━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2016年1月号 No.111                       2016年1月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  iPadのアクセシビリティの「ズーム機能」について ● プロフェッショナルコース  波線を使用した校正の例 ● 【コラム】 パソコンよもやま話  iOS 手動でRAMをクリアし、iPhoneの動作を軽くする方法 [2] サポートお役立ちサイト  ホームドアの整備状況 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  日本障害者リハビリテーション協会 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  お財布のように使える紙幣識別機、「Wallet」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第182回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎iPadのアクセシビリティの「ズーム機能」について iPadのアクセシビリティの「ズーム機能」について知りましょう。 ポイントは2つです。 @倍率の変更 Aズーム領域 今回は、Aについてみてみます。 ズーム領域とは、全画面表示で拡大する(フルスクリーンズーム)と、 四角いルーペで見ているようなもの(ウインドウズーム)があり、 どちらかを選ぶことができます。 後者を選んだ場合、レンズの大きさをどうするかが大切です。 ズーム機能をオンにして、ウインドウズームを選択すると四角い枠か、 横の線が出てきます。 出てこないときは、3本指でダブルタップ、つまりズームを働かせます。 横線の上に四角い印がありますので、そこをダブルタップしますと レンズサイズの変更というのが出ます。 それをタップすると、四角い枠の隅と真ん中に丸い印が出ます。 それらをドラッグすると、四角い形が自由な大きさ=縦長、横長、 正方形などになり、もちろん面積も変えられます。 全体を普通の大きさで見て、見たいところだけ自由な大きさの ルーペで見ます。 これは、ルーペを見ているのと同じような感じになります。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎波線を使用した校正の例 1.初めに この資料は、弱視者向けに、Wordの校正機能によって表示された 波線の使い方を説明します。 この資料のPDF版は http://smuramura.web.fc2.com/201601A/namisen2.pdf をご覧ください。 サンプル文章は http://smuramura.web.fc2.com/201601A/sample.docx をご覧ください。 2.設定 図1,2,3の設定をしてください。 Wordのオプションで、「文章校正」を選びます。 文章のスタイルを「ユーザー設定1」などにします。 その右にある「設定」のボタンをクリックします。 図1 Wordのオプション http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z1.png 開いたダイアログボックスでは下記にチェックを入れます。 表記の揺れにある5個のチェックボックスはすべてチェックを入れます。 「揺らぎ(カタナカ)」「揺らぎ(送り仮名)」「揺らぎ(漢字/仮名)」 「揺らぎ(数字)」「揺らぎ(全角/半角)」です。 図2 http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z2.png) さらに、文体「「です・ます」体に統一」、カタカナ設定「全角に登録」 英文字設定「半角に統一」、句点「。に統一」、読点「、」に統一などを 設定します。 図3 文書校正の詳細設定2 http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z3.png 3.波線の表示 「波線があるサンプル文書」を上記の設定で開くと、波線がいくつか 表示されます。 図4 波線が表示された例 http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z4.png 4.波線を利用した修正 波線が表示されたPDFの部分でアプリケーションキーを押すと、 プルダウンメニューが表示されます。「設定:英無事は半角PDF」「無視」 「文書校正」以下省略 図5 http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z5.png 一番上の項目「設定:英文字は半角PDF」を選ぶと、PDFが半角になります。 あえて全角にしたい場合は、「無視」を選択すると、波線が消えます。 この例題の場合、 @「の」3連続 A英字 半角と全角のゆらぎ  Bゆらぎ 「プリンター」と「ぷりんた」 Cです・ます体の逸脱 「区切る。」 D誤った読点 などです。波線をクリックまたは、文字カーソルを移動し、 アプリケーションキーで表示されるメニューから必要な情報を 得ることができます。半角と全角が混在している場合、一括して 修正する機能もあります。 5.その他の例 下記の例は、数十ページの資料の校正前の例です。 図6の枠内の数字の下に波線がついています。 ここに文字カーソルを移動して、アプリケーションキーを押すと、 図7の「表記ゆれチェック」のダイアログボックスが表示されます。 図6 長文で構成の例 http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z6.png 対象となる表記の例の一覧には、半角の数字1と全角の数字1を含む部分が 数行表示されます。その下には、「修正候補」のリストがあります。 リストには半角1と全角の1があります。どちらかを選び、その下にある 「すべて修正」のボタンを実行すると、一括で修正されます。 