━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2020年11月号 No.169                       2020年11月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  「拡大鏡」で複数の静止画像を一時的に保管 ● プロフェッショナルコース  Excel セルに名前を付ける ● 【コラム】 ICT よもやま話  iPhone ライダーセンサーで人との距離を報告 [2] サポートお役立ちサイト  厳しい現場からの声 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  新型コロナウイルス感染に伴う日本財団の助成金 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  Windows画面拡大表示ソフト、「ZoomText 2020 Magnifier 日本語版」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第235回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎「拡大鏡」で複数の静止画像を一時的に保管 iPad・iPhoneの「拡大鏡」の新しい機能を知るためにVoiceOverで 拡大鏡のアイコンを読みあげさせてみたいと思います。 最近新しく、複数の文字や、画像をフリーズフレーム(固定した静止画)に することができる機能が加わりました。 拡大鏡の操作画面に、二重丸の着いたものがあります。これをタップすると 「フリーズフレーム。取り込んでコレクションに追加します」と 読み上げます。 フリーズフレームにしたい被写体にiPadを向け、ダブルタップします。 これで1枚のフリーズフレームができました。2重丸のボタンは×(ばつ)を 丸で囲んだ印になります。 これをタップすると「フリーズフレームの終了。フリーズフレームを破棄して ライブレンズに戻ります」と言います。ダブルタップすると一時的に残された フリーズフレームがなくなり新しいものを見る普通の画面になります。 これをしないで、隣の書類が重なったようなアイコンをタップすると 「マルチ撮影開始」と読み上げます。それをダブルタップすると 「1個のフリーズフレームを表示」と読み上げます。 そしてシャッターのようなものは+(プラス)を丸で囲んだものになります。 被写体に向けてダブルタップすると静止画像がまた増えます。 私は、51個のフリーズフレームを作ってみました。 この51個は、「フリーズフレームスクラバー」というものに入っています。 上フリックを繰り返すと1/51、2/51、3/51というように一つづつ、画面に 表示します。 「終了」をダブルタップすると51個のフリーズフレームは完全に 消去されます。 もちろん「フリーズフレームの共有」ということで、選んだものを ひとつづつ、他のアプリで活用できます。 弱視の私たちが複数のフリーズフレームを残すことができるというこの機能を 日常の生活でうまく活用できるのではと思います。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Excel セルに名前を付ける この文章のPDFのURLは以下です。 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/11/excel_nameonly.pdf 1.はじめに ExcelでVLOOKUPやリスト入力を利用する場合、コピーして別の場所に 貼り付けると、誤動作とおもわれることがあります。 これは、別の場所に貼り付けると、範囲が変わってしまうからです。 範囲を絶対参照にする必要があります。セルの範囲に名前を付ければ、 絶対参照と同じことができます。  今回は、簡単な例を使用してセルに名前を付ける方法について説明します。 2.範囲に名前を付ける 分母をC2からC7までの範囲を合計する関数を使用する例を使用して、 範囲に名前を付ける方法を紹介します。 下の図は、D2に=C2/SUM(C2:C7)を入力し、D2をD3からD7まで 貼りつけた例です。 一見正しそうに見えますが、誤りです。 図1 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img060.png D5で[F2]キーを押して確認してみると、分母の範囲C2:C7が C5:C10になり 移動していることがわかります。 図2 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img070.png このような場合C2からC7に名前を付けると便利です。 C2からC7を選び[アプリケーション]キーまたは[Shift]キー+[F10]キー および右クリックで表示されるメニュー中の「名前の定義(A)」を選びます。 図3 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img080.png すると、「新しい金額」のダイアログボックスが開きます。 名前には、選択した範囲の上のセルにある「金額」が自動的に 設定されています。 参照範囲には、=Sheet1!$C$2:$C:$7 つまり シート1のC2からC7までの 範囲を絶対参照の形式で設定されています。特に名前を変える必要が無ければ OKボタンが標準のボタンになっているので、[Enter]キーでOKボタンを 実行します。 図4 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img090.png それでは、ここで設定した名前を使用してみます。 D2に移動し、=C2/SUM( と入力したら、[F3]キーを押すと、 「名前の貼り付け」のダイアログボックスが表示されます。 [下方向]キーを押して、金額を有効にします。 [Enter]キーでOKボタンを実行します。 図5 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img100.png D2には 「=C2/SUM(金額 」と表示されています。