーズ最高峰にふさわしい高音質録音に 対応しました。会議録音はもちろん、楽器練習用途でも大活躍します。また、 議事録作成などで威力を発揮するノイズキャンセル機能を搭載。再生時に おいても高音質を実現します。  本機はDAISY図書の再生にあたり、DAISYコンソーシアムで規定された必要な 機能を搭載し、DAISY OKロゴを取得しています。 本のタイトルとチャプター表示、チャプターごと/センテンスごとの移動、 ブックマーク機能、再生スピード調整(0.5〜6倍)などの機能搭載。  音声ガイドについては、操作を音声でお知らせします。また、テキスト ファイルの読み上げも可能です。 音声入力で本体を操作できる音声コマンド搭載。ただし、操作できる機能には 制限があります。  MP3、WMA、リニアPCM(WAV)のオーディオファイルに対応。会議録音を始め、 音楽再生やポッドキャストも楽しめます。 大容量8GBの内蔵メモリー、microSDカードに対応。 色覚の個人差を問わず、多くの方に使いやすいデザインを実現。 カラーユニバーサルデザイン認証を取得しました。 ●主な仕様 大きさ:長さ113mm 幅45mm 厚み15mm(最大突起部含まず) 重さ:98g 電池:リチウムイオン充電池 LI-50B 電源:ACアダプターA515、PCからのUSB給電 価格:オープン価格 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://olympus-imaging.jp/product/audio/dm4/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎日商PC検定3級(文書作成)を実施 (社福)日本ライトハウス 視覚障害リハビリテーションセンター職業訓練部 では、日商PC検定3級(文書作成)のスクリーンリーダでの第4回公開試験を実施 します。 受験はインターネットを通して行われるので、受験後すぐに結果が出ます。 *実施日時:2010年9月11日(土) 10:00〜16:00 *試験会場:社会福祉法人日本ライトハウス   視覚障害リハビリテーションセンター4階教室 *対象者ならびに受験人数:視覚障害者、申し込み順で10名まで *受験料:税込み5,000円 *申し込み期限:9月8日(水) *詳細については下記までお問い合わせください。    E-mail: kentei@lighthouse.or.jp ▼検定についての詳細は下記をご覧ください。 http://www.kentei.ne.jp/nisshopc/hani/3qhani.html ◎視覚障害者向けブースのご案内 東京・青山にある、財団法人 機械産業記念事業財団のTEPIA ITセミナリオ では、視覚障害者向けブースを設置しています。 ここには、視覚障害者用のソフトを組み込んだVistaとXPのパソコンがあり、 気軽に利用できます。 また、TEPIAオリジナルテキストを使用したWord2007・Excel2007のマンツーマン での指導を行っています。 *利用時間:平日の10:00〜17:00(2時間1単位を原則とします) *利用料:無料 *利用には事前の予約が必要です。 *問合せ先:TEL 03−5474−6176 FAX 03−5474−6266 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.tepia-dp.jp/booth/index.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Office2010の発売が開始されて1カ月余りとなりましたが、まだスクリーン リーダーの対応も完全ではないようです。しかし、こうした問題は順次解決 されると思いますが、ユーザーや指導者がそれらのソフトウエアを使いこなす にはかなりの時間がかかることでしょう。 やはり、技術の進歩とそれを使う人間とのギャップは常にあることを実感させ られます。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は8月27日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━