図7 表記ゆれチェック http://smuramura.web.fc2.com/201601A/z7.png                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎iOS 手動でRAMをクリアし、iPhoneの動作を軽くする方法 iPhoneをいじっていて、動作が重くなってきたと感じたことはありませんか? そんなときは、何をやっても必要以上に時間がかかる気がしませんか? たとえば、すぐにサファリが立ち上がらないという経験はないでしょうか? もしかするとiPhoneのRAMを一掃する必要があるのかもしれません。 これは、動作中のすべてのアプリを手動で閉じるという意味ではありません。 そうではなく、RAMをクリアにして、まるで電源を 初めて入れたかのようにできる、あまり知られていないテクニックが あるのです。 まず初めに、電源ボタンを長押しし、画面に「スライドで電源オフ」と 表示させます。ですが、ここでスライドしないでくださいね! 代わりに、ホームボタンを数秒間長押ししてください。そうすると、RAMが 白紙の状態に戻り、自動的にホーム画面に戻ります。 VoiceOver使用時でも同じです。 信じてもらえませんか? それでは、ホームボタンをダブルクリックしてみてください。 Appスイッチャーの起動です。 先ほど動作中だったアプリが開かれたまま残っています。 しかし、どれかをクリックしてみると、アプリアイコンから起動する際と 同じように、再読み込みされることが確認できます。 しかし、一般的に言ってiOSはメモリ管理に優れていますので、 この操作を頻繁に行う必要はないということもお伝えしておきましょう。 とは言え、万が一のために、この技を知っておくといいかもしれません! 参考:エキサイトニュースより ※URLが長いため、途中で改行しています。 http://www.excite.co.jp/News/it_lf/20151221/Lifehacker_201512_151221_ ram_iphone.html 参考:iOS 9の「Appスイッチャー」 http://news.mynavi.jp/articles/2015/09/24/iphone_why/                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎ホームドアの整備状況 最近ホームドアが設置されていますが、本当にまだまだです。 自分の使う鉄道路線がどのような状況なのかこれで確認してみてください。  国土交通省は、平成27年9月末時点でホームドアが設置されている 鉄道駅が621駅になったと発表しました。 今年4月以降に設置されたのは以下の6駅です。 JR東日本山手線(秋葉原)、JR西日本東西線(六甲道)、 地下鉄名古屋市東山線(高畑、八田、岩塚、中村公園)。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk6_000022.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎日本障害者リハビリテーション協会 〜リハビリテーションは、がんばっている人を支援します〜 *目的 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会は、国内外における 障害者のリハビリテーションに関する調査研究を行うとともに、 国際的連携を強化し、障害者リハビリテーション事業に寄与することを 目的として設立されました。 *協会の事業 ・障害者のリハビリテーションに関する振興及び調査研究事業 ・障害者のリハビリテーションに関する国際協力 ・国際研修事業 ・障害者のリハビリテーションに関する情報収集・提供 ・障害者団体等との協力 ・全国障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)の運営 ・障害者リハビリテーション振興基金 *国際シンボルマークについて 「車いすマーク」の正しい理解と普及に努めている日本で唯一の団体です。 *DAISYとは DAISYとは、Digital Accessible Information SYstemの略で、 日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。 ここ数年来、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のために カセットに代わるデジタル録音図書の国際標準規格として、 50カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム (本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを 表しています。 DAISYコンソーシアム公認のオーサリングツールを使って デジタル図書を作ることができ、専用の機械やパソコンに ソフトウェアをインストールして再生をすることができます。国内では、 点字図書館や一部の公共図書館、ボランティアグループなどで DAISY録音図書が製作され、主な記録媒体であるCD-ROMによって 貸し出されています。 (財)日本障害者リハビリテーション協会はDAISYコンソーシアムの 正会員である日本コンソーシアムの会員として国内外のDAISYの 開発と普及に関わる活動をしています。 視覚障害者に広く利用されているDAISYに関わるこの団体は サポートを行う人にぜひ知っておいていただきたいところです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.jsrpd.jp/index.php ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎お財布のように使える紙幣識別機、「Wallet」  今回は、12月1日に株式会社システムイオから発売された お財布型ポータブル紙幣識別機「Wallet(ウォレット)」をご紹介します。  