「)」と[Enter]キーを 押します。 図6 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img110.png D2の内容をD3からD7にコピーします。 念のためD5で[F2]キーを押して 確かめます。 図7 http://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2020/10/img120.png 正しいことがわかります。 次回はこの機能を使用してVLOOKUP関数を紹介します。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 ICt よもやま話 ◎iPhone ライダーセンサーで人との距離を報告 コロナ騒ぎで、ソーシャルディスタンスなどと、視覚障害者にとっては 対応しづらいことが増えてきています。 触れてみることで確認していた者にとって、触れられないことは 辛いことですよね。そんな中、ICTの力で、可能になりそうな情報です。 「iPhone 12 Pro」はLiDARセンサーで「人との距離」を知らせてくれるように なりました。 Appleは、全盲またはロービジョンの人を補助するVoiceOverなどの機能を 長年開発してきています。今回のPeople Detectionも、 それをさらに一歩進める新機能です。 ○LiDARセンサー People Detectionは、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxのカメラ群に 搭載された新しいLiDARスキャナーを利用します。 これは最新の「iPad Pro」にも搭載されています。 暗い場所、光量の低い環境では機能しないようです。 People DetectionはAppleの「拡大鏡」アプリで利用できるようになります。 iPhone12pro・pro maxに搭載されているライダーセンサーを 検証した動画がありましたので、紹介します。 ※下記URLが長いため、途中で改行しています。 https://www.youtube.com/watch?v=j7d0oEA_ujo&feature=share&fbclid= IwAR03vur1F-gtpkjbo1IIaICa2NzLj5BzpRXqfJGocKqVC2XvFUdNGusirxA                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎厳しい現場からの声 新型コロナウィルス感染症に係る障害のある人及び障害福祉事業所に関する 要望書【第8弾】 厚労省に提出。 働きながら自立に向けた訓練をする就労継続支援事業所が、 新型コロナウイルスの感染拡大で、大きな危機に さらされているとのことです。 繋がりの中でこそ活動ができるのであり、それが否定されてしまえば 基盤を失ってしまうわけです。 このような、厳しい現実の中でも精力的に活動していることを 知っていきたいと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 ※下記URLが長いため、途中で改行しています。 https://www.kyosaren.or.jp/%e5%85%a8%e5%9b%bd%e4%ba%8b%e5%8b%99%e5%b1% 80/corona/13661/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎新型コロナウイルス感染に伴う日本財団の助成金 日本財団では、新型コロナウイルス感染症に伴う社会活動支援として、 助成金の募集を行っています。 財団のwebページでは、この助成金の趣旨について以下のように 記載されています。 *本制度の趣旨 新型コロナウイルス危機は、学校の休校、商業施設やイベントの自粛など 国民生活に大きな影響を及ぼしました。一方で、オンライン授業や在宅勤務の 導入など、これまでの生活様式が変わる兆しも見え始めています。 緊急事態宣言が解除されて以降、その動きは一過性に終わることなく、 コロナと共に生きようという「with コロナ時代」を模索する動きに 変わりつつあります。 本制度では、変革の兆しに着目し、社会課題の解決、あるいは社会価値の 創造を通して既存の社会システム、仕組み、構造、制度を変えようと 取り組む活動を支援します。また、コロナの影響を受け、継続が困難になった 事業への緊急支援も実施します。 コロナの影響を受けている団体、新しい活動を模索する団体にとって、 こうした助成金は有益だと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 ※下記URLが長いため、途中で改行しています。 https://www.nippon-foundation.or.jp/grant_application/programs/ corona2020-socialsupport ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎Windows画面拡大表示ソフト、「ZoomText 2020 Magnifier 日本語版」 今回は、7月31日に有限会社エクストラから発売された Windows画面拡大表示ソフト「ZoomText 2020 Magnifier 日本語版」を ご紹介します。 ZoomTextはWindowsの表示画面を拡大し、見やすくするために開発された ロービジョンの方向けのソフトウェアです。 新たに読み上げ機能を追加したZoomText2020+リーダーをリリースします。 +リーダーの読み上げは画面拡大機能を使いながら音声読み上げを行います。 キーボード入力時読み上げ、マウスカーソルが重なった位置の テキスト情報読み上げ、ゾーン機能による範囲指定読み上げなどが可能です。 これまでの基本機能は以下の通り。 ・xFont拡大機能により、拡大しても文字をなめらかに表示 ・8種類のズームウィンドウで拡大画面を見やすく表示 ・カラーモードを変更して見やすい色で画面を表示可能 ・ポインタやカーソル、フォーカスを見やすいように強調表示可能 ・Windowsログイン画面でも拡大機能を使用可能 ・ファインダ機能を使って実行中のドキュメントなどから文字列を検索可能 ・拡大率を変更せずに、拡大と標準の切り替えが可能 ・マルチモニタ、タッチスクリーンデバイスに対応 ・JAWSのバージョン18以降(特にJAWS2020)との連携強化 ・USBカメラ(HD)を接続するとカメラで撮影した画像を拡大表示可能 ●動作条件 OS:Windows10、Windows8.1以降 タッチスクリーン:5点マルチタッチディスプレイが必要 USBカメラ(HD)を接続する場合:USB2.0ポートが必要 +リーダーの読み上げ機能はJAWS以外のスクリーンリーダーと併用できません。 ●価格(税込) ZoomText 2020 Magnifier 新規:86900円(日常生活用具給付等事業制度対象) 2019からのバージョンアップ:26400円 ZoomText 2020+リーダー 日本語版:114400円 リーダーライセンス追加(ZoomText 2020へのアップグレード必要):27500円 ※バージョンアップ版のご購入には、ユーザー登録が必要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/zoomtext/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第235回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 アイサポート仙台(仙台市中途視覚障害者支援センター)では、 第235回仙台ロービジョン勉強会を開催します。 *日時:2020年12月9日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *内容:「画面表示・音声読み上げ一体型拡大読書器」のご紹介 *参加費:500円(お釣りのないように) *定員:35名 *事前申込期限:12月3日(金)(オンライン参加も可能) *お申し込み・お問い合わせ先:アイサポート仙台 仙台市中途視覚障害者  支援センター  Tel:022−212−1131  E-Mail:sisien@sky.plala.or.jp 詳しくは上記お電話かメールにてお問い合わせください。 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。 ★教室での訓練や講座、またジョブコーチによる支援を再開しています。  ただし、一部はオンラインによる実施となっています。  詳しくはお問合せください。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   ネット通話アプリZoomミーティングやSkypeなどを利用して   行う講座で、教室に来なくても学べます。   内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   東京都内に在勤、または在住の就労中の視覚障害者を対象とした   職業訓練で費用負担はありません。   → 令和2年 下期の訓練の受付は終了しました。   令和3年 上期のお申込みは、令和3年3月から開始する予定です。  ・ジョブコーチ支援   訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援です。視覚障害者が   勤務する職場環境の整備や職業スキルの向上を図ります。   詳しくは、東京障害者職業センター、またはSPANに  お問い合わせください。  東京障害者職業センター   https://www.jeed.or.jp/location/chiiki/tokyo/index.html  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、夜間講座、ワンポイント講座   土曜日やウイークデーの夜間にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って半日で学ぶ講座です。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、募集している講座はありません。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、新型コロナウイルスの影響により休止しています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/offering/index.html *資格取得コース  視覚障害者が受験できる資格試験受験のための対策講座を行います。  現在、以下の資格取得コースの募集を行っています。  ・ 日商PC検定2級(データ活用)  2021年1月期  ・ 日商PC検定3級(文書作成) 2021年1月期  ・ 日商PC検定3級(データ活用)  2021年1月期 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/certification/ *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が、活動を続けるために不可欠なものとなっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/support/ ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− コロナ禍の中、オンラインなど新しい形での活動が始まっています。 ただ、オンラインの活動に参加するためには一定のICTスキルが必要で、 そうしたスキルを身につける場がない人も少なくありません。 私たちは、こうした人がいることを忘れてはならないと思います。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は12月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら https://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら https://span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━