Excel 2013 数学/三角関数(合計・数値の操作)

  1. 数学/三角関数リストの表示
  2. 数値の絶対値を求めるABS関数
  3. 指定した基準に最も近い値に切り上げるCEILING関数
  4. 指定した数値を最も近い偶数に切り上げるEVEN関数
  5. 指定した基準に最も近い値に切り捨てるFLOOR関数
  6. 最大公約数を求めるGCD関数
  7. 小数点以下を切り捨てて整数を求めるINT関数
  8. 最小公倍数を求めるLCM関数
  9. 割り算の余りを求めるMOD関数
  10. 指定した倍数になるよう切り上げ/切り捨てを行うMROUND関数
  11. 数値を指定した桁数に四捨五入するROUND関数
  12. 数値を切り捨てるROUNDDOWN関数
  13. 数値を切り上げるROUNDUP関数
  14. 数値の正負を判定するSIGN関数
  15. リストまたはデータベースの集計値を求めるSUBTOTAL関数
  16. 数値の合計を求めるSUM関数
  17. 条件に一致する数値の合計を求めるSUMIF関数
  18. 複数の条件に一致する数値の合計を求めるSUMIFS関数

数学/三角関数を使って、さまざまな形で数値を扱ったり、合計などの値を求めたりすることができます。

サンプルデータmathematics-function_es.xlsx「数学・三角関数(演習).xlsx」を開きます。

尚、このマニュアルでは特に断らない限り、ショートカットキーで「関数の挿入」ダイアログ ボックスを開き、「関数の分類」から関数名のリストを表示させる手順で説明します。
その他の方法での関数の入力手順については、関数の入力方法を参照してください。

数学/三角関数リストの表示

「関数の挿入」ダイアログ ボックスでは、以下の手順で数学/三角関数のリストを表示させることができます。

(注) 各関数の入力手順の説明は、関数名のリストが表示された状態から行います。


数値の絶対値を求めるABS関数

ABS関数は、数値の絶対値を返します。絶対値とは、数値から符号、+(プラス)、-(マイナス)を除いた数の大きさのことです。

【書式】 =ABS(数値)

【説明】 数値: 必ず指定します。絶対値を求める実数を指定します。

ここではサンプルデータのシート「ABS」のセルB6からB11までの値を絶対値にします。
シート「ABS」を選択します。


指定した基準に最も近い値に切り上げるCEILING関数

CEILING関数は、指定された基準値の倍数のうち、最も近い値に数値を切り上げます。例えば、数値が253で基準値が10の場合、結果は260となります。

【書式】 =CEILING(数値,基準値)

【説明】 数値: 必ず指定します。丸める対象となる数値を指定します。基準値: 必ず指定します。倍数の基準となる数値を指定します。
数値の符号に関係なく、切り上げられた値の絶対値は、数値より大きくなります。数値が既に基準値の倍数になっている場合は、その値が返されます。
数値と基準値がどちらも負の数の場合、値は小さい方(0から遠い方)の数値に切り上げられます。数値が負の数で、基準値が正の数の場合、値は大きい方(0に近い方)の数値に切り上げられます。

ここではサンプルデータのシート「CEILING」のセルD6からD11までの販売価格を5円単位で切り上げます。
シート「CEILING」を選択します。


指定した数値を最も近い偶数に切り上げるEVEN関数

EVEN関数は、指定した数値を最も近い偶数に切り上げます。

【書式】 =EVEN(数値)

【説明】 数値: 必ず指定します。切り上げの対象となる数値を指定します。
数値の符号に関係なく、切り上げられた値の絶対値は数値より大きくなります。数値が既に偶数の値になっている場合、切り上げは行われません。

ここではサンプルデータのシート「EVEN」のセルB6からB11までの個数を偶数にします。それにより、箱数が計算できます。
シート「EVEN」を選択します。


指定した基準に最も近い値に切り捨てるFLOOR関数

FLOOR関数は、指定された基準値の倍数のうち、最も近い値に数値を切り捨てます。例えば、数値が256で基準値が10の場合、結果は250となります。

【書式】 =FLOOR(数値,基準値)

