━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2014年6月号 No.92                       2014年6月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Excel基礎(21)   表示形式の変更(1) ● プロフェッショナルコース  長文作成(弱視者対応) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  パソコンの構成部品 その8 [2] サポートお役立ちサイト  「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の  在り方に関する研究会」の報告書 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  Daisy再生や音声読み上げも可能な最高級ICレコーダー、「DS-902」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  全国ロービジョン(低視覚)セミナーを開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Excel基礎(21)  表示形式の変更(1) 前回までは、列や行の操作について説明してきました。 今回からはセルの表示形式について説明したいと思います。 エクセルでは、セルに入力されたデータをいろいろな形式で表示させることが できます。 たとえば、桁区切りを入れたり、小数点以下の表示桁数を設定したり、 パーセント表示を行ったり、日付表示するなど、必要に応じて形式を選択し 表示させることができます。 セルに入力されたデータをどのような形式で表示させるかを選択するには 「ホーム」タブの「セルの書式設定」ダイアログボックスを開いて、 表示形式タブを選択します。 「セルの書式設定」の表示方法は以下の通りです。 1.[Alt]キーを押してリボンに移動します。 2.[左右方向]キーを押して「ホーム」タブに移動します。 3.[Tab]キーを押して「セルの書式設定」のボタンを選択して[Enter]キーを  押します。「セルの書式設定」ダイアログボックスが開きます。 4.ここには6つのタブシートがあるので、[Ctrl]キー + [Tab]キーを押して  「表示形式」タブを選択します。 【便利なショートカットキー】 「セルの書式設定」ダイアログボックスの表示:[Ctrl]キー + [1]キー なお、「セルの書式設定」ダイアログボックスを開いた上体で [Tab]キーを押すと、「表示形式」のタブシートが選択されます。 Excelの初期状態では、表示形式は「標準」になっています。 「標準」は、入力した値をそのまま表示します。 また、「日付」などほかの形式になっているものを元に戻す際にも 使用します。 ここでは、仮にセルA1に入力された日付の表示形式を「標準」になおす操作を 説明します。 尚、手順は、セルを選択後「セルの書式設定」ダイアログ ボックスを 開いた状態から説明します。 1.セルA1を選択します。 2.[Tab]キーを押して「分類」のリストに移動します。ここは  「ユーザー定義」となっています。 3.[上方向]キーを押して「標準」を選択します。 4.[Tab]キーを押して「OK」ボタンに移動して[Enter]キーを押します。 表示形式が「日付」だったセルの値がシリアル値に変化します。 これは、表示形式が「標準」になることで、値がシリアル値に なったためです。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎長文作成(弱視者対応) 長文をword2010で作成する手順について説明します。 弱視者の場合、事前に「編集記号の表示」「マウス位置の表示」など、 最低限の設定をすることを推奨します。 今回は概論と設定について説明します。 (1)全体の構成を決めます。 リボンにある「レイアウト」のタブを使用します。用紙サイズ、向き、余白、 ヘッダ、フッタ、などが対象です。 (2)段落番号のつけ方を決めます。 リボンにある「ホーム」のタブを使用します。「アウトライン」と 「スタイル」を利用します。両者を結合すると、快適な文書作成が 可能になります。 (3)インデントのつけ方を決めます。 レベルごとの段落番号の形式を決めます。 例1 「1.」「1.1」「1.1.1」 例2 「1」「(1)」「@」 (4)句点と読点を決めます。 通常「。 、」、技術論文やレポートでは「. ,」を使用します。 (5)セクションによる分割を決めます。 たとえば、「表紙」「目次」「本文」「参考資料」などです。 セクションで分ければ、「参考資料」のみA4の横にすることも可能です。 備考 何らかの方法で、画面を見ることができる場合、編集記号を表示すると、 空白とインデントの見分けができるなど、よりよい作業ができます。 下記はその作業です。 「すべての編集記号を表示する」の設定(キーボード操作) (1)[Alt]キーを押します。 (2)[F]キーを押します。 (3)[T]キーを押します。 (4)[下方向]キーを1回だけ押します。 (5)[Tab]キーを押します。 (6)[A]キーを押します。 (7)[Enter]キーを押します。 次回は、アウトラインと段落番号の連携について説明します。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎パソコンの構成部品 その8 ・マンマシンインターフェースとしての、入力/出力装置-4 前回に引き続き、マウスについてです。 