━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2011年10月号 No.60                       2011年10月28日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース    Excel基礎(5)   SUM関数を利用して合計を計算する ● プロフェッショナルコース  トラブル対策の最終回(CDでパソコンを起動) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール 電子式歩行補助具 [2] サポートお役立ちサイト  サイトワールド 2011 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  NPO法人しゃらく   〜ゆとりあるライフスタイルを提案し、心のバリアフリーを推進します〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  低コストで軽量な視覚障害者用新杖、「スマート電子白杖」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「第4回視覚障害者雇用継続支援セミナー」を開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎  Excel基礎(5)  SUM関数を利用して合計を計算する 前回は、Excelの計算機能のうち2つの方法を説明しました。 数値と演算記号を利用して計算する方法と、計算対象となるセルを参照して 計算する方法です。 今回は、関数を利用して計算する方法を説明します。 Excelでは、さまざまな関数を利用することで数式の演算だけではできない ような複雑な計算も簡単に行うことが可能です。 ここでは、Excelでよく利用される関数を何回かにわたって解説します。 Excel2010の関数の入力方法には2通りあり、直接関数を入力する方法と、 リボンの関数の一覧から選択する方法があります。 Excelの代表的な関数として最もよく利用されるのは、SUM関数です。 この関数は、指定した範囲の合計を計算する関数です。計算する数値がいくつ あっても少ない手順で合計を求めることができます。 関数を利用するには以下のような決まりがあります。 先頭に半角の「=(イコール)」をつけます。 関数にはそれぞれアルファベットで関数名がつけられています。 関数名に続けて引数を入力します。 引数は数値やセル範囲を括弧で囲む形式で指定します。 範囲は、始点となるセルと終点となるセルの間に「:(コロン)」をはさみ、 セル範囲は半角で入力します。 【SUM関数】 仮にセルA1からセルA5までの範囲に1から5までの数値を順に入力するとしま しょう。 その数値の合計をSUM関数を利用してセルA6に求める場合は、以下のように 入力します。 1.合計を求めたいセルA6にカーソルを移動します。 2.[F2]キーを押して、セルA6を編集モードにします。 3.『=sum(a1:a5)』と関数に続けて引数を入力します。 4.[Enter]キーを押します。 ⇒セルA1からセルA5までの数値の合計である『14』が表示されます。 なお、セルA6にカーソルがある状態で再び[F2]キーを押すと「=SUM(a1:a5)」 と入力されていることが確認できます。 上記のように連続した数値の合計を関数と引数を利用して求める場合、便利な ショートカットキーが利用できます。 1.合計を求める始点のセルA1から合計を表示させたいセルA6までを範囲選択  します。 2.[Shift]キーと[Alt]キーを押した状態で[=](イコール)キーを押します。 3.[Enter]キーを押します。  セルA1からセルA5までの数値の合計である「14」が表示されます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎トラブル対策の最終回(CDでパソコンを起動) これまで、いろいろなトラブル対策をお知らせしましたが、今回が最終回 です。 どうしても起動しない場合、CDでパソコンを起動して、ハードディスクの内容 を見ることができます。 事前にこのような起動用CDを用意しておくと良いでしょう。 このCDの作成方法の一例として、LINUXのUBUNTUを紹介します。 http://www.ubuntulinux.jp/download/ を開き、日本語RemixCDイメージのダウンロードをクリックします。 すると、Ubuntu DeskTop 日本語RemixCDのダウンロード が開きます。 この中から ubuntu-ja-11.10-desktop-i386.iso(CDイメージ) を実行して、保存します。 ここで保存したファイルをCDに焼けば起動用CDができます。 最後の手段として利用してください。 *注意事項 CDで起動するには、起動に使用するデバイスの順序が関係します。 通常、ハードディスクより、CDが優先度が高いのです。 設定により逆になっている場合などがあります。 CDから起動できない場合は、BIOSなどで、起動時に使用するデバイスの優先 順位をハードディスクよりCDをより高い設定にしてください。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール 電子式歩行補助具 眼が見えなくても、あなたは一人で外出できますか? 多くの方が難渋することでしょう。