━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2022年9月号 No.191                       2022年9月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ■ ご寄付のお願い SPANでは、2022年に引き続き、2023年も公的な就労支援が受けられない方を 対象とした無償での遠隔就労PCサポートを実施する計画で、そのための ご寄付の募集を行っています。  この趣旨に賛同される方のご協力をお願いします。  目標額:30万円 達成額:241,210円(9月21日現在) ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/support/FreeRemoteSupport2023.html ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  VoiceOverと拡大 ● プロフェッショナルコース  晴眼者向け弱視者の話 ● 【コラム】 ICT よもやま話  iOSアプリ Eye Navi [2] サポートお役立ちサイト  障害者権利条約順守状況の審査結果公表 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  徳島県立障がい者交流プラザ 視聴覚障がい者支援センター [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  Windows画面拡大表示ソフト、「ZoomText 2022 日本語版」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第257回 仙台ロービジョン勉強会のご案内 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎VoiceOverと拡大 VoiceOver起動中は2本指でつまんで広げるピンチイン・ピンチアウトは できません。 ローターの設定で「拡大/縮小」を選択して、上下フリックで、拡大/縮小が これに当たるわけです。 この機能をどのような時に使うのか。私はいろいろと試してみました。 カメラアプリで写真を撮るときに、この操作をして画面拡大します。 写真を撮らない場合でも、映し出すものを拡大して見る場合に使えます。 「マップ」や写真なども拡大はできますが、すごい高倍率に なってしまいますし、画面の中心が極端に拡大されます。 「マップ」で目的地が画面の真ん中にくるので、その周辺だけは大きくなり、 これは少し使えるかもしれませんが、どうも「これだ」という使い方が 見つからないです。 ズーム機能を使った方が良いのかもしれませんが、 ズームをオンにしたVoiceOver操作は間違うと音声がオフになったりします。 音声と拡大を両方使う私にとって、パソコンのようなスムーズな動きが できないのかと感じます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎晴眼者向け弱視者の話 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2022/09H/lv.pdf 最近、少数の弱視者が在籍しているいくつかの団体を訪問しています。 晴眼者が弱視者のことを理解することのむつかしさを再認識しています。  弱視者を理解したい人のための情報を、継続的にまとめています。 昨年の8月も紹介しましたが、新たにまとめなおしています。 弱視者の方の理解のために役立てば幸いです。  私自身は、晴眼者です。いつになっても、弱視者の方についての 新たな「認識」があります。 特に、弱視=大きな文字の認識だけでなく、「場所や天気、体調や日によって 見え方が違う」ことと「眩しさへの対応」「視野狭窄」 「小さな文字が見える存在」「疲れやすさ」に対する認識をすることなども 晴眼者の理解に重要なことを強く感じます。 資料は下記のURLです。まだまだ十分な資料ではありませんが、 これからも情報を追加していきたいと思います。 http://smuramura.web.fc2.com/gidai/lv01/index.html ****************************************************************** ● 【コラム】 ICt よもやま話 ◎iOSアプリ Eye Navi 目の不自由な人が移動や散歩などをしようとするとき、 光が分かる程度であれば、頭に描いたイメージマップで歩くことになります。 当然ながら、白杖や、盲導犬を使用して、安全を計ります。 また、少し前にいる人影が分かる程度であれば、 視力も使っていることでしょう。 視力以外の、音や、匂い、風、段差なども移動のための情報として 利用しています。 どちらの場合も、コンビニなどのお店があるのかどうかは 分からない人も多いことでしょう。 そして、スマホが普及してきたことで、GPSを利用したナビアプリを活用して 移動している人も多くなってきました。 2022年2月号で紹介した「Microsoft Soundscape」を利用することで 近くのお店などの情報を得ることができるようにもなりました。 そして、今回紹介する「Eye Navi」はカメラを利用したナビアプリです。 まだ正式には公開されていません。年内には公開する予定だと 聞いています。 私は体験版を得ることができたので、試しています。 視覚障がい者歩行支援アプリ Eye Navi アイナビ https://www.computer-science.co.jp/website/eyenavi/ より引用します。 AIによる進路上の障害物や信号の色などの検出機能と 歩行者向けナビゲーション機能を融合し、 音声で知らせるスマートフォンアプリです。 視覚に障がいを持つ方が簡単に操作でき、初めて通る道でも同行援護者なしで 安心して歩くことができる。