【説明】 数値: 必ず指定します。対象となる数値を指定します。基準値: 必ず指定します。倍数の基準となる数値を指定します。
数値の符号が正の場合、切り捨てられた値の絶対値は数値より小さくなります。数値の符号が負の場合、切り捨てられた値の絶対値は、数値より小さくなります。指定された数値が基準値の倍数と等しい場合は、数値は丸められずにその値が返されます。

ここではサンプルデータのシート「FLOOR」のセルD6からD11までの販売価格を5円単位で切り捨てます。
シート「FLOOR」を選択します。


最大公約数を求めるGCD関数

GCD関数は、複数の整数の最大公約数を返します。最大公約数とは、対象となるすべての整数に共通する約数の中で、最も大きい約数のことです。

【書式】 =GCD(数値1,[数値2],...)

【説明】 数値1: 必ず指定します。数値2,...: 省略可能です。
最大公約数を求める数値を指定します。引数は1〜255個まで指定できます。整数以外の値を指定すると、小数点以下が切り捨てられます。

ここではサンプルデータのシート「GCD」のセルB3に、セルB6からB11までの最大公約数を求めます。 シート「GCD」を選択します。


小数点以下を切り捨てて整数を求めるINT関数

INT関数は、指定した数値を超えない最大の整数を返します。例えば、数値が243.5の場合、243を返します。

【書式】 =INT(数値)

【説明】 数値: 必ず指定します。切り捨てて整数にする対象となる数値を指定します。

ここではサンプルデータのシート「INT」のセルD6からD11までの販売価格の小数点以下を切り捨てます。
シート「INT」を選択します。


最小公倍数を求めるLCM関数

LCM関数は、複数の整数の最小公倍数を返します。最小公倍数とは、対象となるすべての整数に共通する倍数の中で、最も小さい倍数のことです。

【書式】 =LCM(数値1,[数値2],...)

【説明】 数値1: 必ず指定します。数値2,...: 省略可能です。
最小公倍数を求める数値を指定します。引数は1〜255個まで指定できます。

ここではサンプルデータのシート「LCM」のセルB3に、セルB6からB11までの最小公倍数を求めます。
シート「LCM」を選択します。


割り算の余りを求めるMOD関数

MOD関数は、数値を除数で割ったときの余りを返します。例えば、53を5で割ったときの余りは3となります。戻り値は、除数と同じ符号になります。

【書式】 =MOD(数値,除数)

【説明】 数値: 必ず指定します。割り算の分子となる数値です。除数: 必ず指定します。割り算の分母となる数値です。
ここではサンプルデータのシート「MOD」のセルB6からB11までの全個数のうち、箱に入りきらない残数を求めます。
シート「MOD」を選択します。


指定した倍数になるよう切り上げ/切り捨てを行うMROUND関数

MROUND関数は、指定された値の倍数になるように数値を切り上げ、または切り捨てます。例えば、数値が5で倍数が3ならば切り上げて6に、数値が7で倍数が3ならば切り捨てて6となります。

【書式】 =MROUND(数値,倍数)

【説明】 数値: 必ず指定します。丸める数値です。倍数: 必ず指定します。切り上げ、または切り捨てて丸められた数値がその倍数となるような数値です。
つまり、倍数は、切り上げ、または切り捨てられた数値の約数となります。
数値を倍数で割った余りが倍数の半分以上の場合は、0から遠い方の値に丸められます。

ここではサンプルデータのシート「MROUND」のセルC6からC11までの近似倍数を求めます。
シート「MROUND」を選択します。


数値を指定した桁数に四捨五入するROUND関数

ROUND関数は、数値を四捨五入して指定された桁数にします。例えば、254.359を小数点以下第2位を四捨五入して254.4とします。

【書式】 =ROUND(数値,桁数)

【説明】 数値: 必ず指定します。四捨五入の対象となる数値です。桁数: 必ず指定します。数値を四捨五入した結果の桁数です。
桁数に正の数を指定すると、数値は小数点以下で四捨五入され、桁数で指定された小数点以下の数値となります。つまり、桁数に「1」を指定すると、小数点以下第1位です。
桁数に「0」を指定すると、数値は最も近い整数として四捨五入されます。
桁数に負の数を指定すると、数値は整数部分の指定した桁(1の位を0とする)で四捨五入されます。つまり、桁数に「-1」を指定すると10の位です。