特に中途失明者の場合、眼で見ることで 安全の確認をしてきただけに、とても大変なことです。 そういう人達が利用できるいくつかの社会資源があります。 ・白杖を用いた歩行訓練を初めとする生活訓練施設 ・盲導犬を貸与して、単独歩行を指導する施設 ・単独歩行が困難な人のための移動支援事業(ガイドヘルパー)  (2011年10月1日からは同行援護事業も加わります) ・視覚障害者ガイドボランティア ・JRなど鉄道事業者の乗降ガイド案内 ・ちょいボラ(道などで迷っている時に声をかけてくれる人達) 日常の買物や遊びなどの場合は、ガイドヘルパーなどを利用することもでき ますが、仕事のための通勤などでは利用することができません。 そのためには、白杖、盲導犬を利用しての単独歩行ができる事が必要です。 盲導犬を利用するためにはいくつかの条件があるので、誰もが利用できるとは 限りません。 条件とは法律などの事ではないですが、ここでは省略します。 一方、白杖の場合は杖の先の約1m以内の足下の確認はできるのですが、それ 以上の距離や、腰から上の障害物の確認をすることができません。 それを補う道具として「電子式歩行補助具」があります。 多くの商品は、手で握ることができる程度のサイズです。 機器の先端から超音波を発信して、物に当たって反射してくるまでの時間を 測定して距離を測ります。 設定した距離内に障害物などがあれば手で握っている機器が振動して情報を 伝えます。 設定距離は0.5m〜4m程度で、何段階かに設定が可能です。 歩いていて、設定距離内に自動車などが停まっていた場合、振動が始まり、 距離が近づくに従って振動が変化するので近づいていることが確認できます。 また、超音波の照射角度は前方全面に出しているのではなく、狭い幅になって います。 これは、例えば細い路地などを歩いていても、周りの壁などには反応せずに、 進行方向で人が通れる幅程度が確認できればよいためです。 例えば、それなりの人混みであっても、人に当たらずにすり抜けていくことも できます。 短い距離に設定すれば、電車で空いている席を探すこともでき、利用している 人もいる様です。 白杖だけでは、障害物などがあれば直ぐに止まれる様に速く歩くことは困難 です。 「電子式歩行補助具」を利用すれば、進行方向の白杖よりは先の状況の判断が できるので、もう少し速く歩くこともできます。 でも、段差などの足下は、白杖での安全確認が必要ですよ。 参考URL http://www.palmsonar.com/jp/#outline http://www.kaigo110.co.jp/word/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC http://www.affection-j.com/miruburu.html                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎サイトワールド 2011 サイトワールドは、最先端の技術・機器、および、日常用品等の展示会、 そして、講演会、学会、フォーラム、体験会等が催される世界でも例をみない 視覚障害者のための総合イベントです。 もちろん、展示の規模がすごいのですが、講演会なども、今話題のテーマで 行われます。 また、カテゴリ別出展者一覧などの情報は、今後も役立つ情報なので、 チェックしておくとよいかと思います。 規模が大きいし、参加者が多いので、出展内容をあらかじめ知り、ある程度 的を絞って見に行くのがよいと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sight-world.com/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎NPO法人しゃらく  〜ゆとりあるライフスタイルを提案し、心のバリアフリーを推進します〜 *しゃらく旅倶楽部 旅が心を豊かにする 一人での旅行に不安を感じる 日常生活で介助が必要 歳を重ねると誰もが持つ旅行への不安。 付添い・介護付き旅行、しゃらく旅倶楽部が、「安心・安全・快適」な旅行を お手伝いします。 「行きたいけど行けない」から、「行きたいから行く」旅へ。 誰もが気軽に旅行できること。それがしゃらく旅倶楽部の願いです。 *NPO向けホームページ制作 ホームページを更新できない、もっとホームページで成果を上げたい、更新 できるボランティアがやめてしまったなど、NPOがホームページを更新し続ける ことは簡単ではありません。 分からないことがあったら、とりあえずネットで検索する、そんな人たちが 増えています。 だからこそ、皆さんのホームページを生かせることがあるはずです。 ホームページを使う人、ホームページを作る人、誰にとっても使いやすい ホームページを作ります。 ・いくらスタイリッシュなホームページでも、閲覧者が迷子になったり、  文字が読みにくくてはいけません。 ・障害者や高齢者もホームページを使えるようにしなければなりません。 ・運営する人も簡単に更新できなければなりません。 効果的な情報発信ができる、最小のコストで最大の成果を上げられるような ホームページを作ります。 ・NPO向けチラシ・リーフレット・パンフレット作成 イベントのチラシを作りたいけどデザインがわからない。 新しく事業を始めたので会社案内やパンフレットを作りたい。 印象に残るインパクトのあるチラシを作りたい。 お客様の「伝えたいこと」をただ伝えるだけでなく、どのように作れば効果的 になるかを相談しながら作成します。 *生きがいしごとサポートセンター神戸西 NEXT 起業・就業・ボランティアなど生きがいしごとを総合的に支援する機関で、 その運営を兵庫県が補助しています。 *まちづくり 商店街や地域活動団体との協働で、まちづくりに関する活動を行っています。 1.コーディネーターとして、団体間の意見や役割の調整 2.イベント等の企画提案 3.プレスリリースやチラシ作成などの宣伝・広報 *手作り講座 手織り、洋裁、刺し子、皮細工や人形作りなど経験豊富な先生が、丁寧に 教えます。 あなたのいきたい旅はありませんか?あきらめていませんか? そして、ホームページやチラシなどの作成で困っている団体にとっては、 頼りになる存在ではないでしょうか。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.123kobe.com/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎低コストで軽量な視覚障害者用新杖、「スマート電子白杖」  今回は、秋田精工株式会社と秋田県立大学が共同開発し、5月31日より 受注を開始した「スマート電子白杖」をご紹介します。  スマート電子白杖は、視覚障害者が使用している本来の白杖機能に加えて、 持ち手部分のセンサーから超音波を出して、前方に障害物がある場合は持ち手が 振動し、頭部前方にある場合はリストバンドが振動して使用者に伝えます。 頭部前方2mの障害物を感知しグリップの振動で知らせるセンサー1個タイプと、 正面と頭部前方2mの障害物を感知し、グリップとリストバンドの振動で 知らせるセンサー2個タイプがあります。  杖の先端で地面を軽くたたくように歩くと、階段の段差などに加え、車の サイドミラーや顔と同じ高さの障害物も感知できます。杖が障害物に当たる 前に障害物の存在を察知できるので衝突事故を回避できたり、バス停や音声 信号機などの場所を探すことにも役立ちます。 スマート電子白杖は、地面から顔の高さの範囲まで感知できる初めての製品です。  白杖の重さは約300g。電源には一般に使用されているリチウム電池を採用。 電源を切り忘れた場合も30分でオフ状態に変わるため、電池の消費も抑えられ ます。通常2〜3ヵ月は継続使用が可能。スイッチを入れたときの振動方法で 電池の消耗状況が分かる工夫もされており、万一電池切れとなってもコンビニ などで入手できます。  価格は、センサー1個タイプが3万円、センサー2個タイプが4万3千円。 秋田県では、今年度より「視覚障害者用電子白杖購入費助成事業」を行って います。  すでに類似の電子白杖は発売されていますが、8万〜25万円程度と非常に 高価な外国製品のみであるため、普及が進んでいません。しかし今回開発した 白杖は、金型を用いて量産化に成功したため、約3万円程度と低コストかつ軽量 (一般の白杖とほぼ同程度の重さ)であることから広く活用されるものと 期待されています。 電話:0184-33-2143(秋田精工株式会社) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.akitaseiko.jp/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「第4回視覚障害者雇用継続支援セミナー」を開催 特定非営利活動法人タートルは「第4回視覚障害者雇用継続支援セミナー」を 開催します。 *日時:11月16日(水) 13:00〜16:45 *会場:中野サンプラザ *内容:  第一部 視覚障害者の就労支援と職場定着  第二部 理解のための体験コーナー *定員:100名 *参加費:無料 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.turtle.gr.jp/annai1109.html#1 ◎視覚障がい者音声起稿師養成講座のご案内 大阪府ITステーションでは、テープ起こしの専門知識と実践を身につける ための口座を開催します。 *講座日程(予定) ・スキル確認 11月26日(土) 13:30〜14:30 ・テープ起こし講座 12月3日(土)〜3月17日(土)の間の9日間 *講座の内容:実際に録音した音声データを使用して文書作成演習を実施  します。 *受講料:無料 *会場:大阪府ITステーション *定員:10名程度 *募集期間:2011年10月11日(火)〜11月15日(火) *お問合せ先:  電話:06-6776-1223 FAX:06-6776-1231  E-mail: worker@itsapoot.jp ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.itsapoot.jp/new/works/201110_onsei.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽にお寄せ  ください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− スマートフォンの販売台数が携帯電話を超え、また、タブレットPCの売上げが ノートPCをしのぐ勢いとのこと、この分野での変化が急になっています。 恐らく、視覚障害者のICT環境も、ここ1〜2年で激変するのではという気が しています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は11月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━