そんなサービスを目指しています。 上記URLページには、YouTubeの紹介リンクもあります。 私はMicrosoft Soundscapeをバックで動かし、Eye Naviを起動して 試しました。 それぞれの音声を聞き分けることもできました。 なお、Eye Naviには「道案内」と、「お散歩」の2つのモードがあります。 上記は「お散歩」モードで試しました。                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎障害者権利条約順守状況の審査結果公表 日本が2014年に批准した障害者権利条約には、条約の順守状況を定期的に 審査するメカニズムが組み込まれています。 日本の第1回定期審査は2022年8月に国連障害者人権委員会で実施され、 審査報告が9月9日に公表されましたが、大変厳しい指摘を受けたようです。 各種の法律はできたが、内容が伴っていない、考え方が間違っているという かなり根本的な指摘を受けています。 私が気になったのは以下の点です。 障害者の社会参加を阻むのは社会の側に壁があるからで、社会の側に 変革が求められるというのが条約の基本的な考え方である。 これを障害の「社会モデル」という。 これに対して、目が見えないので、足が悪いので、できる限りの治療を 施そうというのが「医学モデル」という古い考え方である。 審査報告は日本の法制度が医学モデルから脱却できていないと指摘し、 法制度から医学モデルの要素を排除する (eliminate elements of medical model)ように求めている。 条約第9条はアクセシビリティに関する一般規定である。 情報アクセシビリティ、および学校・公共交通機関・アパート・ 小規模店舗への移動のアクセシビリティは、大都市を除いてほとんど 確保されていない。社会の側に壁ができないように設計段階から配慮する ユニバーサルデザインについて、建築家、設計者、技術者に対する 啓発と教育が不足している。 特別支援教育を廃止し、統合教育に移行する計画を作り、提供すること。 障害を持つ子供が普通教室での教育を求める際には、拒否することを 許されないと保証する「拒否禁止」条項と政策を導入すること。 障害者の選挙権・被選挙権を保証するように公職選挙法を改正すること。 障害のある人が、政府のすべてのレベルで役職に就き、すべての公的機能を 果たすことができるようにすること。 機械翻訳ですが、ぜひ以下をご覧ください。 機械翻訳 http://www.yuki-enishi.com/gekidou/gekidou-105-2.pdf 英語版:国連障害者の権利に関する委員会日本の第一次報告書に対する最終見解 http://www.yuki-enishi.com/gekidou/gekidou-105.pdf ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://agora-web.jp/archives/220910014134.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎徳島県立障がい者交流プラザ 視聴覚障がい者支援センター 今回は団体紹介です。 徳島県が設置する視聴覚障碍者を対象としたサービス提供施設です。 *視覚障害者を対象とした事業 ・点字図書館事業 ・生活訓練事業(白杖、点字、日常生活動作、パソコン等) ・各種相談 こうした施設があることは、地域に住む視覚障碍者にとって 貴重だと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kouryu-plaza.jp/sc-center/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎Windows画面拡大表示ソフト、「ZoomText 2022 日本語版」 今回は、7月11日に有限会社エクストラから発売された Windows画面拡大表示ソフト「ZoomText 2022 日本語版」をご紹介します。 ZoomTextはWindowsの表示画面を拡大し、見やすくするために開発された ロービジョンの方向けのソフトウェアです。 拡大機能のみのZoomText2022と読み上げ機能も備えたZoomText2022+リーダーを お選びいただけます。 これまでの基本機能は以下の通り。 ・Windowsログイン画面でも拡大機能を使用可能 ・ファインダ機能を使ってドキュメントやメールの中から文字列を検索可能 ・拡大率を変更せずに、拡大と標準の切り替え可能 ・アプリケーション毎に拡大設定可能 ・スマート反転機能を使ってChrome使用時の画像を自然な色で表示可能 ・マルチモニタ対応 ・JAWSのバージョン18以降との同時使用(特にJAWS2022との連携)を強化 ZoomText2022+リーダーは、画面拡大機能を使いながら音声読み上げを 行います。コントロール情報読み上げ、APP Reader機能による アプリケーション内のテキスト読み上げ、BG(バックグラウンド)リーダーを 使ったクリップボードの文書読み上げ、レコーダー機能を使って合成音声の 読み上げを音声データとして保存などが可能です。 ●動作条件 OS:Windows11、Windows10 タッチスクリーン:5点マルチタッチディスプレイが必要 USBカメラ(HD)を接続する場合:USB2.0ポートが必要 +リーダーの読み上げ機能はJAWS以外のスクリーンリーダーと併用できません。 ●価格(税込) ZoomText 2022 新規:86900円、日常生活用具給付等事業制度候補品 2021からのバージョンアップ:26400円 ZoomText 2022+リーダー 日本語版 新規:114400円 2021からのバージョンアップ:33000円 ※バージョンアップ版のご購入には、ユーザー登録が必要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/zoomtext/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第257回 仙台ロービジョン勉強会のご案内 仙台市で毎月開催している視覚障害に関する勉強会です。 *テーマ:視覚障害者の音の利用を考えるにあたり知っておきたい音の  基礎的な話 *講師:福島大学共生システム理工学類 永幡 幸司さん *日時:2022年10月12日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 第1研修室 *参加費:500円  ※お釣りが要らないようにご準備いただきますよう、お願いいたします。 *定員:30名 *お申込み締切:10月6日(木) *お申し込み・お問い合わせ先  仙台市視覚障害者支援センター アイサポート仙台  電話 022-341-1728 ファックス 022-341-1729  メール sisien@sky.plala.or.jp ◎インストラクター養成講座(応用編)(10月9日)のご案内 SPANが創立以来開催しているインストラクター養成講座の応用編です。 今回の講座では、Excelをキーボードとスクリーンリーダーで指導する際の ポイントを学びます。 *日時:10月9日(日) 13:00〜17:00 *実施方法:通信アプリZoomミーティングによる遠隔 *募集定員:6名 *お申込み期限 10月7日(金) *テキスト:テキストは事前にメールに添付してお送りします。 *講師:北神 あきら(SPAN) *受講料:8,000円(テキスト代を含む) *お申込先:office@span.jp  件名に「インストラクター養成講座参加希望」とお書きのうえ、  お名前、 電話番号をお知らせください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/activity/#future20221009 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。 ★教室での訓練や講座、またジョブコーチによる支援を再開しています。  ただし、一部はオンラインによる実施となっています。  詳しくはお問合せください。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   ネット通話アプリZoomミーティングなどを利用して  行う講座で、   教室に来なくても学べます。   内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   東京都内に在勤、または在住の就労中の視覚障害者を対象とした   職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、令和4年度下期の訓練の受付を行っています。  ・ジョブコーチ支援   訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援です。視覚障害者が   勤務する職場環境の整備や職業スキルの向上を図ります。   詳しくは、東京障害者職業センター、またはSPANに  お問い合わせください。  東京障害者職業センター   https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、ワンポイント講座   原則として土曜日にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って1〜4時間で学ぶ講座です。   いずれも遠隔で実施する場合があります。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、募集中の講座はありません。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、10月9日の「応用編」と、11月13日の第131回の受付を    行っています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/offering/index.html *資格取得コース  視覚障害者が受験できる資格試験受験のための対策講座を行います。  現在、以下の資格取得コースの募集を行っています。  ・ 日商PC検定2級データ活用  2022年7月期  ・ 日商PC検定3級文書作成 2022年7月期  ・ 日商PC検定3級データ活用  2022年7月期 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/certification/ *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が、活動を続けるために不可欠なものとなっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/support/ ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 今年もサイトワールドが中止になるようです。 視覚障害者にとっては貴重な場ですが「触れる」ということが大切なだけに 主催するみなさんは苦渋の判断をされたと思います。 収束が見えないコロナですが、どうしたらこのウイルスと付き合いながら 日常が取り戻せるか、私たちにとって大きな課題だと思います。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は10月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら https://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら https://span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━