ここではサンプルデータのシート「ROUND」のセルD6からD11までの価格を四捨五入して整数にします。
シート「ROUND」を選択します。


数値を切り捨てるROUNDDOWN関数

ROUNDDOWN関数は、数値を切り捨てて指定された桁数にします。例えば、254.359を小数点以下第2位を切り捨てて254.3とします。

【書式】 =ROUNDDOWN(数値,桁数)

【説明】 数値: 必ず指定します。切り捨ての対象となる数値です。桁数: 必ず指定します。数値を切り捨てた結果の桁数です。
桁数に正の数を指定すると、数値は小数点以下で切り捨てられ、桁数で指定された小数点以下の数値となります。つまり、桁数に「1」を指定すると、小数点以下第1位です。
桁数に「0」を指定すると、数値は最も近い整数として切り捨てられます。
桁数に負の数を指定すると、数値は整数部分の指定した桁(1の位を0とする)で切り捨てられます。つまり、桁数に「-1」を指定すると10の位です。

ここではサンプルデータのシート「ROUNDDOWN」のセルD6からD11までの価格を切り捨てて整数にします。
シート「ROUNDDOWN」を選択します。


数値を切り上げるROUNDUP関数

ROUNDUP関数は、数値を切り上げて指定された桁数にします。例えば、254.349を小数点以下第2位を切り上げて254.4とします。

【書式】 =ROUNDUP(数値,桁数)

【説明】 数値: 必ず指定します。切り上げの対象となる数値です。桁数: 必ず指定します。数値を切り上げた結果の桁数です。
桁数に正の数を指定すると、数値は小数点以下で切り上げられ、桁数で指定された小数点以下の数値となります。つまり、桁数に「1」を指定すると、小数点以下第1位です。
桁数に「0」を指定すると、数値は最も近い整数として切り上げられます。
桁数に負の数を指定すると、数値は整数部分の指定した桁(1の位を0とする)で切り上げられます。つまり、桁数に「-1」を指定すると10の位です。

ここではサンプルデータのシート「ROUNDUP」のセルD6からD11までの価格を切り上げて整数にします。
シート「ROUNDUP」を選択します。


数値の正負を判定するSIGN関数

SIGN関数は、数値の正負を判定します。戻り値は、数値が正の数の場合は1、0の場合は0、負の数の場合は-1となります。

【書式】 =SIGN(数値)

【説明】 数値: 必ず指定します。判定を行う対象となる数値です。
ここではサンプルデータのシート「SIGN」のセルD6からD11までの数値を判定します。
シート「SIGN」を選択します。


リストまたはデータベースの集計値を求めるSUBTOTAL関数

SUBTOTAL関数は、リストまたはデータベースの集計値を返します。例えば、リストに小計などを挿入する場合に使用します。
ただ、通常は「データ」タブの「集計」を利用するほうが簡単です。

手順についてはデータの集計・アウトライン・統合を参照してください。

【書式】 =SUBTOTAL(集計方法,範囲1,[範囲2 ],...])

【説明】 集計方法: 必ず指定します。リストの集計に使用する関数を、1〜11(非表示の値も含める)、または101〜111(非表示の値を無視する)の番号で指定します。
範囲1: 必ず指定します。集計する最初のセル範囲などです。
範囲2,...: 省略可能です。集計するセル範囲などを2〜254個まで指定します。

ここではサンプルデータのシート「SUBTOTAL」のセルC9、C13、C17に小計を、セルC18に合計を求めます。
シート「SUBTOTAL」を選択します。

(注1) 範囲内に他の集計値が挿入されている場合、計算の重複を避けるため、それらの集計値は計算対象から除外されます。ここでの例では、セルC18の合計を算出する際に、セルC9、C13、C17の小計は計算対象から除外されます。

(注2) 「集計方法」に1〜11を指定した場合、非表示となっている行の値も集計の対象となります。このリストでは、8行目、12行目、16行目が非表示になっていますが、ここに記載されている値も集計の対象となっています。