その仕組みと構造ですが、本体を手に持って机上などを水平に 移動させることで、ボールや赤外線、レーザーなどを利用したセンサーで 移動を検知し、2次元の移動距離をコンピュータへ伝えるものです。 当初はX・Y軸の動作をそれぞれ検出する二つの車輪を 底面に装備していましたが、車輪は内蔵され、底面に露出したボールによって 間接的に車輪を動かす方式が主流となりました。 この方式は斜め方向の動作の検出がしやすく、微妙な手の動きを 伝えやすいなどの利点がありましたが、デスク上の埃を巻き込んで 次第に快適な動作性能を失っていくため、時々分解掃除をする必要が ありました。 そのため、分解掃除が不要な光学式(オプティカル)マウスが普及してからは ボール式はほぼなくなりました。 マウスという言葉は、形状がネズミに似ていたことから名づけられました。 近年はBluetoothや独自方式の無線による「コードレスマウス」 (ワイヤレスマウス、無線マウス)も増えてきています。 一方、ノートパソコンの普及と共に、マウスパッドの様に、 平面のパッド上を指でなぞることで、X・Y軸の移動距離をコンピュータへ 伝える方式のものもあります。 つづく                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の  在り方に関する研究会」の報告書 厚生労働省は、このたび、「改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・ 合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」 (座長 山川 隆一 東京大学大学院法学政治学研究科教授)の報告書を 取りまとめました。 厚生労働省では、今後、労働政策審議会 障害者雇用分科会で、 この報告書を基に、指針策定に向けた議論を行うとしています。 これから、色々な分野で、差別禁止・合理的配慮についての 話題が出てきますので、注目していきたいものです。 なお、「合理的配慮」とは、募集・採用時における 障害者と障害者でない人との均等な機会の確保の支障となっている事情を 改善するための措置や、採用後における均等な待遇の確保や 障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を 改善するための措置のこととされています。 差別の禁止に関する指針の中には以下のような記述があります。 直接差別を禁止(車いす、補助犬その他の支援器具などの利用、介助者の 付き添いなどの社会的不利を補う手段の利用などを理由とする  不当な不利益取扱いを含む) 今後、実際にどのようなことが提示されるのかが問題ですね。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047446.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎社会福祉法人 日本ライトハウス情報文化センター 〜目の見えない方・見えにくい方の“情報・文化・コミュニケーション”の 拠点〜 目の見えない方・見えにくい方が、見える人と等しく“情報”を活用し “文化”を享受し“コミュニケーション”を楽しむ。 そんな社会の実現を目指して、日本ライトハウス情報文化センターは 活動しています。 ◆図書・情報サービス ●貸出サービス 点字・録音図書や雑誌を無料でお貸しします。 ●プライベートサービス お読みになりたい図書や書類をボランティアが点訳または録音し提供します。 費用は実費です。 ●リファレンスサービス 読書相談にお応えする他、図書に関するご質問、調べ物や資料探し、 辞書引き等のお手伝いをします。 ●対面リーディング お読みになりたい図書や雑誌、郵便物やチラシ、各種取扱説明書等を ボランティアがお読みする他、宛名や書類の代筆、点字文書の墨字訳等、 あなたの目と手の代わりをします。事前予約が必要です。 ●情報誌「読書」 利用登録された方には、毎月の新刊図書案内や視覚障害者福祉に関する 最新情報、当館の講習やイベントなどをご案内しています。 ◆ネットワークサービス ●サピエ 全国視覚障害者情報提供施設協会が運営するインターネットによる 視覚障害者情報総合ネットワークです。 自宅にいながら、全国約220の加盟施設・団体が登録した50万件に及ぶ 点字・録音図書目録の検索をはじめ、点字データ、デイジーデータなどの ダウンロードもできる他、さまざまな情報が得られます。利用は無料です。 ●はやみみかわら版 デイジー図書に編集する前の、ボランティアがその日に録音した本の情報を メールでお届けします。 ◆用具・機器サービス ●用具・機器の購入 視覚障害者用具や便利グッズ、電子機器、パソコンなど200点以上を 常設展示し、情報提供と販売を行っています。 ●PC・電子機器の紹介、購入相談 視覚障害者向けのパソコンソフトや拡大読書器、デイジー再生機など、 専門知識の必要な機器について、体験していただき、詳しく 説明させていただきます。予約が必要です。 ●パソコンQ&A ウィンドウズの基本操作、視覚障害者用ソフトや電子機器の使い方、 デイジー機器の操作方法などのご質問に電話でお答えします。 ご利用は無料です。 ●個人指導 パソコンやデイジー再生機などの機器の操作方法を当センターへ 来館していただいて、個人指導します。(有料 ※予約が必要です) ●パソコンボランティアの派遣 機器のセットや、ソフトのインストール、パソコンの環境が 壊れたりした時などボランティアがご自宅へ伺い、サポートします。 事前申し込みと実費負担が必要です。 ●メールマガジン 最新グッズや講習会、体験会の情報などをメールマガジンで お知らせしています。 ◆その他 ●わろう座 音声解説・字幕付き映画会、ミニコンサートなど種々の企画で「情報・文化・ コミュニケーションの場」を提供しています。 ●講習会・体験会 電子機器の講習会や新製品の体験会を実施しています。一部有料となります。 ●音声解説付きDVDの貸出 DVDと音声解説データのCDをセットにしてお貸しします。再生にはパソコンと 専用ソフトが必要です。送料の負担が必要です。 ●各種相談 その他、視覚障害に関する種々の相談にお応えしています。 ▼詳しくは下記をご覧ください http://www.lighthouse.or.jp/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎Daisy再生や音声読み上げも可能な最高級ICレコーダー、「DS-902」  今回は、4月25日にオリンパスイメージング株式会社から発売された ICレコーダー「Voice-Trek DS-902」をご紹介します。  Wi-Fi対応のリモコン機能を搭載し、スマートフォンから録音の開始・停止 操作が可能。専用アプリ「OLYMPUS Audio Controller」を介して、 離れた場所から操作ができるほか、音声データの取り込みなどが 可能になります。 スマートフォンがなくても、別売の専用リモコン(RS30W)を使用すれば録音と 停止を遠隔操作できます。  テキストデータを内部の音声エンジンで読み上げるテキストスピーチ機能を 搭載。対応フォーマットも従来から拡大しtxt、doc、docx、htmlの読み上げに 対応、さらにDaisy再生にも対応。また、操作状況を音声で知らせる 音声ガイド機能により、多彩な機能を簡単に操作できます。 ファイル名、電池残量や現在時刻、録音日時やメモリ容量なども ガイドします。 さらに音声認識機能を備え、話しかけるだけで多くの機能呼び出しや設定を 実行できます。  再生時にノイズをカットするノイズキャンセル機能、音声が録音されている 部分のみを再生できる声だけ再生機能、さらに、低音域と高音域をカットして 音声をクリアに強調する音声フィルター機能など充実の再生機能を搭載。 ユーザーの使いやすさを1番に考え、大型のカラー液晶を採用。 ボタン表面の凹凸に変化を持たせたり、消去ボタンをフラットに変え、 誤操作を少なくする工夫がなされています。ボリュームボタンは本体側面に 独立させ、メニュー操作中でもボリュームの変更が可能。また、どこからでも ホーム画面に戻れるよう専用ホームボタンを配置しました。 ●主な仕様 記録形式:リニアPCM、MP3、WMA 記録媒体:内蔵型NAND FLASHメモリ4GB SDカード、SDHC、SDXCに対応 外形寸法・質量:115mm×51mm×17.9mm(最大突起部含まず) 105g(電池含む) 価格:オープン 同梱品:USB接続ケーブル、USB変換アダプター、イヤホン、 リチウムイオン充電池、キャリングケース、ストラップ、 USB接続ACアダプター、取扱説明書(保証書付)、CD-ROM(Olympus Sonority) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://olympus-imaging.jp/product/audio/ds902/feature/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎全国ロービジョン(低視覚)セミナーを開催 社会福祉法人 日本盲人職能開発センターは、「視覚障害者の就労継続 〜情報機器の活用と職場の支え合い〜」をテーマにセミナーを開催します。 *日時:2014年7月26日(土) 9:45〜16:00 *会場:戸山サンライズ(全国身体障害者総合福祉センター) *申込み期限:2014年7月9日(水) *内容:基調講演、パネルディスカッション、ロービジョン機器等展示会 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.os.rim.or.jp/~moushoku/lowvision/lowvision2014.html ◎「NVDAワールド 2014 東京」を開催 オーストラリアで開発された無料のスクリーンリーダー「NVDA」(NonVisual Desktop Access)の日本語版の開発を行っている 「NVDA日本語チーム」の主催で、NVDAの導入から最新情報までをご紹介する イベントを開催します。 *日時:2014年9月6日(土) 10:00〜17:00 *会場:日本盲人会連合 日本盲人福祉センター *参加費:無料 参加には事前のお申し込みが必要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.nvda.jp/2014/nvda-world-2014-tokyo.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽にお寄せ  ください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 6月はいろいろな会の総会が、そして、7月はいくつかのイベントがあり、 視覚障害に関係する世界は活発に動いているようです。 そんな中、パソコンサポートの活動は、地味ですが、とても大切だと改めて 感じています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は7月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           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