日本銀行券は視覚障碍者にとって券種が識別しずらい紙幣です。そのため、 紙幣の授受は煩わしく負担にもなります。また、電子マネーの普及により 利用頻度が増加していますが、残高を音声で確認する手段がありません。  Wallet(ウォレット)は、お財布と同じように、紙幣をポケットに挿入し カメラスイッチを押すことで紙幣の種類を音声、ブザー音、振動にて 通知します。 付加機能として電子マネーカードの残高確認ができます。 ケースには手触りのよいソフト素材を採用。滑りずらい素材なので、 落下防止にもなります。  紙幣の識別手順は、 1.Walletの上蓋を開け、紙幣収納ポケットに紙幣を入れます。 2.紙幣識別/電子マネーカード読み上げスイッチを押します。 3.音声、ブザー、振動のいずれかでお知らせします。  電子マネーの残高読上げは、Walletのカードポケットに電子マネーカードを 挿入し、紙幣判別/電子マネーカード読み上げスイッチを 約3秒程度長押しすると音声でお知らせします。 ●基本仕様 残高確認可能な電子マネー:Kitaca(JR北海道)、Suica、PASMO、 TOICA(JR東海)、manaca(名古屋私鉄)、ICOCA(JR西日本)、PASPY(広島電鉄他)、 nimoca(西鉄)、はやかけん(福岡市交通局)、SUGOCA(JR九州)、nanaco、Edy、 Waon 識別対象券種:E千円券・E五千円券・E一万円券 (平成16年11月1日発行以降)・D二千円券(平成12年7月19日発行以降) 紙幣読取判定時間:読取識別スイッチ押下後2.4秒以内 連続使用回数:紙幣読取約300回(25℃ フル充電から) 電源・充電時間:リチウム二次電池  約3時間 本体寸法・重量:168.5mm(幅)×22mm(奥行)×82mm(高さ)  約175g(重さ) 素材:内ケースはABS、外ケースはTPU(熱可塑性ポリウレタン) 付属品:音声取扱説明書(一般CD)、保証書、非接触充電器 価格:62800円(非課税)、日常生活用具給付等事業候補品 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.tecio.co.jp/wallet.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第182回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 アイサポート仙台(仙台市中途視覚障害者支援センター)では、 第182回仙台ロービジョン勉強会を開催します。 *日時:2016年2月10日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *内容:障害者差別解消法の概要、法律の施行に向けての仙台市での  取り組みについての講演 *参加費:300円 *お申し込み・お問い合わせ先:アイサポート仙台 仙台市中途視覚障害者  支援センター  Tel:022−212−1131  E-Mail:sisien@sky.plala.or.jp 詳しくは上記お電話かメールにてお問い合わせください。 ◎第15回「目の見えない人・見えにくい人の仕事サロン」開催のご案内 *日時:2016年2月21日(日) 13:30〜16:50 *内容:就労している視覚障碍者の方の講演、白杖や音声パソコンの体験会(要予約) *対象:目が見えない方・見えにくい方、支援者の方 *主催:京視協 職業部 *参加費:無料 *お問合わせ・予約申込み:職業部 野々村(ののむら)  E-Mail:nonoyan2004yahoo.co.jp ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://kyosikyo.sakura.ne.jp/contents/read/id/112 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   無料のネット通話Skypeなどを利用して行う講座で、教室に来なくても   学べます。内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   就労中の視覚障害者を対象とした職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、平成27年度下半期の訓練の受付を行っています。  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、夜間講座   土曜日やウイークデーの夜間にテーマを決めて実施する講座です。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。 → 次回は3月13日(日)に開催します。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/offering/index.html *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が大切な活動資金になっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。 ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2016年最初のメールマガジンをお届けします。 今年も視覚障害者のICT利用をめぐってはいろいろなことがあると思いますが、 皆様のお役に立つ情報を提供できるよう努めてまいります。 本年もどうぞよろしくお願い致します。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は2月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら http://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━