(注3) 「集計方法」に101〜111を指定した場合、非表示となっている行の値は集計から除外されます。

【ワンポイント】 「集計方法」に入力する値の内容は以下の通りです。

集計方法関数説明
1 101AVERAGE平均
2 102COUNT数値の個数
3 103COUNTA値が入力されているセルの個数
4 104MAX最大値
5 105MIN最小値
6 106PRODUCT数値の積
7 107STDEV標本標準偏差
8 108STDEVP標準偏差
9 109SUM合計
10 110VAR標本分散
11 111VARP分散

数値の合計を求めるSUM関数

SUM関数は、指定した範囲の数値をすべて合計します。

【書式】 =SUM(数値1,[数値2],...])

【説明】 数値1: 必ず指定します。合計を求める1つ目の数値やセル範囲などです。
数値2,...: 省略可能です。合計を求めるその他の数値、セル範囲などです。引数は最大255個まで指定できます。

ここではサンプルデータのシート「SUM」のセルC6からC14までの合計を求めます。
シート「SUM」を選択します。

【ワンポイント】 上記の結果は、以下の「数式」タブの「合計」のメニューからの手順でも得られます。

* ショートカットキー 合計の算出: Shift + Alt + =(イコール) キー


条件に一致する数値の合計を求めるSUMIF関数

SUMIF関数は、指定した条件を満たすセル範囲などの数値を合計します。

【書式】 =SUMIF(範囲,検索条件,[合計範囲])

【説明】 範囲: 必ず指定します。条件の対象となるセル範囲などです。
検索条件: 必ず指定します。計算の対象となるセルを定義する条件を、数値、式、セル範囲、文字列、または関数で指定します。

【重要】 文字列条件、または論理記号や数学記号を含む条件は、「"(クォーテーション)」で囲む必要があります。
合計範囲: 省略可能です。加算する実際のセルを指定します。省略すると、範囲で指定したセルの数値が計算されます。
検索条件には、半角の「?(クエスチョン)」、または「*(アスタリスク)」をワイルドカード文字として使用できます。

ここではサンプルデータのシート「SUMIF」のセルC6からC20までの間で、担当者が「山田花子」の売上高の合計を求めます。
シート「SUMIF」を選択します。

【ワンポイント】 「関数の挿入」ダイアログ ボックスから引数を入力する場合、文字列などには「"(クォーテーション)」が自動的に付加されます。


複数の条件に一致する数値の合計を求めるSUMIFS関数

SUMIFS関数は、指定した複数の条件を満たすセル範囲などの数値を合計します。

【書式】 =SUMIFS(合計対象範囲,条件範囲1,条件1,[条件範囲2,条件2],...)

【説明】 合計対象範囲: 必ず指定します。合計するセル範囲などです。
条件範囲1: 必ず指定します。1番目の条件の対象となるセル範囲などです。
条件1: 必ず指定します。計算の対象となるセルを定義する1番目の条件を、数値、式、セル範囲、文字列、または関数で指定します。
条件範囲2,条件2,...: 省略可能です。追加の範囲と対応する条件です。最大127組の範囲/条件のペアを指定できます。
合計対象範囲のセルにTRUEが含まれている場合は「1」と見なされ、FALSEが含まれている場合は「0(ゼロ)」と見なされます。
SUMIF関数の範囲および条件とは異なり、SUMIFS関数では、各条件範囲に含まれる行数と列数は、合計対象範囲と必ず一致している必要があります。
検索条件には、半角の「?(クエスチョン)」、または「*(アスタリスク)」をワイルドカード文字として使用できます。

ここではサンプルデータのシート「SUMIFS」のセルC6からC20までの間で、担当者が「山田花子」、品名が「パソコン」の売上高の合計を求めます。
シート「SUMIFS」を選択します。

【ワンポイント】 「関数の挿入」ダイアログ ボックスから引数を入力する場合、文字列などには「"(クォーテーション)」が自動的に付加されます。

操作の結果はサンプルデータmathematics-function_kk.xlsx「数学・三角関数(結果).xlsx」をご覧ください。